役立つ大学
‐僕の大学体験‐

UP09/05/01
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この原稿は、大阪大学法学部入学案内に寄稿した文書です。


 大学、大学院と、大阪大学待兼山キャンパスで過ごした期間は、僕にとっては、珠玉の時代でした。

 そのころ法学部で学び、また大学生活で経験したことが、血となり肉となり、今の弁護士活動に非常に役立っています。


 たとえば私が大学院時代に書いた修士論文のテーマは、「米国における陪審員選任手続きと平等保護条項」です。

 当時、日本にほとんど文献がないうえ、陪臣員制度を憲法的観点から研究する研究者は、皆無に近い状態でした。あれから20年近くを経て、ようやく今日本で、陪臣制度を参考にした形の、国民が司法に参加する裁判員のシステムが動き出しました。


 また大学に近い下宿での生活も楽しいものでした。下宿仲間に理系の学生が多かったため、パソコンがまだ出始めたころから、パソコンに慣れ親しむ環境にひたることができました。理系の学生でさえ、パソコンが高額なため、普通に持てなかったころのことです。パソコンの仕組みの概略は、下宿生活の中で自然に学びました。こうした経験が、今、私が、インターネットにまつわる消費者被害に、スムーズに取り組むきっかけとなっています。


 大学は、法人化や少子化など、急激な過渡期にあります。ですが、確実に、大学は社会の20年先、30年先を見据えた、勉強や生活ができるところです。大学で学んだことは、その後社会に出て、確実に役立ちます。


 ただもちろん努力を怠れば、次第に大学時代に蓄積したものを使い切っていきます。最近、私は、超多忙です。大阪大学を離れてもう20年近く。だんだん大学時代に充電してきたものが尽きてきました。もう一度、目の前にあるものに、偏見なく学べたあの時代に戻りたい、そんな気持ちがわいています。大学は、新入生だけでなく、生涯学習にとっても重要な場としても重要になると思います。