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2000年3月4日

《旧団体・オウム真理教の過去3年の収支報告及び新団体の経済の概要》
   

 旧団体・オウム真理教が、宗教法人の解散命令及び破産宣告を受けたことに伴って、富士・上九の教団施設を明け渡した96年以降、信者の多くは、富士山麓を中心とした大規模施設での集団生活から、小グループごとに分散した形で都市部で生活するようになりました。団体の解散による生活形態の変化は、破防法の適用申請によって教団に対する社会的圧力が強まっていくにつれてさらに加速し、中央では把握しきれないグループごと、グループ間の活動も目立ってきました。

 その結果、経済面においても、従来の宗教法人のときのような、単一の帳簿による一元的な団体会計ではなく、グループごとの家計や個人管理への移行が進んでいったのです。

 そのため、96年から今年に入って新団体が発足するまでの、解散以後の旧団体・オウム真理教総体のお金の出入りは複雑で、全体を把握することは極めて困難な状況です。

 とりわけ、旧団体に脱会届を出した上で経済活動を行っていたいわゆるパソコン関連企業については、その売り上げの一部が、信者間の多数のルートを通じて、現役の教団信者に渡りました。

 これから、新団体となったアレフとして、被害者の方々への補償に取り組んでいくにあたって、旧団体とその周辺でのお金の流れについても可能な限り明らかにしておくことが、今後の活動についての理解を得るためにどうしても必要であると考え、過去3年間に信者・信者グループ・教団のもとでの収支の全体像をまとめ、ここに報告させていただきます。

 また、移行期にある新団体の収支状況についても、現状を簡単に説明させていただきます。

1.96年末から99年(3年間分)の教団・信者関連の収支概算

《収入》
□パソコン販売収益 約16億円(年間平均5.3億円)
□支部活動収益    約6億円(年間平均  2億円)
□個人事業・個人労働 約4億円(年間平均1.3億円)
――――――――――――――――――――――――――
◇収入総額 計 26億円強(年間平均約9億円。信者一人あたり150万円/年)

《支出》
◎居住施設等
・工事費等    1億1000万円(池袋、大阪、いわき、西荻窪、名古屋、
                  北御牧、川口、三和、谷中、藤岡、吹上、
                  佐久、木曽福島、大田原、都幾川村大附)
・賃借権取得費用   5450万円(川口、三和、谷中、藤岡、吹上★)
・所有権取得費用 1億3200万円(佐久★、南相木★、木曽福島★、大田原★、
                  都幾川村大野★、都幾川村大附★)
――――――――――――――――――――――――
■居住施設等 計 約2億9650万円

※★印で示した上記土地・建物を含む計8件の不動産物件(木曽福島・川上・佐久・都幾川村大野・都幾川村大附・吹上・南相木・大田原。資産価値は合計1億円超)については、すでに破産管財人に譲渡済みないし譲渡予定。
※旭村の賃借契約、いわき・川上村の取得時期は96年。

◎サバイバル関係(ハルマゲドン予言、災害予言に関連して支出したもの)
・備蓄食糧、災害用品・設備(核シェルターなど)
―――――――――――――――――――――――――
■サバイバル関係 計 約2億9000万円

※動産等で処分可能なものは売却交渉中。備蓄食糧は昨年秋以降、消費し始めている。

◎印刷関係
・大型印刷機器等
――――――――――――――
■印刷関係 計 3000万円

◎車両関係
・車両(約100台)
――――――――――――――
■車両関係 計 4000万円

◎事件・裁判関係
・民事、刑事、差入れ等
―――――――――――――――――――――
■事件・裁判関係 計 約3300万円

◎生活費・経費
・住居費43200
・光熱費32400
・業財 17280
・食費 43200
・その他43200
――――――――――――――――
■生活費・経費 計 17億9280万円

※出家信者を約600人として、
一カ月一人あたりの住居費20000円
    〃    光熱費15000円
    〃     業財 8000円
    〃     食費20000円
    〃    その他20000円(交通費・通信費等の諸経費)
で概算。信者一人平均の毎月の生活費は約8万3000円。

◎個人資産分
・預貯金、運用資産等
―――――――――――――――――
■個人資産分 計 1億8000万円

※信者個人の将来の備えとして蓄えられた現金、預貯金及び運用資産。1億8000万円を出家信者600人で割ると、180000000÷600=30万円が信者一人あたりの個人資産。


◆支出総額 計 26億6230万円

2.現在の収支状況

 パソコン販売収益がゼロになったため、一カ月で1500万〜2000万円の不足が生じている。不足分は、備えとして蓄えてあった個人資産や、備蓄食糧で補っている。個人資産の現在額は、およそ2億円弱ほどと推定している。

 ところで、信者が従事しているソフトウェア関連の個人事業が、最近、官公庁や大手企業からの仕事の受注をめぐって問題とされています。もともとどの信者も、基本的には大手の下請けとして、得意先から依頼のあった仕事を選り好みなく受注していたにすぎず、それ以外に何ら他意はありません。

 今後については、ソフト関連会社の大半について、現在受注している仕事が終わり次第、解散する方向で検討しています。また、内規として、顧客情報の漏洩の禁止する倫理綱領を定め、徹底させる方針です。

                            2000年3月4日

《団体資産について》

 3月2日に提出した「第1回報告書」の中の団体資産の詳細について、公安調査庁が作成した「報告事項記載要領」に基づいて以下に示します。なお、★印で示した上記土地・建物を含む計8件の不動産物件(木曽福島・川上村・佐久町・都幾川村大野・都幾川村大附・吹上町・南相木村・大田原市。資産価値は合計1億円超)の所有権等については、すでに破産管財人に譲渡済みないし譲渡予定です。

1 当該団体の役職員の氏名、住所及び役職名並びに構成員の氏名及び住所

 《略》

2 団体の活動の用に供されている土地(7カ所)
・三和町
・吹上町★管財人に土地明け渡しの和解金譲渡予定(和解金330万円)
・越谷市(2筆)
・八潮市南川崎(2筆)
・八潮市大瀬
・美濃加茂市
・関市

3 団体の活動の用に供されている建物(11カ所)
・三和町(5棟)
・吹上町
・越谷市
・八潮市南川崎
・八潮市大瀬
・足立区千住旭町
・足立区千住3丁目
・横浜市西区西戸部町
・美濃加茂市
・横浜市中区若葉町
・大阪市生野区

3a 信者の住居等の建物だが、団体の活動の用に供されていない建物
※信者の共同生活の建物で、団体の活動の用には供されていないので報告義務対象ではないものの、「団体の活動の用に供されている建物」の定義が不明確なため、一応住所を任意報告し、より詳しい資料の求めがあればその提出も検討したいと思います。
・旭村
・大田原市★管財人に所有権を譲渡予定(購入価格5500万円)
・その他マンション、アパート等87件

4 団体の資産及び負債

(1)団体の資産
<1> 団体所有の土地
・都幾川村大野(元保養所、2筆)★管財人に所有権を譲渡予定(購入価格1800万円)
・川上村(14筆)
・佐久町(7筆)

<2> 団体所有の建物
・都幾川村大野(元保養所)★管財人に所有権を譲渡予定(上記参照)
・川上村
・佐久町

<2>a 信者名義だが、取得には他の信者の貸付金も使われているため、団体の所有と誤解を受けるおそれのある土地
・都幾川村大附(石井家、2筆)★管財人に所有権を譲渡予定(購入価格2000万円)

<2>b 信者名義だが、取得には他の信者の貸付金も使われているため、団体の所有と誤解を受けるおそれのある建物
・都幾川村大附(石井家、2棟)★管財人に所有権を譲渡予定(上記参照)

<3> 現在の現金額
・総額 25,495,777円

<4> 貸付金
・なし

<5> 預貯金
・総額 12,922,538円
 内訳は、
 <1>アレフ本体の口座
 <2>独立の事業形態を取った各支部単位の口座
 <3>信者向け食品製造業、一部のソフトウェア事業を含む教団関連会社の口座

<6> 有価証券
・なし

<7> 金、銀及び白銀の地金
・なし

<8> 自動車
・アレフに入会した個人の名義の車両 80台
・アレフに未入会の個人の名義の車両 11台

<9> 航空機
・なし

<10> 船舶
・なし

(2)団体の負債
・なし

5 公安審査委員会が特に必要と認める事項

 《略