はじめに−審理に入るにあたって


原告 Toshiこと出山利三外1名
被告 紀藤正樹外2名
平成16年9月21日
東京地方裁判所民事第48部合議A係 御中

被告紀藤正樹 訴訟代理人
対ホームオブハート紀藤弁護士業務妨害対策弁護団                          
弁 護 士(団長) 
弁 護 士

弁 護 士(事務局長)
弁 護 士




田  中  清  治
山  口      広
中  村  雅  人
山  口  貴  士
弘  中  絵  里
竹  内  義  則
森  川  真  好
篠  島  正  幸
野  村  修  一
島      幸  明
    外110名


1 不当訴訟
 本訴訟は、既に刑事捜査の対象となっている原告らの所属する団体ホームオブハートを防衛するために、被告紀藤の弁護士業務活動を妨害し、被害者である被告山本、同○○らを恫喝し、ホームオブハート問題の真相の解明と責任を追及する活動を封じ込めるためのものであり、訴訟の提起自体が違法不当な行為である。
 このような訴訟の係属は、裁判所が「違法状態」の継続に加担するがごときものであるから、本件については、早急に審理を進め、直ちに請求棄却の判決を下すべきである。


2 児童虐待の事実
 そもそも本年4月7日、栃木県県北児童相談所は、児童虐待の疑いがあるとして、原告らの施設及び株式会社ホームオブハート(以下「ホームオブハート」という)の施設内から、5人の児童を一時保護し、一人の児童を調査対象とした。児童相談所は、約2ヶ月間という長期かつほぼ児童福祉法33条3項により認められている日数の満期にわたる調査を行い、本年6月3日、子ども達が「不適切な養育環境」に置かれていたとして、2名の乳児につき、乳児院に入院措置、4名は、その母親とともに団体ホームオブハートの施設を出て、児童福祉司の指導を受けさせるとの措置を下した。
 しかもこれらの措置を決定するにあたり、児童相談所は、当然会議を経るなど、独断でこのような措置を発することはないから、当該措置の内容は、明白に、児童虐待の事実を認める内容であり、児童虐待がないとして措置がなかったと言う事案でもなく、単なる任意の誓約書の提出などではないことに留意する必要がある。

 本来「不適切な養育環境」を指摘されること自体が異常事態であり、上記の措置を受ければ、普通なら大いに反省し、しかるべき改善措置を講じるのが通常の対応であろうが、ホームオブハート側に反省の姿勢は見られず、逆に「児童虐待はなかった」との一方的な曲解を振りかざし、本件提訴に先立ち、まず7月12日、被告紀藤の懲戒請求を申し立て、さらには7月13日、原告ら代理人弁護士である冨田秀実、松村博文、河井匡秀、藤川綱之、上田裕介、市河真吾の各弁護士のいずれも赤坂見附総合法律会計事務所所属の弁護士6名が代理人となり、被告紀藤と、勇気を持って本件を告発した2名の脱会者であり被害者らである。被告山本及び同○○を、名誉毀損を根拠に民事提訴をしてきた。
 児童相談所の介入に対しても、被虐待児童の親の半数は虐待の事実を否定するなど、近時、虐待がなかったと主張する親の心情や姿勢そのものが、再度の虐待につながり、これが深刻な結果につながることは、もはや公知の事実であり、本件が、児童虐待事案であることを考慮すると、原告らの姿勢そのものが、厳しく問われなければならない。


3 弁護士の職責と使命
 弁護士法第1条は、弁護士の使命として、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」「弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない」としており、弁護士は、一般市民以上に、目の前の違法行為、ましてや児童の心身に深刻な影響を及ぼしかねない状態を放置してはならず、また放置することは、それ自体が弁護士法に違反するものであり、到底許されるべきものではない。
 本件で、被告紀藤が、原告らの活動、ひいては団体ホームオブハートの活動を批判し、そして告訴、告発する行為は、弁護士として、当然の職責である。
 そしてこのような職務行為は、名誉毀損の構成要件に該当しないことは当然であり、仮にこれにあたるとしても、正当な業務行為として、刑法35条により、当然に違法性を阻却するというべきである。
 なお刑事訴訟法第239条は、「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる」とし、2項では「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」とまでしており、弁護士はその要請が国庫にかかり、また弁護士法の趣旨からも、弁護士は、「官吏又は公吏」に準じて、告発義務が当然にあると言わなければならない。しかも刑事訴訟法第239条の条文構造は、「相当な理由」(刑訴60条−勾留、同199条−逮捕)ではなく、「思料」で足るとされていることに留意されなければならない。

 そもそもホームオブハート問題は典型的な消費者被害の問題である。セミナー商法、会員権商法と同根にあると言っても過言でない。宗教にまつわる消費者被害の問題に近いという側面もある。
 今回の児童虐待の問題は、児童の将来と児童の福祉のことを考え、あえて金銭的被害を回復するために、近く提訴を予定していた依頼者に金銭回復が難しくなることを説明し、同人の同意を得たうえで、先に、被告紀藤のほうで、児童相談所に通告したという経緯があり、このため、まずマスコミで、まず児童虐待の問題が取り上げられたというだけのことである。


4 被害者ないし依頼者を守ることも、弁護士の職責と使命
  「どのような破壊的カルトの問題も、最初の一人のクレームから始まり、それがやがて大きな運動となったのです。最初の一歩を生み出す人は、孤軍奮闘になり、勇気がいる」(拙著:Q&A宗教トラブル110番22頁)と被告紀藤は記載した。
 ここで記載したことは、すべての消費者被害事件において共通にあてはまることである。こうして孤軍奮闘することになる被害者を暖かく援助し、サポートすることも弁護士の使命であり、職責である。
 被告紀藤は、本件被害の実質が精神的被害であり、原告らの恫喝などもあらかじめ想定されたため、被害者をサポートとし、防御するために、被告山本や被告○○ら被害者のために、「ホームオブハートとToshi問題を考える会」の連絡先として事務所住所を貸し、また被告山本や被告○○とともに、告発人、告訴人として名を連ねることで、あえて被告山本ら被害者への風圧を避ける弁護活動を行った。
そのような活動は、当然に被害者や依頼者を防御する弁護活動の一貫であり、正当な業務活動である。


5 明らかな業務妨害、恫喝を繰り返す原告らの姿勢
 現に、原告らは被害者らを、そのホームページなどで著しい名誉毀損行為を行い、また今回原告らを含む団体ホームオブハートは、あろうことか被告紀藤だけでなく、勇気を持ってホームオブハート問題を告発した被害者二人も訴えてきた。
従って本件は、単なる弁護士への業務妨害に留まらない問題がある。今回ホームオブハートからの妨害に対する対処は、他の消費者被害の運動にとっても、大変な重要な試金石となっている。


6 原告らの属性と順法意識の欠如
 略。


7 原告ら代理人の問題
 赤坂見附総合法律会計事務所所属の冨田秀実、河井匡秀、市河真吾の各弁護士らは、本件訴状において、こう記載している。「通常人よりも注意義務が重い弁護士という職業にありながら被告紀藤は原告トシオフィスでわずか3ヶ月しか稼動していなかった被告○○の供述を鵜呑みにし、十分な裏づけ調査もせず告発した」と論難している。
 そもそも「弁護士の注意義務が通常人より重い」と論じる拠点が不明であり、大いに疑問がある主張であるが、このような主張をされる以上、まずは、自らがその非を顧みて主張を行うべきであって、その主張は、そのまま原告ら代理人すべてにあてはまる。
 ところで本年7月23日、本件訴状とほぼ同じ内容の「児童虐待はなかった」という理由で、Toshiこと出山利三本人の名で申し立てられた被告紀藤宛の7月12日付懲戒請求書が届いた(甲94)。理由付けと提出証拠はほぼ同一であることから、同懲戒請求事件も、原告代理人ら弁護士の手が入っていると思われる(巧妙に字体と文体が変えてある)。
 この点、既に被告紀藤は昨年からこの問題に取り組んできた。消費者被害の救済の関係では、昨年1件が解決済みで(被告山本の事案)、この時、原告出山側の代理人として和解交渉に対応したのが原告代理人である冨田秀実弁護士であり、被告紀藤は和解にあたって、同弁護士に、本件事件の特質を説明し、同弁護士は十分に本件の実態をご承知のはずであった。
 加えて冨田秀実弁護士らは、本訴訟前に、5月6日、Toshiと株式会社トシオフィスを原告として、今回訴えられた被害者の一人である被告山本に対し、営業妨害行為の禁止を求めて、訴訟詐欺とも評価できる無審尋での仮処分を申請したが、当然、無審尋での仮処分は認められず、本年5月19日、御庁において、審尋が開かれ、被告山本から、44点の証拠を提出して反論したところ、この反論に対しては再反論も出来ず、冨田秀実弁護士らは、これを取り下げている。

 今回の提訴は、冨田秀実弁護士らが、これらの証拠などを故意に無視し、すべてホームオブハート側の主張を鵜呑みにした形で訴えて来ており、より問題なのは、冨田秀実弁護士らが、昨年の被告紀藤の交渉事件、そして仮処分事件を通じて、今回の事件の背景事情について十分知っているにもかかわらず、ホームオブハートに加担し、訴訟詐欺的な活動を行っていることである。
 その結果、被告側で誠実に提出した証拠だけが、事実上ホームオブハートにわたる結果となり、被告側の手持ち証拠の入手だけが狙いの仮処分であったのではないかとさえ疑われる事態となっている。

 弁護士法第1条は、同弁護士らにも等しく適用されるところ、同条を敷衍した弁護士倫理第7条(真実の発見)は、「弁護士は、勝敗にとらわれて真実の発見をゆるがせにしてはならない」とあり、勝敗にとらわれ、同弁護士らが、事実を歪曲誇張されるのは問題である。
 同14条 (違法行為の助長)には、「弁護士は、詐欺的商取引、暴力その他これに類する違法又は不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない」とある。この点も問題である。
また同19条(正当な利益の実現)は、「弁護士は、良心に従い、依頼者の正当な利益を実現するように努めなければならない」として、「正当な利益」と限定づけている。問題である。冨田秀実弁護士らの行為は、弁護士倫理第7条等に明らかに違反するものである。

 民事訴訟においては当事者主義が採用されているが、単に自らに不利な証拠の提出を控えるのであればまだしも、民事訴訟法第2条の趣旨に反する真実義務に違反した、事件の全体像について裁判所をわざと誤導するような主張、証拠の提出を行うことは、訴訟提起の真の意図が、ホームオブハートの真相の解明と責任を追及する活動を封じ込める点にあることを示唆している。

 赤坂見附総合法律会計事務所所属の冨田秀実、河井匡秀、市河真吾の各弁護士らは、原告らと結託して、十分な調査を経ず、このような訴訟追行を行っている姿勢自体にも多いに疑問がある(故意に本件のような訴訟追行をしているとすれば、なお悪質である)。
 付言するに、原告ら代理人が所属する赤阪見附総合法律会計事務所は、商工ローン大手で恐喝罪等の罪で摘発された「腎臓売れ、肝臓売れ、目ん玉売れ」の日栄事件(現社名「ロプロ」)においても、偽証罪による告発への対応のために、日栄・商工ファンド対策全国弁護団所属の木村達也団長を含め7人の弁護士を被告として、大分地裁に名誉毀損を理由として損害賠償で訴えるなど、同種の業務妨害訴訟を起こし、やはり日栄・商工ファンドの真相の解明と責任を追及する活動を封じ込める活動を、弁護士の業務として行っている(甲94)。
 
 同事件の対応と本件事件の対応の姿勢は著しく類似しており、結局、原告らと、これに加担する同弁護士らの行為は、刑事告発への対抗上の行為、すなわち担当弁護士である被告紀藤の業務を妨害し、証人候補者を威嚇し、刑事捜査のかく乱、新たな被害者が名乗り出ないようにするための恫喝の類というほかならず、このような訴訟の提起は、もはや訴権の濫用というほかない。


8 対ホームオブハート紀藤弁護士業務妨害対策弁護団の結成
 以上、本件提訴が、弁護士の業務妨害事件であることを看過できないとし、本年9月2日、全国120名以上の弁護士の賛同を経て、対ホームオブハート紀藤弁護士業務妨害対策弁護団が結成された。
弁護士としての正当な業務を標的にして、告訴や告発つぶしのために、刑事事件の防御のために、民事事件を道具として利用するというような不当な行為は、厳しく弾劾されるべきものであって、その輪は、弁護士会の中でも広がっている。
聞くところによると、赤阪見附総合法律会計事務所の所長の冨田秀実弁護士は、元司法研修所刑事弁護教官であり、そして現在は、司法試験第二次試験の憲法の考査委員ということである。
 等しく弁護士法1条の適用を受け、人権を守るべき立場にある弁護士であることのみならず、その経歴からして、人権感覚により鋭敏であるはずの冨田秀実弁護士は、同事務所の弁護士らと共同して、あろうことか被告紀藤だけでなく、勇気を持ってホームオブハート問題を告発した被害者二人(被告山本及び被告○○)も訴えてきた。
明らかに被害者つぶし、証人つぶしを意図したものであり、その意味でも単なる弁護士への業務妨害に留まらない問題があり、極めて悪質であり、強く抗議をしておきたい。


9 終わりに
 本訴訟においても、原告らは、子どもたちの置かれていた状況についての積極的かつ具体的な反論をしておらず、名誉が毀損されたという根拠自体も薄弱である。
 このような曖昧な訴状により(請求原因が虚偽である以上、こうなるほかないが)、被告紀藤を「違法状態」に置くことは妥当でなく、裁判所においては、直ちに請求の棄却をなすべきである。
以上



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m(__)m感謝!!m(__)m
感謝!! ボランティアで僕を支えて下さっている

・対ホームオブハート紀藤弁護士業務妨害対策弁護団(略称「紀藤弁護団」)
・弁護士紀藤正樹とホームオブハート被害者を支える市民の会(こちらは仮称です−略称「支える会」) に感謝します。
 
現在、募金を募集中です。
・みずほ銀行麹町支店 普通預金口座番号 8104723 名義人 弁護士紀藤正樹を支える会 (略称「弁護士紀藤を 支える会」でもお振込みが可能です。)






UP04/09/25
Toshiの代理人をする冨田秀実弁護士らのこと

 僕に対するホームオブハート側の裁判の日程については、ホームオブハートとToshi問題を考える会のホームページに委ねるとして、今回、消費者問題に携わる弁護士の一人として、絶対に放置できない問題があることがわかってきました。

 TOSHI側の代理人をつとめる赤坂見附総合法律会計事務所の冨田秀実、松村博文、河井匡秀、藤川綱之弁護士らは、今回の僕に対する弁護士業務妨害訴訟の代理人をつとめるほか、商工ローン大手で摘発された「腎臓売れ、肝臓売れ、目ん玉売れ」の日栄事件(現社名「株式会社 ロプロ」)においても、日栄側を代理して、平成14年7月1日に行われた元社員による偽証教唆の刑事告発に対抗するため、平成15年5月19日、大分地裁に、日栄・商工ファンド対策全国弁護団所属の木村達也団長(彼は元日弁連消費者問題対策委員会の委員長、大阪弁護士会に所属)、河野聡弁護士(彼は現在の日弁連消費者問題対策委員会の委員長で、大分県弁護士会に所属)、牧野聡弁護士(彼は、日弁連消費者問題対策委員会所属の委員で、京都弁護士会所属)、ほかに4人の大分県弁護士会所属の弁護士、合計7人の弁護士を損害賠償で訴えるなどの弁護士業務を行ってることがわかりました。
 
 この件では、木村弁護士、牧野弁護士は、遠方の大分で、訴えられたことになります。お2人にはお気の毒というほかありませんが、こちらも120名を超える弁護士が、弁護士業務妨害であることを理由に、弁護活動を行っておられます。弁護士への業務妨害という点で、本事件との共通性がうかがわれます。

 Toshiやホームオブハートの表向きの表現の美しさとは逆に、彼らは、人権を踏みにじる取立てを行っていた日栄(現ロプロ)という会社の組織防衛のために、消費者被害に尽力する弁護士まで、平気で訴えるという「日栄」(現ロプロ)の代理人をつとめる「法律事務所」に、弁護士費用を払って、依頼をしていたわけです。

 ともあれ、21日は、僕が訴えられた事件の第1回期日が行われました。弁護団長の田中清治氏、被害者の山本ゆかり氏の後、僕も意見を述べました。
 とりあえず、僕の意見の概要−当日は、答弁書の冒頭部分のさらに一部を、意見として、述べました。その概要がこのページです。


[参考]
■日栄訴訟 「社員に偽証させた」−−弁護団、元法務部長らを告発 2002.07.02 毎日新聞
■内部告発の報復と反訴 法廷で証言の日栄元社員 /大分 2002.10.08 朝日新聞
■LOPRO=ロプロ=日栄
■弁護士〇VS日栄×−LINC内「TOPNEWS00/11/28UP