朝日新聞ニュース速報(2000/02/07 23:35)


 オウム真理教元幹部で死刑を求刑された井上嘉浩被告(30)が 7日、東京地裁で開かれた元教団幹部・大内利裕被告(47)の公 判に証人として出廷し、教団の上祐史浩幹部(37)らが最近打ち出している「改革」を「偽善だ」と批判した。

 井上被告は「上祐( 幹部)は(自分たちが過ったということに)気づいていると思う。 気づいているのに、うそをついて社会をだましている」と述べた。

 公判で弁護側が、「アレフ」と改称し、前代表の松本智津夫(麻 原彰晃)被告(44)を「観想の対象」と位置づけたことなどにつ いて井上被告に証言を求めた。

 井上被告は「いくら言っても、自分で気づかない限りは、(過ち には)気づかない。自分もそうだった。自分で気づくことがどれだ け大切か、分かっていなかった」と現役信徒に向けて話したうえで、上祐幹部について「名前を変えて『観想の対象』と言っているこ と自体が誤りだ。これでは自分で考えず、麻原が『こうやれ』と言 えば、そうする人間になってしまう。そのことに気づいていながら変えないのは偽善だ」などと呼びかけた。

 井上被告はまた、サリンで池田大作・創価学会名誉会長を襲撃し たとされていることについて、1993年にモスクワを訪ねた松本被告が、当時教団モスクワ支部長だった上祐幹部に襲撃を伝えた、と証言。95年の地下鉄サリン事件以前から、教団がサリンを使った殺人を企てていることを上祐幹部が知っていた、と主張した。