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「途上国の子がボールを製造」、NGOがキャンペーン

2002.03.23 読売新聞


 アジアで初めて開催されるサッカー・ワールドカップ(W杯)。サッカーは世界の子供に夢を与えてきたが、使われるボールは、アジアの発展途上国の子供の過酷な労働で製造されている現実がある。5月に開幕するW杯を機にその実態を知ってもらおうと、国内のNGOがキャンペーンを行っている。

 「ボールは硬くて縫うのが難しく、手に針を刺すことも。縫い方を間違えると会社は怒ってお金をくれなかった」。昨年5月、NGOの会合に招かれ来日したインドの全盲の女性、ソニアさん(15)は、腫れのひかない指を見せながら、5歳から11歳まで続けた手縫い作業のつらさを振り返った。病気の母に付き添う父の代わりに学校に通わず働いた。五角形と六角形の皮革を縫い合わせるボールは1日3個がやっとだが、1個当たり5ルピー(約15円)にしかならない。


サッカーボール



 ソニアさんを招待したのは、児童労働問題に取り組む日本のNGOで「ACE」「FTCJ」「日韓アジア基金」の3団体。W杯に向けて昨春からキャンペーンを行っており、今年1月にはW杯日本組織委員会などを訪れ、児童労働で作られた可能性のあるボールを使わないよう求めた。

 ACEによると、サッカーボールの生産量は1位がパキスタン、2位がインド。両国でそれぞれ1万人以上の子供が縫製に携わっているという。日本も両国からの大量輸入国だ。ACE代表の岩附由香さん(27)は「ボールで遊べず、ただ作るだけの子供が同じアジアにいることを知ってほしい」と話している。

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 ACEなど3団体は24日、東京都調布市でチャリティーフットサル大会を行う。一般来場者はクイズやパネル展示で児童労働の実態を学べる。参加費や会場での募金は、インドで現地のNGOが開設した学校の運営費に寄付する。またW杯開催時も、シンポジウムやパネル展を予定している。詳しくはACE事務局((電)090・6146・2720)へ。







参考
ACE(=Action against Child Exploitation(搾取))のホームページより 
→ワールドカップキャンペーン2002 〜世界から児童労働をキックアウト!〜実施中!