「ハッカー」と「クラッカー」 -本ホームページでの使用例- UP99/03/24:追加情報00/02/08:00/04/21 最終更新01/08/11 Cyber Red Card |
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もともとハッカーは、「切り刻む人」と言う意味で、メーカーにだまされずに、コンピュタシステムを自由自在にあやつれる天才的専門家を指す言葉だったし、現在でも本来的意味はこの使い方である。 しかしインターネットの発展につれて、次第に、コンピュータシステムに不正に侵入する人を、特に「ハッカー」と呼ぶようになった。 欧米では、この意味で使うハッカーを「クラッカー」(破壊する人)と呼ぶことがあり、日本でも、新聞などで、クラッカーと呼称する例がある。 以上の意味で、クラッカーをハッカーと呼ぶのは、誤用である(注1)。 注1 ハッカーとクラッカーの持つ言葉のニュアンスの違いについては、古瀬幸弘・廣瀬克哉著「インターネットが変える世界」(岩波新書)が詳しく、この本は、インターネットの発展史をひもとく上で、とても貴重な資料ですので、こちらもご参照して下さい。 しかし本論考及び本ホームページ上においては、ハッカーとクラッカーを区別する必要がある場合などの特別な場合を除くほか、一般に使用されている「ハッカー」を、「クラッカー」の意味で使用したいと考える。 既にこの誤用自体が広まっており、言葉と言うのは、市民が決めていくもの、つまり誤用も文化だと考えること、また文章には、専門家でない一般の人に対するわかりやすさが必要であり、ハッカーと言う言葉しか知らない人、ハッカーとクラッカーとの区別がつかない人にとっては、既に一般化した「ハッカー」と言う言葉を使用するのが、よりわかりやすい表現方法であること、そして、そもそもハッカーとクラッカーの区別がつく人なら、僕の文書を見て当然に誤用が理解できるはずであり、そうした専門家が、誤用を我慢して読んでいただくことで、普通の人に、わかりやすい文書になるなら、僕は誤用を使用したいと考えること、などが理由です。 NTTがダイヤルQ2事業をはじめたとき、NTTは、この事業を「ダイヤルキュー」と呼ばせていました。これが今でも、正式名称です。しかし市民は、自分で選んだ「ダイヤルキューツー」と言う名前をつけ呼ぶようになりました。 僕は、こうした動きこそが市民文化だと思っています。そして誤用が一般化するのにも、わかりやすさの観点から、あるいは言葉としてのインパクトの観点から、何らかの意味があると思っています。 以上のような意味で、僕は、あえて「ハッカー」と言う言葉を使用していますので、ご留意下さい。 追加情報00/02/08 2000年1月24日、科学技術庁のホームページが書きかえられたことから始まった一連の省庁などへのハッカー事件で、大手新聞はことごとく、「ハッカー」と言う言葉を使い始めました。 国も、郵政省(現総務省)が、今回の不正アクセス事件が始まる前から、既にホームページ上でハッカー対策税制なる言葉を使い始めていました。もはやハッカーという言葉が定着してしまった感があります。 以下は、本稿脱稿後の参考記事です。
追加情報00/04/20 論争開始から13年 定着するか「クラッカー」の用語(ZDNET1998年5月21日付け) |