商法別冊ノ通之ヲ定ム
此法律施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
明治二十三年法律第三十二号商法ハ第三編ヲ除ク外此法律施行ノ日ヨリ之ヲ廃止ス
(別冊)
第一編 総則
第一章 法例
第二章 商人
第三章 商業登記
第四章 商号
第五章 商業帳簿
第六章 商業使用人
第七章 代理商
第二編 会社
第一章 総則
第二章 合名会社
第一節 設立
第二節 会社ノ内部ノ関係
第三節 会社ノ外部ノ関係
第四節 社員ノ退社
第五節 解散
第六節 清算
第三章 合資会社
第四章 株式会社
第一節 設立
第二節 株式
第三節 会社ノ機関
第一款 株主総会
第二款 取締役及取締役会
第三款 監査役
第三節ノ二 新株ノ発行
第三節ノ三 取締役又ハ使用人ニ対スル新株ノ引受権ノ付与
第四節 会社ノ計算
第五節 社債
第一款 総則
第二款 社債権者集会
第三款 転換社債
第四款 新株引受権附社債
第六節 定款ノ変更
第六節ノ二 完全親会社
第一款 株式交換
第二款 株式移転
第六節ノ三 会社ノ分割
第一款 新設分割
第二款 吸収分割
第六節ノ四 資本ノ減少
第七節 会社ノ整理
第八節 解散
第九節 清算
第一款 総則
第二款 特別清算
第五章 削除
第六章 外国会社
第七章 罰則
第三編 商行為
第一章 総則
第二章 売買
第三章 交互計算
第四章 匿名組合
第五章 仲立営業
第六章 問屋営業
第七章 運送取扱営業
第八章 運送営業
第一節 物品運送
第二節 旅客運送
第九章 寄託
第一節 総則
第二節 倉庫営業
第十章 保険
第一節 損害保険
第一款 総則
第二款 火災保険
第三款 運送保険
第二節 生命保険
第四編 海商
第一章 船舶及ヒ船舶所有者
第二章 船員
第一節 船長
第二節 削除
第三章 運送
第一節 物品運送
第一款 総則
第二款 船荷証券
第二節 旅客運送
第四章 海損
第五章 海難救助
第六章 保険
第七章 船舶債権者
第一編 総則
第一章 法例
第一条 商事ニ関シ本法ニ規定ナキモノニ付テハ商慣習法ヲ適用シ商慣習法ナキトキハ民法 ヲ適用ス
第二条 公法人ノ商行為ニ付テハ法令ニ別段ノ定ナキトキニ限リ本法ヲ適用ス
第三条 当事者ノ一方ノ為ニ商行為タル行為ニ付テハ本法ヲ双方ニ適用ス
○2 当事者ノ一方ガ数人アル場合ニ於テ其ノ一人ノ為ニ商行為タル行為ニ付テハ本法ヲ其ノ全員ニ適用ス
第二章 商人
第四条 本法ニ於テ商人トハ自己ノ名ヲ以テ商行為ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ
○2 店舗其ノ他之ニ類似スル設備ニ依リテ物品ノ販売ヲ為スヲ業トスル者又ハ鉱業ヲ営ム者ハ商行為ヲ為スヲ業トセザルモ之ヲ商人ト看做ス第五十二条第二項ノ会社亦同ジ
第五条 未成年者ガ前条ノ営業ヲ為ストキハ登記ヲ為スコトヲ要ス
第六条 会社ノ無限責任社員ト為ルコトヲ許サレタル未成年者ハ社員タル資格ニ基ク行為ニ関シテハ之ヲ能力者ト看做ス
第七条 後見人ガ被後見人ノ為ニ第四条ノ営業ヲ為ストキハ登記ヲ為スコトヲ要ス
○2 後見人ノ代理権ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第八条 本法中商業登記、商号及商業帳簿ニ関スル規定ハ小商人ニハ之ヲ適用セズ
第三章 商業登記
第九条 本法ニ依リ登記スベキ事項ハ当事者ノ請求ニ依リ其ノ営業所ノ所在地ヲ管轄スル登記所ニ備ヘタル商業登記簿ニ之ヲ登記ス
第十条 本店ノ所在地ニ於テ登記スベキ事項ハ本法ニ別段ノ定ナキトキハ支店ノ所在地ニ於テモ亦之ヲ登記スルコトヲ要ス
第十一条 登記シタル事項ハ登記所ニ於テ遅滞ナク之ヲ公告スルコトヲ要ス
○2 公告ガ登記ト相違スルトキハ公告ナカリシモノト看做ス
第十二条 登記スベキ事項ハ登記及公告ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ登記及公告ノ後ト雖モ第三者ガ正当ノ事由ニ因リテ之ヲ知ラザリシトキ亦同ジ
第十三条 支店ノ所在地ニ於テ登記スベキ事項ヲ登記セザリシトキハ前条ノ規定ハ其ノ支店ニ於テ為シタル取引ニ付テノミ之ヲ適用ス
第十四条 故意又ハ過失ニ因リ不実ノ事項ヲ登記シタル者ハ其ノ事項ノ不実ナルコトヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第十五条 登記シタル事項ニ変更ヲ生ジ又ハ其ノ事項ガ消滅シタルトキハ当事者ハ遅滞ナク変更又ハ消滅ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第四章 商号
第十六条 商人ハ其ノ氏、氏名其ノ他ノ名称ヲ以テ商号ト為スコトヲ得
第十七条 会社ノ商号中ニハ其ノ種類ニ従ヒ合名会社、合資会社又ハ株式会社ナル文字ヲ用フルコトヲ要ス
第十八条 会社ニ非ズシテ商号中ニ会社タルコトヲ示スベキ文字ヲ用フルコトヲ得ズ会社ノ営業ヲ譲受ケタルトキト雖モ亦同ジ
○2 前項ノ規定ニ違反シタル者ハ二十万円以下ノ過料ニ処ス
第十九条 他人ガ登記シタル商号ハ同市町村内ニ於テ同一ノ営業ノ為ニ之ヲ登記スルコトヲ得ズ
第二十条 商号ノ登記ヲ為シタル者ハ不正ノ競争ノ目的ヲ以テ同一又ハ類似ノ商号ヲ使用スル者ニ対シテ其ノ使用ヲ止ムベキコトヲ請求スルコトヲ得但シ損害賠償ノ請求ヲ妨ゲズ
○2 同市町村内ニ於テ同一ノ営業ノ為ニ他人ノ登記シタル商号ヲ使用スル者ハ不正ノ競争ノ目的ヲ以テ之ヲ使用スルモノト推定ス
第二十一条 何人ト雖モ不正ノ目的ヲ以テ他人ノ営業ナリト誤認セシムベキ商号ヲ使用スルコトヲ得ズ
○2 前項ノ規定ニ違反シテ商号ヲ使用スル者アルトキハ之ニ因リテ利益ヲ害セラルル虞アル者ハ其ノ使用ヲ止ムベキコトヲ請求スルコトヲ得但シ損害賠償ノ請求ヲ妨ゲズ
第二十二条 不正ノ競争ノ目的ヲ以テ第二十条第一項ノ商号ヲ使用シタル者ハ二十万円以下ノ過料ニ処ス前条第一項ノ規定ニ違反シタル者亦同ジ
第二十三条 自己ノ氏、氏名又ハ商号ヲ使用シテ営業ヲ為スコトヲ他人ニ許諾シタル者ハ自己ヲ営業主ナリト誤認シテ取引ヲ為シタル者ニ対シ其ノ取引ニ因リテ生ジタル債務ニ付其ノ他人ト連帯シテ弁済ノ責ニ任ズ
第二十四条 商号ハ営業ト共ニスル場合又ハ営業ヲ廃止スル場合ニ限リ之ヲ譲渡スコトヲ得
○2 商号ノ譲渡ハ其ノ登記ヲ為スニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第二十五条 営業ヲ譲渡シタル場合ニ於テ当事者ガ別段ノ意思ヲ表示セザリシトキハ譲渡人ハ同市町村及隣接市町村内ニ於テ二十年間同一ノ営業ヲ為スコトヲ得ズ
○2 譲渡人ガ同一ノ営業ヲ為サザル特約ヲ為シタルトキハ其ノ特約ハ同府県及隣接府県内且三十年ヲ超エザル範囲内ニ於テノミ其ノ効力ヲ有ス
○3 譲渡人ハ前二項ノ規定ニ拘ラズ不正ノ競争ノ目的ヲ以テ同一ノ営業ヲ為スコトヲ得ズ
第二十六条 営業ノ譲受人ガ譲渡人ノ商号ヲ続用スル場合ニ於テハ譲渡人ノ営業ニ因リテ生ジタル債務ニ付テハ譲受人モ亦其ノ弁済ノ責ニ任ズ
○2 前項ノ規定ハ営業ノ譲渡後遅滞ナク譲受人ガ譲渡人ノ債務ニ付責ニ任ゼザル旨ヲ登記シタル場合ニハ之ヲ適用セズ営業ノ譲渡後遅滞ナク譲渡人及譲受人ヨリ第三者ニ対シ其ノ旨ノ通知ヲ為シタル場合ニ於テ其ノ通知ヲ受ケタル第三者ニ付亦同ジ
第二十七条 前条第一項ノ場合ニ於テ譲渡人ノ営業ニ因リテ生ジタル債権ニ付譲受人ニ為シタル弁済ハ弁済者ガ善意ニシテ且重大ナル過失ナカリシトキニ限リ其ノ効力ヲ有ス
第二十八条 営業ノ譲受人ガ譲渡人ノ商号ヲ続用セザル場合ニ於テモ譲渡人ノ営業ニ因リテ生ジタル債務ヲ引受クル旨ヲ広告シタルトキハ債権者ハ其ノ譲受人ニ対シテ弁済ノ請求ヲ為スコトヲ得
第二十九条 営業ノ譲受人ガ第二十六条第一項又ハ前条ノ規定ニ依リ譲渡人ノ債務ニ付責ニ任ズル場合ニ於テハ譲渡人ノ責任ハ営業ノ譲渡又ハ前条ノ広告ノ後二年内ニ請求又ハ請求ノ予告ヲ為サザル債権者ニ対シテハ二年ヲ経過シタルトキ消滅ス
第三十条 商号ノ登記ヲ為シタル者ガ正当ノ事由ナクシテ二年間其ノ商号ヲ使用セザルトキハ商号ヲ廃止シタルモノト看做ス
第三十一条 商号ノ廃止又ハ変更アリタル場合ニ於テ其ノ商号ノ登記ヲ為シタル者ガ廃止又ハ変更ノ登記ヲ為サザルトキハ利害関係人ハ其ノ登記ノ抹消ヲ登記所ニ請求スルコトヲ得
第五章 商業帳簿
第三十二条 商人ハ営業上ノ財産及損益ノ状況ヲ明カニスル為会計帳簿及貸借対照表ヲ作ルコトヲ要ス
○2 商業帳簿ノ作成ニ関スル規定ノ解釈ニ付テハ公正ナル会計慣行ヲ斟酌スベシ
第三十三条 会計帳簿ニハ左ノ事項ヲ整然且明瞭ニ記載スルコトヲ要ス
一 開業ノ時及毎年一回一定ノ時期ニ於ケル営業上ノ財産及其ノ価額、会社ニ在リテハ成立ノ時及毎決算期ニ於ケル営業上ノ財産及其ノ価額
二 取引其ノ他営業上ノ財産ニ影響ヲ及ボスベキ事項
○2 貸借対照表ハ開業ノ時及毎年一回一定ノ時期、会社ニ在リテハ成立ノ時及毎決算期ニ於テ会計帳簿ニ基キ之ヲ作ルコトヲ要ス
○3 貸借対照表ハ之ヲ編綴シ又ハ特ニ設ケタル帳簿ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
○4 貸借対照表ニハ作成者之ニ署名スルコトヲ要ス
第三十四条 会計帳簿ニ記載スベキ財産ノ価額ニ付テハ左ノ規定ニ従フ
一 流動資産ニ付テハ其ノ取得価額、製作価額又ハ時価ヲ附スルコトヲ要ス但シ時価ガ取得価額又ハ製作価額ヨリ著シク低キトキハ其ノ価額ガ取得価額又ハ製作価額迄回復スルト認メラルル場合ヲ除クノ外時価ヲ附スルコトヲ要ス
二 固定資産ニ付テハ其ノ取得価額又ハ製作価額ヲ附シ毎年一回一定ノ時期、会社ニ在リテハ毎決算期ニ相当ノ償却ヲ為シ予測スルコト能ハザル減損ガ生ジタルトキハ相当ノ減額ヲ為スコトヲ要ス
三 金銭債権ニ付テハ其ノ債権金額ヨリ取立ツルコト能ハザル見込額ヲ控除シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十五条 裁判所ハ申立ニ依リ又ハ職権ヲ以テ訴訟ノ当事者ニ商業帳簿又ハ其ノ一部分ノ提出ヲ命ズルコトヲ得
第三十六条 商人ハ十年間其ノ商業帳簿及其ノ営業ニ関スル重要書類ヲ保存スルコトヲ要ス
○2 前項ノ期間ハ商業帳簿ニ付テハ其ノ帳簿閉鎖ノ時ヨリ之ヲ起算ス
第六章 商業使用人
第三十七条 商人ハ支配人ヲ選任シ本店又ハ支店ニ於テ其ノ営業ヲ為サシムルコトヲ得
第三十八条 支配人ハ営業主ニ代リテ其ノ営業ニ関スル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
○2 支配人ハ番頭、手代其ノ他ノ使用人ヲ選任又ハ解任スルコトヲ得
○3 支配人ノ代理権ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第三十九条 商人ハ数人ノ支配人ガ共同シテ代理権ヲ行使スベキ旨ヲ定ムルコトヲ得
○2 前項ノ場合ニ於テ支配人ノ一人ニ対シテ為シタル意思表示ハ営業主ニ対シテ其ノ効力ヲ生ズ
第四十条 支配人ノ選任及其ノ代理権ノ消滅ハ之ヲ置キタル本店又ハ支店ノ所在地ニ於テ営業主之ヲ登記スルコトヲ要ス前条第一項ニ定ムル事項及其ノ変更亦同ジ
第四十一条 支配人ハ営業主ノ許諾アルニ非ザレバ営業ヲ為シ、自己若ハ第三者ノ為ニ営業主ノ営業ノ部類ニ属スル取引ヲ為シ又ハ会社ノ無限責任社員、取締役若ハ他ノ商人ノ使用人ト為ルコトヲ得ズ
○2 支配人ガ前項ノ規定ニ違反シテ自己ノ為ニ取引ヲ為シタルトキハ営業主ハ之ヲ以テ自己ノ為ニ為シタルモノト看做スコトヲ得
○3 前項ニ定ムル権利ハ営業主ガ其ノ取引ヲ知リタル時ヨリ二週間之ヲ行使セザルトキハ消滅ス取引ノ時ヨリ一年ヲ経過シタルトキ亦同ジ
第四十二条 本店又ハ支店ノ営業ノ主任者タルコトヲ示スベキ名称ヲ附シタル使用人ハ之ヲ其ノ本店又ハ支店ノ支配人ト同一ノ権限ヲ有スルモノト看做ス但シ裁判上ノ行為ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
○2 前項ノ規定ハ相手方ガ悪意ナリシ場合ニハ之ヲ適用セズ
第四十三条 番頭、手代其ノ他営業ニ関スル或種類又ハ特定ノ事項ノ委任ヲ受ケタル使用人ハ其ノ事項ニ関シ一切ノ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
○2 第三十八条第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十四条 物品ノ販売ヲ目的トスル店舗ノ使用人ハ其ノ店舗ニ在ル物品ノ販売ニ関スル権限ヲ有スルモノト看做ス
○2 第四十二条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十五条 本章ノ規定ハ営業主ト商業使用人トノ間ノ雇傭関係ニ付民法 ヲ適用スルコトヲ妨ゲズ
第七章 代理商
第四十六条 代理商トハ使用人ニ非ズシテ一定ノ商人ノ為ニ平常其ノ営業ノ部類ニ属スル取引ノ代理又ハ媒介ヲ為ス者ヲ謂フ
第四十七条 代理商ガ取引ノ代理又ハ媒介ヲ為シタルトキハ遅滞ナク本人ニ対シテ其ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス
第四十八条 代理商ハ本人ノ許諾アルニ非ザレバ自己若ハ第三者ノ為ニ本人ノ営業ノ部類ニ属スル取引ヲ為シ又ハ同種ノ営業ヲ目的トスル会社ノ無限責任社員若ハ取締役ト為ルコトヲ得ズ
○2 第四十一条第二項及第三項ノ規定ハ代理商ガ前項ノ規定ニ違反シタル場合ニ之ヲ準用ス
第四十九条 物品ノ販売又ハ其ノ媒介ノ委託ヲ受ケタル代理商ハ売買ノ目的物ノ瑕疵又ハ数量ノ不足其ノ他売買ノ履行ニ関スル通知ヲ受クル権限ヲ有ス
第五十条 当事者ガ契約ノ期間ヲ定メザリシトキハ各当事者ハ二月前ニ予告ヲ為シテ其ノ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得
○2 当事者ガ契約ノ期間ヲ定メタルト否トヲ問ハズ已ムコトヲ得ザル事由アルトキハ各当事者ハ何時ニテモ其ノ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得
第五十一条 代理商ハ取引ノ代理又ハ媒介ヲ為シタルニ因リテ生ジタル債権ガ弁済期ニ在ルトキハ其ノ弁済ヲ受クル迄本人ノ為ニ占有スル物又ハ有価証券ヲ留置スルコトヲ得但シ別段ノ意思表示アリタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二編 会社
第一章 総則
第五十二条 本法ニ於テ会社トハ商行為ヲ為スヲ業トスル目的ヲ以テ設立シタル社団ヲ謂フ
○2 営利ヲ目的トスル社団ニシテ本編ノ規定ニ依リ設立シタルモノハ商行為ヲ為スヲ業トセザルモ之ヲ会社ト看做ス
第五十三条 会社ハ合名会社、合資会社及株式会社ノ三種トス
第五十四条 会社ハ之ヲ法人トス
○2 会社ノ住所ハ其ノ本店ノ所在地ニ在ルモノトス
第五十五条 会社ハ他ノ会社ノ無限責任社員ト為ルコトヲ得ズ
第五十六条 会社ハ合併ヲ為スコトヲ得
○2 合併ヲ為ス会社ノ一方又ハ双方ガ株式会社ナルトキハ合併後存続スル会社又ハ合併ニ因リテ設立スル会社ハ株式会社ナルコトヲ要ス
○3 合併ニ因リテ会社ヲ設立スル場合ニ於テハ各会社ヲ代表スベキ社員又ハ取締役定款ニ署名スルコトヲ要ス
第五十七条 会社ハ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ為スニ因リテ成立ス
第五十八条 裁判所ハ左ノ場合ニ於テ公益ヲ維持スル為会社ノ存立ヲ許スベカラザルモノト認ムルトキハ法務大臣又ハ株主、債権者其ノ他ノ利害関係人ノ請求ニ依リ会社ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
一 会社ノ設立ガ不法ノ目的ヲ以テ為サレタルトキ
二 会社ガ正当ノ事由ナクシテ其ノ成立後一年内ニ開業ヲ為サズ又ハ一年以上営業ヲ休止シタルトキ
三 会社ノ業務ヲ執行スル社員又ハ取締役ガ法務大臣ヨリ書面ニ依ル警告ヲ受ケタルニ拘ラズ法令若ハ定款ニ定ムル会社ノ権限ヲ踰越シ若ハ濫用スル行為又ハ刑罰法令ニ違反スル行為ヲ継続又ハ反覆シタルトキ
○2 前項ノ請求アリタル場合ニ於テハ裁判所ハ解散ノ命令前ト雖モ法務大臣若ハ株主、債権者其ノ他ノ利害関係人ノ請求ニ依リ又ハ職権ヲ以テ管理人ノ選任其ノ他会社財産ノ保全ニ必要ナル処分ヲ為スコトヲ得
第五十九条 株主、債権者其ノ他ノ利害関係人ガ前条第一項ノ請求ヲ為シタルトキハ裁判所ハ会社ノ請求ニ依リ相当ノ担保ヲ供スベキコトヲ命ズルコトヲ得
○2 会社ガ前項ノ請求ヲ為スニハ前条第一項ノ請求ガ悪意ニ出デタルモノナルコトヲ疎明スルコトヲ要ス
第六十条 削除
第六十一条 本編ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ニシテ官庁ノ許可ヲ要スルモノハ其ノ許可書ノ到達シタル時ヨリ登記ノ期間ヲ起算ス
第二章 合名会社
第一節 設立
第六十二条 合名会社ヲ設立スルニハ定款ヲ作ルコトヲ要ス
第六十三条 合名会社ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載シ各社員之ニ署名スルコトヲ要ス
一 目的
二 商号
三 社員ノ氏名及住所
四 本店及支店ノ所在地
五 社員ノ出資ノ目的及其ノ価格又ハ評価ノ標準
第六十四条 合名会社ノ設立ノ登記ニ在リテハ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一 前条第一号乃至第三号ニ掲グル事項
二 本店及支店
三 存立時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ時期又ハ事由
四 削除
五 社員ニシテ会社ヲ代表セザル者アルトキハ会社ヲ代表スベキ者ノ氏名
六 数人ノ社員ガ共同シテ会社ヲ代表スベキコトヲ定メタルトキハ其ノ規定
○2 会社ハ設立ノ登記ヲ為シタル後二週間内ニ支店ノ所在地ニ於テ前項ニ掲グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第六十五条 会社ノ成立後支店ヲ設ケタルトキハ本店ノ所在地ニ於テハ二週間内ニ支店ヲ設ケタルコトヲ登記シ其ノ支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ前条第一項ニ掲グル事項ヲ登記シ他ノ支店ノ所在地ニ於テハ同期間内ニ其ノ支店ヲ設ケタルコトヲ登記スルコトヲ要ス
○2 本店又ハ支店ノ所在地ヲ管轄スル登記所ノ管轄区域内ニ於テ新ニ支店ヲ設ケタルトキハ其ノ支店ヲ設ケタルコトヲ登記スルヲ以テ足ル
第六十六条 会社ガ其ノ本店ヲ移転シタルトキハ二週間内ニ旧所在地ニ於テハ移転ノ登記ヲ為シ新所在地ニ於テハ第六十四条第一項ニ掲グル事項ヲ登記シ其ノ支店ヲ移転シタルトキハ旧所在地ニ於テハ三週間内ニ移転ノ登記ヲ為シ新所在地ニ於テハ四週間内ニ第六十四条第一項ニ掲グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
○2 同一ノ登記所ノ管轄区域内ニ於テ本店又ハ支店ヲ移転シタルトキハ其ノ移転ノ登記ヲ為スヲ以テ足ル
第六十七条 第六十四条第一項ニ掲グル事項中ニ変更ヲ生ジタルトキハ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ変更ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第六十七条ノ二 社員ノ業務ノ執行ヲ停止シ若ハ之ヲ代行スル者ヲ選任スル仮処分又ハ其ノ仮処分ノ変更若ハ取消アリタルトキハ本店及支店ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第二節 会社ノ内部ノ関係
第六十八条 会社ノ内部ノ関係ニ付テハ定款又ハ本法ニ別段ノ定ナキトキハ組合ニ関スル民法 ノ規定ヲ準用ス
第六十九条 社員ガ債権ヲ以テ出資ノ目的ト為シタル場合ニ於テ債務者ガ弁済期ニ弁済ヲ為サザリシトキハ社員ハ其ノ弁済ノ責ニ任ズ此ノ場合ニ於テハ其ノ利息ヲ支払フ外尚損害ノ賠償ヲ為スコトヲ要ス
第七十条 各社員ハ定款ニ別段ノ定ナキトキハ会社ノ業務ヲ執行スル権利ヲ有シ義務ヲ負フ
第七十条ノ二 第六十七条ノ二ノ業務代行者ハ仮処分命令ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外会社ノ常務ニ属セザル行為ヲ為スコトヲ得ズ但シ特ニ裁判所ノ許可ヲ得タル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
○2 業務代行者前項ノ規定ニ違反シタルトキト雖モ会社ハ善意ノ第三者ニ対シテ其ノ責ニ任ズ
第七十一条 支配人ノ選任及解任ハ特ニ業務執行社員ヲ定メタルトキト雖モ社員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第七十二条 定款ノ変更其ノ他会社ノ目的ノ範囲内ニ在ラザル行為ヲ為スニハ総社員ノ同意アルコトヲ要ス
第七十三条 社員ハ他ノ社員ノ承諾アルニ非ザレバ其ノ持分ノ全部又ハ一部ヲ他人ニ譲渡スコトヲ得ズ
第七十四条 社員ハ他ノ社員ノ承諾アルニ非ザレバ自己若ハ第三者ノ為ニ会社ノ営業ノ部類ニ属スル取引ヲ為シ又ハ同種ノ営業ヲ目的トスル他ノ会社ノ無限責任社員若ハ取締役ト為ルコトヲ得ズ
○2 社員ガ前項ノ規定ニ違反シテ自己ノ為ニ取引ヲ為シタルトキハ他ノ社員ハ過半数ノ決議ニ依リ之ヲ以テ会社ノ為ニ為シタルモノト看做スコトヲ得
○3 前項ニ定ムル権利ハ他ノ社員ノ一人ガ其ノ取引ヲ知リタル時ヨリ二週間之ヲ行使セザルトキハ消滅ス取引ノ時ヨリ一年ヲ経過シタルトキ亦同ジ
第七十五条 社員ハ他ノ社員ノ過半数ノ決議アリタルトキニ限リ自己又ハ第三者ノ為ニ会社ト取引ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ民法第百八条 ノ規定ヲ適用セズ
○2 会社ガ社員ノ債務ヲ保証シ其ノ他社員以外ノ者トノ間ニ於テ会社ト社員トノ利益相反スル取引ヲ為スニハ他ノ社員ノ過半数ノ決議アルコトヲ要ス
第三節 会社ノ外部ノ関係
第七十六条 業務ヲ執行スル社員ハ各自会社ヲ代表ス但シ定款又ハ総社員ノ同意ヲ以テ業務執行社員中特ニ会社ヲ代表スベキ者ヲ定ムルコトヲ妨ゲズ
第七十七条 会社ハ定款又ハ総社員ノ同意ヲ以テ数人ノ社員ガ共同シテ会社ヲ代表スベキ旨ヲ定ムルコトヲ得
○2 第三十九条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第七十八条 会社ヲ代表スベキ社員ハ会社ノ営業ニ関スル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
○2 民法第四十四条第一項 及第五十四条 ノ規定ハ合名会社ニ之ヲ準用ス
第七十九条 会社ガ社員ニ対シ又ハ社員ガ会社ニ対シ訴ヲ提起スル場合ニ於テ其ノ訴ニ付会社ヲ代表スベキ社員ナキトキハ他ノ社員ノ過半数ノ決議ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ要ス
第八十条 会社財産ヲ以テ会社ノ債務ヲ完済スルコト能ハザルトキハ各社員連帯シテ其ノ弁済ノ責ニ任ズ
○2 会社財産ニ対スル強制執行ガ其ノ効ヲ奏セザルトキ亦前項ニ同ジ
○3 前項ノ規定ハ社員ガ会社ニ弁済ノ資力アリ且執行ノ容易ナルコトヲ証明シタルトキハ之ヲ適用セズ
第八十一条 社員ハ会社ニ属スル抗弁ヲ以テ会社ノ債権者ニ対抗スルコトヲ得
○2 会社ガ其ノ債権者ニ対シ相殺権、取消権又ハ解除権ヲ有スル場合ニ於テハ社員ハ其ノ者ニ対シ債務ノ履行ヲ拒ムコトヲ得
第八十二条 会社ノ成立後加入シタル社員ハ其ノ加入前ニ生ジタル会社ノ債務ニ付テモ亦責任ヲ負フ
第八十三条 社員ニ非ザル者ニ自己ヲ社員ナリト誤認セシムベキ行為アリタルトキハ其ノ者ハ誤認ニ基キテ会社ト取引ヲ為シタル者ニ対シ社員ト同一ノ責任ヲ負フ
第四節 社員ノ退社
第八十四条 定款ヲ以テ会社ノ存立時期ヲ定メザリシトキ又ハ或社員ノ終身間会社ノ存続スベキコトヲ定メタルトキハ各社員ハ営業年度ノ終ニ於テ退社ヲ為スコトヲ得但シ六月前ニ其ノ予告ヲ為スコトヲ要ス
○2 会社ノ存立時期ヲ定メタルト否トヲ問ハズ已ムコトヲ得ザル事由アルトキハ各社員ハ何時ニテモ退社ヲ為スコトヲ得
第八十五条 前条及第九十一条第一項ニ定ムル場合ノ外社員ハ左ノ事由ニ因リテ退社ス
一 定款ニ定メタル事由ノ発生
二 総社員ノ同意
三 死亡
四 破産
五 後見開始ノ審判ヲ受ケタルコト
六 除名
第八十六条 社員ニ付左ノ事由アルトキハ会社ハ他ノ社員ノ過半数ノ決議ヲ以テ其ノ社員ノ除名又ハ業務執行権若ハ代表権ノ喪失ノ宣告ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
一 出資ノ義務ヲ履行セザルコト
二 第七十四条第一項ノ規定ニ違反シタルコト
三 業務ヲ執行スルニ当リ不正ノ行為ヲ為シ又ハ権利ナクシテ業務ノ執行ニ干与シタルコト
四 会社ヲ代表スルニ当リ不正ノ行為ヲ為シ又ハ権利ナクシテ会社ヲ代表シタルコト
五 其ノ他重要ナル義務ヲ尽サザルコト
○2 社員ガ業務ヲ執行シ又ハ会社ヲ代表スルニ著シク不適任ナルトキハ会社ハ前項ノ規定ニ従ヒ其ノ社員ノ業務執行権又ハ代表権ノ喪失ノ宣告ヲ請求スルコトヲ得
○3 社員ノ除名又ハ業務執行権若ハ代表権ノ喪失ノ判決確定シタルトキハ本店及支店ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第八十七条 除名セラレタル社員ト会社トノ間ノ計算ハ除名ノ訴ヲ提起シタル時ニ於ケル会社財産ノ状況ニ従ヒテ之ヲ為シ且其ノ時ヨリ法定利息ヲ附スルコトヲ要ス
第八十八条 第八十六条ノ訴ハ本店ノ所在地ノ地方裁判所ノ管轄ニ専属ス
第八十九条 退社員ハ労務又ハ信用ヲ以テ出資ノ目的ト為シタルトキト雖モ其ノ持分ノ払戻ヲ受クルコトヲ得但シ定款ニ別段ノ定アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第九十条 社員ノ持分ノ差押ハ社員ガ将来利益ノ配当及持分ノ払戻ヲ請求スル権利ニ対シテモ亦其ノ効力ヲ有ス
第九十一条 社員ノ持分ヲ差押ヘタル債権者ハ営業年度ノ終ニ於テ其ノ社員ヲ退社セシムルコトヲ得但シ会社及其ノ社員ニ対シ六月前ニ其ノ予告ヲ為スコトヲ要ス
○2 前項但書ノ予告ハ社員ガ弁済ヲ為シ又ハ相当ノ担保ヲ供シタルトキハ其ノ効力ヲ失フ
第九十二条 会社ノ商号中ニ退社員ノ氏又ハ氏名ヲ用ヒタルトキハ退社員ハ其ノ氏又ハ氏名ノ使用ヲ止ムベキコトヲ請求スルコトヲ得
第九十三条 退社員ハ本店ノ所在地ニ於テ退社ノ登記ヲ為ス前ニ生ジタル会社ノ債務ニ付責任ヲ負フ
○2 前項ノ責任ハ前項ノ登記後二年内ニ請求又ハ請求ノ予告ヲ為サザル会社ノ債権者ニ対シテハ登記後二年ヲ経過シタルトキ消滅ス
○3 前二項ノ規定ハ持分ヲ譲渡シタル社員ニ之ヲ準用ス
第五節 解散
第九十四条 会社ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 存立時期ノ満了其ノ他定款ニ定メタル事由ノ発生
二 総社員ノ同意
三 会社ノ合併
四 社員ガ一人ト為リタルコト
五 会社ノ破産
六 解散ヲ命ズル裁判
第九十五条 前条第一号又ハ第二号ノ場合ニ於テハ社員ノ全部又ハ一部ノ同意ヲ以テ会社ヲ継続スルコトヲ得但シ同意ヲ為サザリシ社員ハ退社シタルモノト看做ス
○2 前条第四号ノ場合ニ於テハ新ニ社員ヲ加入セシメテ会社ヲ継続スルコトヲ得
第九十六条 会社ガ解散シタルトキハ合併及破産ノ場合ヲ除クノ外本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ解散ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第九十七条 会社ハ本店ノ所在地ニ於テ解散ノ登記ヲ為シタル後ト雖モ第九十五条ノ規定ニ従ヒテ会社ヲ継続スルコトヲ妨ゲズ此ノ場合ニ於テハ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ継続ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第九十八条 会社ガ合併ヲ為スニハ総社員ノ同意アルコトヲ要ス
○2 解散後ノ会社ハ存立中ノ会社ヲ存続スル会社トスル場合ニ限リ合併ヲ為スコトヲ得
第九十九条 削除
第百条 会社ハ合併ノ決議ノ日ヨリ二週間内ニ其ノ債権者ニ対シ合併ニ異議アラバ一定ノ期間内ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ官報ヲ以テ公告シ且知レタル債権者ニハ各別ニ之ヲ催告スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ其ノ期間ハ一月ヲ下ルコトヲ得ズ
○2 債権者ガ前項ノ期間内ニ異議ヲ述ベザリシトキハ合併ヲ承認シタルモノト看做ス
○3 債権者ガ異議ヲ述ベタルトキハ会社ハ弁済ヲ為シ若ハ相当ノ担保ヲ供シ又ハ其ノ債権者ニ弁済ヲ受ケシムルコトヲ目的トシテ信託会社ニ相当ノ財産ヲ信託スルコトヲ要ス但シ合併ヲ為スモ其ノ債権者ヲ害スルノ虞ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ
第百一条 会社ガ合併ヲ為シタルトキハ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ合併後存続スル会社ニ付テハ変更ノ登記、合併ニ因リテ消滅スル会社ニ付テハ解散ノ登記、合併ニ因リテ設立シタル会社ニ付テハ第六十四条ニ定ムル登記ヲ為スコトヲ要ス
第百二条 会社ノ合併ハ合併後存続スル会社又ハ合併ニ因リテ設立シタル会社ガ其ノ本店ノ所在地ニ於テ前条ノ登記ヲ為スニ因リテ其ノ効力ヲ生ズ
第百三条 合併後存続スル会社又ハ合併ニ因リテ設立シタル会社ハ合併ニ因リテ消滅シタル会社ノ権利義務ヲ承継ス
第百四条 会社ノ合併ノ無効ハ訴ヲ以テノミ之ヲ主張スルコトヲ得
○2 前項ノ訴ハ各会社ノ社員、清算人、破産管財人又ハ合併ヲ承認セザル債権者ニ限リ之ヲ提起スルコトヲ得
○3 第八十八条ノ規定ハ第一項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第百五条 前条第一項ノ訴ハ合併ノ日ヨリ六月内ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス
○2 口頭弁論ハ前項ノ期間ヲ経過シタル後ニ非ザレバ之ヲ開始スルコトヲ得ズ
○3 数個ノ訴ガ同時ニ繋属スルトキハ弁論及裁判ハ併合シテ之ヲ為スコトヲ要ス
○4 訴ノ提起アリタルトキハ会社ハ遅滞ナク其ノ旨ヲ公告スルコトヲ要ス
第百六条 債権者ガ第百四条第一項ノ訴ヲ提起シタルトキハ裁判所ハ会社ノ請求ニ依リ相当ノ担保ヲ供スベキコトヲ命ズルコトヲ得
○2 会社ガ前項ノ請求ヲ為スニハ同項ノ訴ノ提起ガ悪意ニ出デタルモノナルコトヲ疎明スルコトヲ要ス
第百七条 削除
第百八条 合併ヲ無効トスル判決ガ確定シタルトキハ本店及支店ノ所在地ニ於テ合併後存続スル会社ニ付テハ変更ノ登記、合併ニ因リテ設立シタル会社ニ付テハ解散ノ登記、合併ニ因リテ消滅シタル会社ニ付テハ回復ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第百九条 合併ヲ無効トスル判決ハ第三者ニ対シテモ其ノ効力ヲ有ス
○2 原告ガ敗訴シタル場合ニ於テ悪意又ハ重大ナル過失アリタルトキハ会社ニ対シ連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
第百十条 合併ヲ無効トスル判決ハ合併後存続スル会社又ハ合併ニ因リテ設立シタル会社、其ノ社員及第三者ノ間ニ生ジタル権利義務ニ影響ヲ及ボサズ
第百十一条 合併ヲ無効トスル判決ガ確定シタルトキハ合併ヲ為シタル会社ハ合併後存続スル会社又ハ合併ニ因リテ設立シタル会社ガ合併後負担シタル債務ニ付連帯シテ弁済ノ責ニ任ズ
○2 合併後存続スル会社又ハ合併ニ因リテ設立シタル会社ガ合併後取得シタル財産ハ合併ヲ為シタル会社ノ共有ニ属ス
○3 前二項ノ場合ニ於テハ各会社ノ負担部分又ハ持分ハ其ノ協議ヲ以テ之ヲ定ム協議調ハザルトキハ裁判所ハ請求ニ依リ合併ノ時ニ於ケル各会社ノ財産ノ額其ノ他一切ノ事情ヲ斟酌シテ之ヲ定ム
第百十二条 已ムコトヲ得ザル事由アルトキハ各社員ハ会社ノ解散ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
○2 第八十八条及第百九条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百十三条 合名会社ハ総社員ノ同意ヲ以テ或社員ヲ有限責任社員ト為シ又ハ新ニ有限責任社員ヲ加入セシメテ之ヲ合資会社ト為スコトヲ得
○2 前項ノ規定ハ第九十五条第二項ノ規定ニ依リ会社ヲ継続スル場合ニ之ヲ準用ス
第百十四条 合名会社ガ前条ノ規定ニ依リ其ノ組織ヲ変更シタルトキハ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ合名会社ニ付テハ解散ノ登記、合資会社ニ付テハ第百四十九条第一項ニ定ムル登記ヲ為スコトヲ要ス
第百十五条 第百十三条第一項ノ場合ニ於テ従前ノ社員ニシテ有限責任社員ト為リタルモノハ本店ノ所在地ニ於テ前条ノ登記ヲ為ス前ニ生ジタル会社ノ債務ニ付テハ無限責任社員ノ責任ヲ免ルルコトナシ
○2 第九十三条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六節 清算
第百十六条 会社ハ解散ノ後ト雖モ清算ノ目的ノ範囲内ニ於テハ仍存続スルモノト看做ス
第百十七条 解散ノ場合ニ於ケル会社財産ノ処分方法ハ定款又ハ総社員ノ同意ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ解散ノ日ヨリ二週間内ニ財産目録及貸借対照表ヲ作ルコトヲ要ス
○2 前項ノ規定ハ会社ガ第九十四条第四号又ハ第六号ノ事由ニ因リテ解散シタル場合ニハ之ヲ適用セズ
○3 第百条ノ規定ハ第一項ノ場合ニ之ヲ準用ス
○4 第一項ノ場合ニ於テ社員ノ持分ヲ差押ヘタル者アルトキハ其ノ者ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第百十八条 会社ガ前条第三項ノ規定ニ違反シテ其ノ財産ヲ処分シタルトキハ会社ノ債権者ハ其ノ処分ノ取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但シ其ノ処分ガ会社ノ債権者ヲ害セザルモノナルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 民法第四百二十四条第一項 但書、第四百二十五条 及第四百二十六条 ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百十九条 会社ガ第百十七条第四項ノ規定ニ違反シテ其ノ財産ヲ処分シタルトキハ社員ノ持分ヲ差押ヘタル者ハ会社ニ対シ其ノ持分ニ相当スル金額ノ支払ヲ請求スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ前条ノ規定ヲ準用ス
第百十九条ノ二 第百十七条第一項ノ規定ニ依リテ会社財産ノ処分方法ヲ定メタル場合ニ於テ会社ガ其ノ財産ノ処分ヲ完了シタルトキハ其ノ完了後本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ清算結了ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第百二十条 第百十七条第一項ノ規定ニ依リテ会社財産ノ処分方法ヲ定メザリシトキハ合併及破産ノ場合ヲ除クノ外第百二十一条乃至第百三十五条ノ規定ニ従ヒテ清算ヲ為スコトヲ要ス
第百二十一条 清算ハ業務執行社員之ヲ為ス但シ社員ノ過半数ヲ以テ別ニ清算人ヲ選任シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第百二十二条 会社ガ第九十四条第四号又ハ第六号ノ事由ニ因リテ解散シタルトキハ裁判所ハ利害関係人若ハ法務大臣ノ請求ニ依リ又ハ職権ヲ以テ清算人ヲ選任ス
第百二十三条 業務執行社員ガ清算人ト為リタルトキハ解散ノ日ヨリ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一 清算人ノ氏名及住所
二 清算人ニシテ会社ヲ代表セザル者アルトキハ会社ヲ代表スベキ者ノ氏名
三 数人ノ清算人ガ共同シテ会社ヲ代表スベキ定アルトキハ其ノ規定
○2 清算人ノ選任アリタルトキハ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ前項ニ掲グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
○3 第六十七条ノ規定ハ前二項ノ登記ニ、第六十七条ノ二ノ規定ハ清算人ニ之ヲ準用ス
第百二十四条 清算人ノ職務左ノ如シ
一 現務ノ結了
二 債権ノ取立及債務ノ弁済
三 残余財産ノ分配
○2 会社ヲ代表スベキ清算人ハ前項ノ職務ニ関スル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
○3 民法第八十一条 ノ規定ハ合名会社ニ之ヲ準用ス
第百二十五条 会社ハ弁済期ニ至ラザル債権ト雖モ之ヲ弁済スルコトヲ得
○2 前項ノ場合ニ於テハ無利息債権ニ付テハ弁済期ニ至ル迄ノ法定利息ヲ加算シテ其ノ債権額ニ達スベキ金額ヲ弁済スルコトヲ要ス
○3 前項ノ規定ハ利息附債権ニシテ其ノ利率ガ法定利率ニ達セザルモノニ之ヲ準用ス
○4 第一項ノ場合ニ於テハ条件附債権、存続期間ノ不確定ナル債権其ノ他価額ノ不確定ナル債権ニ付テハ裁判所ノ選任シタル鑑定人ノ評価ニ従ヒテ之ヲ弁済スルコトヲ要ス
第百二十六条 会社ニ現存スル財産ガ其ノ債務ヲ完済スルニ不足ナルトキハ清算人ハ弁済期ニ拘ラズ社員ヲシテ出資ヲ為サシムルコトヲ得
第百二十七条 清算人ガ会社ノ営業ノ全部又ハ一部ヲ譲渡スニハ社員ノ過半数ノ決議アルコトヲ要ス
第百二十八条 清算人数人アルトキハ清算ニ関スル行為ハ其ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第百二十九条 第七十六条及第七十七条ノ規定ハ清算人ニ之ヲ準用ス
○2 業務執行社員ガ清算人ト為リタル場合ニ於テハ従前ノ定ニ従ヒテ会社ヲ代表ス
○3 裁判所ガ数人ノ清算人ヲ選任スル場合ニ於テハ会社ヲ代表スベキ者ヲ定メ又ハ数人ガ共同シテ会社ヲ代表スベキ旨ヲ定ムルコトヲ得
第百三十条 清算人ハ就職ノ後遅滞ナク会社財産ノ現況ヲ調査シ財産目録及貸借対照表ヲ作リ之ヲ社員ニ交付スルコトヲ要ス
○2 清算人ハ社員ノ請求ニ依リ毎月清算ノ状況ヲ報告スルコトヲ要ス
第百三十一条 清算人ハ会社ノ債務ヲ弁済シタル後ニ非ザレバ会社財産ヲ社員ニ分配スルコトヲ得ズ但シ争アル債務ニ付其ノ弁済ニ必要ト認ムル財産ヲ留保シテ残余ノ財産ヲ分配スルコトヲ妨ゲズ
第百三十二条 社員ガ選任シタル清算人ハ何時ニテモ之ヲ解任スルコトヲ得此ノ解任ハ社員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
○2 重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ利害関係人ノ請求ニ依リ清算人ヲ解任スルコトヲ得
第百三十三条 清算人ノ任務ガ終了シタルトキハ清算人ハ遅滞ナク計算ヲ為シテ各社員ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
○2 前項ノ計算ニ対シ社員ガ一月内ニ異議ヲ述ベザリシトキハ之ヲ承認シタルモノト看做ス但シ清算人ニ不正ノ行為アリタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第百三十四条 清算ガ結了シタルトキハ前条ノ承認アリタル後本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ清算結了ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第百三十四条ノ二 清算人ガ其ノ任務ヲ怠リタルトキハ其ノ清算人ハ会社ニ対シ連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
○2 前項ノ場合ニ於テ清算人ニ悪意又ハ重大ナル過失アリタルトキハ其ノ清算人ハ第三者ニ対シテモ亦連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
第百三十五条 第七十条ノ二、第七十五条、第七十八条第二項、第二百五十四条第三項及第二百五十四条ノ三ノ規定ハ清算人ニ之ヲ準用ス
第百三十六条 会社ノ設立ノ無効ハ其ノ成立ノ日ヨリ二年内ニ訴ヲ以テノミ之ヲ主張スルコトヲ得
○2 前項ノ訴ハ社員ニ限リ之ヲ提起スルコトヲ得
○3 第八十八条、第百五条第三項第四項、第百九条及第百十条ノ規定ハ第一項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第百三十七条 設立ヲ無効トスル判決ガ確定シタルトキハ本店及支店ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第百三十八条 設立ヲ無効トスル判決ガ確定シタルトキハ解散ノ場合ニ準ジテ清算ヲ為スコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ裁判所ハ利害関係人ノ請求ニ依リ清算人ヲ選任ス
第百三十九条 設立ヲ無効トスル判決ガ確定シタル場合ニ於テ其ノ無効ノ原因ガ或社員ノミニ付存スルトキハ前条ノ規定ニ拘ラズ他ノ社員ノ一致ヲ以テ会社ヲ継続スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ無効ノ原因ノ存スル社員ハ退社ヲ為シタルモノト看做ス
○2 第九十五条第二項及第九十七条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百四十条 会社ノ設立ノ取消ハ訴ヲ以テノミ之ヲ請求スルコトヲ得
第百四十一条 社員ガ其ノ債権者ヲ害スルコトヲ知リテ会社ヲ設立シタルトキハ債権者ハ其ノ社員及会社ニ対スル訴ヲ以テ会社ノ設立ノ取消ヲ請求スルコトヲ得
第百四十二条 第八十八条、第百五条第三項第四項、第百九条、第百十条、第百三十六条第一項及第百三十七条乃至第百三十九条ノ規定ハ前二条ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百四十三条 会社ノ帳簿並ニ其ノ営業及清算ニ関スル重要書類ハ本店ノ所在地ニ於テ清算結了ノ登記ヲ為シタル後十年間之ヲ保存スルコトヲ要ス其ノ保存者ハ社員ノ過半数ヲ以テ之ヲ定ム
第百四十四条 社員ガ死亡シタル場合ニ於テ其ノ相続人数人アルトキハ清算ニ関シテ社員ノ権利ヲ行使スベキ者一人ヲ定ムルコトヲ要ス
第百四十五条 第八十条ニ定ムル社員ノ責任ハ本店ノ所在地ニ於テ解散ノ登記ヲ為シタル後五年内ニ請求又ハ請求ノ予告ヲ為サザル会社ノ債権者ニ対シテハ登記後五年ヲ経過シタルトキ消滅ス
○2 前項ノ期間経過ノ後ト雖モ分配セザル残余財産仍存スルトキハ会社ノ債権者ハ之ニ対シテ弁済ヲ請求スルコトヲ得
第三章 合資会社
第百四十六条 合資会社ハ有限責任社員ト無限責任社員トヲ以テ之ヲ組織ス
第百四十七条 合資会社ニハ本章ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外合名会社ニ関スル規定ヲ準用ス
第百四十八条 合資会社ノ定款ニハ第六十三条ニ掲グル事項ノ外各社員ノ責任ノ有限又ハ無限ナルコトヲ記載スルコトヲ要ス
第百四十九条 合資会社ノ設立ノ登記ニ在リテハ第六十四条第一項ニ掲グル事項ノ外左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一 各社員ノ責任ノ有限又ハ無限ナルコト
二 有限責任社員ノ出資ノ目的、其ノ価格及履行ヲ為シタル部分
○2 有限責任社員ニ付テハ登記シタル事項ノ公告ニハ其ノ員数及出資ノ総額ヲ掲グルヲ以テ足ル変更ノ登記アリタルトキ亦同ジ
第百五十条 有限責任社員ハ金銭其ノ他ノ財産ノミヲ以テ其ノ出資ノ目的ト為スコトヲ得
第百五十一条 各無限責任社員ハ定款ニ別段ノ定ナキトキハ会社ノ業務ヲ執行スル権利ヲ有シ義務ヲ負フ
○2 無限責任社員数人アルトキハ会社ノ業務執行ハ其ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第百五十二条 支配人ノ選任及解任ハ特ニ業務執行社員ヲ定メタルトキト雖モ無限責任社員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第百五十三条 有限責任社員ハ営業年度ノ終ニ於テ営業時間内ニ限リ会社ノ貸借対照表ノ閲覧ヲ求メ且会社ノ業務及財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得
○2 重要ナル事由アルトキハ有限責任社員ハ何時ニテモ裁判所ノ許可ヲ得テ会社ノ業務及財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得
第百五十四条 有限責任社員ハ無限責任社員全員ノ承諾アルトキハ其ノ持分ノ全部又ハ一部ヲ他人ニ譲渡スコトヲ得持分ノ譲渡ニ伴ヒ定款ノ変更ヲ生ズルトキト雖モ亦同ジ
第百五十五条 有限責任社員ガ自己若ハ第三者ノ為ニ会社ノ営業ノ部類ニ属スル取引ヲ為シ又ハ同種ノ営業ヲ目的トスル他ノ会社ノ無限責任社員若ハ取締役ト為ルニハ他ノ社員ノ承諾アルコトヲ要セズ
第百五十六条 有限責任社員ハ会社ノ業務ヲ執行シ又ハ会社ヲ代表スルコトヲ得ズ
第百五十七条 有限責任社員ハ其ノ出資ノ価額ヲ限度トシテ会社ノ債務ヲ弁済スル責ニ任ズ但シ既ニ会社ニ対シ履行ヲ為シタル出資ノ価額ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
○2 前項但書ノ規定ノ適用ニ付テハ会社ニ利益ナキニ拘ラズ配当ヲ受ケタル金額ハ之ヲ控除シテ其ノ出資ノ価額ヲ定ム
第百五十八条 有限責任社員ハ出資ノ減少後ト雖モ本店ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ為ス前ニ生ジタル会社ノ債務ニ付テハ従前ノ責任ヲ免ルルコトナシ
○2 第九十三条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百五十九条 有限責任社員ニ自己ヲ無限責任社員ナリト誤認セシムベキ行為アリタルトキハ其ノ社員ハ誤認ニ基キテ会社ト取引ヲ為シタル者ニ対シ無限責任社員ト同一ノ責任ヲ負フ
○2 前項ノ規定ハ有限責任社員ニ其ノ責任ノ限度ヲ誤認セシムベキ行為アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第百六十条 第八十二条ノ規定ハ有限責任社員ガ無限責任社員ト為リタル場合、第九十三条ノ規定ハ無限責任社員ガ有限責任社員ト為リタル場合ニ之ヲ準用ス
第百六十一条 有限責任社員ガ死亡シタルトキハ其ノ相続人之ニ代リテ社員ト為ル
○2 第二百三条ノ規定ハ死亡シタル有限責任社員ノ相続人数人アル場合ニ之ヲ準用ス
○3 有限責任社員ハ後見開始ノ審判ヲ受クルモ之ニ因リテ退社セズ
第百六十二条 合資会社ハ無限責任社員又ハ有限責任社員ノ全員ガ退社シタルトキハ解散ス但シ残存スル社員ノ一致ヲ以テ新ニ無限責任社員又ハ有限責任社員ヲ加入セシメテ会社ヲ継続スルコトヲ妨ゲズ
○2 有限責任社員ノ全員ガ退社シタル場合ニ於テハ無限責任社員ノ一致ヲ以テ合名会社トシテ会社ヲ継続スルコトヲ得
○3 前項ノ場合ニ於テハ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ合資会社ニ付テハ解散ノ登記、合名会社ニ付テハ第六十四条ニ定ムル登記ヲ為スコトヲ要ス
第百六十三条 合資会社ハ総社員ノ同意ヲ以テ其ノ組織ヲ変更シテ之ヲ合名会社ト為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ前条第三項ノ規定ヲ準用ス
第百六十四条 清算ハ業務執行社員之ヲ為ス但シ無限責任社員ノ過半数ヲ以テ別ニ清算人ヲ選任シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四章 株式会社
第一節 設立
第百六十五条 株式会社ヲ設立スルニハ発起人定款ヲ作ルコトヲ要ス
第百六十六条 株式会社ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載シ各発起人之ニ署名スルコトヲ要ス
一 目的
二 商号
三 会社ガ発行スル株式ノ総数
四 額面株式ヲ発行スルトキハ一株ノ金額
五 削除
六 会社ノ設立ニ際シテ発行スル株式ノ総数並ニ額面無額面ノ別及数
七 削除
八 本店ノ所在地
九 会社ガ公告ヲ為ス方法
十 発起人ノ氏名及住所
○2 会社ノ設立ニ際シテ発行スル額面株式ノ一株ノ金額ハ五万円ヲ下ルコトヲ得ズ
○3 会社ノ設立ニ際シテ発行スル株式ノ総数ハ会社ガ発行スル株式ノ総数ノ四分ノ一ヲ下ルコトヲ得ズ
○4 会社ノ公告ハ官報又ハ時事ニ関スル事項ヲ掲載スル日刊新聞紙ニ掲ゲテ之ヲ為スコトヲ要ス
第百六十七条 定款ハ公証人ノ認証ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ有セズ
第百六十八条 左ノ事項ハ之ヲ定款ニ記載スルニ非ザレバ其ノ効力ヲ有セズ
一乃至三 削除
四 発起人ガ受クベキ特別ノ利益及之ヲ受クベキ者ノ氏名
五 現物出資ヲ為ス者ノ氏名、出資ノ目的タル財産、其ノ価格並ニ之ニ対シテ与フル株式ノ額面無額面ノ別、種類及数
六 会社ノ成立後ニ譲受クルコトヲ約シタル財産、其ノ価格及譲渡人ノ氏名
七 発起人ガ受クベキ報酬ノ額
八 会社ノ負担ニ帰スベキ設立費用但シ定款ノ認証ノ手数料及株式ノ払込ノ取扱ニ付銀行又ハ信託会社ニ支払フベキ報酬ハ此ノ限ニ在ラズ
○2 現物出資ハ発起人ニ限リ之ヲ為スコトヲ得
第百六十八条ノ二 会社ノ設立ニ際シテ発行スル株式ニ関スル左ノ事項ニシテ定款ニ定ナキモノハ発起人全員ノ同意ヲ以テ之ヲ定ム
一 株式ノ種類及数
二 株式ノ発行価額
三 株式ノ発行価額中資本ニ組入レザル額
第百六十八条ノ三 会社ノ設立ニ際シテ発行スル無額面株式ノ発行価額ハ五万円ヲ下ルコトヲ得ズ
第百六十八条ノ四 資本ノ額ハ千万円ヲ下ルコトヲ得ズ
第百六十九条 各発起人ハ書面ニ依リテ株式ノ引受ヲ為スコトヲ要ス
第百七十条 発起人ガ会社ノ設立ニ際シテ発行スル株式ノ総数ヲ引受ケタルトキハ遅滞ナク各株ニ付其ノ発行価額ノ全額ノ払込ヲ為シ且取締役及監査役ヲ選任スルコトヲ要ス
○2 前項ノ払込ハ発起人ガ払込ヲ取扱フベキモノトシテ定メタル銀行又ハ信託会社ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
○3 第一項ノ選任ハ発起人ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス此ノ場合ニ於テハ第二百四十一条第一項ノ規定ヲ準用ス
第百七十一条 削除
第百七十二条 現物出資者ハ払込ノ期日ニ出資ノ目的タル財産ノ全部ヲ給付スルコトヲ要ス但シ登記、登録其ノ他権利ノ設定又ハ移転ヲ以テ第三者ニ対抗スル為必要ナル行為ハ会社成立後ニ之ヲ為スコトヲ妨ゲズ
第百七十三条 取締役ハ其ノ選任後遅滞ナク第百六十八条第一項ニ掲グル事項ヲ調査セシムル為検査役ノ選任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ要ス
○2 前項ノ規定ハ第百六十八条第一項第五号及第六号ノ財産ノ定款ニ定メタル価格ノ総額ガ資本ノ五分ノ一ヲ超エズ且五百万円ヲ超エザル場合ニ於テハ同項第五号及第六号ニ掲グル事項ニ付テハ之ヲ適用セズ第百六十八条第一項第五号又ハ第六号ノ財産ガ取引所ノ相場アル有価証券ナル場合ニ於テ定款ニ定メタル価格ガ其ノ相場ヲ超エザルトキ其ノ財産ニ係ル同項第五号又ハ第六号ニ掲グル事項ニ付亦同ジ
○3 第百六十八条第一項第五号又ハ第六号ノ財産ガ不動産ナル場合ニ於テ同項第五号又ハ第六号ニ掲グル事項ガ相当ナルコトニ付弁護士ノ証明ヲ受ケタルトキ其ノ事項ニ付亦前項ニ同ジ此ノ場合ニ於テハ其ノ不動産ニ付不動産鑑定士ノ鑑定評価ヲ受クルコトヲ要ス
○4 裁判所ハ検査役ノ報告ヲ聴キ第百六十八条第一項ニ掲グル事項ヲ不当ト認メタルトキハ之ニ変更ヲ加ヘテ各発起人ニ通告スルコトヲ得
○5 前項ノ変更ニ服セザル発起人ハ其ノ株式ノ引受ヲ取消スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ定款ヲ変更シテ設立ニ関スル手続ヲ続行スルコトヲ妨ゲズ
○6 通告後二週間内ニ株式ノ引受ヲ取消シタル者ナキトキハ定款ハ通告ニ従ヒ変更セラレタルモノト看做ス
第百七十三条ノ二 取締役及監査役ハ前条第三項前段ノ弁護士ノ証明書及左ノ事項ヲ調査スルコトヲ要ス
一 前条第二項ニ定ムル場合ニ於ケル同項ノ財産ニ付定款ニ定メタル価格ガ相当ナルヤ否ヤ
二 会社ノ設立ニ際シテ発行スル株式ノ総数ノ引受アリタルヤ否ヤ
三 前号ノ株式ニ付払込及現物出資ノ給付アリタルヤ否ヤ
○2 取締役及監査役ハ前項ノ調査ニ依リ法令若ハ定款ニ違反シ又ハ不当ナル事項アリト認ムルトキハ各発起人ニ其ノ旨ヲ通告スルコトヲ要ス
第百七十四条 発起人ガ会社ノ設立ニ際シテ発行スル株式ノ総数ヲ引受ケザルトキハ株主ヲ募集スルコトヲ要ス
第百七十五条 株式ノ申込ヲ為サントスル者ハ株式申込証ニ其ノ引受クベキ株式ノ数及住所ヲ記載シ之ニ署名スルコトヲ要ス
○2 株式申込証ハ発起人之ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 定款ノ認証ノ年月日及其ノ認証ヲ為シタル公証人ノ氏名
二 第百六十六条第一項ニ掲グル事項
三 会社ノ存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ規定
四 数種ノ株式ヲ発行スルトキハ其ノ各種ノ株式ノ内容及数
四ノ二 株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ヲ定メタルトキハ其ノ規定
四ノ三 取締役又ハ使用人ニ新株ノ引受権ヲ与フベキコトヲ定メタルトキハ其ノ規定
五 開業前ニ利息ヲ配当スベキコトヲ定メタルトキハ其ノ規定
六 株主ニ配当スベキ利益ヲ以テ株式ヲ消却スベキコトヲ定メタルトキハ其ノ規定
七 第百六十八条第一項ニ掲グル事項
八 第百六十八条ノ二ニ掲グル事項
九 各発起人ガ引受ケタル株式ノ額面無額面ノ別、種類、数及引受価額
十 払込ヲ取扱フベキ銀行又ハ信託会社
十一 一定ノ時期迄ニ創立総会ガ終結セザルトキハ株式ノ申込ヲ取消スコトヲ得ベキコト
十二 名義書換代理人又ハ登録機関ヲ置キタルトキハ其ノ氏名及住所並ニ営業所
○3 株式申込人ハ株式申込証ニ第一項ニ掲グル事項ノ外左ノ事項ヲモ記載スルコトヲ要ス
一 額面株式及無額面株式ヲ共ニ発行スルトキハ其ノ引受クベキ株式ノ額面無額面ノ別
二 数種ノ株式ヲ発行スルトキハ其ノ引受クベキ株式ノ種類
三 無額面株式ヲ発行シ又ハ額面以上ノ価額ヲ以テ額面株式ヲ発行スルトキハ其ノ引受クベキ株式ノ引受価額
○4 発起人ハ株式申込証ノ交付ニ際シ第二項第十号ニ掲グル銀行又ハ信託会社ノ払込ノ取扱ノ場所ヲ記載シタル書面ヲ交付スルコトヲ要ス但シ株式申込証ニ之ヲ記載シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○5 民法第九十三条 但書ノ規定ハ株式ノ申込ニハ之ヲ適用セズ
第百七十六条 株式ノ申込ヲ為シタル者ハ発起人ノ割当テタル株式ノ数ニ応ジテ払込ヲ為ス義務ヲ負フ
第百七十七条 会社ノ設立ニ際シテ発行スル株式ノ総数ノ引受アリタルトキハ発起人ハ遅滞ナク各株ニ付其ノ発行価額ノ全額ノ払込ヲ為サシムルコトヲ要ス
○2 前項ノ払込ハ第百七十五条第四項ノ書面又ハ株式申込証ニ記載シタル払込ノ取扱場所ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
○3 第百七十二条ノ規定ハ第一項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百七十八条 前条第一項ノ払込ヲ取扱フ銀行若ハ信託会社ヲ変更シ又ハ払込金ノ保管替ヲ為スニハ裁判所ノ許可ヲ得ルコトヲ要ス
第百七十九条 株式引受人ガ第百七十七条ノ規定ニ依ル払込ヲ為サザルトキハ発起人ハ期日ヲ定メ其ノ期日迄ニ払込ヲ為サザルトキハ其ノ権利ヲ失フベキ旨ヲ其ノ株式引受人ニ通知スルコトヲ得但シ其ノ通知ハ期日ノ二週間前ニ之ヲ為スコトヲ要ス
○2 発起人ガ前項ノ通知ヲ為シタルモ株式引受人ガ払込ヲ為サザルトキハ其ノ権利ヲ失フ此ノ場合ニ於テ発起人ハ其ノ者ガ引受ケタル株式ニ付更ニ株主ヲ募集スルコトヲ得
○3 前二項ノ規定ハ株式引受人ニ対スル損害賠償ノ請求ヲ妨ゲズ
第百八十条 第百七十七条ノ規定ニ依ル払込及現物出資ノ給付アリタルトキハ発起人ハ遅滞ナク創立総会ヲ招集スルコトヲ要ス
○2 創立総会ノ決議ハ出席シタル株式引受人ノ議決権ノ三分ノ二以上ニシテ且引受アリタル株式ノ総数ノ過半数ニ当ル多数ヲ以テ之ヲ為ス
○3 第二百三十二条第一項第二項、第二百三十三条、第二百三十七条ノ三、第二百三十七条ノ四、第二百三十九条第二項第四項乃至第六項、第二百三十九条ノ二、第二百四十一条第一項、第二百四十三条、第二百四十四条、第二百四十七条乃至第二百五十二条及第三百四十五条ノ規定ハ創立総会ニ之ヲ準用ス
第百八十一条 定款ヲ以テ第百六十八条第一項ニ掲グル事項ヲ定メタルトキハ発起人ハ之ニ関スル調査ヲ為サシムル為検査役ノ選任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ要ス
○2 第百七十三条第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
○3 第一項ノ検査役ノ報告書及前項ニ於テ準用スル第百七十三条第三項前段ノ弁護士ノ証明書ハ之ヲ創立総会ニ提出スルコトヲ要ス
第百八十二条 発起人ハ会社ノ創立ニ関スル事項ヲ創立総会ニ報告スルコトヲ要ス
第百八十三条 創立総会ニ於テハ取締役及監査役ヲ選任スルコトヲ要ス
第百八十四条 取締役及監査役ハ第百七十三条ノ二第一項各号ニ掲グル事項ヲ調査シ之ヲ創立総会ニ報告スルコトヲ要ス
○2 取締役及監査役ハ第百八十一条第三項ニ掲グル書類ヲ調査シ創立総会ニ其ノ意見ヲ報告スルコトヲ要ス
○3 取締役及監査役中発起人ヨリ選任セラレタル者アルトキハ創立総会ハ特ニ検査役ヲ選任シ前二項ノ調査及報告ヲ為サシムルコトヲ得
第百八十五条 創立総会ニ於テ第百六十八条第一項ニ掲グル事項ヲ不当ト認メタルトキハ之ヲ変更スルコトヲ得
○2 第百七十三条第五項及第六項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百八十六条 前条ノ規定ハ発起人ニ対スル損害賠償ノ請求ヲ妨ゲズ
第百八十七条 創立総会ニ於テハ定款ノ変更又ハ設立ノ廃止ノ決議ヲモ為スコトヲ得
○2 前項ノ決議ハ招集ノ通知ニ其ノ旨ノ記載ナカリシトキト雖モ之ヲ為スコトヲ妨ゲズ
○3 第三百四十八条第一項ノ規定ハ創立総会ニ於テ定款ヲ変更シテ株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定ヲ設クル場合ニ之ヲ準用ス
○4 創立総会ニ於テ前項ノ定ノ設定ニ反対シタル株式引受人ハ決議後二週間内ニ限リ其ノ株式ノ引受ヲ取消スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ定款ヲ変更シテ設立ニ関スル手続ヲ続行スルコトヲ妨ゲズ
第百八十八条 株式会社ノ設立ノ登記ハ発起人ガ会社ノ設立ニ際シテ発行スル株式ノ総数ヲ引受ケタルトキハ第百七十三条又ハ第百七十三条ノ二ノ手続終了ノ日、発起人ガ会社ノ設立ニ際シテ発行スル株式ノ総数ヲ引受ケザリシトキハ創立総会終結ノ日又ハ第百八十五条若ハ前条第四項ノ手続終了ノ日ヨリ二週間内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
○2 前項ノ登記ニ在リテハ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一 第百六十六条第一項第一号乃至第四号及第九号ニ掲グル事項
二 本店及支店
三 第百七十五条第二項第三号乃至第六号及第十二号ニ掲グル事項
四 転換株式ヲ発行スルトキハ第二百二十二条ノ四ニ掲グル事項
五 発行済株式ノ総数並ニ種類及数
六 資本ノ額
七 取締役及監査役ノ氏名
八 代表取締役ノ氏名及住所
九 数人ノ代表取締役ガ共同シテ会社ヲ代表スベキコトヲ定メタルトキハ其ノ規定
○3 第六十四条第二項及第六十五条乃至第六十七条ノ規定ハ株式会社ニ、第六十七条ノ二ノ規定ハ取締役及監査役ニ之ヲ準用ス
第百八十九条 払込ヲ取扱ヒタル銀行又ハ信託会社ハ発起人又ハ取締役ノ請求ニ依リ払込金ノ保管ニ関シ証明ヲ為スコトヲ要ス
○2 前項ノ銀行又ハ信託会社ハ其ノ証明シタル払込金額ニ付払込ナカリシコト又ハ其ノ返還ニ関スル制限ヲ以テ会社ニ対抗スルコトヲ得ズ
第百九十条 株式ノ引受ニ因ル権利ノ譲渡ハ会社ニ対シ其ノ効力ヲ生ゼズ
第百九十一条 株式ヲ引受ケタル者ハ会社ノ成立後ハ錯誤若ハ株式申込証ノ要件ノ欠缺ヲ理由トシテ其ノ引受ノ無効ヲ主張シ又ハ詐欺若ハ強迫ヲ理由トシテ其ノ引受ヲ取消スコトヲ得ズ創立総会ニ出席シテ其ノ権利ヲ行使シタルトキ亦同ジ
第百九十二条 会社ノ設立ニ際シテ発行スル株式ニシテ会社ノ成立後仍引受ナキモノアルトキハ発起人及会社成立当時ノ取締役ハ共同シテ之ヲ引受ケタルモノト看做ス株式ノ申込ガ取消サレタルトキ亦同ジ
○2 会社ノ成立後払込又ハ現物出資ノ給付ノ未済ナル株式アルトキハ発起人及会社成立当時ノ取締役ハ連帯シテ其ノ払込ヲ為シ又ハ給付未済財産ノ価額ノ支払ヲ為ス義務ヲ負フ
○3 前項ノ規定ニ依ル払込又ハ支払ヲ為シタル発起人又ハ取締役ハ其ノ払込又ハ支払ノ時ヨリ六月内ニ限リ同項ノ株式ヲ引受ケタル者ニ対シ之ヲ自己ニ売渡スベキ旨ヲ請求スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ株式ノ引受価額ヲ以テ売買価格トス
○4 第百八十六条ノ規定ハ第一項及第二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百九十二条ノ二 第百六十八条第一項第五号又ハ第六号ノ財産ノ会社成立当時ニ於ケル実価ガ定款ニ定メタル価格ニ著シク不足スルトキハ発起人及会社成立当時ノ取締役ハ会社ニ対シ連帯シテ其ノ不足額ヲ支払フ義務ヲ負フ
○2 第百六十八条第一項第五号又ハ第六号ニ掲グル事項ニ付検査役ノ調査ヲ受ケタルトキハ其ノ財産ノ現物出資者及譲渡人ニ非ザル発起人及取締役ハ前項ノ規定ニ拘ラズ其ノ財産ニ付同項ノ義務ヲ負フコトナシ
○3 第百八十六条ノ規定ハ第一項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百九十三条 発起人ガ会社ノ設立ニ関シ其ノ任務ヲ怠リタルトキハ其ノ発起人ハ会社ニ対シ連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
○2 発起人ニ悪意又ハ重大ナル過失アリタルトキハ其ノ発起人ハ第三者ニ対シテモ亦連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
第百九十四条 会社ガ成立セザル場合ニ於テハ発起人ハ会社ノ設立ニ関シテ為シタル行為ニ付連帯シテ其ノ責ニ任ズ
○2 前項ノ場合ニ於テ会社ノ設立ニ関シテ支出シタル費用ハ発起人ノ負担トス
第百九十五条 取締役又ハ監査役ガ第百七十三条ノ二又ハ第百八十四条第一項及第二項ニ定ムル任務ヲ怠リタルニ因リ会社又ハ第三者ニ対シテ損害賠償ノ責ニ任ズベキ場合ニ於テ発起人モ亦其ノ責ニ任ズベキトキハ其ノ取締役、監査役及発起人ハ之ヲ連帯債務者トス
第百九十六条 第二百六十六条第五項及第二百六十七条乃至第二百六十八条ノ三ノ規定ハ発起人ニ之ヲ準用ス
第百九十七条 削除
第百九十八条 発起人ニ非ズシテ株式申込証、目論見書、株式募集ノ広告其ノ他株式募集ニ関スル文書ニ自己ノ氏名及会社ノ設立ヲ賛助スル旨ノ記載ヲ為スコトヲ承諾シタル者ハ発起人ト同一ノ責任ヲ負フ
第二節 株式
第百九十九条 会社ハ額面株式若ハ無額面株式又ハ其ノ双方ヲ発行スルコトヲ得
第二百条 株主ノ責任ハ其ノ有スル株式ノ引受価額ヲ限度トス
○2 株主ハ払込ニ付相殺ヲ以テ会社ニ対抗スルコトヲ得ズ
第二百一条 仮設人ノ名義ヲ以テ株式ヲ引受ケタル者ハ株式引受人タル責任ヲ負フ他人ノ承諾ヲ得ズシテ其ノ名義ヲ以テ株式ヲ引受ケタル者亦同ジ
○2 他人ト通ジテ其ノ名義ヲ以テ株式ヲ引受ケタル者ハ其ノ他人ト連帯シテ払込ヲ為ス義務ヲ負フ
第二百二条 額面株式ノ金額ハ均一ナルコトヲ要ス
○2 額面株式ノ発行価額ハ券面額ヲ下ルコトヲ得ズ
第二百三条 共同シテ株式ヲ引受ケタル者ハ連帯シテ払込ヲ為ス義務ヲ負フ
○2 株式ガ数人ノ共有ニ属スルトキハ共有者ハ株主ノ権利ヲ行使スベキ者一人ヲ定ムルコトヲ要ス
○3 株主ノ権利ヲ行使スベキ者ナキトキハ共有者ニ対スル会社ノ通知又ハ催告ハ其ノ一人ニ対シテ之ヲ為スヲ以テ足ル
第二百四条 株式ハ之ヲ他人ニ譲渡スコトヲ得但シ定款ヲ以テ取締役会ノ承認ヲ要スル旨ヲ定ムルコトヲ妨ゲズ
○2 株券ノ発行前ニ為シタル株式ノ譲渡ハ会社ニ対シ其ノ効力ヲ生ゼズ
第二百四条ノ二 株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル場合ニ於テハ株式ヲ譲渡サントスル株主ハ会社ニ対シ譲渡ノ相手方並ニ譲渡サントスル株式ノ種類及数ヲ記載シタル書面ヲ以テ譲渡ヲ承認スベキコト又ハ之ヲ承認セザルトキハ他ニ譲渡ノ相手方ヲ指定スベキコトヲ請求スルコトヲ得
○2 前項ノ承認ノ請求アリタル場合ニ於テ譲渡ヲ承認セザルトキハ会社ハ其ノ旨ヲ其ノ請求ノ日ヨリ二週間内ニ同項ノ株主ニ対シ書面ヲ以テ通知スルコトヲ要ス
○3 第一項ノ指定ノ請求アリタル場合ニ於テ譲渡ヲ承認セザルトキハ取締役会ハ他ニ譲渡ノ相手方ヲ指定スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ其ノ旨ヲ其ノ請求ノ日ヨリ二週間内ニ第一項ノ株主ニ対シ書面ヲ以テ通知スルコトヲ要ス
○4 第二項ノ期間内ニ同項ノ通知ガ為サレザルトキハ第一項ノ株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認アリタルモノト看做ス前項ノ期間内ニ同項ノ通知ガ為サレザルトキ亦同ジ
第二百四条ノ三 前条第三項ノ規定ニ依リ指定セラレタル者ハ同項ノ通知ノ日ヨリ十日内ニ同条第一項ノ株主ニ対シ書面ヲ以テ同項ノ株式ヲ自己ニ売渡スベキ旨ヲ請求スルコトヲ得
○2 前項ノ請求ヲ為スニハ最終ノ貸借対照表ニ依リ会社ニ現存スル純資産額ヲ発行済株式ノ総数ヲ以テ除シタル額ニ前条第一項ノ株式ノ数ヲ乗ジタル額ヲ会社ノ本店ノ所在地ノ供託所ニ供託シ且之ヲ証スル書面ヲ前項ノ書面ニ添附スルコトヲ要ス
○3 前条第四項ノ規定ハ第一項ノ請求ガ同項ノ期間内ニ為サレザル場合ニ之ヲ準用ス
○4 第一項ノ請求アリタルトキハ株主ハ一週間内ニ第二項ノ供託所ニ株券ヲ供託スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ遅滞ナク第一項ノ請求ヲ為シタル者ニ供託ノ通知ヲ為スコトヲ要ス
○5 前項ノ供託ガ同項ノ期間内ニ為サレザルトキハ第一項ノ請求ヲ為シタル者ハ売買ノ解除ヲ為スコトヲ得
第二百四条ノ三ノ二 第二百四条ノ二第三項ノ規定ニ依リ取締役会ガ会社ヲ譲渡ノ相手方ニ指定シタル場合ニ於テハ会社ガ前条第一項ノ請求ヲ為スニハ第三百四十三条ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ要ス
○2 前項ノ決議ハ第二百四条ノ二第三項ノ通知ノ日ヨリ三十日内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
○3 第一項ノ決議ニ付テハ第二百四条ノ二第一項ノ株主ハ議決権ヲ行使スルコトヲ得ズ
○4 第一項ノ決議ニ付テハ前項ノ規定ニ依リテ行使スルコトヲ得ザル議決権ノ数ハ出席シタル株主ノ議決権ノ数ニ之ヲ算入セズ
○5 第一項ノ会社ガ前条第一項ノ請求ヲ為スニハ同条第二項ノ規定ニ依リ供託スベキ額ガ最終ノ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ第二百九十三条ノ五第三項各号ノ金額及同条第一項ノ規定ニ依リ分配シタル金銭ノ額ノ合計額ヲ控除シタル額ヲ超エザルコトヲ要ス
○6 第一項ニ規定スル場合ニ於テハ前条第一項ノ期間ハ第一項ノ決議ノ日ヨリ之ヲ起算ス
○7 第一項ノ会社ガ前条第一項ノ請求ヲ為シタル場合ニ於テハ売買価格ハ第五項ノ規定ニ依リ算定シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ且買受クルコトヲ得ベキ株式ノ数ハ第二百十条ノ三第一項ノ規定ニ依リ取得シタル株式ノ数ト併セテ発行済株式ノ総数ノ五分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ズ
○8 第二百四条ノ二第四項ノ規定ハ第二項ノ期間内ニ第一項ノ決議ナカリシ場合ニ之ヲ準用ス
第二百四条ノ四 第二百四条ノ三第一項ノ請求アリタル場合ニ於テ売買価格ニ付協議調ハザルトキハ当事者ハ同項ノ請求ノ日ヨリ二十日内ニ裁判所ニ対シ売買価格ノ決定ヲ請求スルコトヲ得
○2 前項ノ決定ヲ為スニ付テハ裁判所ハ第二百四条ノ三第一項ノ請求ノ時ニ於ケル会社ノ資産状態其ノ他一切ノ事情ヲ斟酌スルコトヲ要ス
○3 第一項ノ期間内ニ同項ノ決定ノ請求ナキトキハ第二百四条ノ三第二項ノ規定ニ依リ供託シタル額ヲ以テ売買価格トス
○4 株式ノ移転ハ代金ノ支払ノ時ニ其ノ効力ヲ生ズ
○5 株式ノ売買価格ガ第二百四条ノ三第二項ノ規定ニ依リ供託シタル額ヲ超エザルトキハ売買価格ガ確定シタル時ニ代金ノ支払アリタルモノト看做ス売買価格ガ供託シタル額ヲ超ユル場合ニ於テ代金中供託シタル額ニ相当スル部分ニ付亦同ジ
○6 前条第一項ノ会社ヨリ第二百四条ノ三第一項ノ請求アリタル場合ニ於テ裁判所ノ決定スル売買価格ガ前条第五項ノ規定ニ依リ算定シタル額ヲ超ユルトキハ売買ハ成立セザリシモノト看做ス
○7 第二百四条ノ二第四項ノ規定ハ売買価格ト供託シタル額トノ差額ニ相当スル金額ノ支払ナキ為株主ガ売買ノ解除ヲ為シタル場合及前項ノ規定ニ依リ売買ガ成立セザリシモノト看做サレタル場合ニ之ヲ準用ス
第二百四条ノ五 株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル場合ニ於テハ株式ヲ取得シタル者ハ会社ニ対シ其ノ株式ノ種類及数ヲ記載シタル書面ヲ以テ取得ヲ承認セザルトキハ其ノ株式ヲ買受クベキ者ヲ指定スベキコトヲ請求スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第二百四条ノ二第三項第四項及前三条ノ規定ヲ準用ス
第二百五条 株式ヲ譲渡スニハ株券ヲ交付スルコトヲ要ス
○2 株券ノ占有者ハ之ヲ適法ノ所持人ト推定ス
第二百六条 株式ノ移転ハ取得者ノ氏名及住所ヲ株主名簿ニ記載スルニ非ザレバ之ヲ以テ会社ニ対抗スルコトヲ得ズ
○2 会社ハ定款ヲ以テ名義書換代理人ヲ置ク旨ヲ定ムルコトヲ得此ノ場合ニ於テ名義書換代理人ガ取得者ノ氏名及住所ヲ株主名簿ノ複本ニ記載シタルトキハ前項ノ名義書換アリタルモノト看做ス
○3 会社ハ株券ヲ登録スル為定款ヲ以テ登録機関ヲ置ク旨ヲ定ムルコトヲ得
第二百七条 株式ヲ以テ質権ノ目的ト為スニハ株券ヲ交付スルコトヲ要ス
○2 質権者ハ継続シテ株券ヲ占有スルニ非ザレバ其ノ質権ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第二百八条 株式ノ消却、併合、分割、転換又ハ買取アリタルトキハ従前ノ株式ヲ目的トスル質権ハ消却、併合、分割、転換又ハ買取ニ因リテ株主ガ受クベキ金銭又ハ株式ノ上ニ存在ス
第二百九条 株式ヲ以テ質権ノ目的ト為シタル場合ニ於テ会社ガ質権設定者ノ請求ニ依リ質権者ノ氏名及住所ヲ株主名簿ニ記載シ且其ノ氏名ヲ株券ニ記載シタルトキハ質権者ハ会社ヨリ利益若ハ利息ノ配当、残余財産ノ分配又ハ前条ノ金銭ノ支払ヲ受ケ他ノ債権者ニ先チテ自己ノ債権ノ弁済ニ充ツルコトヲ得
○2 民法第三百六十七条第三項 ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
○3 第一項ノ質権者ハ会社ニ対シ前条ノ株主ノ受クベキ株券及端株券ノ引渡ヲ請求スルコトヲ得
第二百十条 会社ハ左ノ場合ヲ除クノ外自己ノ株式ヲ取得シ又ハ質権ノ目的トシテ発行済株式ノ総数ノ二十分ノ一ヲ超ユル数ノ自己ノ株式ヲ受クルコトヲ得ズ
一 株式ノ消却ノ為ニスルトキ
二 営業ノ全部ヲ承継セシムル吸収分割、合併又ハ他ノ会社ノ営業全部ノ譲受ニ因ルトキ
三 会社ノ権利ノ実行ニ当リ其ノ目的ヲ達スル為必要ナルトキ
四 第二百三十条ノ八ノ二第二項、第二百四十五条ノ二、第二百四十五条ノ五第三項、第三百四十九条第一項、第三百五十五条第一項(第三百七十一条第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第三百五十八条第五項、第三百七十四条ノ三第一項(第三百七十四条ノ三十一第五項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第三百七十四条ノ二十三第五項、第四百八条ノ三第一項若ハ第四百十三条ノ三第五項又ハ有限会社法第六十四条ノ二第一項 ノ規定ニ依リ株式ノ買取ヲ為ストキ
五 第二百四条ノ三第一項又ハ第二百四条ノ五ニ於テ準用スル同項ノ請求ヲ為シテ株式ヲ買受クルトキ
第二百十条ノ二 会社ハ前条ノ規定ニ拘ラズ正当ノ理由アルトキハ取締役又ハ使用人ニ株式ヲ譲渡ス為ニ発行済株式ノ総数ノ十分ノ一ヲ超エザル範囲内ニ於テ自己ノ株式ヲ取得スルコトヲ得
○2 前項ノ場合ニ於テ株式ヲ買受クルニハ左ノ事項ニ付定時総会ノ決議アルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ取締役ハ取締役又ハ使用人ニ株式ヲ譲渡スコトヲ必要トスル理由ヲ開示スルコトヲ要ス
一 決議後最初ノ決算期ニ関スル定時総会ノ終結ノ時迄ニ買受クベキ株式ノ種類、総数及取得価額ノ総額
二 買受クベキ株式ガ取引所ノ相場アル株式及取引所ノ相場ニ準ズル相場アル株式ニ非ザルモノナルトキハ其ノ売主
三 特定ノ取締役又ハ使用人ニ対シ予メ定メタル価額ヲ以テ会社ヨリ其ノ株式ヲ自己ニ譲渡スベキ旨ヲ請求スル権利ヲ与フル契約ニ基キ株式ヲ譲渡ス為ニ買受クルトキハ其ノ取締役又ハ使用人ノ氏名、其ノ者ニ譲渡スベキ株式ノ種類、数及譲渡ノ価額並ニ其ノ権利ヲ行使スルコトヲ得ベキ期間並ニ其ノ権利ノ行使ニ付テノ条件
○3 第一項ノ場合ニ於テハ買受クルコトヲ得ベキ株式ノ総数ハ発行済株式ノ総数ノ十分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ズ且其ノ株式ノ取得価額ノ総額ハ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ第二百九十条第一項各号ノ金額及定時総会ニ於テ利益ヨリ配当シ若ハ支払フモノト定メ又ハ資本ニ組入レタル額ノ合計額ヲ控除シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ
○4 第二項第三号ニ定ムル場合ニ於ケル同項ノ決議ニ依リ定ムル譲渡スベキ株式ノ総数ハ其ノ決議ヨリ前ニ為サレタル同項ノ規定ニ基ク決議ニ係ル譲渡スベキ株式ニシテ未ダ取締役又ハ使用人ニ譲渡サザルモノ及第二百八十条ノ十九第二項ノ決議ニ依リ定メタル新株ノ引受権ノ目的タル株式ニシテ未ダ発行セラレザルモノノ数ト併セテ発行済株式ノ総数ノ十分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ズ
○5 第二項第三号ノ期間ノ終期ハ同項ノ決議ノ日ヨリ十年ヲ経過スル日後ノ日ト為スコトヲ得ズ
○6 第一項ノ場合ニ於テ株式ヲ買受クルコトヲ得ベキ期間ハ第二項第一号ニ定ムル時迄トス
○7 第二項第二号ニ定ムルトキハ同項ノ決議ハ第三百四十三条ノ規定ニ依リ之ヲ為スコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ第二百四条ノ三ノ二第三項及第四項ノ規定ヲ準用ス
○8 第二項ノ場合ニ於ケル議案ノ要領ハ第二百三十二条ニ定ムル通知ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス同項第二号ニ掲グル事項ニ関スル議案ノ要領ヲ記載スルトキハ次項ノ規定ニ依ル請求アリ得ベキコトヲモ記載スルコトヲ要ス
○9 株主ハ第二項第二号ニ掲グル事項ニ関スル議案ノ要領ガ記載サレタル前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ取締役ニ対シ会日ヨリ五日前ニ書面ヲ以テ其ノ事項ニ係ル議案ヲ売主ニ自己ヲモ加ヘタルモノト為スベキコトヲ請求スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第二百五十六条ノ三第六項ノ規定ヲ準用ス
○10 第一項ノ場合ニ於テ株式ヲ買受クルニハ其ノ株式ガ取引所ノ相場アル株式ナルトキハ取引所ニ於テスル取引ニ、取引所ノ相場ニ準ズル相場アル株式ナルトキハ取引所ニ於テスル取引ニ準ズル取引ニ依ルコトヲ要ス但シ株式ノ買取ヲ公告シテ為ス取引ニ依ルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○11 第二項第三号ニ定ムル場合ニ於テ取締役又ハ使用人ニ同号ノ権利ヲ与フルコトヲ得ベキ期間ハ同項第一号ニ定ムル時迄トス
第二百十条ノ三 株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定款ノ定アル場合ニ於テハ会社ハ第二百十条ノ規定ニ拘ラズ株主ノ相続人ヨリ其ノ相続ニ因リ得タル株式ヲ相続ノ開始後一年内ニ買受クル為ニスルトキハ自己ノ株式ヲ取得スルコトヲ得但シ其ノ株式ノ数ハ同条第五号ニ掲グル場合ニ於テ取得シタル株式ノ数ト併セテ発行済株式ノ総数ノ五分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ズ
○2 前項ノ場合ニ於テ売買価格ガ第二百四条ノ三ノ二第五項ノ規定ニ依リ算定シタル額ヲ超ユルトキハ其ノ株式ヲ買受クルコトヲ得ズ
○3 第一項ノ規定ニ依リ株式ヲ買受クルニハ第三百四十三条ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ第二百四条ノ三ノ二第三項及第四項ノ規定ヲ準用ス
第二百十条ノ四 取締役ハ其ノ営業年度ノ終ニ於テ貸借対照表上ノ純資産額ガ第二百九十条第一項各号ノ金額ノ合計額ヲ下ル虞アルトキハ第二百四条ノ三第一項若ハ第二百四条ノ五ニ於テ準用スル同項、第二百十条ノ二第二項又ハ前条第一項ノ規定ニ依リ株式ヲ買受クルコトヲ得ズ
○2 営業年度ノ終ニ於テ前項ノ純資産額ガ同項ノ合計額ヨリ第二百十条第五号ニ掲グルトキニ又ハ第二百十条ノ二第一項若ハ前条第一項ノ規定ニ依リ取得シテ有スル株式ノ時価ノ合計額ヲ控除シタル額ヲ下リタル場合ニ於テハ前項ニ規定スル規定ニ依リ買受ヲ為シタル取締役ハ会社ニ対シ連帯シテ其ノ差額、若シ其ノ営業年度ニ於テ同項ニ規定スル規定ニ依リ買受ケタル株式ノ取得価額ノ総額ヨリ其ノ株式中既ニ処分シタル株式ノ価額ノ総額及其ノ取得シテ有スル株式ノ時価ノ合計額ヲ控除シタル残額ガ其ノ差額ヨリ少ナキトキハ其ノ残額ニ付賠償ノ責ニ任ズ但シ取締役ガ前項ノ虞ナキモノト認ムルニ付注意ヲ怠ラザリシコトヲ証明シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○3 第二百六十六条第二項第三項及第五項ノ規定ハ前項ノ取締役ノ責任ニ之ヲ準用ス
第二百十一条 第二百十条第一号ノ場合ニ於テハ会社ハ遅滞ナク株式失効ノ手続ヲ為シ同条第二号乃至第五号及第二百十条ノ三第一項ノ場合ニ於テハ相当ノ時期ニ株式又ハ質権ノ処分ヲ為シ第二百十条ノ二第一項ノ場合ニ於テハ株式ヲ買受ケタル時ヨリ六月内(同条第二項第三号ニ定ムル場合ニ在リテハ同号ノ権利ヲ行使スルコトヲ得ベキ期間内)ニ取締役又ハ使用人ニ譲渡サザリシトキハ相当ノ時期ニ株式ノ処分ヲ為スコトヲ要ス
第二百十一条ノ二 他ノ株式会社ノ発行済株式ノ総数ノ過半数ニ当ル株式又ハ他ノ有限会社ノ資本ノ過半ニ当ル出資口数ヲ有スル会社(以下親会社ト称ス)ノ株式ハ左ノ場合ヲ除クノ外其ノ株式会社又ハ有限会社(以下子会社ト称ス)之ヲ取得スルコトヲ得ズ
一 株式交換、株式移転、会社ノ分割、合併又ハ他ノ会社ノ営業全部ノ譲受ニ因ルトキ
二 会社ノ権利ノ実行ニ当リ其ノ目的ヲ達スル為必要ナルトキ
○2 前項各号ノ場合ニ於テハ子会社ハ相当ノ時期ニ親会社ノ株式ノ処分ヲ為スコトヲ要ス株式会社又ハ有限会社ガ子会社トナリタルコトヲ知リタル際ニ親会社ノ株式ヲ有スルトキ亦同ジ
○3 他ノ株式会社ノ発行済株式ノ総数ノ過半数ニ当ル株式ヲ親会社及子会社又ハ子会社ガ有スルトキハ本法ノ適用ニ付テハ其ノ株式会社モ亦其ノ親会社ノ子会社ト看做ス他ノ有限会社ノ資本ノ過半ニ当ル出資口数ヲ親会社及子会社又ハ子会社ガ有スルトキ亦同ジ
第二百十二条 株式ハ会社ノ分割又ハ資本減少ノ規定ニ従フニ非ザレバ之ヲ消却スルコトヲ得ズ但シ定款ノ規定ニ基キ株主ニ配当スベキ利益ヲ以テスル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
○2 第二百十五条第一項第二項及第三百七十七条第二項ノ規定ハ株式ヲ消却スル場合ニ之ヲ準用ス
第二百十二条ノ二 会社ハ前条第一項ノ規定ニ依ルノ外定時総会ノ決議ヲ以テ株式ヲ買受ケテ之ヲ消却スルコトヲ得
○2 前項ノ決議ハ第二百十条ノ二第二項第一号及第二号ニ掲グル事項ニ付之ヲ為スコトヲ要ス
○3 第一項ノ場合ニ於テ買受クルコトヲ得ベキ株式ノ取得価額ノ総額ハ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ第二百九十条第一項各号ノ金額及定時総会ニ於テ利益ヨリ配当シ若ハ支払フモノト定メ又ハ資本ニ組入レタル額ノ合計額ヲ控除シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ
○4 第二百十条ノ二第六項乃至第十項ノ規定ハ第一項ノ規定ニ依リ株式ヲ買受クル場合又ハ同項ノ決議ニ之ヲ準用ス
○5 取締役ハ其ノ営業年度ノ終ニ於テ貸借対照表上ノ純資産額ガ第二百九十条第一項各号ノ金額ノ合計額ヲ下ル虞アルトキハ第一項ノ規定ニ依リ株式ヲ買受クルコトヲ得ズ
○6 営業年度ノ終ニ於テ前項ノ純資産額ガ同項ノ合計額ヨリ第二百十条第五号ニ掲グルトキニ又ハ第二百十条ノ二第一項若ハ第二百十条ノ三第一項ノ規定ニ依リ取得シテ有スル株式ノ時価ノ合計額ヲ控除シタル額ヲ下リタル場合ニ於テハ第一項ノ規定ニ依リ買受ヲ為シタル取締役ハ会社ニ対シ連帯シテ其ノ差額、若シ其ノ営業年度ニ於テ同項ノ規定ニ依リ買受ケタル株式ノ取得価額ノ総額ガ其ノ差額ヨリ少ナキトキハ其ノ総額ニ付賠償ノ責ニ任ズ
○7 第二百十条ノ四第二項但書及第二百六十六条第二項第三項第五項ノ規定ハ前項ノ取締役ノ責任ニ之ヲ準用ス
第二百十三条 会社ハ取締役会ノ決議ニ依リ其ノ発行シタル額面株式ヲ無額面株式ト為シ又ハ無額面株式ヲ額面株式ト為スコトヲ得
○2 会社ガ額面株式及無額面株式ノ双方ヲ発行シタルトキハ株主ハ定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外其ノ額面株式ヲ無額面株式ト為シ又ハ其ノ無額面株式ヲ額面株式ト為スコトヲ請求スルコトヲ得
○3 資本ノ額ガ額面株式一株ノ金額ニ発行済株式ノ総数ヲ乗ジタル額ニ満タザルトキハ前二項ノ規定ニ拘ラズ無額面株式ヲ額面株式ト為スコトヲ得ズ
第二百十四条 最終ノ貸借対照表ニ依リ会社ニ現存スル純資産額ヲ発行済株式ノ総数ヲ以テ除シタル額ガ五万円ニ満タザルトキハ会社ハ其ノ額ヲ五万円以上トスル為第三百四十三条ニ定ムル決議ヲ以テ株式ノ併合ヲ為スコトヲ得
○2 会社ハ前項ノ決議ニ於テ併合ニ適スル株式ノ数ヲ記載シタル株券ハ会社ニ提出スルコトヲ要セザル旨ヲ定ムルコトヲ得
第二百十五条 株式ノ併合ヲ為サントスルトキハ会社ハ其ノ旨、一定ノ期間内ニ株券及端株券ヲ会社ニ提出スベキ旨並ニ前条第二項ノ規定ニ依ル定アルトキハ其ノ内容ヲ公告シ且株主及株主名簿ニ記載アル質権者ニハ各別ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス但シ其ノ期間ハ一月ヲ下ルコトヲ得ズ
○2 株式ノ併合ハ前項ノ期間満了ノ時ニ於テ其ノ効力ヲ生ズ
○3 前条第二項ノ規定ニ依ル定アルトキハ併合ニ適スル株式ノ数ノ記載アル株券ハ併合後ノ株式ノ数ヲ記載シタルモノト看做ス
○4 前項ノ規定ハ同項ノ株券ヲ所持スル者ガ之ヲ提出シテ新ナル株券ノ交付ヲ請求スルコトヲ妨ゲズ
第二百十六条 株式ノ併合アリタル場合ニ於テ旧株券又ハ旧端株券ヲ提出スルコト能ハザル者アルトキハ会社ハ其ノ者ノ請求ニ依リ利害関係人ニ対シ異議アラバ一定ノ期間内ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ公告シ其ノ期間経過後ニ於テ新株券又ハ新端株券ヲ交付スルコトヲ得但シ其ノ期間ハ三月ヲ下ルコトヲ得ズ
○2 前項ノ公告ノ費用ハ之ヲ請求者ノ負担トス
第二百十七条 株式ノ併合ニ因リ一株ニ満タザル端数ヲ生ズルトキハ其ノ部分ニ付新ニ発行シタル株式ヲ競売シ且其ノ端数ニ応ジテ其ノ代金ヲ従前ノ株主ニ交付スルコトヲ要ス但シ第二百三十条ノ二第一項ノ規定ニ依リ端株原簿ニ記載スベキ端株ノ部分ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
○2 会社ハ前項ノ競売ニ代ヘ取引所ノ相場アル株式ハ其ノ相場ヲ以テ之ヲ売却シ取引所ノ相場ナキ株式ハ裁判所ノ許可ヲ得テ競売以外ノ方法ニ依リ之ヲ売却スルコトヲ得
○3 第一項ノ場合ニ於テ株券又ハ端株券ヲ提出スルコト能ハザル者アルトキハ会社ハ其ノ者ノ請求ニ依リ利害関係人ニ対シ異議アラバ一定ノ期間内ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ公告シ其ノ期間経過後ニ於テ同項ノ代金ヲ交付スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ前条第一項但書及第二項ノ規定ヲ準用ス
○4 端株券ニ付第二百十五条第一項ノ規定ニ依ル提出ナキトキハ其ノ端株ノ部分ニ付新ニ発行シタル株式ヲ競売シ且其ノ端株ニ応ジテ其ノ代金ヲ従前ノ端株主ニ交付スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ前二項ノ規定ヲ準用ス
第二百十八条 会社ハ取締役会ノ決議ニ依リ株式ノ分割ヲ為スコトヲ得
○2 前項ノ場合ニ於テハ額面株式一株ノ金額ニ分割後ノ発行済額面株式ノ総数ヲ乗ジタル額ハ資本ノ額ヲ超ユルコトヲ得ズ且最終ノ貸借対照表ニ依リ会社ニ現存スル純資産額ヲ分割後ノ発行済株式ノ総数ヲ以テ除シタル額ハ五万円ヲ下ルコトヲ得ズ
○3 株式ノ分割ニ因リ額面株式一株ノ金額ヲ変更スル場合ニ於テハ会社ハ第一項ノ決議ニ於テ株券及端株券ヲ会社ニ提出スルコトヲ要セザル旨ヲ定ムルコトヲ得
第二百十九条 株式ノ分割ニ因リ株券及端株券ヲ提出スルコトヲ要セザル場合ニ於テハ会社ハ株式ノ分割ヲ為ス旨及会社ノ定ムル一定ノ日ニ於テ株主名簿ニ記載アル株主ガ株式ノ分割ニ因リ株式ヲ受クル権利ヲ有スベキ旨ヲ其ノ日ノ二週間前、若シ其ノ日ガ第二百二十四条ノ三第一項ノ期間中ナルトキハ其ノ期間ノ初日ノ二週間前ニ公告スルコトヲ要ス
○2 前項ノ場合ニ於テハ株式ノ分割ハ前条第一項ノ決議ニ於テ別段ノ定ヲ為シタルトキヲ除クノ外前項ノ一定ノ日ニ於テ其ノ効力ヲ生ズ
○3 第一項ノ場合ニ於テ株式ノ分割ヲ為シタルトキハ会社ハ遅滞ナク同項ノ株主及株主名簿ニ記載アル質権者ニ対シテ其ノ株主ノ受クル株式ノ額面無額面ノ別、種類及数ヲ通知スルコトヲ要ス
○4 前条第三項ノ規定ニ依ル定アルトキハ額面株式ノ株券及端株券ハ分割後ノ一株ノ金額ヲ記載シタルモノト看做ス
第二百二十条 第二百十五条第一項第二項、第二百十六条及第二百十七条第四項ノ規定ハ株式ノ分割ニ因リ株券及端株券ノ提出ヲ必要トスル場合ニ、第二百十五条第四項ノ規定ハ前条第四項ノ場合ニ、第二百十七条第一項乃至第三項ノ規定ハ株式ノ分割ニ因リ一株ニ満タザル端数ヲ生ズル場合ニ之ヲ準用ス
第二百二十一条 削除
第二百二十二条 会社ハ利益若ハ利息ノ配当、残余財産ノ分配又ハ利益ヲ以テスル株式ノ消却ニ付内容ノ異ル数種ノ株式ヲ発行スルコトヲ得
○2 前項ノ場合ニ於テハ定款ヲ以テ各種ノ株式ノ内容及数ヲ定ムルコトヲ要ス但シ利益ノ配当ニ関シ優先的内容ヲ有スル種類ノ株式ノ内容中優先シテ配当スベキ額ニ付テハ其ノ上限ノミヲ定ムルヲ以テ足ル
○3 第一項ノ場合ニ於テハ定款ニ定ナキトキト雖モ新株ノ引受、株式ノ併合、分割若ハ消却、株式交換、株式移転、会社ノ分割若ハ合併ニ因ル株式ノ割当又ハ転換社債若ハ新株引受権付社債ノ引受ニ関シ株式ノ種類ニ従ヒ格別ノ定ヲ為スコトヲ得
第二百二十二条ノ二 会社ガ数種ノ株式ヲ発行スル場合ニ於テハ定款ヲ以テ株主ガ其ノ引受ケタル株式ヲ他ノ種類ノ株式ニ転換スルコトヲ請求シ得ベキ旨ヲ定ムルコトヲ得
○2 前項ノ場合ニ於テハ定款ヲ以テ転換ニ因リテ発行スベキ株式ノ内容ヲ定ムルコトヲ要ス転換ノ条件又ハ転換ヲ請求シ得ベキ期間ニシテ定款ニ定ナキモノハ会社ノ設立ニ際シテハ発起人全員ノ同意ヲ以テ之ヲ定メ会社ノ成立後ニ於テハ定款ニ株主総会ガ之ヲ決スル旨ノ定アルトキヲ除クノ外取締役会之ヲ決ス
○3 前条第二項ノ規定ニ依リテ定ムル数種ノ株式ノ数ノ中転換ニ因リテ発行スベキ株式ノ数ハ前項ノ期間内之ヲ留保スルコトヲ要ス
第二百二十二条ノ三 転換ニ因リテ株式ヲ発行スル場合ニ於テハ転換株式ノ発行価額ヲ以テ転換ニ因リテ発行スル株式ノ発行価額トス
第二百二十二条ノ四 第二百二十二条ノ二第一項ノ場合ニ於テハ株式申込証又ハ新株引受権証書ニ左ノ事項ヲ掲グルコトヲ要ス
一 株式ヲ他ノ種類ノ株式ニ転換スルコトヲ得ベキコト
二 転換ノ条件
三 転換ニ因リテ発行スベキ株式ノ内容
四 転換ノ請求ヲ為スコトヲ得ベキ期間
第二百二十二条ノ五 株式ノ転換ヲ請求スル者ハ請求書ニ株券ヲ添付シテ之ヲ会社ニ提出スルコトヲ要ス
○2 前項ノ請求書ニハ転換セントスル株式ノ数及請求ノ年月日ヲ記載シ之ニ署名スルコトヲ要ス
○3 株式ノ転換ノ請求ハ第二百二十四条ノ三第一項ノ期間内ハ之ヲ為スコトヲ得ズ
第二百二十二条ノ六 転換ハ其ノ請求ヲ為シタル時ニ於テ其ノ効力ヲ生ズ但シ利益又ハ利息ノ配当ニ付テハ定款ヲ以テ其ノ請求ヲ為シタル時ノ属スル営業年度又ハ其ノ前営業年度ノ終ニ於テ転換アリタルモノト看做スコトヲ得
第二百二十二条ノ七 株式ノ転換ニ因ル変更ノ登記ハ毎月末日現在ニ依リ同日ヨリ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
第二百二十三条 株主名簿ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 株主ノ氏名及住所
二 各株主ノ有スル株式ノ額面無額面ノ別、種類及数
三 各株主ノ有スル株式ニ付株券ヲ発行シタルトキハ其ノ株券ノ番号
四 各株式ノ取得ノ年月日
五 転換株式ヲ発行シタルトキハ第二百二十二条ノ四ニ掲グル事項
第二百二十四条 会社ノ株主ニ対スル通知又ハ催告ハ株主名簿ニ記載シタル株主ノ住所又ハ其ノ者ガ会社ニ通知シタル住所ニ宛ツルヲ以テ足ル
○2 前項ノ通知又ハ催告ハ通常其ノ到達スベカリシ時ニ到達シタルモノト看做ス
○3 前二項ノ規定ハ株式申込人、株式引受人、又ハ質権者ニ対スル通知又ハ催告ニ之ヲ準用ス
第二百二十四条ノ二 前条第一項ノ住所ニ宛テテ発シタル通知及催告ガ継続シテ五年間到達セザリシトキハ会社ノ株主ニ対スル通知及催告ハ之ヲ為スコトヲ要セズ
○2 前項ノ場合ニ於テハ其ノ株主ニ対スル会社ノ義務ノ履行ノ場所ハ会社ノ本店トス
○3 前二項ノ規定ハ質権者ニ之ヲ準用ス
第二百二十四条ノ三 会社ハ議決権ヲ行使シ又ハ配当ヲ受クベキ者其ノ他株主又ハ質権者トシテ権利ヲ行使スベキ者ヲ定ムル為一定期間株主名簿ノ記載ノ変更ヲ為サズ又ハ一定ノ日ニ於テ株主名簿ニ記載アル株主若ハ質権者ヲ以テ其ノ権利ヲ行使スベキ株主若ハ質権者ト看做スコトヲ得
○2 前項ノ期間ハ三月ヲ超ユルコトヲ得ズ
○3 第一項ノ日ハ株主又ハ質権者トシテ権利ヲ行使スベキ日ノ前三月内ニ於テ之ヲ定ムルコトヲ要ス
○4 会社ハ第一項ノ期間又ハ日ヲ二週間前ニ公告スルコトヲ要ス但シ定款ヲ以テ其ノ期間又ハ日ヲ指定シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二百二十五条 株券ニハ左ノ事項並ニ其ノ番号、発行ノ年月日、株式ノ数及株主ノ氏名ヲ記載シ取締役之ニ署名スルコトヲ要ス
一 会社ノ商号
二 会社成立ノ年月日
三 削除
四 額面株式ナルトキハ一株ノ金額
五 削除
六 数種ノ株式アルトキハ其ノ株式ノ内容
七 転換株式ナルトキハ第二百二十二条ノ四ニ掲グル事項
八 株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ヲ定メタルトキハ其ノ規定
第二百二十六条 会社ハ成立後又ハ新株ノ払込期日後遅滞ナク株券ヲ発行スルコトヲ要ス
○2 株券ハ会社ノ成立後又ハ新株ノ払込期日後ニ非ザレバ之ヲ発行スルコトヲ得ズ
○3 前項ノ規定ニ違反シテ発行シタル株券ハ無効トス但シ株券ヲ発行シタル者ニ対スル損害賠償ノ請求ヲ妨ゲズ
第二百二十六条ノ二 株主ハ定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外株券ノ所持ヲ欲セザル旨ヲ会社ニ申出ヅルコトヲ得此ノ場合ニ於テ既ニ発行セラレタル株券アルトキハ之ヲ会社ニ提出スルコトヲ要ス
○2 前項ノ申出アリタルトキハ会社ハ遅滞ナク株券ヲ発行セザル旨ヲ株主名簿ニ記載シ又ハ株券ヲ銀行若ハ信託会社ニ寄託シ且其ノ記載又ハ寄託ヲ為シタル旨ヲ株主ニ通知スルコトヲ要ス
○3 会社ガ前項ノ規定ニ依ル記載ヲ為シタルトキハ株券ノ発行ハ之ヲ為スコトヲ得ズ且第一項後段ノ規定ニ依リ会社ニ提出セラレタル株券ハ之ヲ無効トス
○4 第一項ノ申出ヲ為シタル株主ハ何時ニテモ株券ノ発行又ハ返還ヲ請求スルコトヲ得但シ株券返還ノ請求ハ会社ニ対シテ之ヲ為スコトヲ要ス
○5 第二項ノ規定ニ依ル株券ノ寄託ニ要スル費用ハ会社ノ負担トス但シ株券返還ノ請求アリタルトキハ会社ハ株主ニ対シ前項ノ規定ニ依ル株券発行ノ場合ニ於テ株主ガ負担スベキ費用ニ相当スル額ノ支払ヲ請求スルコトヲ得
第二百二十七条 削除
第二百二十八条 削除
第二百二十九条 小切手法第二十一条 ノ規定ハ株券ニ之ヲ準用ス
第二百三十条 株券ハ公示催告ノ手続ニ依リテ之ヲ無効ト為スコトヲ得
○2 株券ヲ喪失シタル者ハ除権判決ヲ得ルニ非ザレバ其ノ再発行ヲ請求スルコトヲ得ズ
第二百三十条ノ二 株式ノ発行、併合又ハ分割ニ因リ一株ノ百分ノ一ノ整数倍ニ当ル端数ヲ生ジタルトキハ会社ハ其ノ定ムル期日迄ニ記載ヲ欲セザル旨ノ申出アリタルモノヲ除クノ外其ノ端数ヲ端株トシテ之ニ付左ノ事項ヲ端株原簿ニ記載スルコトヲ要ス
一 端株主ノ氏名及住所
二 各端株主ノ有スル端株ノ額面無額面ノ別、種類及一株ニ対スル割合
三 各端株ノ取得ノ年月日
○2 第二百六条第二項前段ノ規定ハ端株原簿ニ、第二百二十四条第一項及第二項ノ規定ハ端株原簿ニ記載アル端株主ニ対スル通知又ハ催告ニ之ヲ準用ス
第二百三十条ノ三 端株原簿ニ記載アル端株主ハ会社ニ対シ端株券ノ発行ヲ請求スルコトヲ得但シ第二百三十条ノ八ノ二第一項ノ規定ニ依ル定アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 端株券ハ無記名式トス
○3 端株券ニハ左ノ事項及番号ヲ記載シ取締役之ニ署名スルコトヲ要ス
一 第二百二十五条第一号、第二号、第四号及第六号乃至第八号ニ掲グル事項
二 端株ノ一株ニ対スル割合
三 端株券ノ発行ノ年月日
○4 端株券ヲ発行シタルトキハ端株原簿ニハ其ノ額面無額面ノ別、種類、一株ニ対スル割合、番号及発行ノ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
○5 第二百五条、第二百二十九条及第二百三十条ノ規定ハ端株券ニ之ヲ準用ス
第二百三十条ノ四 端株主ハ左ノ権利ヲ行使スルコトヲ得
一 株式ノ消却、併合若ハ分割又ハ会社ノ株式交換、株式移転、分割若ハ合併ニ因リ金銭又ハ株式ヲ受クル権利
二 残余財産ノ分配ヲ受クル権利
第二百三十条ノ五 会社ハ定款ヲ以テ端株主ニ対シ利益若ハ利息ノ配当若ハ第二百九十三条ノ五第一項ノ金銭ノ分配ヲ為ス旨又ハ第二百八十条ノ二第一項第五号、第三百四十一条ノ二第二項第六号若ハ第三百四十一条ノ八第二項第八号ノ引受権ヲ与フル旨ヲ定ムルコトヲ得此ノ場合ニ於テ配当若ハ金銭ノ分配又ハ引受権ヲ受クル端株主ヲ端株原簿ニ記載アル端株主ニシテ株主タルモノニ限ルコトヲ妨ゲズ
第二百三十条ノ六 端株主ハ前三条其ノ他別段ニ定ムルモノヲ除クノ外株主トシテ権利ヲ行使スルコトヲ得ズ
第二百三十条ノ七 会社ハ端株主トシテ権利ヲ行使スベキ者ヲ定ムル為一定ノ日ニ於テ端株原簿ニ記載アル端株主ヲ以テ其ノ権利ヲ行使スベキ端株主ト看做スルコトヲ得
○2 第二百二十四条ノ三第三項及第四項ノ規定ハ前項ノ日ニ之ヲ準用ス
○3 端株券ヲ有スル者ハ端株券ヲ会社ニ供託スルニ非ザレバ端株主ノ権利ヲ行使スルコトヲ得ズ
第二百三十条ノ八 端株原簿ニ記載アル端株主ハ其ノ端株ト併セテ一株トナルベキ端株原簿ニ記載スベキ端株ヲ取得シタル時又ハ其ノ端株ト併セテ一株トナルベキ端株券ヲ会社ニ提出シタル時ニ株主トナル
○2 端株券ヲ有スル者ハ併セテ一株トナルベキ端株券ヲ会社ニ提出シタル時ニ株主トナル
○3 第三百四十一条ノ六ノ規定ハ同条第一項ニ定ムル期間内又ハ同条第二項ニ定ムル日後ニ前二項ノ規定ニ依リ株主トナリタル株主ニ之ヲ準用ス
第二百三十条ノ八ノ二 会社ハ定款ヲ以テ端株券ヲ発行セザル旨ヲ定ムルコトヲ得
○2 前項ノ規定ニ依ル定アル場合ニ於テハ端株主ハ会社ニ対シ自己ノ有スル端株ヲ買取ルベキ旨ヲ請求スルコトヲ得
○3 取引所ノ相場アル株式ニ係ル端株ニ付前項ノ請求アリタルトキハ其ノ株式一株ノ請求ノ日ノ最終ノ相場ニ相当スル額ニ其ノ端株ノ一株ニ対スル割合ヲ乗ジタル額ヲ以テ売買価格トス
○4 第二百四条ノ四第一項及第二項ノ規定ハ取引所ノ相場ナキ株式ニ係ル端株ニ付第二項ノ請求アリタル場合ニ之ヲ準用ス
○5 前項ニ於テ準用スル第二百四条ノ四第一項ノ期間内ニ同項ノ決定ノ請求ナキトキハ最終ノ貸借対照表ニ依リ会社ニ現存スル純資産額ヲ発行済株式ノ総数ヲ以テ除シタル額ニ前項ノ端株ノ一株ニ対スル割合ヲ乗ジタル額ヲ以テ売買価格トス
○6 第二百四条ノ四第四項ノ規定ハ第二項ノ請求アリタル場合ノ端株ノ移転ニ之ヲ準用ス
第二百三十条ノ九 発行済株式ノ総数ノ百分ノ一、百分ノ三又ハ十分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主ノ権利ノ行使ニ付テノ規定ノ適用及株主総会ノ決議ニ付テハ端株ノ合計数ニ相当スル株式ノ数ハ発行済株式ノ総数ニ之ヲ算入セズ第二百四十五条ノ五第六項、第三百五十八条第八項、第三百七十四条ノ二十三第八項及第四百十三条ノ三第八項ノ規定ノ適用ニ付亦同ジ
第三節 会社ノ機関
第一款 株主総会
第二百三十条ノ十 総会ハ本法又ハ定款ニ定ムル事項ニ限リ決議ヲ為スコトヲ得
第二百三十一条 総会ノ招集ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外取締役会之ヲ決ス
第二百三十二条 総会ヲ招集スルニハ会日ヨリ二週間前ニ各株主ニ対シテ其ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス
○2 前項ノ通知ニハ会議ノ目的タル事項ヲ記載スルコトヲ要ス
○3 前二項ノ規定ハ議決権ナキ株主ニ付テハ之ヲ適用セズ
第二百三十二条ノ二 六月前ヨリ引続キ発行済株式ノ総数ノ百分ノ一以上ニ当ル株式又ハ三百株以上ノ株式ヲ有スル株主ハ取締役ニ対シ会日ヨリ六週間前ニ書面ヲ以テ一定ノ事項ヲ総会ノ会議ノ目的ト為スベキコトヲ請求スルコトヲ得但シ其ノ事項ガ総会ノ決議スベキモノニ非ザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 前項ノ株主ハ取締役ニ対シ会日ヨリ六週間前ニ書面ヲ以テ会議ノ目的タル事項ニ付其ノ株主ノ提出スベキ議案ノ要領ヲ前条ニ定ムル通知ニ記載スルコトヲ請求スルコトヲ得但シ其ノ議案ガ法令若ハ定款ニ違反スルトキ又ハ同一ノ議案ニ付総会ニ於テ議決権ノ十分ノ一以上ノ賛成ヲ得ザリシ日ヨリ三年ヲ経過セザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二百三十三条 総会ハ定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外本店ノ所在地又ハ之ニ隣接スル地ニ之ヲ招集スルコトヲ要ス
第二百三十四条 定時総会ハ毎年一回一定ノ時期ニ之ヲ招集スルコトヲ要ス
○2 年二回以上利益ノ配当ヲ為ス会社ニ在リテハ毎決算期ニ総会ヲ招集スルコトヲ要ス
第二百三十五条 臨時総会ハ必要アル場合ニ随時之ヲ招集ス
第二百三十六条 削除
第二百三十七条 六月前ヨリ引続キ発行済株式ノ総数ノ百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スル株主ハ会議ノ目的タル事項及招集ノ理由ヲ記載シタル書面ヲ取締役ニ提出シテ総会ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
○2 前項ノ請求アリタル後遅滞ナク総会招集ノ手続ガ為サレザルトキハ請求ヲ為シタル株主ハ裁判所ノ許可ヲ得テ其ノ招集ヲ為スコトヲ得其ノ請求アリタル日ヨリ六週間内ノ日ヲ会日トスル総会ノ招集ノ通知ガ発セラレザルトキ亦同ジ
○3 前二項ノ規定ニ依ル総会ニ於テハ会社ノ業務及財産ノ状況ヲ調査セシムル為特ニ検査役ヲ選任スルコトヲ得
第二百三十七条ノ二 六月前ヨリ引続キ発行済株式ノ総数ノ百分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主ハ総会招集ノ手続及其ノ決議ノ方法ヲ調査セシムル為総会ニ先チ検査役ノ選任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
○2 検査役ハ其ノ調査ノ結果ヲ裁判所ニ報告スルコトヲ要ス
○3 裁判所ハ前項ノ報告アリタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ取締役ヲシテ株主総会ヲ招集セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第百八十一条第三項及第百八十四条第二項ノ規定ヲ準用ス
第二百三十七条ノ三 取締役及監査役ハ総会ニ於テ株主ノ求メタル事項ニ付説明ヲ為スコトヲ要ス但シ其ノ事項ガ会議ノ目的タル事項ニ関セザルトキ、説明ヲ為スコトニ因リ株主共同ノ利益ヲ著シク害スルトキ、説明ヲ為スニ付調査ヲ要スルトキ其ノ他ノ正当ノ事由アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 株主ガ会日ヨリ相当ノ期間前ニ書面ニ依リ総会ニ於テ説明ヲ求ムベキ事項ヲ通知シタルトキハ取締役及監査役ハ調査ヲ要スルコトヲ理由トシテ説明ヲ拒ムコトヲ得ズ
第二百三十七条ノ四 総会ノ議長ハ定款ニ定メザリシトキハ総会ニ於テ之ヲ選任ス
○2 議長ハ総会ノ秩序ヲ維持シ議事ヲ整理ス
○3 議長ハ其ノ命ニ従ハザル者其ノ他ノ総会ノ秩序ヲ乱ス者ヲ退場セシムルコトヲ得
第二百三十八条 総会ハ取締役ノ提出シタル書類及監査役ノ報告書ヲ調査セシムル為特ニ検査役ヲ選任スルコトヲ得
第二百三十九条 総会ノ決議ハ本法又ハ定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外発行済株式ノ総数ノ過半数ニ当ル株式ヲ有スル株主出席シ其ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ為ス
○2 株主ハ代理人ヲ以テ其ノ議決権ヲ行使スルコトヲ得但シ代理人ハ代理権ヲ証スル書面ヲ会社ニ差出ダスコトヲ要ス
○3 前項ノ代理権ノ授与ハ総会毎ニ之ヲ為スコトヲ要ス
○4 会社ハ株主ガ二人以上ノ代理人ヲ総会ニ出席セシムルコトヲ拒ムコトヲ得
○5 取締役ハ総会ノ終結ノ日ヨリ三月間第二項但書ノ書面ヲ本店ニ備置クコトヲ要ス
○6 株主ハ営業時間内何時ニテモ前項ノ書面ノ閲覧又ハ謄写ヲ求ムルコトヲ得
第二百三十九条ノ二 株主ハ二個以上ノ議決権ヲ有スルトキハ之ヲ統一セズシテ行使スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ会日ヨリ三日前ニ会社ニ対シ書面ヲ以テ其ノ旨及理由ヲ通知スルコトヲ要ス
○2 株主ガ株式ノ信託ヲ引受ケタルコト其ノ他他人ノ為ニ株式ヲ有スルコトヲ理由トセザルトキハ会社ハ株主ガ議決権ヲ統一セズシテ行使スルコトヲ拒ムコトヲ得
第二百四十条 総会ノ決議ニ付テハ議決権ナキ株主ノ有スル株式ノ数ハ発行済株式ノ総数ニ之ヲ算入セズ
第二百四十一条 各株主ハ一株ニ付一個ノ議決権ヲ有ス
○2 会社ハ其ノ有スル自己ノ株式ニ付テハ議決権ヲ有セズ
○3 会社、親会社及子会社又ハ子会社ガ他ノ株式会社ノ発行済株式ノ総数ノ四分ノ一ヲ超ユル株式又ハ他ノ有限会社ノ資本ノ四分ノ一ヲ超ユル出資口数ヲ有スル場合ニ於テハ其ノ株式会社又ハ有限会社ハ其ノ有スル会社又ハ親会社ノ株式ニ付テハ議決権ヲ有セズ
第二百四十二条 会社ガ数種ノ株式ヲ発行スル場合ニ於テハ定款ヲ以テ利益ノ配当ニ関シ優先的内容ヲ有スル種類ノ株式ニ付株主ニ議決権ナキモノトスルコトヲ得但シ其ノ株主ハ優先的配当ヲ受クル旨ノ議案ガ定時総会ニ提出セラレザルトキハ其ノ総会ヨリ、其ノ議案ガ定時総会ニ於テ否決セラレタルトキハ其ノ総会ノ終結ノ時ヨリ優先的配当ヲ受クル旨ノ決議アル時迄ハ議決権ヲ有ス
○2 前項但書ノ規定ハ定款ヲ以テ同項ノ株式ニシテ優先的配当ヲ受ケザル旨ノ決議アリタルトキニ其ノ配当ガ累積スルモノニ付其ノ株主ガ其ノ決議アリタル定時総会ノ次ノ定時総会ニ優先的配当ヲ受クル旨ノ議案ガ提出セラレザルトキハ其ノ総会ヨリ、其ノ議案ガ其ノ定時総会ニ於テ否決セラレタルトキハ其ノ総会ノ終結ノ時ヨリ議決権ヲ有スル旨ヲ定ムルコトヲ妨ゲズ
○3 第一項ノ株式ノ総数ハ発行済株式ノ総数ノ三分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ズ
第二百四十三条 総会ニ於テハ延期又ハ続行ノ決議ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第二百三十二条ノ規定ヲ適用セズ
第二百四十四条 総会ノ議事ニ付テハ議事録ヲ作ルコトヲ要ス
○2 議事録ニハ議事ノ経過ノ要領及其ノ結果ヲ記載シ議長並ニ出席シタル取締役之ニ署名スルコトヲ要ス
○3 取締役ハ第一項ノ議事録ヲ十年間本店ニ、其ノ謄本ヲ五年間支店ニ備置クコトヲ要ス
○4 第二百六十三条第二項ノ規定ハ前項ニ掲グル書類ニ、同条第四項ノ規定ハ子会社ノ前項ニ掲グル書類(子会社ガ有限会社ナルトキハ有限会社法第四十一条 ニ於テ準用スル同項ニ掲グル書類)ニ之ヲ準用ス
第二百四十五条 会社ガ左ノ行為ヲ為スニハ第三百四十三条ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ要ス
一 営業ノ全部又ハ重要ナル一部ノ譲渡
二 営業全部ノ賃貸、其ノ経営ノ委任、他人ト営業上ノ損益全部ヲ共通ニスル契約其ノ他之ニ準ズル契約ノ締結、変更又ハ解約
三 他ノ会社ノ営業全部ノ譲受
○2 前項ノ行為ノ要領ハ第二百三十二条ニ定ムル通知ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
第二百四十五条ノ二 前条第一項ノ決議ヲ為スベキ株主総会ニ先チ会社ニ対シ書面ヲ以テ同項ニ掲グル行為ニ反対ノ意思ヲ通知シ且総会ニ於テ之ニ反対シタル株主ハ会社ニ対シ自己ノ有スル株式ヲ決議ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格ヲ以テ買取ルベキ旨ヲ請求スルコトヲ得但シ同条第一項第一号ノ場合ニ於テ決議ト同時ニ解散ノ決議ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二百四十五条ノ三 前条ノ請求ハ決議ノ日ヨリ二十日内ニ株式ノ額面無額面ノ別、種類及数ヲ記載シタル書面ヲ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス
○2 株式ノ価格ノ決定ニ付株主ト会社トノ間ニ協議調ヒタルトキハ会社ハ決議ノ日ヨリ九十日内ニ其ノ支払ヲ為スコトヲ要ス
○3 決議ノ日ヨリ六十日内ニ協議調ハザルトキハ株主ハ其ノ期間経過後三十日内ニ裁判所ニ対シ価格ノ決定ヲ請求スルコトヲ得
○4 会社ハ裁判所ノ決定スル価格ニ対スル第二項ノ期間経過後ノ法定利息ヲモ支払フコトヲ要ス
○5 株式ノ代金ノ支払ハ株券ト引換ニ之ヲ為スコトヲ要ス株式ノ移転ハ代金ノ支払ノ時ニ其ノ効力ヲ生ズ
第二百四十五条ノ四 第二百四十五条ノ二ニ規定スル株主ノ請求ハ会社ガ第二百四十五条第一項ニ掲グル行為ヲ中止シタルトキハ其ノ効力ヲ失フ株主ガ前条第三項ノ期間内ニ同項ノ請求ヲ為サザルトキ亦同ジ
第二百四十五条ノ五 会社ガ他ノ会社ノ営業全部ノ譲受ヲ為ス場合ニ於テ其ノ対価ガ最終ノ貸借対照表ニ依リ会社ニ現存スル純資産額ノ二十分ノ一ヲ超エザルトキハ会社ニ於テハ第二百四十五条第一項ノ決議ニ依ルコトヲ要セズ
○2 前項ノ場合ニ於テハ会社ハ営業全部ノ譲受ヲ約シタル日ヨリ二週間内ニ相手方タル会社ノ商号及本店並ニ第二百四十五条第一項ノ決議ニ依ラズシテ営業全部ノ譲受ヲ為ス旨及其ノ要領ヲ公告シ又ハ株主ニ通知スルコトヲ要ス
○3 前項ノ規定ニ依ル公告又ハ通知ノ日ヨリ二週間内ニ会社ニ対シ書面ヲ以テ営業全部ノ譲受ニ反対ノ意思ヲ通知シタル株主ハ会社ニ対シ自己ノ有スル株式ヲ営業全部ノ譲受ニ係ル契約ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格ヲ以テ買取ルベキ旨ヲ請求スルコトヲ得
○4 前項ノ請求ハ同項ノ期間ノ満了ノ日ヨリ二十日内ニ株式ノ額面無額面ノ別、種類及数ヲ記載シタル書面ヲ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス
○5 第二百四十五条ノ三第二項乃至第五項及前条ノ規定ハ第三項ノ場合ニ之ヲ準用ス
○6 会社ノ発行済株式ノ総数ノ六分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主ガ第三項ノ規定ニ依ル反対ノ意思ノ通知ヲ為シタルトキハ此ノ条ニ定メタル手続ニ依ル営業全部ノ譲受ハ之ヲ為スコトヲ得ズ
第二百四十六条 第二百四十五条第一項ノ規定ハ会社ガ其ノ成立後二年内ニ其ノ成立前ヨリ存在スル財産ニシテ営業ノ為ニ継続シテ使用スベキモノヲ資本ノ二十分ノ一以上ニ当ル対価ヲ以テ取得スル契約ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス
○2 取締役ハ前項ノ契約ニ関スル調査ヲ為サシムル為検査役ノ選任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ要ス
○3 第百七十三条第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ、第百八十一条第三項及第百八十四条第二項ノ規定ハ前項ノ検査役ノ報告書及本項ニ於テ準用スル第百七十三条第三項前段ノ弁護士ノ証明書ニ之ヲ準用ス
第二百四十七条 左ノ場合ニ於テハ株主、取締役又ハ監査役ハ訴ヲ以テ総会ノ決議ノ取消ヲ請求スルコトヲ得
一 招集ノ手続又ハ決議ノ方法ガ法令若ハ定款ニ違反シ又ハ著シク不公正ナルトキ
二 決議ノ内容ガ定款ニ違反スルトキ
三 決議ニ付特別ノ利害関係ヲ有スル株主ガ議決権ヲ行使シタルコトニ因リテ著シク不当ナル決議ガ為サレタルトキ
○2 第八十八条、第百五条第三項第四項及第百九条ノ規定ハ前項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第二百四十八条 決議取消ノ訴ハ決議ノ日ヨリ三月内ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス
○2 口頭弁論ハ前項ノ期間ヲ経過シタル後ニ非ザレバ之ヲ開始スルコトヲ得ズ
第二百四十九条 株主ガ決議取消ノ訴ヲ提起シタルトキハ裁判所ハ会社ノ請求ニ依リ相当ノ担保ヲ供スベキコトヲ命ズルコトヲ得但シ其ノ株主ガ取締役又ハ監査役ナルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 第百六条第二項ノ規定ハ前項ノ請求ニ之ヲ準用ス
第二百五十条 決議シタル事項ノ登記アリタル場合ニ於テ決議取消ノ判決ガ確定シタルトキハ本店及支店ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第二百五十一条 決議取消ノ訴ノ提起アリタル場合ニ於テ招集ノ手続又ハ決議ノ方法ガ法令又ハ定款ニ違反スルトキト雖モ裁判所ハ其ノ違反スル事実ガ重大ナラズ且決議ニ影響ヲ及ボサザルモノト認ムルトキハ請求ヲ棄却スルコトヲ得
第二百五十二条 第八十八条、第百五条第三項第四項、第百九条、第二百四十九条及第二百五十条ノ規定ハ総会ノ決議ノ存セザルコトノ確認ヲ請求スル訴及総会ノ決議ノ内容ガ法令ニ違反スルコトヲ理由トシテ決議ノ無効ノ確認ヲ請求スル訴ニ之ヲ準用ス
第二百五十三条 削除
第二款 取締役及取締役会
第二百五十四条 取締役ハ株主総会ニ於テ之ヲ選任ス
○2 会社ハ定款ヲ以テスルモ取締役ガ株主タルコトヲ要スベキ旨ヲ定ムルコトヲ得ズ
○3 会社ト取締役トノ間ノ関係ハ委任ニ関スル規定ニ従フ
第二百五十四条ノ二 左ノ者ハ取締役タルコトヲ得ズ
一 成年被後見人又ハ被保佐人
二 破産ノ宣告ヲ受ケ復権セザル者
三 本法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律 又ハ有限会社法 ニ定ムル罪ニ因リ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リタル日又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨリ二年ヲ経過セザル者
四 前号ニ定ムル罪以外ノ罪ニ因リ禁錮以上ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終ル迄又ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者但シ刑ノ執行猶予中ノ者ハ此ノ限ニ在ラズ
第二百五十四条ノ三 取締役ハ法令及定款ノ定並ニ総会ノ決議ヲ遵守シ会社ノ為忠実ニ其ノ職務ヲ遂行スル義務ヲ負フ
第二百五十五条 取締役ハ三人以上タルコトヲ要ス
第二百五十六条 取締役ノ任期ハ二年ヲ超ユルコトヲ得ズ
○2 最初ノ取締役ノ任期ハ前項ノ規定ニ拘ラズ一年ヲ超ユルコトヲ得ズ
○3 前二項ノ規定ハ定款ヲ以テ任期中ノ最終ノ決算期ニ関スル定時総会ノ終結ニ至ル迄其ノ任期ヲ伸長スルコトヲ妨ゲズ
第二百五十六条ノ二 取締役ノ選任決議ニ付テハ総会ニ出席ヲ要スル株主ノ有スベキ株式ノ数ハ定款ノ定ニ依ルモ之ヲ発行済株式ノ総数ノ三分ノ一未満ニ下スコトヲ得ズ
第二百五十六条ノ三 二人以上ノ取締役ノ選任ヲ目的トスル総会ノ招集アリタルトキハ株主ハ定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外会社ニ対シ累積投票ニ依ルベキコトヲ求ムルコトヲ得
○2 前項ノ請求ハ会日ヨリ五日前ニ書面ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス
○3 第一項ノ請求アリタルトキハ取締役ノ選任決議ニ付テハ各株主ハ一株ニ付選任スベキ取締役ノ数ト同数ノ議決権ヲ有ス此ノ場合ニ於テハ各株主ハ一人ノミニ投票シ又ハ二人以上ニ投票シテ其ノ議決権ヲ行使スルコトヲ得
○4 前項ノ場合ニ於テハ投票ノ最多数ヲ得タル者ヨリ順次取締役ニ選任セラレタルモノトス
○5 第一項ノ場合ニ於テハ議長ハ議決ニ先チ同項ノ請求アリタル旨ヲ宣告スルコトヲ要ス
○6 第二項ノ書面ハ総会ノ終結ニ至ル迄之ヲ本店ニ備置キ株主ノ閲覧ニ供スルコトヲ要ス
第二百五十七条 取締役ハ何時ニテモ株主総会ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得但シ任期ノ定アル場合ニ於テ正当ノ事由ナクシテ其ノ任期ノ満了前ニ之ヲ解任シタルトキハ其ノ取締役ハ会社ニ対シ解任ニ因リテ生ジタル損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得
○2 前項ノ決議ハ第三百四十三条ノ規定ニ依ルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ
○3 取締役ノ職務遂行ニ関シ不正ノ行為又ハ法令若ハ定款ニ違反スル重大ナル事実アリタルニ拘ラズ株主総会ニ於テ其ノ取締役ヲ解任スルコトヲ否決シタルトキハ六月前ヨリ引続キ発行済株式ノ総数ノ百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スル株主ハ三十日内ニ其ノ取締役ノ解任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
○4 第八十八条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二百五十八条 法律又ハ定款ニ定メタル取締役ノ員数ヲ欠クニ至リタル場合ニ於テハ任期ノ満了又ハ辞任ニ因リテ退任シタル取締役ハ新ニ選任セラレタル取締役ノ就職スル迄仍取締役ノ権利義務ヲ有ス
○2 前項ノ場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ裁判所ハ利害関係人ノ請求ニ依リ一時取締役ノ職務ヲ行フベキ者ヲ選任スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ本店及支店ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第二百五十九条 取締役会ハ各取締役之ヲ招集ス但シ取締役会ニ於テ招集ヲ為スベキ取締役ヲ定メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 前項但書ニ規定スル場合ニ於テハ同項但書ノ取締役以外ノ取締役ハ会議ノ目的タル事項ヲ記載シタル書面ヲ提出シテ取締役会ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
○3 前項ノ請求アリタル場合ニ於テ五日内ニ其ノ請求ノ日ヨリ二週間内ノ日ヲ会日トスル取締役会ノ招集ノ通知ガ発セラレザルトキハ其ノ請求ヲ為シタル取締役ハ取締役会ノ招集ヲ為スコトヲ得
第二百五十九条ノ二 取締役会ヲ招集スルニハ会日ヨリ一週間前ニ各取締役及各監査役ニ対シテ其ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス但シ其ノ期間ハ定款ヲ以テ之ヲ短縮スルコトヲ妨ゲズ
第二百五十九条ノ三 取締役会ハ取締役及監査役ノ全員ノ同意アルトキハ招集ノ手続ヲ経ズシテ之ヲ開クコトヲ得
第二百六十条 取締役会ハ会社ノ業務執行ヲ決シ取締役ノ職務ノ執行ヲ監督ス
○2 取締役会ハ左ノ事項其ノ他ノ重要ナル業務執行ニ付テハ取締役ニ決セシムルコトヲ得ズ
一 重要ナル財産ノ処分及譲受
二 多額ノ借財
三 支配人其ノ他ノ重要ナル使用人ノ選任及解任
四 支店其ノ他ノ重要ナル組織ノ設置、変更及廃止
○3 取締役ハ三月ニ一回以上業務ノ執行ノ状況ヲ取締役会ニ報告スルコトヲ要ス
第二百六十条ノ二 取締役会ノ決議ハ取締役ノ過半数出席シ其ノ取締役ノ過半数ヲ以テ之ヲ為ス但シ定款ヲ以テ此ノ要件ヲ加重スルコトヲ妨ゲズ
○2 前項ノ決議ニ付特別ノ利害関係ヲ有スル取締役ハ決議ニ参加スルコトヲ得ズ
○3 前項ノ規定ニ依リテ決議ニ参加スルコトヲ得ザル取締役ノ数ハ第一項ノ取締役ノ数ニ之ヲ算入セズ
第二百六十条ノ三 監査役ハ取締役会ニ出席シ意見ヲ述ブルコトヲ得
○2 監査役ハ取締役ガ会社ノ目的ノ範囲内ニ在ラザル行為其ノ他法令若ハ定款ニ違反スル行為ヲ為シ又ハ為ス虞アリト認ムルトキハ取締役会ニ之ヲ報告スルコトヲ要ス
○3 前項ノ場合ニ於テ必要アルトキハ監査役ハ取締役会ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
○4 第二百五十九条第三項ノ規定ハ前項ノ請求アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第二百六十条ノ四 取締役会ノ議事ニ付テハ議事録ヲ作ルコトヲ要ス
○2 議事録ニハ議事ノ経過ノ要領及其ノ結果ヲ記載シ出席シタル取締役及監査役之ニ署名スルコトヲ要ス
○3 取締役ハ第一項ノ議事録ヲ十年間本店ニ備置クコトヲ要ス
○4 株主又ハ親会社ノ株主ハ其ノ権利ヲ行使スル為必要アルトキハ裁判所ノ許可ヲ得テ前項ニ掲グル議事録ノ閲覧又ハ謄写ヲ求ムルコトヲ得会社ノ債権者ガ取締役又ハ監査役ノ責任ヲ追及スル為必要アルトキ亦同ジ
○5 閲覧又ハ謄写ニ因リ会社又ハ其ノ親会社若ハ子会社ニ著シキ損害ヲ生ズル虞アルトキハ裁判所前項ノ許可ヲ為スコトヲ得ズ
第二百六十一条 会社ハ取締役会ノ決議ヲ以テ会社ヲ代表スベキ取締役ヲ定ムルコトヲ要ス
○2 前項ノ場合ニ於テハ数人ノ代表取締役ガ共同シテ会社ヲ代表スベキコトヲ定ムルコトヲ得
○3 第三十九条第二項、第七十八条及第二百五十八条ノ規定ハ代表取締役ニ之ヲ準用ス
第二百六十二条 社長、副社長、専務取締役、常務取締役其ノ他会社ヲ代表スル権限ヲ有スルモノト認ムベキ名称ヲ附シタル取締役ノ為シタル行為ニ付テハ会社ハ其ノ者ガ代表権ヲ有セザル場合ト雖モ善意ノ第三者ニ対シテ其ノ責ニ任ズ
第二百六十三条 取締役ハ定款ヲ本店及支店ニ、株主名簿、端株原簿及社債原簿ヲ本店ニ備置クコトヲ要ス名義書換代理人ヲ置キタルトキハ株主名簿若ハ社債原簿若ハ其ノ複本又ハ端株原簿ヲ名義書換代理人ノ営業所ニ備置クコトヲ得
○2 株主及会社ノ債権者ハ営業時間内何時ニテモ前項ニ掲グル書類ノ閲覧又ハ謄写ヲ求ムルコトヲ得
○3 端株主ハ営業時間内何時ニテモ定款及端株原簿ノ閲覧又ハ謄写ヲ求ムルコトヲ得
○4 親会社ノ株主ハ其ノ権利ヲ行使スル為必要アルトキハ裁判所ノ許可ヲ得テ子会社ノ第一項ニ掲グル書類(子会社ガ有限会社ナルトキハ有限会社法第二十八条第一項 ニ掲グル書類)ノ閲覧又ハ謄写ヲ求ムルコトヲ得
第二百六十四条 取締役ガ自己又ハ第三者ノ為ニ会社ノ営業ノ部類ニ属スル取引ヲ為スニハ取締役会ニ於テ其ノ取引ニ付重要ナル事実ヲ開示シ其ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス
○2 前項ノ取引ヲ為シタル取締役ハ遅滞ナク其ノ取引ニ付重要ナル事実ヲ取締役会ニ報告スルコトヲ要ス
○3 取締役ガ第一項ノ規定ニ違反シテ自己ノ為ニ取引ヲ為シタルトキハ取締役会ハ之ヲ以テ会社ノ為ニ為シタルモノト看做スコトヲ得
○4 前項ニ定ムル権利ハ取引ノ時ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ消滅ス
第二百六十五条 取締役ガ会社ノ製品其ノ他ノ財産ヲ譲受ケ会社ニ対シ自己ノ製品其ノ他ノ財産ヲ譲渡シ会社ヨリ金銭ノ貸付ヲ受ケ其ノ他自己又ハ第三者ノ為ニ会社ト取引ヲ為スニハ取締役会ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス会社ガ取締役ノ債務ヲ保証シ其ノ他取締役以外ノ者トノ間ニ於テ会社ト取締役トノ利益相反スル取引ヲ為ストキ亦同ジ
○2 前項前段ノ承認アリタル場合ニ於テハ民法第百八条 ノ規定ヲ適用セズ
○3 前条第二項ノ規定ハ第一項ノ取引ヲ為シタル取締役ニ之ヲ準用ス
第二百六十六条 左ノ場合ニ於テハ其ノ行為ヲ為シタル取締役ハ会社ニ対シ連帯シテ第一号ニ在リテハ違法ニ配当又ハ分配ノ為サレタル額、第二号ニ在リテハ供与シタル利益ノ価額、第三号ニ在リテハ未ダ弁済ナキ額、第四号及第五号ニ在リテハ会社ガ蒙リタル損害額ニ付弁済又ハ賠償ノ責ニ任ズ
一 第二百九十条第一項ノ規定ニ違反スル利益ノ配当ニ関スル議案ヲ総会ニ提出シ又ハ第二百九十三条ノ五第三項ノ規定ニ違反スル金銭ノ分配ヲ為シタルトキ
二 第二百九十四条ノ二第一項ノ規定ニ違反シテ財産上ノ利益ヲ供与シタルトキ
三 他ノ取締役ニ対シ金銭ノ貸付ヲ為シタルトキ
四 前条第一項ノ取引ヲ為シタルトキ
五 法令又ハ定款ニ違反スル行為ヲ為シタルトキ
○2 前項ノ行為ガ取締役会ノ決議ニ基キテ為サレタルトキハ其ノ決議ニ賛成シタル取締役ハ其ノ行為ヲ為シタルモノト看做ス
○3 前項ノ決議ニ参加シタル取締役ニシテ議事録ニ異議ヲ止メザリシ者ハ其ノ決議ニ賛成シタルモノト推定ス
○4 取締役ガ第二百六十四条第一項ノ規定ニ違反シテ取引ヲ為シタルトキハ其ノ取引ニ因リ取締役又ハ第三者ガ得タル利益ノ額ハ第一項ノ会社ノ蒙リタル損害額ト推定ス但シ同条第三項ニ定ムル権利ヲ行使シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○5 第一項ノ取締役ノ責任ハ総株主ノ同意アルニ非ザレバ之ヲ免除スルコトヲ得ズ
○6 第一項第四号ノ取引ニ関スル取締役ノ責任ハ前項ノ規定ニ拘ラズ発行済株式ノ総数ノ三分ノ二以上ノ多数ヲ以テ之ヲ免除スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ取締役ハ株主総会ニ於テ其ノ取引ニ付重要ナル事実ヲ開示スルコトヲ要ス
第二百六十六条ノ二 前条第一項ノ規定ハ同項第一号ノ場合ニ於テ同項ノ金額ニ付弁済ヲ為シタル取締役ヨリ悪意ノ株主ニ対スル求償権ノ行使ヲ妨ゲズ
第二百六十六条ノ三 取締役ガ其ノ職務ヲ行フニ付悪意又ハ重大ナル過失アリタルトキハ其ノ取締役ハ第三者ニ対シテモ亦連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
○2 取締役ガ株式申込証、新株引受権証書、社債申込証、目論見書若ハ第二百八十一条第一項ノ書類ニ記載スベキ重要ナル事項ニ付虚偽ノ記載ヲ為シ又ハ虚偽ノ登記若ハ公告ヲ為シタルトキ亦前項ニ同ジ但シ取締役ガ其ノ記載、登記又ハ公告ヲ為スニ付注意ヲ怠ラザリシコトヲ証明シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○3 第二百六十六条第二項及第三項ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二百六十七条 六月前ヨリ引続キ株式ヲ有スル株主ハ会社ニ対シ書面ヲ以テ取締役ノ責任ヲ追及スル訴ノ提起ヲ請求スルコトヲ得
○2 会社ガ前項ノ請求アリタル日ヨリ三十日内ニ訴ヲ提起セザルトキハ前項ノ株主ハ会社ノ為訴ヲ提起スルコトヲ得
○3 前項ニ定ムル期間ノ経過ニ因リテ会社ニ回復スベカラザル損害ヲ生ズル虞アル場合ニ於テハ前二項ノ規定ニ拘ラズ第一項ノ株主ハ直ニ前項ノ訴ヲ提起スルコトヲ得
○4 前二項ノ訴ハ訴訟ノ目的ノ価額ノ算定ニ付テハ財産権上ノ請求ニ非ザル請求ニ係ル訴ト看做ス
○5 株主ガ第二項又ハ第三項ノ訴ヲ提起シタルトキハ裁判所ハ被告ノ請求ニ依リ相当ノ担保ヲ供スベキコトヲ命ズルコトヲ得
○6 第百六条第二項ノ規定ハ前項ノ請求ニ之ヲ準用ス
第二百六十八条 取締役ノ責任ヲ追及スル訴ハ本店ノ所在地ノ地方裁判所ノ管轄ニ専属ス
○2 株主又ハ会社ハ前項ノ訴訟ニ参加スルコトヲ得但シ不当ニ訴訟ヲ遅延セシメ又ハ裁判所ノ負担ヲ著シク大ナラシムルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○3 前条第二項ノ訴ヲ提起シタル株主ハ訴ノ提起アリタル後遅滞ナク会社ニ対シ其ノ訴訟ノ告知ヲ為スコトヲ要ス
第二百六十八条ノ二 第二百六十七条第二項又ハ第三項ノ訴ヲ提起シタル株主ガ勝訴シタル場合ニ於テ其ノ訴訟ヲ行フニ必要ト認ムベキ費用ニシテ訴訟費用ニ非ザルモノヲ支出シタルトキ又ハ弁護士ニ報酬ヲ支払フベキトキハ株主ハ会社ニ対シ其ノ費用ノ額ノ範囲内又ハ其ノ報酬額ノ範囲内ニ於テ相当ナル額ノ支払ヲ請求スルコトヲ得
○2 株主ガ敗訴シタル場合ニ於テハ悪意アリタルトキニ非ザレバ会社ニ対シ損害賠償ノ責ニ任ゼズ
○3 前二項ノ規定ハ前条第二項ノ規定ニ依リテ訴訟ニ参加シタル株主ニ之ヲ準用ス
第二百六十八条ノ三 第二百六十八条第一項ノ訴ノ提起アリタル場合ニ於テ原告及被告ノ共謀ニ因リ訴訟ノ目的タル会社ノ権利ヲ詐害スル目的ヲ以テ判決ヲ為サシメタルトキハ会社又ハ株主ハ確定ノ終局判決ニ対シ再審ノ訴ヲ以テ不服ヲ申立ツルコトヲ得
○2 前条ノ規定ハ前項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第二百六十九条 取締役ガ受クベキ報酬ハ定款ニ其ノ額ヲ定メザリシトキハ株主総会ノ決議ヲ以テ之ヲ定ム
第二百七十条 削除
第二百七十一条 第七十条ノ二ノ規定ハ取締役ノ職務代行者ニ之ヲ準用ス
第二百七十二条 取締役ガ会社ノ目的ノ範囲内ニ在ラザル行為其ノ他法令又ハ定款ニ違反スル行為ヲ為シ之ニ因リ会社ニ回復スベカラザル損害ヲ生ズル虞アル場合ニ於テハ六月前ヨリ引続キ株式ヲ有スル株主ハ会社ノ為取締役ニ対シ其ノ行為ヲ止ムベキコトヲ請求スルコトヲ得
第三款 監査役
第二百七十三条 監査役ノ任期ハ就任後三年内ノ最終ノ決算期ニ関スル定時総会ノ終結ノ時迄トス
○2 最初ノ監査役ノ任期ハ前項ノ規定ニ拘ラズ就任後一年内ノ最終ノ決算期ニ関スル定時総会ノ終結ノ時迄トス
○3 前二項ノ規定ハ定款ヲ以テ任期ノ満了前ニ退任シタル監査役ノ補欠トシテ選任セラレタル監査役ノ任期ヲ退任シタル監査役ノ任期ノ満了スベキ時迄ト為スコトヲ妨ゲズ
第二百七十四条 監査役ハ取締役ノ職務ノ執行ヲ監査ス
○2 監査役ハ何時ニテモ取締役及支配人其ノ他ノ使用人ニ対シ営業ノ報告ヲ求メ又ハ会社ノ業務及財産ノ状況ヲ調査スルコトヲ得
第二百七十四条ノ二 取締役ハ会社ニ著シキ損害ヲ及ボス虞アル事実ヲ発見シタルトキハ直ニ監査役ニ之ヲ報告スルコトヲ要ス
第二百七十四条ノ三 親会社ノ監査役ハ其ノ職務ヲ行フ為必要アルトキハ子会社ニ対シ営業ノ報告ヲ求メ又ハ子会社ノ業務及財産ノ状況ヲ調査スルコトヲ得
○2 子会社ハ正当ノ理由アルトキハ前項ノ規定ニ依ル報告又ハ調査ヲ拒ムコトヲ得
第二百七十五条 監査役ハ取締役ガ株主総会ニ提出セントスル議案及書類ヲ調査シ法令若ハ定款ニ違反シ又ハ著シク不当ナル事項アリト認ムルトキハ株主総会ニ其ノ意見ヲ報告スルコトヲ要ス
第二百七十五条ノ二 取締役ガ会社ノ目的ノ範囲内ニ在ラザル行為其ノ他法令又ハ定款ニ違反スル行為ヲ為シ之ニ因リ会社ニ著シキ損害ヲ生ズル虞アル場合ニ於テハ監査役ハ取締役ニ対シ其ノ行為ヲ止ムベキコトヲ請求スルコトヲ得
○2 裁判所ハ仮処分ヲ以テ取締役ニ対シ其ノ行為ヲ止ムベキコトヲ命ズルニハ担保ヲ立テシムルコトヲ要セズ
第二百七十五条ノ三 監査役ハ株主総会ニ於テ監査役ノ選任又ハ解任ニ付意見ヲ述ブルコトヲ得
第二百七十五条ノ四 会社ガ取締役ニ対シ又ハ取締役ガ会社ニ対シ訴ヲ提起スル場合ニ於テハ其ノ訴ニ付テハ監査役会社ヲ代表ス会社ガ第二百六十七条第一項ノ請求ヲ受クルニ付亦同ジ
第二百七十六条 監査役ハ会社又ハ子会社ノ取締役又ハ支配人其ノ他ノ使用人ヲ兼ヌルコトヲ得ズ
第二百七十七条 監査役ガ其ノ任務ヲ怠リタルトキハ其ノ監査役ハ会社ニ対シ連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
第二百七十八条 監査役ガ会社又ハ第三者ニ対シテ損害賠償ノ責ニ任ズベキ場合ニ於テ取締役モ亦其ノ責ニ任ズベキトキハ其ノ監査役及取締役ハ之ヲ連帯債務者トス
第二百七十九条 監査役ノ報酬ハ定款ニ其ノ額ヲ定メザリシトキハ株主総会ノ決議ヲ以テ之ヲ定ム
○2 監査役数人アル場合ニ於テ各監査役ノ受クベキ報酬ノ額ニ付定款ノ定又ハ総会ノ決議ナキトキハ其ノ額ハ前項ノ報酬ノ範囲内ニ於テ監査役ノ協議ヲ以テ之ヲ定ム
○3 第二百七十五条ノ三ノ規定ハ第一項ノ報酬ニ之ヲ準用ス
第二百七十九条ノ二 監査役ガ職務ノ執行ニ付費用ノ前払ヲ請求シタルトキハ会社ハ其ノ費用ガ監査役ノ職務ノ執行ニ必要ナラザルコトヲ証明スルニ非ザレバ之ヲ拒ムコトヲ得ズ監査役ガ職務ノ執行ニ付費用ノ支出ヲ為シタル場合ニ於テ其ノ費用及支出ノ日以後ニ於ケル其ノ利息ノ償還ヲ請求シタルトキ又ハ債務ヲ負担シタル場合ニ於テ其ノ債務ヲ自己ニ代ハリテ弁済スベキコト、若シ其ノ債務ガ弁済期ニ在ラザルトキハ相当ノ担保ヲ供スベキコトヲ請求シタルトキ亦同ジ
第二百八十条 第二百五十四条、第二百五十四条ノ二、第二百五十六条ノ二、第二百五十七条、第二百五十八条、第二百六十六条第五項、第二百六十六条ノ三第一項及第二百六十七条乃至第二百六十八条ノ三ノ規定ハ監査役ニ之ヲ準用ス
○2 第二百六十六条ノ三第二項ノ規定ハ監査役ガ監査報告書ニ記載スベキ重要ナル事項ニ付虚偽ノ記載ヲ為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第三節ノ二 新株ノ発行
第二百八十条ノ二 会社ノ成立後株式ヲ発行スル場合ニ於テハ左ノ事項ニシテ定款ニ定ナキモノハ取締役会之ヲ決ス但シ本法ニ別段ノ定アルトキ又ハ定款ヲ以テ株主総会ガ之ヲ決スル旨ヲ定メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 新株ノ額面無額面ノ別、種類及数
二 新株ノ発行価額及払込期日
三 現物出資ヲ為ス者ノ氏名、出資ノ目的タル財産、其ノ価格並ニ之ニ対シテ与フル株式ノ額面無額面ノ別、種類及数
四 新株ノ発行価額中資本ニ組入レザル額
五 株主ニ新株ノ引受権ヲ与フル旨並ニ引受権ノ目的タル株式ノ額面無額面ノ別、種類、数及発行価額
六 前号ノ引受権ヲ譲渡スコトヲ得ベキコト
七 株主ノ請求アルトキニ限リ新株引受権証書ヲ発行スベキコト及其ノ請求ヲ為スコトヲ得ベキ期間
八 株主以外ノ者ニシテ之ニ対シ特ニ有利ナル発行価額ヲ以テ新株ヲ発行スベキモノ並ニ之ニ対シ発行スル株式ノ額面無額面ノ別、種類、数及発行価額
九 第二百八十条ノ九ノ二第一項ノ規定ニ依リ新株ノ発行価額ノ一部ノ払込ヲ要セザルモノト為ス旨及発行価額中払込ヲ為サシムル金額
○2 株主以外ノ者ニ対シ特ニ有利ナル発行価額ヲ以テ新株ヲ発行スルニハ定款ニ之ニ関スル定アルトキト雖モ其ノ者ニ対シ発行スルコトヲ得ベキ株式ノ額面無額面ノ別、種類、数及最低発行価額ニ付第三百四十三条ニ定ムル決議アルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ取締役ハ株主総会ニ於テ株主以外ノ者ニ対シ特ニ有利ナル発行価額ヲ以テ新株ヲ発行スルコトヲ必要トスル理由ヲ開示スルコトヲ要ス
○3 前項ノ場合ニ於ケル議案ノ要領ハ第二百三十二条ニ定ムル通知ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
○4 第二項ノ決議ハ決議後最初ニ発行スル新株ニシテ其ノ日ヨリ六月内ニ払込ヲ為スベキモノニ付テノミ其ノ効力ヲ有ス
第二百八十条ノ三 株式ノ発行価額其ノ他発行ノ条件ハ発行毎ニ之ヲ均等ニ定ムルコトヲ要ス
第二百八十条ノ三ノ二 会社ハ払込期日ノ二週間前ニ新株ノ額面無額面ノ別、種類、数、発行価額、払込期日及募集ノ方法ヲ公告シ又ハ株主ニ通知スルコトヲ要ス
第二百八十条ノ三ノ三 前二条ノ規定ハ第二百八十条ノ二第一項第五号ノ新株ノ引受権ノ目的タル株式及同条第二項ノ決議アリタル株式ニ付テハ之ヲ適用セズ
○2 前条ノ規定ハ次条第一項但書ノ端数ノ合計数ニ相当スル株式及新株ノ引受権ヲ有スル者ガ第二百八十条ノ五第四項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ失ヒタル株式ニ付テハ之ヲ適用セズ
第二百八十条ノ四 新株ノ引受権ヲ有スル株主ハ其ノ有スル株式ノ数ニ応ジテ新株ノ割当ヲ受クル権利ヲ有ス但シ一株ノ百分ノ一ニ満タザル端数ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
○2 株主ガ新株ノ引受権ヲ有スベキ場合ニ於テハ会社ハ一定ノ日ヲ定メ其ノ日ニ於テ株主名簿ニ記載アル株主ガ前項ノ権利ヲ有スベキ旨及新株ノ引受権ヲ譲渡スコトヲ得ベキトキハ其ノ旨ヲ其ノ日ノ二週間前、若シ其ノ日ガ第二百二十四条ノ三第一項ノ期間中ナルトキハ其ノ期間ノ初日ノ二週間前ニ公告スルコトヲ要ス
第二百八十条ノ五 株主ガ新株ノ引受権ヲ有スル場合ニ於テハ各株主ニ対シ其ノ者ガ引受権ヲ有スル株式ノ額面無額面ノ別、種類及数、一定ノ期日迄ニ株式ノ申込ヲ為サザルトキハ其ノ権利ヲ失フベキ旨並ニ第二百八十条ノ二第一項第六号及第七号ニ掲グル事項ノ定アルトキハ其ノ内容ヲ通知スルコトヲ要ス
○2 会社ガ端株券ヲ発行シタル場合ニ於テ端株券ヲ所持スル者ニ対シ新株ノ引受権ヲ与フル旨ノ定款ノ定アルトキハ前項ニ掲グル事項ヲ公告スルコトヲ要ス
○3 前二項ノ通知又ハ公告ハ第一項ノ期日ノ二週間前ニ之ヲ為スコトヲ要ス
○4 会社ガ通知又ハ公告ヲ為シタルモ新株ノ引受権ヲ有スル者ガ期日迄ニ株式ノ申込ヲ為サザルトキハ其ノ権利ヲ失フ
第二百八十条ノ五ノ二 株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定款ノ定アル場合ニ於テハ株主ハ新株ノ引受権ヲ有ス但シ株主以外ノ者ニ対シ発行スルコトヲ得ベキ株式ノ額面無額面ノ別、種類及数ニ付第三百四十三条ニ定ムル決議アリタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 第二百八十条ノ二第三項及第四項ノ規定ハ前項但書ノ決議ニ之ヲ準用ス
第二百八十条ノ六 株式申込証ハ取締役之ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 第百六十六条第一項第二号及第三号ニ掲グル事項
二 発行済株式ノ総数、額面無額面ノ別、種類及数並ニ資本ノ額
三 第二百八十条ノ二第一項第一号乃至第四号及第九号ニ掲グル事項
四 新株ガ額面株式ナルトキハ一株ノ金額
五 第百七十五条第二項第四号乃至第六号、第十号及第十二号ニ掲グル事項
第二百八十条ノ六ノ二 第二百八十条ノ二第一項第六号ニ掲グル事項ノ定アル場合ニ於テハ会社ハ同項第七号ニ掲グル事項ノ定アルトキハ其ノ定ニ従ヒ、其ノ定ナキトキハ第二百八十条ノ五第一項ノ期日ノ二週間前ニ新株引受権証書ヲ発行スルコトヲ要ス
○2 新株引受権証書ニハ左ノ事項及番号ヲ記載シ取締役之ニ署名スルコトヲ要ス
一 新株引受権証書ナル旨ノ表示
二 前条ニ掲グル事項
三 新株ノ引受権ノ目的タル株式ノ額面無額面ノ別、種類及数
四 一定ノ期日迄ニ株式ノ申込ヲ為サザルトキハ其ノ権利ヲ失フベキ旨
第二百八十条ノ六ノ三 新株ノ引受権ヲ譲渡スニハ新株引受権証書ヲ交付スルコトヲ要ス
○2 第二百五条第二項及小切手法第二十一条 ノ規定ハ新株引受権証書ニ之ヲ準用ス
第二百八十条ノ六ノ四 新株引受権証書ヲ発行シタル場合ニ於テハ株式ノ申込ハ新株引受権証書ニ依リテ之ヲ為ス此ノ場合ニ於テハ第百七十五条第一項及第三項ノ規定ヲ準用ス
○2 新株引受権証書ヲ喪失シタル者ハ株式申込証ニ依リ株式ノ申込ヲ為スコトヲ得但シ其ノ申込ハ新株引受権証書ニ依ル申込アリタルトキハ其ノ効力ヲ失フ
第二百八十条ノ七 新株ノ引受人ハ払込期日ニ各株ニ付其ノ発行価額又ハ第二百八十条ノ二第一項第九号ノ金額ノ全額ノ払込ヲ為スコトヲ要ス
第二百八十条ノ八 現物出資ヲ為ス者アル場合ニ於テハ取締役ハ第二百八十条ノ二第一項第三号ニ掲グル事項ヲ調査セシムル為検査役ノ選任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ要ス但シ現物出資ヲ為ス者ニ対シテ与フル株式ノ総数ガ発行済株式ノ総数ノ十分ノ一ヲ超エズ且新ニ発行スル株式ノ数ノ五分ノ一ヲ超エザルトキ又ハ現物出資ノ目的タル財産ノ価格ノ総額ガ五百万円ヲ超エザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 第百七十三条第二項後段及第三項ノ規定ハ前項本文ノ場合ニ之ヲ準用ス
○3 裁判所ハ検査役ノ報告ヲ聴キ第一項ニ掲グル事項ヲ不当ト認メタルトキハ之ニ変更ヲ加ヘテ取締役及現物出資ヲ為ス者ニ通告スルコトヲ得
○4 現物出資ヲ為ス者前項ノ変更ニ服セザルトキハ其ノ引受ヲ取消スコトヲ得
○5 通告後二週間内ニ前項ノ取消ナキトキハ第一項ノ事項ハ通告ニ従ヒ変更セラレタルモノト看做ス
第二百八十条ノ九 払込又ハ現物出資ノ給付ヲ為シタル新株ノ引受人ハ払込期日ノ翌日ヨリ株主トナル
○2 新株ノ引受人ガ払込期日迄ニ払込又ハ現物出資ノ給付ヲ為サザルトキハ其ノ権利ヲ失フ
○3 前項ノ規定ハ新株ノ引受人ニ対スル損害賠償ノ請求ヲ妨ゲズ
第二百八十条ノ九ノ二 利益若ハ準備金ヲ資本ニ組入レタル会社又ハ額面株式ノ発行ニ際シ其ノ発行価額中券面額ヲ超エテ資本ニ組入レタルモノアル会社ガ券面額ヲ発行価額トシテ額面株式ヲ発行スル場合ニ於テ株主ニ新株ノ引受権ヲ与ヘ且其ノ引受権ヲ譲渡スコトヲ得ベキモノト定ムルトキハ資本ニ組入レタル利益ノ額若ハ準備金ノ額又ハ券面額ヲ超ユル部分ノ組入額ノ総額ヲ新株ノ数ヲ以テ除シタル額ヲ超エザル範囲内ニ於テ発行価額ノ一部ノ払込ヲ要セザルモノト為スコトヲ得此ノ場合ニ於テ最終ノ貸借対照表ニ依リ会社ニ現存スル純資産額ニ払込ヲ為サシムル金額ノ総額ヲ加ヘタル額ヲ発行済株式ノ総数ニ新株ノ数ヲ加ヘタル数ヲ以テ除シタル額ハ五万円ヲ下ルコトヲ得ズ
○2 前項ノ規定ニ依リ発行価額ノ一部ノ払込ヲ要セザル株式ヲ発行シタル場合ニ於テ第二百八十条ノ三ノ三第二項ノ株式アルトキハ会社ハ其ノ株式ニ付株主ヲ募集スルコトヲ要ス
○3 第二百八十条ノ四第一項但書ノ端数ノ合計数ニ相当スル株式ニ付テハ前項ノ規定ニ拘ラズ株主ヲ募集セズ取締役会ノ決議ヲ以テ株主ガ新株ノ引受権ヲ有スルモノト看做シテ之ヲ売却スルコトヲ得
○4 第二項ノ株式ノ発行価額ニ付テハ第二百二条第二項ノ規定ハ之ヲ適用セズ但シ其ノ発行価額ハ第二百八十条ノ二第一項第九号ノ金額ヲ下ルコトヲ得ズ
○5 会社ハ第二項ノ株式ノ発行価額ト第二百八十条ノ二第一項第九号ノ金額トノ差額及第三項ノ売却ノ代金ノ合計額ヲ第二百八十条ノ四第一項但書ノ端数ニ相当スル株式ヲ有スル株主及第二百八十条ノ五第四項ノ規定ニ依リ新株ノ引受権ヲ失ヒタル者ニ夫々其ノ端数及新株ノ数ニ応ジテ交付スルコトヲ要ス
第二百八十条ノ十 会社ガ法令若ハ定款ニ違反シ又ハ著シク不公正ナル方法ニ依リテ株式ヲ発行シ之ニ因リ株主ガ不利益ヲ受クル虞アル場合ニ於テハ其ノ株主ハ会社ニ対シ其ノ発行ヲ止ムベキコトヲ請求スルコトヲ得
第二百八十条ノ十一 取締役ト通ジテ著シク不公正ナル発行価額ヲ以テ株式ヲ引受ケタル者ハ会社ニ対シ公正ナル発行価額トノ差額ニ相当スル金額ノ支払ヲ為ス義務ヲ負フ
○2 第二百六十七条乃至第二百六十八条ノ三ノ規定ハ前項ノ支払ヲ求ムル訴ニ之ヲ準用ス
第二百八十条ノ十二 新株ヲ引受ケタル者ハ新株発行ニ因ル変更ノ登記ノ日ヨリ一年ヲ経過シタル後ハ錯誤若ハ株式申込証若ハ新株引受権証書ノ要件ノ欠缺ヲ理由トシテ其ノ引受ノ無効ヲ主張シ又ハ詐欺若ハ強迫ヲ理由トシテ其ノ引受ヲ取消スコトヲ得ズ其ノ株式ニ付株主ノ権利ヲ行使シタルトキ亦同ジ
第二百八十条ノ十三 新株発行ニ因ル変更ノ登記アリタルニ拘ラズ仍引受ナキ株式アルトキハ取締役ハ共同シテ之ヲ引受ケタルモノト看做ス株式ノ申込ガ取消サレタルトキ亦同ジ
○2 前項ノ規定ハ取締役ニ対スル損害賠償ノ請求ヲ妨ゲズ
第二百八十条ノ十三ノ二 現物出資ノ目的タル財産ノ新株発行当時ニ於ケル実価ガ取締役会ノ決議ニ依リ定メタル価格ニ著シク不足スルトキハ其ノ決議ニ賛成シタル取締役ハ会社ニ対シ連帯シテ其ノ不足額ヲ支払フ義務ヲ負フ現物出資ノ目的タル財産ノ価格ヲ株主総会ノ決議ニ依リ定メタル場合ニ於テ其ノ財産ノ新株発行当時ニ於ケル実価ガ決議ニ依リ定メタル価格ニ著シク不足スルトキハ現物出資ニ関スル議案ヲ総会ニ提出シタル取締役ハ議案ニ掲ゲタル財産ノ価格ト実価トノ差額ヲ限度トシテ会社ニ対シ連帯シテ其ノ不足額ヲ支払フ義務ヲ負フ
○2 現物出資ノ目的タル財産ノ価格ヲ株主総会ノ決議ニ依リ定メタル場合ニ於テ其ノ財産ノ新株発行当時ニ於ケル実価ガ決議ニ依リ定メタル価格ニ著シク不足スルトキハ現物出資ニ関スル議案ヲ総会ニ提出シタル取締役ハ議案ニ掲ゲタル財産ノ価格ト実価トノ差額ヲ限度トシテ会社ニ対シ連帯シテ其ノ不足額ヲ支払フ義務ヲ負フ
○3 第二百六十六条第三項ノ規定ハ第一項ノ場合ニ、同条第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
○4 第二百八十条ノ二第一項第三号ニ掲グル事項ニ付検査役ノ調査ヲ受ケタルトキハ其ノ財産ノ現物出資者ニ非ザル取締役ハ前三項ノ規定ニ拘ラズ其ノ財産ニ付第一項及第二項ノ義務ヲ負フコトナシ
○5 前条第二項ノ規定ハ第一項及第二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二百八十条ノ十四 第百七十五条第一項第三項乃至第五項、第百七十六条、第百七十七条第二項第三項、第百七十八条、第百八十九条及第百九十条ノ規定ハ新株ノ発行ノ場合ニ之ヲ準用ス
○2 第百七十五条第四項及第百七十七条第二項ノ規定ハ新株引受権証書ヲ発行スル場合ニ之ヲ準用ス
第二百八十条ノ十五 新株発行ノ無効ハ発行ノ日ヨリ六月内ニ訴ヲ以テノミ之ヲ主張スルコトヲ得
○2 前項ノ訴ハ株主、取締役又ハ監査役ニ限リ之ヲ提起スルコトヲ得
第二百八十条ノ十六 第八十八条、第百五条第二項乃至第四項、第百九条、第百三十七条及第二百四十九条ノ規定ハ前条ノ訴ニ之ヲ準用ス
第二百八十条ノ十七 新株発行ヲ無効トスル判決ガ確定シタルトキハ新株ハ将来ニ向テ其ノ効力ヲ失フ
○2 前項ノ場合ニ於テハ会社ハ遅滞ナク其ノ旨及一定ノ期間内ニ株券及端株券ヲ会社ニ提出スベキ旨ヲ公告シ且株主及株主名簿ニ記載アル質権者ニハ各別ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス但シ其ノ期間ハ三月ヲ下ルコトヲ得ズ
第二百八十条ノ十八 前条第一項ノ場合ニ於テハ会社ハ新株ノ株主ニ対シ其ノ払込ミタル金額ノ支払ヲ為スコトヲ要ス
○2 前項ノ金額ガ前条第一項ノ判決確定ノ時ニ於ケル会社財産ノ状況ニ照シ著シク不相当ナルトキハ裁判所ハ会社又ハ前項ノ株主ノ請求ニ依リ前項ノ金額ノ増減ヲ命ズルコトヲ得
○3 第二百八条及第二百九条第一項第二項ノ規定ハ第一項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三節ノ三 取締役又ハ使用人ニ対スル新株ノ引受権ノ付与
第二百八十条ノ十九 会社ハ定款ニ定アル場合ニ限り正当ノ理由アルトキハ取締役又ハ使用人ニ新株ノ引受権ヲ与フルコトヲ得
○2 前項ノ場合ニ於テハ定款ニ之ニ関スル定アルトキト雖モ新株ノ引受権ヲ与フベキ取締役又ハ使用人ノ氏名、其ノ者ニ与フベキ新株ノ引受権ノ目的タル株式ノ額面無額面ノ別、種類、数及発行価額並ニ新株ノ引受権ヲ行使スルコトヲ得ベキ期間並ニ新株ノ引受権ノ行使ニ付テノ条件ニ付第三百四十三条ニ定ムル決議アルコトヲ要ス
○3 前項ノ決議ニ依リ定ムル新株ノ引受権ノ目的タル株式ノ総数ハ其ノ決議ヨリ前ニ為サレタル同項ノ規定ニ基ク決議ニ依リ定メタル新株ノ引受権ノ目的タル株式ニシテ未ダ発行セラレザルモノ及第二百十条ノ二第二項第三号ニ定ムル場合ニ於ケル同項ノ決議ニ係ル譲渡スベキ株式ニシテ未ダ取締役又ハ使用人ニ譲渡サザルモノノ数ト併セテ発行済株式ノ総数ノ十分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ズ
○4 第二項ノ期間ノ終期ハ同項ノ決議ノ日ヨリ十年ヲ経過スル日後ノ日ト為スコトヲ得ズ
○5 第二項ノ決議ハ決議後一年内ニ与フル新株ノ引受権ニ付テノミ其ノ効力ヲ有ス
○6 第二百十条ノ二第二項後段及第八項前段ノ規定ハ第二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二百八十条ノ二十 新株ノ引受権ハ之ヲ譲渡スコトヲ得ズ
第二百八十条ノ二十一 第二百八十条ノ十九第二項ノ決議ヲ為シタルトキハ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ新株ノ引受権ノ行使ニ因リ発行スベキ株式ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
○2 前項ノ登記ニ在リテハ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一 新株ノ引受権ノ目的タル株式ノ額面無額面ノ別、種類、数及発行価額
二 新株ノ引受権ヲ行使スルコトヲ得ベキ期間
○3 第六十七条ノ規定ハ第一項ノ登記ニ之ヲ準用ス
第二百八十条ノ二十二 新株ノ引受権ヲ行使スル者ハ請求書ヲ会社ニ提出シ且新株ノ発行価額ノ全額ノ払込ヲ為スコトヲ要ス
○2 前項ノ払込ハ会社ガ払込ヲ取扱フベキモノトシテ定メタル銀行又ハ信託会社ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
○3 第一項ノ規定ニ依リ新株ノ引受権ヲ行使シタル者ハ同項ノ払込ノ時ニ株主トナル
○4 第百七十五条第一項ノ規定ハ第一項ノ請求書ニ、第百八十九条ノ規定ハ第二項ノ払込ヲ取扱フ銀行又ハ信託会社ニ、第二百二十二条ノ二第三項ノ規定ハ第二百八十条ノ十九第二項ノ決議ヲ為シタル場合ニ、第二百二十二条ノ七及第三百四十一条ノ六ノ規定ハ新株ノ引受権ノ行使アリタル場合ニ、第二百八十条ノ二第一項第四号ノ規定ハ新株ノ引受権ヲ与フル場合ニ之ヲ準用ス
第四節 会社ノ計算
第二百八十一条 取締役ハ毎決算期ニ左ノ書類及其ノ附属明細書ヲ作リ取締役会ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス
一 貸借対照表
二 損益計算書
三 営業報告書
四 利益ノ処分又ハ損失ノ処理ニ関スル議案
○2 前項ノ書類ハ監査役ノ監査ヲ受クルコトヲ要ス
第二百八十一条ノ二 取締役ハ定時総会ノ会日ヨリ七週間前ニ前条第一項各号ニ掲グル書類ヲ監査役ニ提出スルコトヲ要ス
○2 取締役ハ前項ノ書類ヲ提出シタル日ヨリ三週間内ニ前条第一項ノ附属明細書ヲ監査役ニ提出スルコトヲ要ス
第二百八十一条ノ三 監査役ハ前条第一項ノ書類ヲ受領シタル日ヨリ四週間内ニ監査報告書ヲ取締役ニ提出スルコトヲ要ス
○2 前項ノ監査報告書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 監査ノ方法ノ概要
二 会計帳簿ニ記載スベキ事項ノ記載ナク若ハ不実ノ記載アルトキ又ハ貸借対照表若ハ損益計算書ノ記載ガ会計帳簿ノ記載ト合致セザルトキハ其ノ旨
三 貸借対照表及損益計算書ガ法令及定款ニ従ヒ会社ノ財産及損益ノ状況ヲ正シク示シタルモノナルトキハ其ノ旨
四 貸借対照表又ハ損益計算書ガ法令又ハ定款ニ違反シ会社ノ財産及損益ノ状況ヲ正シク示サザルモノナルトキハ其ノ旨及事由
五 貸借対照表又ハ損益計算書ノ作成ニ関スル会計方針ノ変更ガ相当ナルヤ否ヤ及其ノ理由
六 営業報告書ガ法令及定款ニ従ヒ会社ノ状況ヲ正シク示シタルモノナルヤ否ヤ
七 利益ノ処分又ハ損失ノ処理ニ関スル議案ガ法令及定款ニ適合スルヤ否ヤ
八 利益ノ処分又ハ損失ノ処理ニ関スル議案ガ会社財産ノ状況其ノ他ノ事情ニ照シ著シク不当ナルトキハ其ノ旨
九 第二百八十一条第一項ノ附属明細書ニ記載スベキ事項ノ記載ナク又ハ不実ノ記載若ハ会計帳簿、貸借対照表、損益計算書若ハ営業報告書ノ記載ト合致セザル記載アルトキハ其ノ旨
十 取締役ノ職務遂行ニ関シ不正ノ行為又ハ法令若ハ定款ニ違反スル重大ナル事実アリタルトキハ其ノ事実
十一 第二百七十四条ノ三第一項ノ規定ニ依リ子会社ニ対シ営業ノ報告ヲ求メ又ハ子会社ノ業務及財産ノ状況ヲ調査シタルトキハ其ノ方法及結果
十二 監査ノ為必要ナル調査ヲ為スコト能ハザリシトキハ其ノ旨及理由
第二百八十二条 取締役ハ定時総会ノ会日ノ二週間前ヨリ第二百八十一条第一項ノ書類及監査報告書ヲ五年間本店ニ、其ノ謄本ヲ三年間支店ニ備置クコトヲ要ス
○2 株主及会社ノ債権者ハ営業時間内何時ニテモ前項ニ掲グル書類ノ閲覧ヲ求メ又ハ会社ノ定メタル費用ヲ支払ヒテ其ノ謄本若ハ抄本ノ交付ヲ求ムルコトヲ得
○3 親会社ノ株主ハ其ノ権利ヲ行使スル為必要アルトキハ裁判所ノ許可ヲ得テ子会社ノ第一項ニ掲グル書類(子会社ガ有限会社ナルトキハ有限会社法第四十三条ノ二第一項 ニ掲グル書類)ノ閲覧ヲ求メ又ハ其ノ会社ノ定メタル費用ヲ支払ヒテ其ノ謄本若ハ抄本ノ交付ヲ求ムルコトヲ得
第二百八十三条 取締役ハ第二百八十一条第一項各号ニ掲グル書類ヲ定時総会ニ提出シテ同項第三号ニ掲グル書類ニ在リテハ其ノ内容ヲ報告シ、同項第一号、第二号及第四号ニ掲グル書類ニ在リテハ其ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
○2 定時総会ノ招集ノ通知ニハ第二百八十一条第一項各号ニ掲グル書類及監査報告書ノ謄本ヲ添附スルコトヲ要ス
○3 取締役ハ第一項ノ承認ヲ得タル後遅滞ナク貸借対照表又ハ其ノ要旨ヲ公告スルコトヲ要ス
第二百八十四条 削除
第二百八十四条ノ二 会社ノ資本ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外発行済株式ノ発行価額ノ総額トス
○2 株式ノ発行価額ノ二分ノ一ヲ超エザル額ハ資本ニ組入レザルコトヲ得但シ額面株式ニ付テハ券面額、会社ノ設立ニ際シテ発行スル無額面株式ニ付テハ五万円ヲ超ユル部分ニ限ル
○3 第二百八十条ノ九ノ二第二項ノ規定ニ依リ株主ヲ募集シタル株式ニ付テハ其ノ発行価額中第二百八十条ノ二第一項第九号ノ金額ヲ超ユル額ハ之ヲ資本ニ組入ルルコトヲ得ズ
○4 会社ノ資本ハ額面株式ヲ無額面株式ト為シ又ハ無額面株式ヲ額面株式ト為スコトニ因リテ変更セズ
第二百八十五条 会社ノ会計帳簿ニ記載スベキ財産ノ価額ニ付テハ第三十四条第二号ノ外第二百八十五条ノ二及第二百八十五条ノ四乃至第二百八十五条ノ七ノ規定ヲ適用ス
第二百八十五条ノ二 流動資産ニ付テハ其ノ取得価額又ハ製作価額ヲ附スルコトヲ要ス但シ時価ガ取得価額又ハ製作価額ヨリ著シク低キトキハ其ノ価格ガ取得価額又ハ製作価額迄回復スルト認メラルル場合ヲ除クノ外時価ヲ附スルコトヲ要ス
○2 前項ノ規定ハ時価ガ取得価額又ハ製作価額ヨリ低キトキハ時価ヲ附スルモノトスルコトヲ妨ゲズ
第二百八十五条ノ三 削除
第二百八十五条ノ四 金銭債権ニ付テハ其ノ債権金額ヲ付スルコトヲ要ス但シ債権金額ヨリ高キ代金ニテ買入レタルトキハ相当ノ増額ヲ、債権金額ヨリ低キ代金ニテ買入レタルトキ其ノ他相当ノ理由アルトキハ相当ノ減額ヲ為スコトヲ得
○2 前項ノ場合ニ於テ金銭債権ニ付取立不能ノ虞アルトキハ取立ツルコト能ハザル見込額ヲ控除スルコトヲ要ス
○3 第一項ノ規定ニ拘ラズ市場価格アル金銭債権ニ付テハ時価ヲ付スルモノトスルコトヲ得
第二百八十五条ノ五 社債ニ付テハ其ノ取得価額ヲ附スルコトヲ要ス但シ其ノ取得価額ガ社債ノ金額ト異ナルトキハ相当ノ増額又ハ減額ヲ為スコトヲ得
○2 第二百八十五条ノ二第一項但書第二項及前条第三項ノ規定ハ市場価格アル社債ニ、同条第二項ノ規定ハ市場価格ナキ社債ニ之ヲ準用ス
○3 前二項ノ規定ハ国債、地方債其ノ他ノ債券ニ之ヲ準用ス
第二百八十五条ノ六 株式ニ付テハ其ノ取得価額ヲ附スルコトヲ要ス
○2 第二百八十五条ノ二第一項但書ノ規定ハ市場価格アル株式ニ、同条第二項及第二百八十五条ノ四第三項ノ規定ハ市場価格アル株式ニシテ子会社ノ株式以外ノモノニ之ヲ準用ス
○3 市場価格ナキ株式ニ付テハ其ノ発行会社ノ資産状態ガ著シク悪化シタルトキハ相当ノ減額ヲ為スコトヲ要ス
○4 第一項及前項ノ規定ハ有限会社ノ社員ノ持分其ノ他出資ニ因ル持分ニ之ヲ準用ス
第二百八十五条ノ七 暖簾ハ有償ニテ譲受ケ又ハ吸収分割若ハ合併ニ因リ取得シタル場合ニ限リ貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ取得価額ヲ付シ其ノ取得ノ後五年内ニ毎決算期ニ於テ均等額以上ノ償却ヲ為スコトヲ要ス
第二百八十六条 第百六十八条第一項第七号及第八号ノ規定ニ依リ支出シタル金額、同号但書ノ手数料及報酬トシテ支出シタル金額並ニ設立登記ノ為ニ支出シタル税額ハ之ヲ貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ会社成立ノ後、若シ開業前ニ利息ヲ配当スベキコトヲ定メタルトキハ其ノ配当ヲ止メタル後五年内ニ毎決算期ニ於テ均等額以上ノ償却ヲ為スコトヲ要ス
第二百八十六条ノ二 開業準備ノ為ニ支出シタル金額ハ之ヲ貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ開業ノ後五年内ニ毎決算期ニ於テ均等額以上ノ償却ヲ為スコトヲ要ス
第二百八十六条ノ三 左ノ目的ノ為ニ特別ニ支出シタル金額ハ之ヲ貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ支出ノ後五年内ニ毎決算期ニ於テ均等額以上ノ償却ヲ為スコトヲ要ス
一 新製品又ハ新技術ノ研究
二 新技術又ハ新経営組織ノ採用
三 資源ノ開発
四 市場ノ開拓
第二百八十六条ノ四 新株ヲ発行シタルトキハ其ノ発行ノ為ニ必要ナル費用ノ額ハ之ヲ貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ新株発行ノ後三年内ニ毎決算期ニ於テ均等額以上ノ償却ヲ為スコトヲ要ス
第二百八十六条ノ五 社債ヲ発行シタルトキハ其ノ発行ノ為ニ必要ナル費用ノ額ハ之ヲ貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ社債発行ノ後三年内ニ、若シ三年内ニ社債償還ノ期限ガ到来スルトキハ其ノ期限内ニ毎決算期ニ於テ均等額以上ノ償却ヲ為スコトヲ要ス
第二百八十七条 社債権者ニ償還スベキ金額ノ総額ガ社債ノ募集ニ依リテ得タル実額ヲ超ユルトキハ其ノ差額ハ之ヲ貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ社債償還ノ期限内ニ毎決算期ニ於テ均等額以上ノ償却ヲ為スコトヲ要ス
第二百八十七条ノ二 特定ノ支出又ハ損失ニ備フル為ノ引当金ハ其ノ営業年度ノ費用又ハ損失ト為スコトヲ相当トスル額ニ限リ之ヲ貸借対照表ノ負債ノ部ニ計上スルコトヲ得
第二百八十八条 会社ハ其ノ資本ノ四分ノ一ニ達スル迄ハ毎決算期ニ利益ノ処分トシテ支出スル金額ノ十分ノ一以上ヲ、第二百九十三条ノ五第一項ノ金銭ノ分配ヲ為ス毎ニ其ノ分配額ノ十分ノ一ヲ利益準備金トシテ積立ツルコトヲ要ス
第二百八十八条ノ二 左ニ掲グル金額ハ之ヲ資本準備金トシテ積立ツルコトヲ要ス
一 株式ノ発行価額中資本ニ組入レザル額
二 株式交換ヲ為シタル場合ニ於テ第三百五十七条前段ニ規定スル資本増加ノ限度額ガ完全親会社ノ増加シタル資本ノ額ヲ超ユルトキハ其ノ超過額
三 株式移転ヲ為シタル場合ニ於テ第三百六十七条前段ニ規定スル資本ノ限度額ガ設立シタル完全親会社ノ資本ノ額ヲ超ユルトキハ其ノ超過額
三ノ二 新設分割ヲ為シタル場合ニ於テ第三百七十四条ノ五前段ニ規定スル資本ノ限度額ガ分割ニ因リテ設立シタル会社ノ資本ノ額ヲ超ユルトキハ其ノ超過額
三ノ三 吸収分割ヲ為シタル場合ニ於テ第三百七十四条ノ二十一前段ニ規定スル資本増加ノ限度額ガ分割ニ因リテ営業ヲ承継シタル会社ノ増加シタル資本ノ額ヲ超ユルトキハ其ノ超過額
四 資本ノ減少ニ依リ減少シタル資本ノ額ガ株式ノ消却又ハ払戻ニ要シタル金額及欠損ノ填補ニ充テタル金額ヲ超ユルトキハ其ノ超過額
五 合併ニ因リ消滅シタル会社ヨリ承継シタル財産ノ価額ガ其ノ会社ヨリ承継シタル債務ノ額、其ノ会社ノ株主ニ支払ヒタル金額及第四百九条ノ二ノ規定ニ依リ其ノ会社ノ株主ニ移転シタル株式ニ付会計帳簿ニ記載シタル価額ノ合計額並ニ存続スル会社ノ増加シタル資本ノ額又ハ合併ニ因リ設立シタル会社ノ資本ノ額ヲ超ユルトキハ其ノ超過額
○2 第二百八十条ノ九ノ二第二項ノ規定ニ依リ株主ヲ募集シタル株式ニ付テハ前項第一号ノ額ハ之ヲ資本準備金ト為スコトヲ要セズ
○3 分割ニ因リテ設立シタル会社ガ分割ヲ為シタル会社ノ株主ニ対シ分割ニ際シテ発行スル株式ノ割当ヲ為シタル場合ニ於テハ第一項第三号ノ二ノ超過額中分割ヲ為シタル会社ノ利益準備金其ノ他会社ニ留保シタル利益ノ額ヲ超エザル金額ハ之ヲ資本準備金ト為サザルコトヲ得
○4 前項ノ場合ニ於テハ分割ヲ為ス会社ノ利益準備金其ノ他会社ニ留保シタル利益ノ額ヨリ同項ノ規定ニ依リ資本準備金ト為サザル金額ニ相当スル金額ヲ控除スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ分割ヲ為ス会社ノ利益準備金ヨリ控除スル金額ハ分割ニ因リテ設立シタル会社ノ利益準備金ト為ス額ヲ超ユルコトヲ得ズ
○5 分割ニ因リテ営業ヲ承継シタル会社ガ分割ヲ為シタル会社ノ株主ニ対シ分割ニ際シテ発行スル新株ノ割当ヲ為シタル場合ニ於テハ第一項第三号ノ三ノ超過額中分割ヲ為シタル会社ノ利益準備金其ノ他会社ニ留保シタル利益ノ額ヲ超エザル金額ハ之ヲ資本準備金ト為サザルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ前項ノ規定ヲ準用ス
○6 第一項第五号ノ超過額中合併ニ因リ消滅シタル会社ノ利益準備金其ノ他会社ニ留保シタル利益ノ額ニ相当スル金額ハ之ヲ資本準備金ト為サザルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ利益準備金ノ額ニ相当スル金額ハ之ヲ合併後存続スル会社又ハ合併ニ因リ設立シタル会社ノ利益準備金ト為スコトヲ要ス
第二百八十九条 前二条ノ準備金ハ資本ノ欠損ノ填補ニ充ツル場合ヲ除クノ外之ヲ使用スルコトヲ得ズ但シ第二百九十三条ノ三ニ規定スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
○2 利益準備金ヲ以テ資本ノ欠損ノ填補ニ充ツルモ仍不足スル場合ニ非ザレバ資本準備金ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得ズ
第二百九十条 利益ノ配当ハ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ左ノ金額ヲ控除シタル額ヲ限度トシテ之ヲ為スコトヲ得
一 資本ノ額
二 資本準備金及利益準備金ノ合計額
三 其ノ決算期ニ積立ツルコトヲ要スル利益準備金ノ額
四 第二百八十六条ノ二及第二百八十六条ノ三ノ規定ニ依リ貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上シタル金額ノ合計額ガ前二号ノ準備金ノ合計額ヲ超ユルトキハ其ノ超過額
五 第二百十条第五号ニ掲グル場合ニ於テ又ハ第二百十条ノ二第一項若ハ第二百十条ノ三第一項ノ規定ニ依リ取得シテ有スル株式ニ付貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上シタル金額ノ合計額
六 資産ニ付時価ヲ付スルモノトシタル場合(第二百八十五条ノ二第一項但書及第二項(此等ノ規定ヲ第二百八十五条ノ五第二項及第二百八十五条ノ六第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ場合ヲ除ク)ニ於テ其ノ付シタル時価ノ総額ガ其ノ取得価額ノ総額ヲ超ユルトキハ時価ヲ付シタルコトニ因リ増加シタル貸借対照表上ノ純資産額
○2 前項ノ規定ニ違反シテ配当ヲ為シタルトキハ会社ノ債権者ハ之ヲ返還セシムルコトヲ得
第二百九十一条 会社ノ目的タル事業ノ性質ニ依リ会社ノ成立後二年以上其ノ営業全部ノ開業ヲ為スコト能ハザルモノト認ムルトキハ会社ハ定款ヲ以テ一定ノ株式ニ付其ノ開業前一定ノ期間内一定ノ利息ヲ株主ニ配当スベキ旨ヲ定ムルコトヲ得
○2 前項ノ定款ノ規定又ハ其ノ変更ハ裁判所ノ認可ヲ得ルコトヲ要ス
○3 第一項ノ期間内ニ発行スル株式ニシテ利息ノ配当ヲ為スモノノ発行価額ハ同項ニ定ムル利息ノ年額ノ二十倍ヲ下ルコトヲ得ズ
○4 第一項ノ規定ニ依リテ配当シタル金額ハ之ヲ貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ一年ニ付資本ノ総額ノ百分ノ六ヲ超ユル利益ヲ配当スル毎ニ其ノ超過額ト同額以上ノ金額ヲ償却スルコトヲ要ス
第二百九十二条 削除
第二百九十三条 利益又ハ利息ノ配当ハ各株主ノ有スル株式ノ数ニ応ジテ之ヲ為ス但シ第二百二十二条第一項ノ規定ノ適用ヲ妨ゲズ且会社ノ有スル自己ノ株式ニ付テハ利益又ハ利息ノ配当ハ之ヲ為サズ
第二百九十三条ノ二 会社ハ利益ノ処分ニ関スル株主総会ノ決議ヲ以テ配当ヲ為スコトヲ得ベキ利益ノ全部又ハ一部ヲ資本ニ組入ルルコトヲ得
第二百九十三条ノ三 会社ハ取締役会ノ決議ニ依リ準備金ノ全部又ハ一部ヲ資本ニ組入ルルコトヲ得
第二百九十三条ノ四 削除
第二百九十三条ノ五 営業年度ヲ一年トスル会社ハ定款ヲ以テ一営業年度ニ付一回ニ限リ営業年度中ノ一定ノ日ヲ定メ其ノ日ニ於ケル株主ニ対シ取締役会ノ決議ニ依リ金銭ノ分配ヲ為スコトヲ得ル旨ヲ定ムルコトヲ得
○2 前項ノ決議ハ同項ノ一定ノ日ヨリ三月内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
○3 第一項ノ金銭ノ分配ハ最終ノ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ左ノ金額ヲ控除シタル額ヲ限度トシテ之ヲ為スコトヲ得
一 最終ノ決算期ニ於ケル資本及準備金ノ合計額
二 最終ノ決算期ニ関スル定時総会ニ於テ積立テタル利益準備金及金銭ノ分配ノ時ニ積立ツルコトヲ要スル利益準備金ノ合計額
三 最終ノ決算期ニ於テ第二百八十六条ノ二及第二百八十六条ノ三ノ規定ニ依リ貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上シタル金額ノ合計額ガ前二号ノ準備金ノ合計額ヲ超ユルトキハ其ノ超過額
四 最終ノ決算期ニ於テ第二百十条第五号ニ掲グル場合ニ於テ又ハ第二百十条ノ二第一項若ハ第二百十条ノ三第一項ノ規定ニ依リ取得シテ有スル株式ニ付貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上シタル金額ノ合計額
五 最終ノ決算期ニ於テ資産ニ付時価ヲ付スルモノトシタル場合(第二百八十五条ノ二第一項但書及第二項(此等ノ規定ヲ第二百八十五条ノ五第二項及第二百八十五条ノ六第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ場合ヲ除ク)ニ於ケル其ノ付シタル時価ノ総額ガ其ノ取得価額ノ総額ヲ超ユルトキハ時価ヲ付シタルコトニ因リ増加シタル最終ノ貸借対照表上ノ純資産額
六 最終ノ決算期ニ関スル定時総会ニ於テ利益ヨリ配当シ若ハ支払フモノト定メ又ハ資本ニ組入レタル額及第二百十条ノ二第二項又ハ第二百十二条ノ二第一項ノ決議ニ依リ定メタル株式ノ取得価額ノ総額ノ合計額
○4 取締役ハ其ノ営業年度ノ終ニ於テ貸借対照表上ノ純資産額ガ第二百九十条第一項各号ノ金額ノ合計額ヲ下ル虞アルトキハ第一項ノ金銭ノ分配ヲ為スコトヲ得ズ
○5 営業年度ノ終ニ於テ前項ノ純資産額ガ同項ノ合計額ヨリ第二百十条第五号ニ掲グルトキニ又ハ第二百十条ノ二第一項若ハ第二百十条ノ三第一項ノ規定に依リ取得シテ有スル株式ノ時価ノ合計額ヲ控除シタル額ヲ下リタル場合ニ於テハ第一項ノ金銭ノ分配ヲ為シタル取締役ハ会社ニ対シ連帯シテ其ノ差額、若シ分配シタル金銭ノ額ガ其ノ差額ヨリ少ナキトキハ分配シタル金銭ノ額ニ付賠償ノ責ニ任ズ但シ取締役ガ前項ノ虞ナキモノト認ムルニ付注意ヲ怠ラザリシコトヲ証明シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○6 第一項ノ金銭ノ分配ハ第二百九条第一項、第二百二十二条第一項、第二百二十二条ノ六但書、第二百四十二条第一項第二項、第二百九十一条第四項、第二百九十三条及第三百四十一条ノ八第二項第七号ノ規定ノ適用ニ付テハ利益ノ配当ト看做シ、第一項ノ一定ノ日ハ第二百二十二条ノ六但書及第三百四十一条ノ八第二項第七号ノ規定ノ適用ニ付テハ営業年度ノ終ト看做ス
○7 第二百六十六条第二項第三項及第五項ノ規定ハ第五項ノ取締役ノ責任ニ、第二百九十条第二項ノ規定ハ第三項ノ規定ニ違反シテ金銭ノ分配ヲ為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第二百九十三条ノ六 発行済株式ノ総数ノ百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スル株主ハ会計ノ帳簿及書類ノ閲覧又ハ謄写ヲ求ムルコトヲ得
○2 前項ノ請求ハ理由ヲ附シタル書面ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス
第二百九十三条ノ七 前条ノ規定ニ依ル請求アリタルトキハ取締役ハ其ノ請求ガ左ニ掲グル事由ニ該当スルト認ムベキ相当ノ理由アル場合ヲ除クノ外之ヲ拒ムコトヲ得ズ
一 株主ガ株主ノ権利ノ確保若ハ行使ニ関シ調査ヲ為ス為ニ非ズシテ請求ヲ為シタルトキ又ハ会社ノ業務ノ運営若ハ株主共同ノ利益ヲ害スル為請求ヲ為シタルトキ
二 株主ガ会社ト競業ヲ為ス者ナルトキ、会社ト競業ヲ為ス会社ノ社員、株主若ハ取締役ナルトキ又ハ会社ト競業ヲ為ス者ノ為其ノ会社ノ株式ヲ有スル者ナルトキ
三 株主ガ書類ノ閲覧若ハ謄写ニ依リ知得シタル事実ヲ利益ヲ得テ他ニ通報スル為請求シタルトキ又ハ請求ノ日ノ前二年内ニ於テ其ノ会社若ハ他ノ会社ノ書類ノ閲覧若ハ謄写ニ依リ知得シタル事実ヲ利益ヲ得テ他ニ通報シタルコトアル者ナルトキ
四 株主ガ不適当ナル時ニ閲覧又ハ謄写ノ請求ヲ為シタルトキ
第二百九十三条ノ八 親会社ノ株主ニシテ其ノ発行済株式ノ総数ノ百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スルモノハ其ノ権利ヲ行使スル為必要アルトキハ裁判所ノ許可ヲ得テ子会社ノ会計ノ帳簿及書類ノ閲覧又ハ謄写ヲ求ムルコトヲ得
○2 前項ノ株主ニ付前条各号ニ掲グル事由アルトキハ裁判所同項ノ許可ヲ為スコトヲ得ズ
第二百九十四条 会社ノ業務ノ執行ニ関シ不正ノ行為又ハ法令若ハ定款ニ違反スル重大ナル事実アルコトヲ疑フベキ事由アルトキハ発行済株式ノ総数ノ百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スル株主ハ会社ノ業務及財産ノ状況ヲ調査セシムル為裁判所ニ検査役ノ選任ヲ請求スルコトヲ得
○2 検査役ハ其ノ職務ヲ行フ為必要アルトキハ子会社ノ業務及財産ノ状況ヲ調査スルコトヲ得
○3 第二百三十七条ノ二第二項及第三項ノ規定ハ第一項ノ検査役ノ選任アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第二百九十四条ノ二 会社ハ何人ニ対シテモ株主ノ権利ノ行使ニ関シ自己又ハ其ノ子会社ノ計算ニ於テ財産上ノ利益ヲ供与スルコトヲ得ズ
○2 会社ガ特定ノ株主ニ対シ無償ニテ自己又ハ其ノ子自己又ハ其ノ子会社ノ計算ニ於テ財産上ノ利益ヲ供与シタルトキハ株主ノ権利ノ行使ニ関シテ之ヲ供与シタルモノト推定ス会社ガ特定ノ株主ニ対シ有償ニテ自己又ハ其ノ子自己又ハ其ノ子会社ノ計算ニ於テ財産上ノ利益ヲ供与シタル場合ニ於テ自己又ハ其ノ子会社ノ受ケタル利益ガ供与シタル利益ニ比シ著シク少ナキトキ亦同ジ
○3 会社ガ第一項ノ規定ニ違反シテ財産上ノ利益ヲ供与シタルトキハ其ノ利益ノ供与ヲ受ケタル者ハ之ヲ会社又ハ其ノ子会社ニ返還スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ会社又ハ其ノ子会社ニ対シテ給付シタルモノアルトキハ其ノ返還ヲ受クルコトヲ得
○4 第二百六十七条乃至第二百六十八条ノ三ノ規定(子会社ガ有限会社ナルトキハ其ノ子会社ニ付テハ有限会社法第三十一条第一項 並ニ同条第二項 ニ於テ準用スル第二百六十七条第二項 乃至第六項 及第二百六十八条 乃至第二百六十八条ノ三 ノ規定)ハ前項ノ利益ノ返還ヲ求ムル訴ニ之ヲ準用ス
第二百九十五条 身元保証金ノ返還ヲ目的トスル債権其ノ他会社ト使用人トノ間ノ雇傭関係ニ基キ生ジタル債権ヲ有スル者ハ会社ノ総財産ノ上ニ先取特権ヲ有ス
○2 前項ノ先取特権ノ順位ハ民法第三百六条第一号 ニ掲グル先取特権ニ次グ
第五節 社債
第一款 総則
第二百九十六条 会社ハ取締役会ノ決議ニ依リ社債ヲ募集スルコトヲ得
第二百九十七条 社債ヲ募集スルニハ会社ハ社債管理会社ヲ定メ社債権者ノ為ニ弁済ノ受領、債権ノ保全其ノ他ノ社債ノ管理ヲ為スベキコトヲ委託スルコトヲ要ス但シ各社債ノ金額ガ一億円ヲ下ラザル場合又ハ社債ノ総額ヲ社債ノ最低額ヲ以テ除シタル数ガ五十ヲ下ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第二百九十七条ノ二 銀行、信託会社又ハ担保附社債信託法第五条 ノ免許ヲ受ケタル会社ニ非ザレバ社債管理会社タルコトヲ得ズ
第二百九十七条ノ三 社債管理会社ハ社債権者ノ為ニ公平且誠実ニ社債ノ管理ヲ為スコトヲ要ス
○2 社債管理会社ハ社債権者ニ対シ善良ナル管理者ノ注意ヲ以テ社債ノ管理ヲ為ス義務ヲ負フ
第二百九十八条 会社ハ前ニ募集シタル社債総額ノ払込ヲ為サシメタル後ニ非ザレバ更ニ社債ヲ募集スルコトヲ得ズ
第二百九十九条 同一種類ノ社債ニ在リテハ各社債ノ金額ハ均一ナルカ又ハ最低額ヲ以テ整除シ得ベキモノナルコトヲ要ス
第三百条 社債権者ニ償還スベキ金額ガ券面額ヲ超ユベキコトヲ定メタルトキハ其ノ超過額ハ各社債ニ付同率ナルコトヲ要ス
第三百一条 社債ノ募集ニ応ゼントスル者ハ社債申込証ニ其ノ引受クベキ社債ノ数及住所ヲ記載シ之ニ署名スルコトヲ要ス
○2 社債申込証ハ取締役之ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 会社及社債管理会社ノ商号
二 社債ノ総額
三 各社債ノ金額
四 社債ノ利率
五 社債償還ノ方法及期限
六 利息支払ノ方法及期限
七 数回ニ分チテ社債ノ払込ヲ為サシムルトキハ其ノ払込ノ金額及時期
八 社債発行ノ価額又ハ其ノ最低価額
九 第三百四条ノ規定ニ依リ社債ヲ発行スルトキハ其ノ旨及各会社ノ負担部分
十 第三百八条ノ別段ノ定アルトキハ其ノ規定
十一 削除
十二 削除
十三 削除
十四 削除
十五 社債ノ応募額ガ総額ニ達セザル場合ニ於テ其ノ残額ヲ引受クベキコトヲ約シタル者アルトキハ其ノ氏名
十六 名義書換代理人ヲ置キタルトキハ其ノ氏名及住所並ニ営業所
○3 社債ノ応募額ガ社債申込証ニ記載シタル社債ノ総額ニ達セザルトキト雖モ社債ヲ成立セシムル旨ヲ社債申込証ニ記載シタルトキハ其ノ応募額ヲ以テ社債ノ総額トス
○4 社債発行ノ最低価額ヲ定メタル場合ニ於テハ社債応募者ハ社債申込証ニ応募価額ヲ記載スルコトヲ要ス
第三百二条 前条ノ規定ハ契約ニ依リ社債ノ総額ヲ引受クル場合ニハ之ヲ適用セズ
第三百三条 社債ノ募集ガ完了シタルトキハ取締役ハ遅滞ナク各社債ニ付其ノ全額又ハ第一回ノ払込ヲ為サシムルコトヲ要ス
第三百四条 会社ハ合同シテ社債ヲ発行スルコトヲ得
第三百五条 削除
第三百六条 債券ハ社債全額ノ払込アリタル後ニ非ザレバ之ヲ発行スルコトヲ得ズ
○2 債券ニハ第三百一条第二項第一号乃至第六号、第九号及第十号ニ掲グル事項並ニ番号ヲ記載シ取締役之ニ署名スルコトヲ要ス
第三百七条 記名社債ノ移転ハ取得者ノ氏名及住所ヲ社債原簿ニ記載シ且其ノ氏名ヲ債券ニ記載スルニ非ザレバ之ヲ以テ会社其ノ他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
○2 第二百六条第二項ノ規定ハ記名社債ノ移転ニ之ヲ準用ス
第三百八条 社債権者ハ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外何時ニテモ其ノ記名式ノ債券ヲ無記名式ト為シ又ハ其ノ無記名式ノ債券ヲ記名式ト為スコトヲ請求スルコトヲ得
第三百九条 社債管理会社ハ社債権者ノ為ニ弁済ヲ受ケ又ハ債権ノ実現ヲ保全スルニ必要ナル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
○2 社債管理会社ガ弁済ヲ受ケタルトキハ遅滞ナク其ノ旨ヲ公告シ且知レタル社債権者ニハ各別ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス
○3 前項ノ場合ニ於テ社債権者ハ債券ト引換ニ償還額ノ、利札ト引換ニ利息ノ支払ヲ請求スルコトヲ得
第三百九条ノ二 社債管理会社ガ左ノ行為ヲ為スニハ社債権者集会ノ決議ニ依ルコトヲ要ス
一 総社債ニ付為ス支払ノ猶予、不履行ニ因リテ生ジタル責任ノ免除又ハ和解
二 前条第一項ノ行為ヲ除クノ外総社債ニ付為ス訴訟行為又ハ破産手続、再生手続、更生手続若ハ整理若ハ特別清算ニ関スル手続ニ属スル一切ノ行為
○2 前条第二項ノ規定ハ社債管理会社ガ前項各号ニ掲グル行為ヲ為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第三百九条ノ三 第三百九条第一項ノ行為又ハ前条第一項各号ニ掲グル行為ヲ為ス為必要アルトキハ社債管理会社ハ裁判所ノ許可ヲ得テ社債ヲ発行シタル会社ノ業務及財産ノ状況ヲ調査スルコトヲ得
第三百九条ノ四 社債権者ト社債管理会社トノ利益相反スル場合ニ於テ社債権者ノ為ニ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス必要アルトキハ裁判所ハ社債権者集会ノ請求ニ依リ特別代理人ヲ選任スルコトヲ要ス
第三百九条ノ五 社債管理会社又ハ前条ノ特別代理人ガ社債権者ノ為ニ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス場合ニ於テハ各別ニ社債権者ヲ表示スルコトヲ要セズ
第三百十条 社債管理会社二以上アルトキハ其ノ権限ニ属スル行為ハ共同シテ之ヲ為スコトヲ要ス
第三百十一条 社債管理会社二以上アルトキハ社債権者ニ対シ連帯シテ弁済額ノ支払ヲ為ス義務ヲ負フ
第三百十一条ノ二 社債管理会社ガ本法又ハ社債権者集会ノ決議ニ違反スル行為ヲ為シ之ニ因リテ社債権者ニ損害ヲ生ジタルトキハ其ノ社債管理会社ハ社債権者ニ対シ連帯シテ其ノ賠償ノ責ニ任ズ
○2 社債管理会社ガ自己ノ債権ニ付社債ヲ発行シタル会社ヨリ担保ノ供与又ハ債務ノ消滅ニ関スル行為ヲ受ケタル場合ニ於テ其ノ後三月内ニ其ノ社債ヲ発行シタル会社ガ社債ノ償還若ハ其ノ利息ノ支払ヲ怠リ又ハ其ノ社債ヲ発行シタル会社ニ付支払ノ停止アリタルトキハ其ノ社債管理会社ハ社債権者ニ対シ損害賠償ノ責ニ任ズ但シ社債管理会社ガ誠実ニ為スベキ社債ノ管理ヲ怠ラザリシコト又ハ自己ノ債権ニ付担保ノ供与若ハ債務ノ消滅ニ関スル行為ヲ受ケズトモ社債権者ニ損害ガ生ズベカリシコトヲ証明シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三百十二条 社債管理会社ハ社債ヲ発行シタル会社及社債権者集会ノ同意ヲ得テ辞任スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ社債管理会社ナキニ至ルベキトキハ予メ事務ヲ承継スベキ社債管理会社ヲ定ムルコトヲ要ス
○2 前項ノ規定ニ依リ事務ヲ承継スベキ社債管理会社ガ定メラレタルトキハ社債ヲ発行シタル会社ハ遅滞ナク其ノ旨ヲ公告シ且知レタル社債権者ニハ各別ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス
○3 社債管理会社ハ已ムコトヲ得ザル事由アルトキハ第一項ノ規定ニ拘ラズ裁判所ノ許可ヲ得テ辞任スルコトヲ得
第三百十三条 社債管理会社ガ其ノ義務ニ違反シ又ハ其ノ事務ヲ処理スルニ不適任ナルトキ其ノ他正当ノ事由アルトキハ裁判所ハ社債ヲ発行シタル会社又ハ社債権者集会ノ請求ニ依リ之ヲ解任スルコトヲ得
第三百十四条 社債管理会社ガ第二百九十七条ノ二ニ規定スル会社タラザルモノト為リ第三百十二条第三項ノ規定ニ依リ辞任シ若ハ前条ノ規定ニ依リ解任セラレ又ハ解散シタル場合ニ於テ社債管理会社ナキニ至リタルトキハ社債ヲ発行シタル会社ハ事務ヲ承継スベキ社債管理会社ヲ定メテ社債ノ管理ヲ為スベキコトヲ委託スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ同意ヲ得ル為遅滞ナク社債権者集会ヲ招集シ若シ社債権者集会ノ同意ヲ得ラレザリシトキハ其ノ同意ニ代ヘテ裁判所ノ許可ヲ求ムルコトヲ要ス
○2 前項前段ニ規定スル場合ニ於テ社債管理会社ナキニ至リタル後二月内ニ社債ヲ発行シタル会社ガ同項ノ規定ニ違反シテ社債権者集会ヲ招集セズ又ハ裁判所ノ許可ヲ求メザルトキハ社債ノ総額ニ付期限ノ利益ヲ失フ
○3 已ムコトヲ得ザル事由アルトキハ利害関係人ハ事務ヲ承継スベキ社債管理会社ノ選任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
○4 第三百十二条第二項ノ規定ハ第一項又ハ前項ノ規定ニ依リ事務ヲ承継スベキ社債管理会社ガ定メラレ又ハ選任セラレタル場合ニ之ヲ準用ス
第三百十五条 無記名社債ヲ償還スル場合ニ於テ欠缺セル利札アルトキハ之ニ相当スル金額ヲ償還額ヨリ控除ス但シ既ニ支払期ノ到来シタル利札ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
○2 前項ノ利札ノ所持人ハ何時ニテモ之ト引換ニ控除金額ノ支払ヲ請求スルコトヲ得
第三百十六条 社債ノ償還請求権ハ十年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
○2 第三百九条第三項ノ請求権亦前項ニ同ジ
○3 利息及前条第二項ノ請求権ハ五年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
第三百十七条 社債原簿ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 社債権者ノ氏名及住所
二 債券ノ番号
三 第三百一条第二項第一号乃至第七号及第九号ニ掲グル事項
四 各社債ニ付払込ミタル金額及払込ノ年月日
五 債券発行ノ年月日
六 各社債ノ取得ノ年月日
七 無記名式ノ債券ヲ発行シタルトキハ其ノ数、番号及発行ノ年月日
第三百十八条 第二百二十四条第一項及第二項ノ規定ハ社債応募者又ハ社債権者ニ対スル通知及催告ニ之ヲ準用ス
○2 第二百三条ノ規定ハ社債ガ数人ノ共有ニ属スル場合ニ之ヲ準用ス
第二款 社債権者集会
第三百十九条 社債権者集会ハ本法ニ規定アル場合ヲ除クノ外裁判所ノ許可ヲ得テ社債権者ノ利害ニ重大ナル関係ヲ有スル事項ニ付決議ヲ為スコトヲ得
第三百二十条 社債権者集会ハ社債ヲ発行シタル会社又ハ社債管理会社之ヲ招集ス
○2 会社ガ無記名式ノ債券ヲ発行シタル場合ニ於テハ社債権者集会ヲ招集スルニハ会日ヨリ三週間前ニ社債権者集会ヲ開クベキ旨及会議ノ目的タル事項ヲ公告スルコトヲ要ス
○3 社債総額ノ十分ノ一以上ニ当ル社債権者ハ会議ノ目的タル事項及招集ノ理由ヲ記載シタル書面ヲ第一項ノ社債ヲ発行シタル会社又ハ社債管理会社ニ提出シテ社債権者集会ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
○4 第二百三十七条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
○5 無記名式ノ債券ヲ有スル者ハ其ノ債券ヲ供託スルニ非ザレバ前二項ノ権利ヲ行使スルコトヲ得ズ
○6 前項ノ規定ニ依ル供託ハ社債管理会社アルトキハ其ノ社債管理会社ニ之ヲ為スコトヲ要ス
第三百二十一条 各社債権者ハ社債ノ最低額毎ニ一個ノ議決権ヲ有ス
○2 無記名式ノ債券ヲ有スル者ハ会日ヨリ一週間前ニ債券ヲ供託スルニ非ザレバ其ノ議決権ヲ行使スルコトヲ得ズ
○3 前条第六項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル供託ニ之ヲ準用ス
第三百二十一条ノ二 社債権者集会ニ出席セザル社債権者ハ書面ヲ以テ議決権ヲ行使スルコトヲ得
○2 前項ノ規定ニ依リ議決権ヲ行使スルニハ書面ニ必要ナル事項ヲ記載シ之ヲ社債権者集会ノ会日ノ前日迄ニ其ノ招集者ニ提出スルコトヲ要ス
○3 第一項ノ規定ニ依リ行使セラレタル議決権ノ数ハ出席シタル社債権者ノ議決権ノ数ニ之ヲ算入ス
第三百二十二条 社債ヲ発行シタル会社又ハ社債管理会社ハ其ノ代表者ヲ社債権者集会ニ出席セシメ又ハ書面ヲ以テ意見ヲ述ブルコトヲ得但シ社債管理会社ニ在リテハ其ノ社債権者集会ガ第三百九条ノ四ノ特別代理人ノ選任ニ関スル事項ニ付招集セラレタルモノナル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
○2 社債権者集会ノ招集ハ前項ノ社債ヲ発行シタル会社及社債管理会社ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス
○3 第二百三十二条第一項及第二項ノ規定ハ前項ノ通知ニ之ヲ準用ス
第三百二十三条 社債権者集会又ハ其ノ招集者ハ必要アリト認ムルトキハ社債ヲ発行シタル会社ニ対シ其ノ代表者ノ出席ヲ求ムルコトヲ得
第三百二十四条 社債権者集会ノ決議ハ出席シタル社債権者ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ為ス但シ第三百九条ノ二第一項、第三百十九条、第三百二十九条第一項、第三百三十条第一項但書及第三百三十三条ニ規定スル社債権者集会ノ目的タル事項ノ決議ニ付テハ第三百四十三条ノ規定ヲ準用ス
第三百二十五条 社債権者集会ノ招集者ハ決議ノ日ヨリ一週間内ニ決議ノ認可ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ要ス
第三百二十六条 裁判所ハ左ノ場合ニ於テハ社債権者集会ノ決議ヲ認可スルコトヲ得ズ
一 社債権者集会招集ノ手続又ハ其ノ決議ノ方法ガ法令又ハ社債募集ノ目論見書ノ記載ニ違反スルトキ
二 決議ガ不当ノ方法ニ依リテ成立スルニ至リタルトキ
三 決議ガ著シク不公正ナルトキ
四 決議ガ社債権者ノ一般ノ利益ニ反スルトキ
第三百二十七条 社債権者集会ノ決議ハ裁判所ノ認可ニ因リテ其ノ効力ヲ生ズ
○2 社債権者集会ノ決議ハ総社債権者ニ対シ其ノ効力ヲ有ス
第三百二十八条 社債権者集会ノ決議ニ対シ認可又ハ不認可ノ決定アリタルトキハ社債ヲ発行シタル会社ハ遅滞ナク其ノ旨ヲ公告スルコトヲ要ス
第三百二十九条 社債権者集会ハ社債総額ノ千分ノ一以上ヲ有スル社債権者ノ中ヨリ一人又ハ数人ノ代表者ヲ選任シ其ノ決議スベキ事項ノ決定ヲ之ニ委任スルコトヲ得
○2 代表者数人アル場合ニ於テ社債権者集会ニ於テ別段ノ定ヲ為サザルトキハ前項ノ決定ハ其ノ過半数ヲ以テ之ヲ為ス
第三百三十条 社債権者集会ノ決議ハ社債管理会社、若シ社債管理会社ナキトキハ前条ノ代表者之ヲ執行ス但シ社債権者集会ノ決議ヲ以テ別ニ執行者ヲ定メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 第三百九条ノ五ノ規定ハ代表者又ハ執行者ガ社債権者集会ノ決議ヲ執行スル場合ニ之ヲ準用ス
第三百三十一条 第三百十条ノ規定ハ代表者又ハ執行者数人アル場合ニ之ヲ準用ス
第三百三十二条 第三百九条、第三百十一条及第三百十六条第二項ノ規定ハ代表者又ハ執行者ガ弁済ニ関スル決議ヲ執行スル場合ニ之ヲ準用ス
第三百三十三条 社債権者集会ハ何時ニテモ代表者若ハ執行者ヲ解任シ又ハ委任シタル事項ヲ変更スルコトヲ得
第三百三十四条 会社ガ社債ノ利息ノ支払ヲ怠リタルトキ又ハ定期ニ社債ノ一部ヲ償還スベキ場合ニ於テ其ノ償還ヲ怠リタルトキハ社債権者集会ノ決議ニ依リ会社ニ対シ一定ノ期間内ニ其ノ弁済ヲ為スベキ旨及其ノ期間内ニ之ヲ為サザルトキハ社債ノ総額ニ付期限ノ利益ヲ失フベキ旨ヲ通知スルコトヲ得但シ其ノ期間ハ二月ヲ下ルコトヲ得ズ
○2 前項ノ通知ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス
○3 会社ガ第一項ノ期間内ニ弁済ヲ為サザルトキハ社債ノ総額ニ付期限ノ利益ヲ失フ
第三百三十五条 前条ノ規定ニ依リ会社ガ期限ノ利益ヲ失ヒタルトキハ前条第一項ノ決議ヲ執行スル者ハ遅滞ナク其ノ旨ヲ公告シ且知レタル社債権者ニハ各別ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス
第三百三十六条 社債管理会社、代表者又ハ執行者ニ対シテ与フベキ報酬、其ノ事務処理ノ為ニ要スル費用及其ノ支出ノ日以後ニ於ケル利息並ニ其ノ事務処理ノ為自己ニ過失ナクシテ受ケタル損害ノ賠償ノ額ハ社債ヲ発行シタル会社トノ契約ニ其ノ定アル場合ヲ除クノ外裁判所ノ許可ヲ得テ会社ヲシテ之ヲ負担セシムルコトヲ得
○2 社債管理会社、代表者又ハ執行者ハ弁済ヲ受ケタル金額ヨリ社債権者ニ先チテ前項ノ報酬、費用及其ノ利息ノ弁済並ニ損害ノ賠償ヲ受クルコトヲ得
第三百三十七条 社債権者集会ニ関スル費用ハ社債ヲ発行シタル会社ノ負担トス
○2 第三百二十五条ノ請求ニ関スル費用ハ会社ノ負担トス但シ裁判所ハ利害関係人ノ申立ニ依リ又ハ職権ヲ以テ其ノ全部又ハ一部ニ付別ニ負担者ヲ定ムルコトヲ得
第三百三十八条 数種ノ社債ヲ発行シタル場合ニ於テハ社債権者集会ハ各種類ノ社債ニ付之ヲ招集スルコトヲ要ス
第三百三十九条 第二百三十二条、第二百三十九条第二項第三項、第二百三十九条ノ二、第二百四十条、第二百四十一条第二項及第二百四十三条ノ規定ハ社債権者集会ニ之ヲ準用ス
○2 社債権者集会ノ招集者ハ議事録ヲ作ルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ議事録ニハ議事ノ経過ノ要領及其ノ結果ヲ記載シ議長並ニ出席シタル社債ヲ発行シタル会社ノ代表者及社債管理会社ノ代表者之ニ署名スルコトヲ要ス
○3 前項ノ議事録ハ社債ヲ発行シタル会社十年間其ノ本店ニ之ヲ備置クコトヲ要ス
○4 社債管理会社及社債権者ハ営業時間内何時ニテモ第二項ノ議事録ノ閲覧又ハ謄写ヲ求ムルコトヲ得
第三百四十条 会社ガ或社債権者ニ対シテ為シタル弁済、和解其ノ他ノ行為ガ著シク不公正ナルトキハ社債管理会社ハ訴ヲ以テ其ノ行為ノ取消ヲ請求スルコトヲ得
○2 前項ノ訴ハ社債管理会社ガ取消ノ原因タル事実ヲ知リタル時ヨリ六月、行為ノ時ヨリ一年内ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス
○3 第八十八条並ニ民法第四百二十四条第一項 但書及第四百二十五条 ノ規定ハ第一項 ノ訴ニ之ヲ準用ス
第三百四十一条 社債権者集会ノ決議アルトキハ代表者又ハ執行者モ亦前条第一項ノ訴ヲ提起スルコトヲ得但シ行為ノ時ヨリ一年内ニ限ル
第三款 転換社債
第三百四十一条ノ二 会社ハ転換社債ヲ発行スルコトヲ得
○2 前項ノ場合ニ於テハ左ノ事項ニシテ定款ニ定ナキモノハ取締役会之ヲ定ム但シ定款ヲ以テ株主総会ガ之ヲ決スル旨ヲ定メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 転換社債ノ総額
二 転換ノ条件
三 転換ニ因リテ発行スベキ株式ノ内容
四 転換ヲ請求シ得ベキ期間
五 転換ニ因リテ発行スベキ株式ノ発行価額中資本ニ組入レザル額
六 株主ニ転換社債ノ引受権ヲ与フル旨及引受権ノ目的タル転換社債ノ額
七 株主以外ノ者ニシテ之ニ対シ特ニ有利ナル転換ノ条件ヲ附シタル転換社債ヲ発行スベキモノ及之ニ対シ発行スル転換社債ノ額
○3 株主以外ノ者ニ対シ特ニ有利ナル転換ノ条件ヲ附シタル転換社債ヲ発行スルニハ定款ニ之ニ関スル定アルトキト雖モ其ノ者ニ対シ発行スルコトヲ得ベキ転換社債ノ額、発行価額、転換ノ条件、転換ニ因リテ発行スベキ株式ノ内容及転換ヲ請求シ得ベキ期間ニ付第三百四十三条ニ定ムル決議アルコトヲ要ス
○4 前項ノ決議ハ決議後最初ニ発行スル転換社債ニシテ其ノ日ヨリ六月内ニ発行スベキモノニ付テノミ其ノ効力ヲ有ス
○5 第二百八十条ノ二第二項後段及第三項ノ規定ハ第三項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百四十一条ノ二ノ二 会社ハ転換社債ヲ発行スルトキハ転換社債ノ総額、発行価額、転換ノ条件、転換ニ因リテ発行スベキ株式ノ内容、転換ヲ請求シ得ベキ期間及募集ノ方法ヲ公告シ又ハ株主ニ通知スルコトヲ要ス
○2 会社ハ前項ノ公告又ハ通知ノ日ヨリ二週間ヲ経過シタル後ニ非ザレバ転換社債ノ割当ヲ為スコトヲ得ズ
第三百四十一条ノ二ノ三 前条ノ規定ハ第三百四十一条ノ二第二項第六号ノ引受権ノ目的タル転換社債、同条第三項ノ決議アリタル転換社債、第三百四十一条ノ二ノ四第一項但書ノ端数ノ合計数ニ相当スル転換社債及転換社債ノ引受権ヲ有スル者ガ第三百四十一条ノ二ノ五第二項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ失ヒタル転換社債ニ付テハ之ヲ適用セズ
第三百四十一条ノ二ノ四 転換社債ノ引受権ヲ有スル株主ハ其ノ有スル株式ノ数ニ応ジテ転換社債ノ割当ヲ受クル権利ヲ有ス但シ各転換社債ノ金額中最低額ニ満タザル端数ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
○2 第二百八十条ノ四第二項ノ規定ハ株主ガ転換社債ノ引受権ヲ有スベキ場合ニ之ヲ準用ス
第三百四十一条ノ二ノ五 株主ガ転換社債ノ引受権ヲ有スル場合ニ於テハ各株主ニ対シ其ノ者ガ引受権ヲ有スル転換社債ノ額、発行価額、転換ノ条件、転換ニ因リテ発行スベキ株式ノ内容、転換ヲ請求シ得ベキ期間及一定ノ期日迄ニ転換社債ノ申込ヲ為サザルトキハ其ノ権利ヲ失フベキ旨ヲ通知スルコトヲ要ス
○2 第二百八十条ノ五第二項乃至第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百四十一条ノ二ノ六 株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定款ノ定アル場合ニ於テハ株主ハ転換社債ノ引受権ヲ有ス但シ株主以外ノ者ニ対シ発行スルコトヲ得ベキ転換社債ノ額、転換ノ条件及転換ニ因リテ発行スベキ株式ノ内容ニ付第三百四十三条ニ定ムル決議アリタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 第二百八十条ノ二第三項及第三百四十一条ノ二第四項ノ規定ハ前項但書ノ決議ニ之ヲ準用ス
第三百四十一条ノ三 転換社債ニ付テハ社債申込証、債券及社債原簿ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 社債ヲ株式ニ転換スルコトヲ得ベキコト
二 転換ノ条件
三 転換ニ因リテ発行スベキ株式ノ内容
四 転換ノ請求ヲ為スコトヲ得ベキ期間
五 株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ヲ定メタルトキハ其ノ規定
第三百四十一条ノ四 転換社債ヲ発行スルトキハ第三百三条ノ払込アリタル日ヨリ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ転換社債ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
○2 前項ノ登記ニ在リテハ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一 転換社債ノ総額
二 各転換社債ノ金額
三 各転換社債ニ付払込ミタル金額
四 前条第一号乃至第四号ニ掲グル事項
○3 第六十七条ノ規定ハ第一項ノ登記ニ之ヲ準用ス
○4 外国ニ於テ転換社債ヲ募集シタル場合ニ於テ登記スベキ事項ガ外国ニ於テ生ジタルトキハ登記ノ期間ハ其ノ通知ノ到達シタル時ヨリ之ヲ起算ス
第三百四十一条ノ五 転換ヲ請求スル者ハ請求書ニ債券ヲ添附シテ之ヲ会社ニ提出スルコトヲ要ス
○2 前項ノ請求書ニハ転換セントスル社債ヲ表示シ請求ノ年月日ヲ記載シテ之ニ署名スルコトヲ要ス
第三百四十一条ノ六 第二百二十四条ノ三第一項ノ期間内ノ転換ノ請求ニ因リテ発行セラレタル株式ニ付テハ株主ハ其ノ期間内ハ議決権ヲ有セズ
○2 会社ガ総会ニ於テ議決権ヲ行使スベキ株主ヲ定ムル為第二百二十四条ノ三第一項ノ規定ニ依リ一定ノ日ヲ定メタルトキハ其ノ日後ノ転換ノ請求ニ因リテ発行セラレタル株式ニ付テハ株主ハ其ノ総会ニ於テ議決権ヲ有セズ
第三百四十一条ノ七 第二百二十二条ノ二第三項、第二百八十条ノ十及第二百八十条ノ十一ノ規定ハ転換社債ノ発行ノ場合ニ之ヲ準用ス
○2 第二百八条、第二百二十二条ノ三、第二百二十二条ノ六及第二百二十二条ノ七ノ規定ハ社債ノ転換ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四款 新株引受権附社債
第三百四十一条ノ八 会社ハ新株引受権附社債ヲ発行スルコトヲ得
○2 前項ノ場合ニ於テハ左ノ事項ニシテ定款ニ定ナキモノハ取締役会之ヲ定ム但シ定款ヲ以テ株主総会ガ之ヲ決スル旨ヲ定メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 新株引受権附社債ノ総額
二 各新株引受権附社債ニ附スル新株ノ引受権ノ内容
三 新株ノ引受権ヲ行使シ得ベキ期間
四 新株ノ引受権ノ行使ニ因リテ発行スベキ株式ノ発行価額中資本ニ組入レザル額
五 新株ノ引受権ノミヲ譲渡スルコトヲ得ベキコト
六 新株ノ引受権ヲ行使セントスル者ノ請求アルトキハ新株引受権附社債ノ償還ニ代ヘテ其ノ発行価額ヲ以テ第三百四十一条ノ十六第一項ノ払込アリタルモノト為ス旨
七 利益又ハ利息ノ配当ニ付テハ第三百四十一条ノ十六第一項ノ規定ニ依ル払込ヲ為シタル時ノ属スル営業年度又ハ其ノ前営業年度ノ終ニ於テ新株ノ発行アリタルモノト看做スコト
八 株主ニ新株引受権附社債ノ引受権ヲ与フル旨及引受権ノ目的タル新株引受権附社債ノ額
九 株主以外ノ者ニシテ之ニ対シ特ニ有利ナル内容ノ新株ノ引受権ヲ附シタル新株引受権附社債ヲ発行スベキモノ及之ニ対シ発行スル新株引受権附社債ノ額
○3 各新株引受権附社債ニ附スル新株ノ引受権ノ行使ニ因リテ発行スベキ株式ノ発行価額ノ合計額ハ各新株引受権附社債ノ金額ヲ超ユルコトヲ得ズ
○4 新株ノ引受権ノミヲ譲渡スコトヲ得ベキ新株引受権附社債ヲ発行スルニハ定款ニ之ニ関スル定アルトキト雖モ新株引受権附社債ノ総額、新株ノ引受権ノ行使ニ因リテ発行スル株式ノ発行価額ノ総額及新株ノ引受権ヲ行使シ得ベキ期間ニ付第三百四十三条ニ定ムル決議アルコトヲ要ス但シ新株引受権附社債ニシテ未ダ行使サレザル新株ノ引受権ニ係ル株式ノ発行価額ノ総額ガ現ニ存スル新株引受権附社債ノ総額ヲ超エザルトキニ限リ償還及消却ヲ為スモノヲ発行スルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○5 株主以外ノ者ニ対シ特ニ有利ナル内容ノ新株ノ引受権ヲ附シタル新株引受権附社債ヲ発行スルニハ定款ニ之ニ関スル定アルトキト雖モ其ノ者ニ対シテ発行スルコトヲ得ベキ新株引受権附社債ノ額、発行価額、新株ノ引受権ノ内容及新株ノ引受権ヲ行使シ得ベキ期間ニ付第三百四十三条ニ定ムル決議アルコトヲ要ス
○6 第三百四十一条ノ二第四項及第五項ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百四十一条ノ九 会社ハ新株引受権附社債ヲ発行スルトキハ新株引受権附社債ノ総額、発行価額、新株ノ引受権ノ内容、新株ノ引受権ヲ行使スルコトヲ得ベキ期間及募集ノ方法ヲ公告シ又ハ株主ニ通知スルコトヲ要ス
○2 会社ハ前項ノ公告又ハ通知ノ日ヨリ二週間ヲ経過シタル後ニ非ザレバ新株引受権附社債ノ割当ヲ為スコトヲ得ズ
第三百四十一条ノ十 前条ノ規定ハ第三百四十一条ノ八第二項第八号ノ引受権ノ目的タル新株引受権附社債、同条第五項ノ決議アリタル新株引受権附社債、第三百四十一条ノ十八ニ於テ準用スル第三百四十一条ノ二ノ四第一項但書ノ端数ノ合計数ニ相当スル新株引受権附社債及新株引受権附社債ノ引受権ヲ有スル者ガ次条第二項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ失ヒタル新株引受権附社債ニ付テハ之ヲ適用セズ
第三百四十一条ノ十一 株主ガ新株引受権附社債ノ引受権ヲ有スル場合ニ於テハ各株主ニ対シ其ノ者ガ引受権ヲ有スル新株引受権附社債ノ額、発行価額、新株ノ引受権ノ内容、新株ノ引受権ヲ行使シ得ベキ期間及一定ノ期日迄ニ新株引受権附社債ノ申込ヲ為サザルトキハ其ノ権利ヲ失フベキ旨並ニ第三百四十一条ノ八第二項第五号又ハ第六号ニ掲グル事項ノ定アルトキハ其ノ内容ヲ通知スルコトヲ要ス
○2 第二百八十条ノ五第二項乃至第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百四十一条ノ十一ノ二 株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定款ノ定アル場合ニ於テハ株主ハ新株引受権付社債ノ引受権ヲ有ス但シ株主以外ノ者ニ対シ発行スルコトヲ得ベキ新株引受権付社債ノ額及新株ノ引受権ノ内容ニ付第三百四十三条ニ定ムル決議アリタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 第三百四十一条ノ二ノ六第二項ノ規定ハ前項但書ノ決議ニ之ヲ準用ス
第三百四十一条ノ十二 新株引受権附社債ニ付テハ社債申込証、債券及社債原簿ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス但シ次条第一項ノ新株引受権証券ヲ発行スルトキハ債券ニハ之ヲ記載スルコトヲ要セズ
一 新株引受権附社債ナルコト
二 第三百四十一条ノ八第二項第二号、第三号、第五号及第六号ニ掲グル事項
三 株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ヲ定メタルトキハ其ノ規定
四 第三百四十一条ノ十六ノ払込ヲ取扱フベキ銀行又ハ信託会社及其ノ取扱ノ場所
第三百四十一条ノ十三 第三百四十一条ノ八第二項第五号ニ掲グル事項ノ定アル場合ニ於テハ会社ハ債券ト共ニ新株引受権証券ヲ発行スルコトヲ要ス
○2 新株引受権証券ニハ左ノ事項及番号ヲ記載シ取締役之ニ署名スルコトヲ要ス
一 新株引受権証券ナル旨ノ表示
二 会社ノ商号
三 第三百四十一条ノ八第二項第二号、第三号及第六号ニ掲グル事項
四 前条第三号及第四号ニ掲グル事項
第三百四十一条ノ十四 新株引受権証券ノ発行アリタル場合ニ於テハ新株ノ引受権ヲ譲渡スニハ新株引受権証券ヲ交付スルコトヲ要ス
○2 第二百五条第二項及第二百三十条並ニ小切手法第二十一条 ノ規定ハ新株引受権証券ニ之ヲ準用ス
第三百四十一条ノ十五 新株引受権附社債ノ登記ニ在リテハ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一 新株引受権附社債ナルコト
二 新株ノ引受権ノ行使ニ因リテ発行スベキ株式ノ発行価額ノ総額
三 各新株引受権附社債ノ金額
四 各新株引受権附社債ニ付払込ミタル金額
五 第三百四十一条ノ八第二項第一号乃至第三号ニ掲グル事項
○2 第三百四十一条ノ四第一項、第三項及第四項ノ規定ハ新株引受権附社債ノ登記ニ之ヲ準用ス
第三百四十一条ノ十六 新株ノ引受権ヲ行使スル者ハ請求書ヲ会社ニ提出シ且新株ノ発行価額ノ全額ノ払込ヲ為スコトヲ要ス請求書ヲ提出スル場合ニ於テ新株引受権証券ヲ発行シタルトキハ新株引受権証券ヲ添附シ、之ヲ発行セザリシトキハ債券ヲ呈示スルコトヲ要ス
○2 前項ノ払込ハ債券又ハ新株引受権証券ニ記載シタル銀行又ハ信託会社ノ払込ノ取扱ノ場所ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
○3 第百七十五条第一項ノ規定ハ第一項ノ請求書ニ、第百七十八条及第百八十九条ノ規定ハ前項ノ払込ヲ取扱フ銀行又ハ信託会社ニ之ヲ準用ス
第三百四十一条ノ十七 前条第一項ノ規定ニ依リ新株ノ引受権ヲ行使シタル者ハ同項ノ払込ノ時ニ株主トナル
第三百四十一条ノ十八 第二百二十二条ノ七及第三百四十一条ノ六ノ規定ハ新株ノ引受権ノ行使アリタル場合ニ、第三百四十一条ノ二ノ四及第三百四十一条ノ七第一項ノ規定ハ新株引受権附社債ニ之ヲ準用ス
第六節 定款ノ変更
第三百四十二条 定款ノ変更ヲ為スニハ株主総会ノ決議アルコトヲ要ス
○2 定款ノ変更ニ関スル議案ノ要領ハ第二百三十二条ニ定ムル通知ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
第三百四十三条 前条第一項ノ決議ハ発行済株式ノ総数ノ過半数ニ当ル株式ヲ有スル株主出席シ其ノ議決権ノ三分ノ二以上ニ当ル多数ヲ以テ之ヲ為ス
第三百四十四条 削除
第三百四十五条 会社ガ数種ノ株式ヲ発行シタル場合ニ於テ定款ノ変更ガ或種類ノ株主ニ損害ヲ及ボスベキトキハ株主総会ノ決議ノ外其ノ種類ノ株主ノ総会ノ決議アルコトヲ要ス
○2 或種類ノ株主ノ総会ノ決議ハ其ノ種類ノ発行済株式ノ総数ノ過半数ニ当ル株式ヲ有スル株主出席シ其ノ議決権ノ三分ノ二以上ニ当ル多数ヲ以テ之ヲ為ス
○3 株主総会ニ関スル規定ハ議決権ナキ種類ノ株式ニ関スルモノヲ除クノ外第一項ノ総会ニ之ヲ準用ス
第三百四十六条 前条ノ規定ハ第二百二十二条第三項ノ規定ニ依リ株式ノ種類ニ従ヒ格別ノ定ヲ為ス場合及会社ノ株式交換、株式移転、分割又ハ合併ニ因リテ或種類ノ株主ニ損害ヲ及ボズベキ場合ニ之ヲ準用ス
第三百四十七条 会社ガ発行スル株式ノ総数ハ発行済株式ノ総数ノ四倍ヲ超エテ之ヲ増加スルコトヲ得ズ
第三百四十八条 定款ヲ変更シテ株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定ヲ設クル場合ニ於テハ其ノ決議ハ第三百四十三条ノ規定ニ拘ラズ総株主ノ過半数ニシテ発行済株式ノ総数ノ三分ノ二以上ニ当ル多数ヲ以テ之ヲ為ス
○2 前項ノ決議ニ付テハ第二百四十二条第一項ノ株主モ亦議決権ヲ有ス
○3 転換社債ヲ発行シタル会社ハ転換ノ請求ヲ為スコトヲ得ベキ期間経過前、新株引受権附社債ヲ発行シタル会社ハ新株ノ引受権ヲ行使シ得ベキ期間経過前ニ於テハ第一項ノ決議ヲ為スコトヲ得ズ
第三百四十九条 前条第一項ノ決議ヲ為スベキ株主総会ニ先チ会社ニ対シ書面ヲ以テ同項ノ定ノ設定ニ反対ノ意思ヲ通知シ且総会ニ於テ之ニ反対シタル株主ハ会社ニ対シ自己ノ有スル株式ヲ決議ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格ヲ以テ買取ルベキ旨ヲ請求スルコトヲ得
○2 第二百四十五条ノ三及第二百四十五条ノ四ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百五十条 第三百四十八条第一項ノ決議ヲ為シタルトキハ会社ハ其ノ旨並ニ一定ノ期間内ニ株券及端株券ヲ会社ニ提出スベキ旨及其ノ期間内ニ提出セラレザル株券及端株券ハ無効トナル旨ヲ公告シ且株主及株主名簿ニ記載アル質権者ニハ各別ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス但シ其ノ期間ハ一月ヲ下ルコトヲ得ズ
○2 第三百四十八条第一項ノ定ノ設定ハ前項ノ期間満了ノ時ニ於テ其ノ効力ヲ生ズ
○3 第二百十六条ノ規定ハ第三百四十八条第一項ノ決議ヲ為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第三百五十一条 会社ガ端株券ヲ発行シタル場合ニ於テ定款ヲ変更シテ端株券ヲ発行セザル旨ノ定ヲ設クルトキハ会社ハ其ノ旨並ニ一定ノ期間内ニ端株券ヲ会社ニ提出スベキ旨及其ノ期間内ニ提出セラレザル端株券ハ無効トナル旨ヲ公告スルコトヲ要ス
○2 前条第一項但書及第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
○3 第一項ノ場合ニ於テ端株券ガ提出セラレタルトキハ会社ハ第二百三十条ノ二第一項第一号及第二号ニ掲グル事項ヲ端株原簿ニ記載スルコトヲ要ス
○4 第一項ノ場合ニ於テ端株券ヲ提出スルコト能ハザル者アルトキハ会社ハ其ノ者ノ請求ニ依リ利害関係人ニ対シ異議アラバ一定ノ期間内ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ公告シ其ノ期間経過後ニ於テ前項ノ記載ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第二百十六条第一項但書及第二項ノ規定ヲ準用ス
第六節ノ二 完全親会社
第一款 株式交換
第三百五十二条 会社ハ其ノ一方ガ他方ノ発行済株式ノ総数ヲ有スル会社(以下之ヲ完全親会社ト、他方ヲ完全子会社ト称ス)トナル為株式交換ヲ為スコトヲ得
○2 株式交換ニ因リテ完全子会社トナル会社ノ株主ノ有スル其ノ会社ノ株式ハ次条第二項第六号ノ日ニ於テ株式交換ニ因リテ完全親会社トナル会社ニ移転シ、其ノ完全子会社トナル会社ノ株主ハ其ノ完全親会社トナル会社ガ株式交換ニ際シテ発行スル新株ノ割当ヲ受クルコトニ因リ其ノ日ニ於テ其ノ会社ノ株主トナル
第三百五十三条 会社ガ株式交換ヲ為スニハ株式交換契約書ヲ作リ株主総会ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス
○2 株式交換契約書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 完全親会社トナル会社ガ株式交換ニ因リ定款ノ変更ヲ為ストキハ其ノ規定
二 完全親会社トナル会社ガ株式交換ニ際シテ発行スル新株ノ総数、額面無額面ノ別、種類及数並ニ完全子会社トナル会社ノ株主ニ対スル新株ノ割当ニ関スル事項
三 完全親会社トナル会社ノ増加スベキ資本ノ額及資本準備金ニ関スル事項
四 完全子会社トナル会社ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ定メタルトキハ其ノ規定
五 各会社ニ於テ前項ノ決議ヲ為スベキ株主総会ノ期日
六 株式交換ノ日
七 各会社ガ前号ノ日迄ニ利益ノ配当又ハ第二百九十三条ノ五第一項ノ金銭ノ分配ヲ為ストキハ其ノ限度額
○3 株式交換契約書ノ要領ハ第二百三十二条ニ定ムル通知ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
○4 第一項ノ決議ハ第三百四十三条ノ規定ニ依ルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ
○5 完全親会社トナル会社ノ定款ニ株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定アリ完全子会社トナル会社ノ定款ニ其ノ定ナキトキハ其ノ会社ニ於ケル第一項ノ決議ハ第三百四十八条第一項ノ規定ニ依ルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ
○6 完全親会社トナル会社ガ株式交換ニ因リ定款ヲ変更シテ前項ノ定ヲ設クル場合ニ於テハ其ノ会社及完全子会社トナル会社ニシテ定款ニ其ノ定ナキモノニ付亦同項ニ同ジ
○7 第五項ノ決議ヲ為スベキ株主総会ニ付テハ完全親会社トナル会社ノ定款ニ同項ノ定アル旨ヲ第三項ノ通知ニ記載スルコトヲ要ス
第三百五十四条 取締役ハ前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ二週間前ヨリ株式交換ノ日後六月ヲ経過スル日迄左ノ書類ヲ本店ニ備置クコトヲ要ス
一 株式交換契約書
二 完全子会社トナル会社ノ株主ニ対スル株式ノ割当ニ関スル事項ニ付其ノ理由ヲ記載シタル書面
三 前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ前六月内ノ日ニ於テ作リタル株式交換ヲ為ス各会社ノ貸借対照表
四 前号ノ貸借対照表ガ最終ノ貸借対照表ニ非ザルトキハ最終ノ貸借対照表
五 株式交換ヲ為ス各会社ノ最終ノ貸借対照表ト共ニ作リタル損益計算書
六 前号ノ損益計算書ノ外第三号ノ貸借対照表ト共ニ損益計算書ヲ作リタルトキハ其ノ損益計算書
○2 株主ハ営業時間内何時ニテモ前項ノ書類ノ閲覧ヲ求メ又ハ会社ノ定メタル費用ヲ支払ヒテ其ノ謄本若ハ抄本ノ交付ヲ求ムルコトヲ得
第三百五十五条 第三百五十三条第一項ノ株主総会ニ先チ会社ニ対シ書面ヲ以テ株式交換ニ反対ノ意思ヲ通知シ且総会ニ於テ株式交換契約書ノ承認ニ反対シタル株主ハ会社ニ対シ自己ノ有スル株式ヲ承認ノ決議ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格ヲ以テ買取ルベキ旨ヲ請求スルコトヲ得
○2 第二百四十五条ノ三及第二百四十五条ノ四ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百五十六条 完全親会社トナル会社ハ株式交換ニ際シテ為ス新株ノ発行ニ代ヘテ其ノ有スル自己ノ株式ニシテ第二百十一条ノ規定ニ依リ相当ノ時期ニ処分ヲ為スコトヲ要スルモノヲ完全子会社トナル会社ノ株主ニ移転スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ移転スベキ株式ノ総数、額面無額面ノ別、種類及数ヲ株式交換契約書ニ記載スルコトヲ要ス
第三百五十七条 完全親会社トナル会社ノ資本ハ株式交換ノ日ニ於テ完全子会社トナル会社ニ現存スル純資産額ニ其ノ会社ノ発行済株式ノ総数ニ対スル株式交換ニ因リテ完全親会社トナル会社ニ移転スル株式ノ数ノ割合ヲ乗ジタル額ヨリ左ノ金額ヲ控除シタル額ヲ限度トシテ之ヲ増加スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ株式交換ニ際シテ額面株式ヲ発行スルトキハ一株ノ金額ニ其ノ株式ノ総数ヲ乗ジタル額ハ之ヲ資本ニ組入ルルコトヲ要ス
一 完全子会社トナル会社ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額
二 前条ノ規定ニ依リ完全子会社トナル会社ノ株主ニ移転スル株式ニ付会計帳簿ニ記載シタル価額ノ合計額
第三百五十八条 完全親会社トナル会社ガ株式交換ニ際シテ発行スル新株ノ総数ガ其ノ会社ノ発行済株式ノ総数ノ二十分ノ一ヲ超エザルトキハ其ノ会社ニ於テハ第三百五十三条第一項ノ承認ハ之ヲ得ルコトヲ要セズ但シ完全子会社トナル会社ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ定メタル場合ニ於テ其ノ金額ガ最終ノ貸借対照表ニ依リ完全親会社トナル会社ニ現存スル純資産額ノ五十分ノ一ヲ超ユルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 第三百五十六条ノ規定ニ依リ完全子会社トナル会社ノ株主ニ移転スル株式ハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ株式交換ニ際シテ発行スル新株ト看做ス
○3 第一項本文ノ場合ニ於テハ株式交換契約書ニ完全親会社トナル会社ニ付テハ第三百五十三条第一項ノ承認ヲ得ズシテ株式交換ヲ為ス旨ヲ記載スルコトヲ要シ、同条第二項第一号ニ掲グル事項ハ之ヲ記載スルコトヲ得ズ
○4 完全親会社トナル会社ハ株式交換契約書ヲ作リタル日ヨリ二週間内ニ完全子会社トナル会社ノ商号及本店、株式交換ノ日並ニ第三百五十三条第一項ノ承認ヲ得ズシテ株式交換ヲ為ス旨ヲ公告シ又ハ株主ニ通知スルコトヲ要ス
○5 前項ノ規定ニ依ル公告又ハ通知ノ日ヨリ二週間内ニ会社ニ対シ書面ヲ以テ株式交換ニ反対ノ意思ヲ通知シタル株主ハ会社ニ対シ自己ノ有スル株式ヲ株式交換契約ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格ヲ以テ買取ルベキ旨ヲ請求スルコトヲ得
○6 前項ノ請求ハ同項ノ期間ノ満了ノ日ヨリ二十日内ニ株式ノ額面無額面ノ別、種類及数ヲ記載シタル書面ヲ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス
○7 第二百四十五条ノ三第二項乃至第五項及第二百四十五条ノ四ノ規定ハ第五項ノ場合ニ之ヲ準用ス
○8 完全親会社トナル会社ノ発行済株式ノ総数ノ六分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主ガ第五項ノ規定ニ依ル反対ノ意思ノ通知ヲ為シタルトキハ此ノ条ニ定メタル手続ニ依ル株式交換ハ之ヲ為スコトヲ得ズ
○9 第一項本文ノ場合ニ於ケル完全親会社トナル会社ニ付テノ第三百五十四条第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ同項中「前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ二週間前」トアリ及同項第三号中「前条第一項ノ株主総会ノ会日」トアルハ「第三百五十八条第四項ノ規定ニ依ル公告又ハ通知ノ日」トス
第三百五十九条 完全子会社トナル会社ハ第三百五十三条第一項ノ決議ヲ為シタルトキハ其ノ旨並ニ株式交換ノ日ノ前日迄ニ株券及端株券ヲ会社ニ提出スベキ旨並ニ株式交換ノ日ニ於テ株券及端株券ハ無効トナル旨ヲ其ノ日ノ一月前ニ公告シ且株主及株主名簿ニ記載アル質権者ニハ各別ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス
○2 第二百十六条ノ規定ハ第三百五十三条第一項ノ決議ヲ為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第三百六十条 取締役ハ株式交換ノ日、其ノ日ニ於テ完全子会社トナリタル会社ニ現存スル純資産額、株式交換ニ因リテ完全親会社ニ移転シタル完全子会社ノ株式ノ数其ノ他ノ株式交換ニ関スル事項ヲ記載シタル書面ヲ株式交換ノ日ヨリ六月間本店ニ備置クコトヲ要ス
○2 第三百五十四条第二項ノ規定ハ前項ノ書面ニ之ヲ準用ス
第三百六十一条 完全親会社トナル会社ノ取締役及監査役ニシテ株式交換前ニ就職シタルモノハ株式交換契約書ニ別段ノ定ノ記載アルトキヲ除クノ外株式交換後最初ニ到来スル決算期ニ関スル定時総会ノ終結ノ時ニ退任ス
第三百六十二条 第二百十七条ノ規定ハ会社ノ株式交換ニ因ル株式併合ノ場合ニ之ヲ準用ス
○2 第二百八条及第二百九条第三項ノ規定ハ株式ヲ併合セザル場合ニ於テ完全子会社トナル会社ノ株式ヲ目的トスル質権ニ之ヲ準用ス
○3 第三百五十条第一項及第三項ノ規定ハ第三百五十三条第六項ノ完全親会社トナル会社ノ執ルベキ手続ニ之ヲ準用ス
第三百六十三条 会社ノ株式交換ノ無効ハ株式交換ノ日ヨリ六月内ニ訴ヲ以テノミ之ヲ主張スルコトヲ得
○2 前項ノ訴ハ各会社ノ株主、取締役、監査役又ハ清算人ニ限リ之ヲ提起スルコトヲ得
○3 第一項ノ訴ハ完全親会社トナリタル会社ノ本店ノ所在地ノ地方裁判所ノ管轄ニ専属ス
○4 株式交換ヲ無効トスル判決ガ確定シタルトキハ完全親会社トナリタル会社ハ株式交換ニ際シテ発行シタル新株又ハ第三百五十六条ノ規定ニ依リ移転シタル株式ノ株主ニ対シ其ノ有シタル完全子会社トナリタル会社ノ株式ヲ移転スルコトヲ要ス
○5 第百五条第二項乃至第四項、第百九条、第百三十七条、第二百四十九条及第二百八十条ノ十七ノ規定ハ第一項ノ訴ニ、第二百八条及第二百九条第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二款 株式移転
第三百六十四条 会社ハ完全親会社ヲ設立スル為株式移転ヲ為スコトヲ得
○2 株式移転ニ因リテ完全子会社トナル会社ノ株主ノ有スル其ノ会社ノ株式ハ株式移転ニ因リテ設立スル完全親会社ニ移転シ、其ノ完全子会社トナル会社ノ株主ハ其ノ完全親会社ガ株式移転ニ際シテ発行スル株式ノ割当ヲ受クルコトニ因リ其ノ完全親会社ノ株主トナル
第三百六十五条 会社ガ株式移転ヲ為スニハ左ノ事項ニ付株主総会ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス
一 設立スル完全親会社ノ定款ノ規定
二 設立スル完全親会社ガ株式移転ニ際シテ発行スル株式ノ種類及数並ニ完全子会社トナル会社ノ株主ニ対スル株式ノ割当ニ関スル事項
三 設立スル完全親会社ノ資本ノ額及資本準備金ニ関スル事項
四 完全子会社トナル会社ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ定メタルトキハ其ノ規定
五 株式移転ヲ為スベキ時期
六 完全子会社トナル会社ガ株式移転ノ日迄ニ利益ノ配当又ハ第二百九十三条ノ五第一項ノ金銭ノ分配ヲ為ストキハ其ノ限度額
七 設立スル完全親会社ノ取締役及監査役ノ氏名
八 会社ガ共同シテ株式移転ニ因リ完全親会社ヲ設立スルトキハ其ノ旨
○2 設立スル完全親会社ノ定款ニ株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ヲ定ムル場合ニ於テ完全子会社トナル会社ノ定款ニ其ノ定ナキトキハ前項ノ決議ハ第三百四十八条第一項ノ規定ニ依ルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ
○3 第三百五十三条第三項ノ規定ハ第一項ノ場合ニ於ケル議案ノ要領ニ、同条第四項ノ規定ハ第一項ノ決議ニ之ヲ準用ス
第三百六十六条 取締役ハ前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ二週間前ヨリ株式移転ノ日後六月ヲ経過スル日迄左ノ書類ヲ本店ニ備置クコトヲ要ス
一 前条第一項ノ場合ニ於ケル議案ノ要領
二 完全子会社トナル会社ノ株主ニ対スル株式ノ割当ニ関スル事項ニ付其ノ理由ヲ記載シタル書面
三 前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ前六月内ノ日ニ於テ作リタル完全子会社トナル会社ノ貸借対照表
四 前号ノ貸借対照表ガ最終ノ貸借対照表ニ非ザルトキハ最終ノ貸借対照表
五 完全子会社トナル会社ノ最終ノ貸借対照表ト共ニ作リタル損益計算書
六 前号ノ損益計算書ノ外第三号ノ貸借対照表ト共ニ損益計算書ヲ作リタルトキハ其ノ損益計算書
○2 第三百五十四条第二項ノ規定ハ前項ニ掲グル書類ニ之ヲ準用ス
第三百六十七条 設立スル完全親会社ノ資本ハ株式移転ノ日ニ於テ完全子会社トナル会社ニ現存スル純資産額ヨリ其ノ会社ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ控除シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ此ノ場合ニ於テ完全親会社トナル会社ガ株式移転ニ際シテ額面株式ヲ発行スルトキハ一株ノ金額ニ其ノ株式ノ総数ヲ乗ジタル額、無額面株式ヲ発行スルトキハ五万円ニ其ノ株式ノ総数ヲ乗ジタル額ハ之ヲ資本ニ組入ルルコトヲ要ス
第三百六十八条 完全子会社トナル会社ハ第三百六十五条第一項ノ決議ヲ為シタルトキハ其ノ旨並ニ一定ノ期間内ニ株券及端株券ヲ会社ニ提出スベキ旨並ニ株式移転ノ日ニ於テ株券及端株券ハ無効トナル旨ヲ公告シ且株主及株主名簿ニ記載アル質権者ニハ各別ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス但シ其ノ期間ハ一月ヲ下ルコトヲ得ズ
○2 第二百十六条ノ規定ハ第三百六十五条第一項ノ決議ヲ為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第三百六十九条 株式移転ヲ為シタルトキハ設立シタル完全親会社ノ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ第百八十八条ニ定ムル登記ヲ為スコトヲ要ス
第三百七十条 株式移転ハ之ニ因リテ設立シタル完全親会社ガ其ノ本店ノ所在地ニ於テ前条ノ登記ヲ為スニ因リテ其ノ効力ヲ生ズ
第三百七十一条 第二百十七条ノ規定ハ会社ノ株式移転ニ因ル株式併合ノ場合ニ之ヲ準用ス
○2 第二百八条及第二百九条第三項ノ規定ハ株式ヲ併合セザル場合ニ於テ完全子会社トナル会社ノ株式ヲ目的トスル質権ニ之ヲ準用ス
○3 第三百五十五条及第三百六十条ノ規定ハ株式移転ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百七十二条 会社ノ株式移転ノ無効ハ株式移転ノ日ヨリ六月内ニ訴ヲ以テノミ之ヲ主張スルコトヲ得
○2 第百五条第二項乃至第四項、第百九条、第百十条、第百三十七条、第百三十八条、第二百四十九条及第三百六十三条第二項乃至第四項ノ規定ハ前項ノ訴ニ、第二百八条及第二百九条第三項ノ規定ハ本項ニ於テ準用スル第三百六十三条第四項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六節ノ三 会社ノ分割
第一款 新設分割
第三百七十三条 会社ハ其ノ営業ノ全部又ハ一部ヲ設立スル会社ニ承継セシムル為新設分割ヲ為スコトヲ得
第三百七十四条 会社ガ新設分割ヲ為スニハ分割計画書ヲ作リ株主総会ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス
○2 分割計画書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 分割ニ因リテ設立スル会社ノ定款ノ規定
二 分割ニ因リテ設立スル会社ガ分割ニ際シテ発行スル株式ノ種類及数並ニ分割ヲ為ス会社又ハ其ノ株主ニ対スル株式ノ割当ニ関スル事項
三 分割ニ因リテ設立スル会社ノ資本ノ額及準備金ニ関スル事項
四 分割ヲ為ス会社又ハ其ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ定メタルトキハ其ノ規定
五 分割ニ因リテ設立スル会社ガ分割ヲ為ス会社ヨリ承継スル債権債務、雇傭契約其ノ他ノ権利義務ニ関スル事項
六 分割ニ因リテ設立スル会社ガ分割ヲ為ス会社ノ株主ニ対シ分割ニ際シテ発行スル株式ノ割当ヲ為ス場合ニ於テ分割ヲ為ス会社ノ資本又ハ準備金ノ減少ヲ為ストキハ減少スベキ資本ノ額又ハ準備金ニ関スル事項
七 分割ニ因リテ設立スル会社ガ分割ヲ為ス会社ノ株主ニ対シ分割ニ際シテ発行スル株式ノ割当ヲ為ス場合ニ於テ分割ヲ為ス会社ガ分割ニ際シテ株式ノ消却又ハ併合ヲ為ストキハ其ノ方法
八 分割ヲ為スベキ時期
九 分割ヲ為ス会社ガ分割ノ日迄ニ利益ノ配当又ハ第二百九十三条ノ五第一項ノ金銭ノ分配ヲ為ストキハ其ノ限度額
十 分割ニ因リテ設立スル会社ノ取締役及監査役ノ氏名
十一 会社ガ共同シテ分割ニ因リ会社ヲ設立スルトキハ其ノ旨
○3 分割計画書ノ要領ハ第二百三十二条ニ定ムル通知ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
○4 第一項ノ決議ハ第三百四十三条ノ規定ニ依ルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ
○5 分割ニ因リテ設立スル会社ノ定款ニ株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ヲ定ムル場合ニ於テ分割ヲ為ス会社ノ定款ニ其ノ定ナキトキハ第一項ノ決議ハ第三百四十八条第一項ノ規定ニ依ルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ但シ分割ニ因リテ設立スル会社ガ分割ヲ為ス会社ニ対シ分割ニ際シテ発行スル株式ノ総数ノ割当ヲ為ストキハ此ノ限ニ在ラズ
第三百七十四条ノ二 取締役ハ前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ二週間前ヨリ分割ノ日後六月ヲ経過スル日迄左ノ書類ヲ本店ニ備置クコトヲ要ス
一 分割計画書
二 分割ヲ為ス会社又ハ其ノ株主ニ対スル株式ノ割当ニ関スル事項ニ付其ノ理由ヲ記載シタル書面
三 各会社ノ負担スベキ債務ノ履行ノ見込アルコト及其ノ理由ヲ記載シタル書面
四 前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ前六月内ノ日ニ於テ作リタル分割ヲ為ス会社ノ貸借対照表
五 前号ノ貸借対照表ガ最終ノ貸借対照表ニ非ザルトキハ最終ノ貸借対照表
六 分割ヲ為ス会社ノ最終ノ貸借対照表ト共ニ作リタル損益計算書
七 前号ノ損益計算書ノ外第四号ノ貸借対照表ト共ニ損益計算書ヲ作リタルトキハ其ノ損益計算書
○2 株主及会社ノ債権者ハ営業時間内何時ニテモ前項ニ掲グル書類ノ閲覧ヲ求メ又ハ会社ノ定メタル費用ヲ支払ヒテ其ノ謄本若ハ抄本ノ交付ヲ求ムルコトヲ得
第三百七十四条ノ三 第三百七十四条第一項ノ株主総会ニ先チ会社ニ対シ書面ヲ以テ分割ニ反対ノ意思ヲ通知シ且総会ニ於テ分割計画書ノ承認ニ反対シタル株主ハ会社ニ対シ自己ノ有スル株式ヲ承認ノ決議ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格ヲ以テ買取ルベキ旨ヲ請求スルコトヲ得
○2 第二百四十五条ノ三及第二百四十五条ノ四ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百七十四条ノ四 会社ハ第三百七十四条第一項ノ承認ノ決議ノ日ヨリ二週間内ニ其ノ債権者ニ対シ分割ニ異議アラバ一定ノ期間内ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ官報ヲ以テ公告シ且知レタル債権者ニハ各別ニ之ヲ催告スルコトヲ要ス但シ分割ニ因リテ設立スル会社ガ分割ヲ為ス会社ニ対シ分割ニ際シテ発行スル株式ノ総数ノ割当ヲ為ス場合ニ於テ分割後モ分割ヲ為ス会社ニ対シ其ノ債権ノ弁済ノ請求ヲ為スコトヲ得ル債権者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
○2 第百条第一項後段第二項第三項及第三百七十六条第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百七十四条ノ五 分割ニ因リテ設立スル会社ノ資本ハ分割ヲ為ス会社ヨリ承継スル財産ノ価額ヨリ承継スル債務ノ額及分割ヲ為ス会社又ハ其ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ控除シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ此ノ場合ニ於テ分割ニ因リテ設立スル会社ガ分割ニ際シテ額面株式ヲ発行スルトキハ一株ノ金額ニ其ノ株式ノ総数ヲ乗ジタル額、無額面株式ヲ発行スルトキハ五万円ニ其ノ株式ノ総数ヲ乗ジタル額ハ之ヲ資本ニ組入ルルコトヲ要ス
第三百七十四条ノ六 分割ニ因リテ設立スル会社ガ分割ヲ為ス会社ニ対シ分割ニ際シテ発行スル株式ノ総数ノ割当ヲ為ス場合ニ於テ分割ヲ為ス会社ガ分割ニ因リテ設立スル会社ニ承継セシムル財産ニ付分割ヲ為ス会社ノ会計帳簿ニ記載シタル価額ノ合計額ガ其ノ会社ノ最終ノ貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上シタル額ノ合計額ノ二十分ノ一ヲ超エザルトキハ第三百七十四条第一項ノ承認ハ之ヲ得ルコトヲ要セズ
○2 前項ノ場合ニ於テハ分割計画書ニ第三百七十四条第一項ノ承認ヲ得ズシテ分割ヲ為ス旨ヲ記載スルコトヲ要ス
○3 第一項ノ場合ニ於テハ第三百七十四条ノ二第一項中「前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ二週間前」トアリ及同項第四号中「前条第一項ノ株主総会ノ会日」トアルハ「第三百七十四条ノ四第一項ノ規定ニ依ル公告又ハ催告ノ日中先ノ日」ト、第三百七十四条ノ四第一項中「第三百七十四条第一項ノ承認ノ決議ノ日」トアルハ「分割計画書ヲ作リタル日」トシ、第三百七十四条ノ三ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第三百七十四条ノ七 分割ニ因リテ設立スル会社ガ分割ヲ為ス会社ノ株主ニ対シ分割ニ際シテ発行スル株式ノ割当ヲ為ス場合ニ於テ分割ニ際シテ株券及端株券ヲ提出スルコトヲ要セザルトキハ分割ヲ為ス会社ハ分割ヲ為ス旨及一定ノ日ニ於テ株主名簿ニ記載アル株主ガ分割ニ因リテ設立スル会社ガ分割ニ際シテ発行スル株式ヲ受クル権利ヲ有スベキ旨ヲ其ノ日ノ二週間前、若シ其ノ日ガ第二百二十四条ノ三第一項ノ期間中ナルトキハ其ノ期間ノ初日ノ二週間前ニ公告スルコトヲ要ス
○2 前項ノ場合ニ於テ会社ガ分割ヲ為シタルトキハ分割ニ因リテ設立シタル会社ハ遅滞ナク同項ノ日ニ於テ株主名簿ニ記載アル株主及株主名簿ニ記載アル質権者ニ対シテ其ノ株主ノ受クル株式ノ額面無額面ノ別、種類及数ヲ通知スルコトヲ要ス
第三百七十四条ノ八 会社ノ分割アリタルトキハ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ分割ヲ為シタル会社ニ付テハ変更ノ登記、分割ニ因リテ設立シタル会社ニ付テハ第百八十八条ニ定ムル登記ヲ為スコトヲ要ス
○2 分割ニ因リテ設立シタル会社ガ分割ニ因リテ転換社債、新株引受権付社債又ハ第二百八十条ノ十九第一項ノ新株ノ引受権ニ係ル義務ヲ承継シタルトキハ前項ノ登記ト同時ニ転換社債ノ登記、新株引受権付社債ノ登記又ハ同条第一項ノ新株ノ引受権ノ行使ニ因リ発行スベキ株式ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第三百七十四条ノ九 会社ノ分割ハ之ニ因リテ設立シタル会社ガ其ノ本店ノ所在地ニ於テ前条第一項ノ登記ヲ為スニ因リテ其ノ効力ヲ生ズ
第三百七十四条ノ十 分割ニ因リテ設立シタル会社ハ分割計画書ノ記載ニ従ヒ分割ヲ為シタル会社ノ権利義務ヲ承継ス
○2 第三百七十四条ノ四第一項ニ規定スル各別ノ催告ヲ受ケザリシ債権者ニ対スル分割ヲ為シタル会社ノ債務ニ付テハ分割計画書ノ記載ニ拘ラズ之ヲ負担スルモノトセラレザリシ会社モ亦其ノ弁済ノ責ニ任ズ但シ分割ノ日ニ於テ有シタル財産ノ価額ヲ限度トス
第三百七十四条ノ十一 取締役ハ第三百七十四条ノ四ニ規定スル手続ノ経過、分割ノ日、分割ニ因リテ設立シタル会社ガ分割ヲ為シタル会社ヨリ承継シタル権利義務並ニ財産ノ価額及債務ノ額其ノ他ノ分割ニ関スル事項ヲ記載シタル書面ヲ分割ノ日ヨリ六月間本店ニ備置クコトヲ要ス
○2 株主、会社ノ債権者其ノ他ノ利害関係人ハ営業時間内何時ニテモ前項ニ掲グル書類ノ閲覧ヲ求メ又ハ会社ノ定メタル費用ヲ支払ヒテ其ノ謄本若ハ抄本ノ交付ヲ求ムルコトヲ得
第三百七十四条ノ十二 会社ノ新設分割ノ無効ハ分割ノ日ヨリ六月内ニ訴ヲ以テノミ之ヲ主張スルコトヲ得
○2 前項ノ訴ハ各会社ノ株主、取締役、監査役、清算人、破産管財人又ハ分割ヲ承認セザル債権者ニ限リ之ヲ提起スルコトヲ得
○3 第一項ノ訴ハ分割ヲ為シタル会社又ハ分割ニ因リテ設立シタル会社ノ本店ノ所在地ノ地方裁判所ノ管轄ニ専属ス
○4 前項ノ規定ニ依リ二以上ノ裁判所ガ管轄権ヲ有スルトキハ先ニ訴ノ提起アリタル裁判所ノ管轄ニ専属ス
○5 裁判所ハ著キ損害又ハ遅滞ヲ避クル為必要アリト認ムルトキハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ訴訟ノ全部ヲ第三項ニ規定スル裁判所ニ移送スルコトヲ得
○6 第百五条第二項乃至第四項、第百六条、第百九条、第百十条及第二百四十九条ノ規定ハ第一項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第三百七十四条ノ十三 分割ヲ無効トスル判決ガ確定シタルトキハ分割ヲ為シタル会社ハ分割ニ因リテ設立シタル会社ガ分割後負担シタル債務ニ付其ノ弁済ノ責ニ任ズ
○2 分割ニ因リテ設立シタル会社ガ分割後取得シタル財産ハ分割ヲ為シタル会社ノ所有ニ属ス
○3 会社ガ共同シテ分割ニ因リ会社ヲ設立シタル場合ニ於テ分割ヲ無効トスル判決ガ確定シタルトキハ分割ヲ為シタル会社ハ分割ニ因リテ設立シタル会社ガ分割後負担シタル債務ニ付連帯シテ其ノ弁済ノ責ニ任ズ
○4 前項ニ規定スル場合ニ於テハ分割ニ因リテ設立シタル会社ガ分割後取得シタル財産ハ分割ヲ為シタル会社ノ共有ニ属ス
○5 前二項ノ場合ニ於テハ各会社ノ負担部分又ハ持分ハ其ノ協議ヲ以テ之ヲ定ム協議調ハザルトキハ裁判所ハ請求ニ依リ分割ノ時ニ於ケル各会社ノ財産ノ額其ノ他一切ノ事情ヲ斟酌シテ之ヲ定ム
第三百七十四条ノ十四 分割ヲ無効トスル判決ガ確定シタルトキハ本店及支店ノ所在地ニ於テ分割ヲ為シタル会社ニ付テハ変更ノ登記、分割ニ因リテ設立シタル会社ニ付テハ解散ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第三百七十四条ノ十五 第二百八条及第二百九条第三項ノ規定ハ分割ヲ為ス会社ノ株式ヲ目的トスル質権ニ之ヲ準用ス
○2 第二百十四条第二項及第二百十五条乃至第二百十七条ノ規定ハ会社ノ分割ノ場合ノ株式ノ併合ニ之ヲ準用ス
○3 第二百十七条第一項及第二項ノ規定ハ分割ニ因リテ設立スル会社ガ分割ニ際シテ発行スル株式ノ割当ニ因リ一株ニ満タザル端数ヲ生ズル場合ニ之ヲ準用ス
第二款 吸収分割
第三百七十四条ノ十六 会社ハ其ノ一方ノ営業ノ全部又ハ一部ヲ他方ニ承継セシムル為吸収分割ヲ為スコトヲ得
第三百七十四条ノ十七 会社ガ吸収分割ヲ為スニハ其ノ双方ニ於テ分割契約書ヲ作リ株主総会ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス
○2 分割契約書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 分割ニ因リテ営業ヲ承継スル会社ガ分割ニ因リ定款ノ変更ヲ為ストキハ其ノ規定
二 承継スル会社ガ分割ニ際シテ発行スル新株ノ総数、額面無額面ノ別、種類及数並ニ分割ヲ為ス会社又ハ其ノ株主ニ対スル新株ノ割当ニ関スル事項
三 承継スル会社ノ増加スベキ資本ノ額及準備金ニ関スル事項
四 分割ヲ為ス会社又ハ其ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ定メタルトキハ其ノ規定
五 承継スル会社ガ分割ヲ為ス会社ヨリ承継スル債権債務、雇傭契約其ノ他ノ権利義務ニ関スル事項
六 承継スル会社ガ分割ヲ為ス会社ノ株主ニ対シ分割ニ際シテ発行スル新株ノ割当ヲ為ス場合ニ於テ分割ヲ為ス会社ノ資本又ハ準備金ノ減少ヲ為ストキハ減少スベキ資本ノ額又ハ準備金ニ関スル事項
七 承継スル会社ガ分割ヲ為ス会社ノ株主ニ対シ分割ニ際シテ発行スル新株ノ割当ヲ為ス場合ニ於テ分割ヲ為ス会社ガ分割ニ際シテ株式ノ消却又ハ併合ヲ為ストキハ其ノ方法
八 各会社ニ於テ前項ノ決議ヲ為スベキ株主総会ノ期日
九 分割ヲ為スベキ時期
十 各会社ガ分割ノ日迄ニ利益ノ配当又ハ第二百九十三条ノ五第一項ノ金銭ノ分配ヲ為ストキハ其ノ限度額
十一 承継スル会社ニ付分割ニ際シテ就職スベキ取締役又ハ監査役ヲ定メタルトキハ其ノ規定
○3 分割契約書ノ要領ハ第二百三十二条ニ定ムル通知ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
○4 第一項ノ決議ハ第三百四十三条ノ規定ニ依ルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ
○5 承継スル会社ノ定款ニ株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定アル場合又ハ承継スル会社ガ分割ニ因リ定款ヲ変更シテ其ノ定ヲ設クル場合ニ於テ分割ヲ為ス会社ノ定款ニ其ノ定ナキトキハ分割ヲ為ス会社ニ於ケル第一項ノ決議ハ第三百四十八条第一項ノ規定ニ依ルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ但シ承継スル会社ガ分割ヲ為ス会社ニ対シ分割ニ際シテ発行スル新株ノ総数ノ割当ヲ為ストキハ此ノ限ニ在ラズ
○6 承継スル会社ガ分割ニ因リ定款ヲ変更シテ前項ノ定ヲ設クル場合ニ於テハ其ノ会社ニ付亦同項本文ニ同ジ
○7 承継スル会社ノ定款ニ第五項ノ定アル場合ニ於ケル同項本文ノ決議ヲ為スベキ株主総会ニ付テハ其ノ会社ノ定款ニ其ノ定アル旨ヲ第三項ノ通知ニ記載スルコトヲ要ス
第三百七十四条ノ十八 取締役ハ前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ二週間前ヨリ分割ノ日後六月ヲ経過スル日迄左ノ書類ヲ本店ニ備置クコトヲ要ス
一 分割契約書
二 分割ヲ為ス会社又ハ其ノ株主ニ対スル新株ノ割当ニ関スル事項ニ付其ノ理由ヲ記載シタル書面
三 各会社ノ負担スベキ債務ノ履行ノ見込アルコト及其ノ理由ヲ記載シタル書面
四 前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ前六月内ノ日ニ於テ作リタル各会社ノ貸借対照表
五 前号ノ貸借対照表ガ最終ノ貸借対照表ニ非ザルトキハ最終ノ貸借対照表
六 各会社ノ最終ノ貸借対照表ト共ニ作リタル損益計算書
七 前号ノ損益計算書ノ外第四号ノ貸借対照表ト共ニ損益計算書ヲ作リタルトキハ其ノ損益計算書
○2 第三百七十四条ノ二第二項ノ規定ハ前項ニ掲グル書類ニ之ヲ準用ス
第三百七十四条ノ十九 分割ニ因リテ営業ヲ承継スル会社ハ分割ニ際シテ為ス新株ノ発行ニ代ヘテ其ノ有スル自己ノ株式ニシテ第二百十一条ノ規定ニ依リ相当ノ時期ニ処分ヲ為スコトヲ要スルモノヲ分割ヲ為ス会社又ハ其ノ株主ニ移転スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ移転スベキ株式ノ総数、額面無額面ノ別、種類及数ヲ分割契約書ニ記載スルコトヲ要ス
第三百七十四条ノ二十 各会社ハ第三百七十四条ノ十七第一項ノ承認ノ決議ノ日ヨリ二週間内ニ其ノ債権者ニ対シ分割ニ異議アラバ一定ノ期間内ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ官報ヲ以テ公告シ且知レタル債権者ニハ各別ニ之ヲ催告スルコトヲ要ス但シ分割ニ因リテ営業ヲ承継スル会社ガ其ノ公告ヲ官報ノ外公告ヲ為ス方法トシテ定款ニ定メタル時事ニ関スル事項ヲ掲載スル日刊新聞紙ニ掲ゲテ為ストキハ其ノ会社ニ於テハ其ノ催告ハ之ヲ為スコトヲ要セズ
○2 第百条第一項後段第二項第三項、第三百七十四条ノ四第一項但書及第三百七十六条第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百七十四条ノ二十一 分割ニ因リテ営業ヲ承継スル会社ノ資本ハ分割ヲ為ス会社ヨリ承継スル財産ノ価額ヨリ左ノ金額ヲ控除シタル額ヲ限度トシテ之ヲ増加スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ分割ニ際シテ額面株式ヲ発行スルトキハ一株ノ金額ニ其ノ株式ノ総数ヲ乗ジタル額ハ之ヲ資本ニ組入ルルコトヲ要ス
一 分割ヲ為ス会社ヨリ承継スル債務ノ額
二 分割ヲ為ス会社又ハ其ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額
三 第三百七十四条ノ十九ノ規定ニ依リ分割ヲ為ス会社又ハ其ノ株主ニ移転スル株式ニ付会計帳簿ニ記載シタル価額ノ合計額
第三百七十四条ノ二十二 分割ニ因リテ営業ヲ承継スル会社ガ分割ヲ為ス会社ニ対シ分割ニ際シテ発行スル新株ノ総数ノ割当ヲ為ス場合ニ於テ分割ヲ為ス会社ガ承継スル会社ニ承継セシムル財産ニ付分割ヲ為ス会社ノ会計帳簿ニ記載シタル価額ノ合計額ガ其ノ会社ノ最終ノ貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上シタル額ノ合計額ノ二十分ノ一ヲ超エザルトキハ其ノ会社ニ於テハ第三百七十四条ノ十七第一項ノ承認ハ之ヲ得ルコトヲ要セズ
○2 前項ノ場合ニ於テハ分割契約書ニ分割ヲ為ス会社ニ於テハ第三百七十四条ノ十七第一項ノ承認ヲ得ズシテ分割ヲ為ス旨ヲ記載スルコトヲ要ス
○3 第一項ノ場合ニ於ケル分割ヲ為ス会社ニ付テハ第三百七十四条ノ十八第一項中「前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ二週間前」トアリ及同項第四号中「前条第一項ノ株主総会ノ会日」トアルハ「第三百七十四条ノ二十第一項ノ規定ニ依ル公告又ハ催告ノ日中先ノ日」ト、第三百七十四条ノ二十第一項中「第三百七十四条ノ十七第一項ノ承認ノ決議ノ日」トアルハ「分割契約書ヲ作リタル日」トシ、第三百七十四条ノ三十一第五項ニ於テ準用スル第三百七十四条ノ三ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第三百七十四条ノ二十三 分割ニ因リテ営業ヲ承継スル会社ガ分割ニ際シテ発行スル新株ノ総数ガ其ノ会社ノ発行済株式ノ総数ノ二十分ノ一ヲ超エザルトキハ其ノ会社ニ於テハ第三百七十四条ノ十七第一項ノ承認ハ之ヲ得ルコトヲ要セズ但シ分割ヲ為ス会社又ハ其ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ定メタル場合ニ於テ其ノ金額ガ最終ノ貸借対照表ニ依リ承継スル会社ニ現存スル純資産額ノ五十分ノ一ヲ超ユルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 第三百七十四条ノ十九ノ規定ニ依リ分割ヲ為ス会社又ハ其ノ株主ニ移転スル株式ハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ分割ニ際シテ発行スル新株ト看做ス
○3 第一項本文ノ場合ニ於テハ分割契約書ニ承継スル会社ニ付テハ第三百七十四条ノ十七第一項ノ承認ヲ得ズシテ分割ヲ為ス旨ヲ記載スルコトヲ要シ、同条第二項第一号及第十一号ニ掲グル事項ハ之ヲ記載スルコトヲ得ズ
○4 承継スル会社ハ分割契約書ヲ作リタル日ヨリ二週間内ニ分割ヲ為ス会社ノ商号及本店、分割ヲ為スベキ時期並ニ第三百七十四条ノ十七第一項ノ承認ヲ得ズシテ分割ヲ為ス旨ヲ公告シ又ハ株主ニ通知スルコトヲ要ス
○5 前項ノ規定ニ依ル公告又ハ通知ノ日ヨリ二週間内ニ承継スル会社ニ対シ書面ヲ以テ分割ニ反対ノ意思ヲ通知シタル株主ハ会社ニ対シ自己ノ有スル株式ヲ分割契約ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格ヲ以テ買取ルベキ旨ヲ請求スルコトヲ得
○6 前項ノ請求ハ同項ノ期間ノ満了ノ日ヨリ二十日内ニ株式ノ額面無額面ノ別、種類及数ヲ記載シタル書面ヲ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス
○7 第二百四十五条ノ三第二項乃至第五項及第二百四十五条ノ四ノ規定ハ第五項ノ場合ニ之ヲ準用ス
○8 承継スル会社ノ発行済株式ノ総数ノ六分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主ガ第五項ノ規定ニ依ル反対ノ意思ノ通知ヲ為シタルトキハ此ノ条ニ定メタル手続ニ依ル分割ハ之ヲ為スコトヲ得ズ
○9 第一項本文ノ場合ニ於ケル承継スル会社ニ付テノ第三百七十四条ノ十八第一項及第三百七十四条ノ二十第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ第三百七十四条ノ十八第一項中「前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ二週間前」トアリ及同項第四号中「前条第一項ノ株主総会ノ会日」トアルハ「第三百七十四条ノ二十第一項又ハ第三百七十四条ノ二十三第四項ノ規定ニ依ル公告、催告又ハ通知ノ日中最初ノ日」ト、第三百七十四条ノ二十第一項中「第三百七十四条ノ十七第一項ノ承認ノ決議ノ日」トアルハ「分割契約書ヲ作リタル日」トス
第三百七十四条ノ二十四 会社ノ分割アリタルトキハ分割ヲ為シタル会社及分割ニ因リテ営業ヲ承継シタル会社ハ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ変更ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
○2 第三百七十四条ノ八第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百七十四条ノ二十五 会社ノ分割ハ之ニ因リテ営業ヲ承継シタル会社ガ其ノ本店ノ所在地ニ於テ前条第一項ノ登記ヲ為スニ因リテ其ノ効力ヲ生ズ
第三百七十四条ノ二十六 分割ニ因リテ営業ヲ承継シタル会社ハ分割契約書ノ記載ニ従ヒ分割ヲ為シタル会社ノ権利義務ヲ承継ス
○2 第三百七十四条ノ二十第一項ニ規定スル各別ノ催告ヲ受ケザリシ債権者ニ対スル分割ヲ為シタル会社ノ債務ニ付テハ分割契約書ノ記載ニ拘ラズ之ヲ負担スルモノトセラレザリシ会社モ亦其ノ弁済ノ責ニ任ズ但シ其ノ会社ガ分割ヲ為シタル会社ナルトキハ分割ノ日ニ於テ有シタル財産ノ価額ヲ、其ノ会社ガ承継シタル会社ナルトキハ承継シタル財産ノ価額ヲ限度トス
第三百七十四条ノ二十七 分割ニ因リテ営業ヲ承継スル会社ノ取締役及監査役ニシテ分割前ニ就職シタルモノハ分割契約書ニ別段ノ定ノ記載アルトキヲ除クノ外分割後最初ニ到来スル決算期ニ関スル定時総会ノ終結ノ時ニ退任ス
第三百七十四条ノ二十八 会社ノ吸収分割ノ無効ハ分割ノ日ヨリ六月内ニ訴ヲ以テノミ之ヲ主張スルコトヲ得
○2 前項ノ訴ハ分割ヲ為シタル会社又ハ分割ニ因リテ営業ヲ承継シタル会社ノ本店ノ所在地ノ地方裁判所ノ管轄ニ専属ス
○3 第百五条第二項乃至第四項、第百六条、第百九条、第百十条、第二百四十九条及第三百七十四条ノ十二第二項第四項第五項ノ規定ハ第一項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第三百七十四条ノ二十九 分割ヲ無効トスル判決ガ確定シタルトキハ各会社ハ分割ニ因リテ営業ヲ承継シタル会社ガ分割後負担シタル債務ニ付連帯シテ弁済ノ責ニ任ズ
○2 承継シタル会社ガ分割後取得シタル財産ハ各会社ノ共有ニ属ス
○3 第三百七十四条ノ十三第五項ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百七十四条ノ三十 分割ヲ無効トスル判決ガ確定シタルトキハ本店及支店ノ所在地ニ於テ変更ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第三百七十四条ノ三十一 第二百八条及第二百九条第三項ノ規定ハ分割ヲ為ス会社ノ株式ヲ目的トスル質権ニ之ヲ準用ス
○2 第二百十四条第二項及第二百十五条乃至第二百十七条ノ規定ハ会社ノ分割ノ場合ノ株式ノ併合ニ之ヲ準用ス
○3 第二百十七条第一項及第二項ノ規定ハ分割ニ因リテ営業ヲ承継スル会社ガ分割ニ際シテ発行スル新株ノ割当ニ因リ一株ニ満タザル端数ヲ生ズル場合ニ之ヲ準用ス
○4 第三百五十条第一項及第三項ノ規定ハ承継スル会社ガ分割ニ因リ定款ヲ変更シテ株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定ヲ設クル場合ニ於ケル其ノ会社ノ執ルベキ手続ニ之ヲ準用ス
○5 第三百七十四条ノ三、第三百七十四条ノ七及第三百七十四条ノ十一ノ規定ハ吸収分割ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六節ノ四 資本ノ減少
第三百七十五条 資本ノ減少ヲ為スニハ第三百四十三条ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ要ス
○2 資本ノ減少ニ関スル議案ノ要領ハ第二百三十二条ニ定ムル通知ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
第三百七十六条 資本減少ノ場合ニ於テハ其ノ決議ニ於テ減少ノ方法ヲ定ムルコトヲ要ス
○2 第百条ノ規定ハ資本減少ノ場合ニ之ヲ準用ス
○3 社債権者ガ異議ヲ述ブルニハ社債権者集会ノ決議ニ依ルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ裁判所ハ利害関係人ノ請求ニ依リ社債権者ノ為ニ異議ノ期間ヲ伸長スルコトヲ得
第三百七十七条 第二百十四条第二項及第二百十五条乃至第二百十七条ノ規定ハ資本減少ノ場合ノ株式ノ併合ニ之ヲ準用ス
○2 前項ニ於テ準用スル第二百十五条第一項ノ期間満了ノ時ニ前条第二項ニ於テ準用スル第百条ノ手続ガ未ダ終了セザルトキハ其ノ終了ノ時ニ於テ株式ノ併合ノ効力ヲ生ズ
第三百七十八条及第三百七十九条 削除
第三百八十条 資本減少ノ無効ハ本店ノ所在地ニ於テ資本減少ニ因ル変更ノ登記ヲ為シタル日ヨリ六月内ニ訴ヲ以テノミ之ヲ主張スルコトヲ得
○2 前項ノ訴ハ株主、取締役、監査役、清算人、破産管財人又ハ資本ノ減少ヲ承認セザル債権者ニ限リ之ヲ提起スルコトヲ得
○3 第八十八条、第百五条第二項乃至第四項、第百六条、第百九条、第百三十七条及第二百四十九条ノ規定ハ第一項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第七節 会社ノ整理
第三百八十一条 会社ノ現況其ノ他ノ事情ニ依リ支払不能又ハ債務超過ニ陥ルノ虞アリト認ムルトキハ裁判所ハ取締役、監査役、六月前ヨリ引続キ発行済株式ノ総数ノ百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スル株主又ハ資本ノ十分ノ一以上ニ当ル債権者ノ申立ニ依リ会社ニ対シ整理ノ開始ヲ命ズルコトヲ得会社ニ支払不能又ハ債務超過ノ疑アリト認ムルトキ亦同ジ
○2 会社ノ業務ヲ監督スル官庁ハ会社ニ前項ニ掲グル事由アリト認ムルトキハ裁判所ニ其ノ旨ヲ通告スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ裁判所ハ職権ヲ以テ整理ノ開始ヲ命ズルコトヲ得
第三百八十二条 整理開始ノ命令アリタルトキハ直ニ会社ノ本店及支店ノ所在地ノ登記所ニ於テ其ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第三百八十三条 整理開始ノ申立又ハ通告アリタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ裁判所ハ破産手続及企業担保権ノ実行手続ノ中止ヲ命ズルコトヲ得
○2 整理開始ノ命令アリタルトキハ破産ノ申立又ハ会社財産ニ対スル強制執行、仮差押、仮処分若ハ企業担保権ノ実行ヲ為スコトヲ得ズ破産手続並ニ既ニ為シタル強制執行、仮差押、仮処分及企業担保権ノ実行手続ハ之ヲ中止ス
○3 整理開始ノ命令ガ確定シタルトキハ前二項ノ規定ニ依リテ中止シタル手続ハ整理ノ関係ニ於テハ其ノ効力ヲ失フ
第三百八十四条 整理開始ノ命令アリタル場合ニ於テ債権者ノ一般ノ利益ニ適応シ且競売申立人ニ不当ノ損害ヲ及ボスノ虞ナキモノト認ムルトキハ裁判所ハ相当ノ期間ヲ定メ担保権ノ実行トシテノ競売ノ手続ノ中止ヲ命ズルコトヲ得
第三百八十五条 整理開始ノ命令アリタルトキハ会社ノ債権者ノ債権ニ付テハ整理開始ノ取消ノ登記又ハ整理終結ノ登記ノ日ヨリ二月内ハ時効完成セズ
第三百八十六条 整理開始ノ命令アリタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ裁判所ハ左ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 会社ノ業務ノ制限其ノ他会社財産ノ保全処分
二 株主ノ名義書換ノ禁止
三 会社ノ業務及財産ニ対スル検査ノ命令
四 整理ニ関スル立案及実行ノ命令
五 取締役又ハ監査役ノ解任
六 発起人、取締役又ハ監査役ノ責任ノ免除ノ禁止
七 発起人、取締役又ハ監査役ノ責任ノ免除ノ取消但シ整理ノ開始ヨリ一年前ニ為シタル免除ニ付テハ不正ノ目的ニ出デタルモノニ限ル
八 発起人、取締役又ハ監査役ノ責任ニ基ク損害賠償請求権ノ査定
九 前号ノ損害賠償請求権ニ付発起人、取締役又ハ監査役ノ財産ニ対シテ為ス保全処分
十 会社ノ業務及財産ニ関スル監督ノ命令
十一 会社ノ業務及財産ニ関スル管理ノ命令
○2 整理開始ノ申立又ハ通告アリタルトキハ裁判所ハ其ノ開始前ト雖モ第三百八十一条第一項ニ掲グル者ノ申立ニ依リ又ハ職権ヲ以テ前項第一号乃至第三号、第九号又ハ第十号ノ処分ヲ為スコトヲ得
第三百八十七条 前条第一項第五号、第十号又ハ第十一号ノ処分アリタルトキハ直ニ会社ノ本店及支店ノ所在地ノ登記所ニ於テ其ノ登記ヲ為スコトヲ要ス前条第一項第一号ノ業務ノ制限ノ処分アリタルトキ亦同ジ
○2 前条第一項第一号又ハ第九号ノ処分ニシテ登記又ハ登録ヲ為スベキ財産ニ関スルモノニ付テハ直ニ其ノ登記又ハ登録ヲ為スコトヲ要ス
第三百八十八条 第三百八十六条第一項第三号ノ検査ハ会社ノ業務及財産ノ状況其ノ他会社ノ整理ニ必要ナル事項ニ付裁判所ノ選任シタル検査役之ヲ為ス
○2 検査役ハ会社ノ業績ガ不良ト為リタル事情及発起人、取締役又ハ監査役ニ不正又ハ懈怠ナカリシヤ否ヤヲモ調査スルコトヲ要ス
第三百八十九条 検査役ハ調査ノ結果殊ニ左ノ事項ヲ裁判所ニ報告スルコトヲ要ス
一 整理ノ見込アルヤ否ヤ
二 発起人、取締役又ハ監査役ニ第百九十二条第一項第二項第四項、第百九十二条ノ二、第百九十三条第一項、第二百六十六条、第二百七十七条、第二百八十条ノ十三又ハ第二百八十条ノ十三ノ二ノ規定ニ依リテ責ニ任ズベキ事実アルヤ否ヤ
三 会社ノ業務及財産ニ付監督又ハ管理ヲ為ス必要アルヤ否ヤ
四 会社財産ノ保全処分ヲ為ス必要アルヤ否ヤ
五 会社ノ損害賠償請求権ニ付発起人、取締役又ハ監査役ノ財産ニ対シ保全処分ヲ為ス必要アルヤ否ヤ
第三百九十条 検査役ハ発起人、取締役、監査役及支配人其ノ他ノ使用人ニ対シ会社ノ業務及財産ノ状況ニ付報告ヲ求メ会社ノ帳簿、書類、金銭其ノ他ノ物件ヲ検査スルコトヲ得
○2 検査役ハ其ノ調査ヲ為スニ当リ裁判所ノ許可ヲ得テ執行官又ハ警察官ノ援助ヲ求ムルコトヲ得
第三百九十一条 第三百八十六条第一項第四号ノ処分ヲ為シタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ裁判所ハ整理委員ヲ選任スルコトヲ得
○2 整理委員ハ整理ニ関スル立案ノ任ニ当リ且取締役ガ其ノ実行ヲ為スニ付之ト協力ス
○3 前条第一項ノ規定ハ整理委員ニ之ヲ準用ス
第三百九十二条及第三百九十三条 削除
第三百九十四条 第三百八十六条第一項第八号ノ査定ニ不服アル者ハ査定ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ一月内ニ異議ノ訴ヲ提起スルコトヲ得
○2 査定ヲ認可シ又ハ之ヲ変更シタル判決ハ強制執行ニ関シテハ給付ヲ命ズル判決ト同一ノ効力ヲ有ス
○3 第八十八条及第百五条第二項第三項ノ規定ハ第一項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第三百九十五条 前条第一項ノ期間内ニ訴ノ提起ナキトキハ査定ハ給付ヲ命ズル確定判決ト同一ノ効力ヲ有ス訴ガ却下セラレタルトキ亦同ジ
第三百九十六条 査定ノ申立ハ時効ノ中断ニ関シテハ之ヲ裁判上ノ請求ト看做ス職権ニ依ル査定手続ノ開始亦同ジ
第三百九十七条 第三百八十六条第一項第十号ノ監督ハ裁判所ノ選任シタル監督員之ヲ為ス
○2 取締役ガ裁判所ノ指定シタル行為ヲ為スニハ監督員ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
○3 第三百九十条第一項ノ規定ハ監督員ニ之ヲ準用ス
第三百九十八条 第三百八十六条第一項第十一号ノ管理ハ裁判所ノ選任シタル管理人之ヲ為ス
○2 会社ノ代表、業務ノ執行並ニ財産ノ管理及処分ヲ為ス権利ハ管理人ニ専属ス第二百四十七条、第二百八十条ノ十五、第三百六十三条、第三百七十二条、第三百七十四条ノ十二(第三百七十四条ノ二十八第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第三百八十条、第四百十五条及第四百二十八条ノ規定ニ依ル取締役ノ権利亦同ジ
○3 第三百九十条ノ規定ハ管理人ニ之ヲ準用ス
第三百九十九条 整理ガ結了シ又ハ整理ノ必要ナキニ至リタルトキハ裁判所ハ第三百八十一条第一項ニ掲グル者、検査役、整理委員、監督員又ハ管理人ノ申立ニ依リ整理終結ノ決定ヲ為スコトヲ得
第四百条 第三百八十二条及第三百八十七条ノ規定ハ整理終結ノ決定又ハ整理開始ノ命令ヲ取消ス決定ガ確定シタル場合ニ之ヲ準用ス
第四百一条 削除
第四百二条 整理開始ノ命令アリタル場合ニ於テ整理ノ見込ナキトキハ裁判所ハ職権ヲ以テ破産法 ニ従ヒ破産ノ宣告ヲ為スコトヲ要ス
第四百三条 破産法第百四条 ノ規定ハ整理ノ場合ニ之ヲ準用ス
○2 破産法第百六十三条 乃至第百六十六条 ノ規定ハ検査役、整理委員、監督員及管理人ニ之ヲ準用ス
第八節 解散
第四百四条 会社ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 第九十四条第一号、第三号、第五号及第六号ニ掲グル事由
二 株主総会ノ決議
第四百五条 解散ノ決議ハ第三百四十三条ノ規定ニ依ルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ
第四百六条 会社ガ存立時期ノ満了其ノ他定款ニ定メタル事由ノ発生又ハ株主総会ノ決議ニ因リテ解散シタル場合ニ於テハ第三百四十三条ニ定ムル決議ニ依リテ会社ヲ継続スルコトヲ得
第四百六条ノ二 左ノ場合ニ於テ已ムコトヲ得ザル事由アルトキハ発行済株式ノ総数ノ十分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主ハ会社ノ解散ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
一 会社ノ業務ノ執行上著シキ難局ニ逢着シ会社ニ回復スベカラザル損害ヲ生ジ又ハ生ズル虞アルトキ
二 会社財産ノ管理又ハ処分ガ著シク失当ニシテ会社ノ存立ヲ危殆ナラシムルトキ
○2 第百十二条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四百六条ノ三 最後ノ登記後五年ヲ経過シタル会社ハ本店ノ所在地ヲ管轄スル登記所ニ未ダ営業ヲ廃止セザル旨ノ届出ヲ為スベキ旨ヲ法務大臣ガ官報ヲ以テ公告シタル場合ニ於テ其ノ公告ノ日ニ既ニ最後ノ登記後五年ヲ経過シタル会社ガ同日ヨリ二月内ニ法務省令ヲ以テ定ムル所ニ依リ其ノ届出ヲ為サザルトキハ其ノ会社ハ其ノ期間満了ノ時ニ解散シタルモノト看做ス但シ其ノ期間内ニ登記ヲ為シタル会社ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
○2 前項ノ公告アリタルトキハ登記所ハ同項ノ会社ニ対シ其ノ公告アリタル旨ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス
○3 第一項ノ規定ニ依リ解散シタルモノト看做サレタル会社ハ其ノ後三年内ニ限リ第三百四十三条ニ定ムル決議ニ依リテ会社ヲ継続スルコトヲ得
第四百七条 会社ガ解散シタルトキハ破産ノ場合ヲ除クノ外取締役ハ遅滞ナク株主ニ対シテ其ノ旨ノ通知ヲ発シ且端株券ヲ発行シタル場合ニ於テハ之ヲ公告スルコトヲ要ス
第四百八条 会社ガ合併ヲ為スニハ合併契約書ヲ作リ株主総会ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス
○2 合併契約書ノ要領ハ第二百三十二条ニ定ムル通知ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
○3 第一項ノ決議ハ第三百四十三条ノ規定ニ依ルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ
○4 合併後存続スル会社ノ定款ニ株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定アリ合併ニ因リ消滅スル会社ノ定款ニ其ノ定ナキトキハ消滅スル会社ニ於ケル第一項ノ決議ハ第三百四十八条第一項ノ規定ニ依ルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ合併ニ因リテ設立スル会社ノ定款ニ其ノ旨ヲ定ムル場合ニ於テ合併ヲ為ス会社ノ定款ニ其ノ定ナキトキ其ノ会社ニ付亦同ジ
○5 存続スル会社ガ合併ニ因リ定款ヲ変更シテ前項ノ定ヲ設クル場合ニ於テハ其ノ会社及消滅スル会社ニシテ定款ニ其ノ定ナキモノニ付亦同項ニ同ジ
○6 第四項前段ノ決議ヲ為スベキ株主総会ニ付テハ存続スル会社ノ定款ニ同項ノ定アル旨ヲ第二項ノ通知ニ記載スルコトヲ要ス
第四百八条ノ二 取締役ハ前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ二週間前ヨリ合併ノ日後六月ヲ経過スル日迄左ノ書類ヲ本店ニ備置クコトヲ要ス
一 合併契約書
二 合併ニ因リテ消滅スル会社ノ株主ニ対スル株式ノ割当ニ関スル事項ニ付其ノ理由ヲ記載シタル書面
三 前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ前六月内ノ日ニ於テ作リタル合併ヲ為ス各会社ノ貸借対照表
四 前号ノ貸借対照表ガ最終ノ貸借対照表ニ非ザルトキハ最終ノ貸借対照表
五 合併ヲ為ス各会社ノ最終ノ貸借対照表ト共ニ作リタル損益計算書
六 前号ノ損益計算書ノ外第三号ノ貸借対照表ト共ニ損益計算書ヲ作リタルトキハ其ノ損益計算書
○2 株主及会社ノ債権者ハ営業時間内何時ニテモ前項ノ書類ノ閲覧ヲ求メ又ハ会社ノ定メタル費用ヲ支払ヒテ其ノ謄本若ハ抄本ノ交付ヲ求ムルコトヲ得
第四百八条ノ三 第四百八条第一項ノ株主総会ニ先チ会社ニ対シ書面ヲ以テ合併ニ反対ノ意思ヲ通知シ且総会ニ於テ合併契約書ノ承認ニ反対シタル株主ハ会社ニ対シ自己ノ有スル株式ヲ承認ノ決議ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格ヲ以テ買取ルベキ旨ヲ請求スルコトヲ得
○2 第二百四十五条ノ三及第二百四十五条ノ四ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四百九条 合併ヲ為ス会社ノ一方ガ合併後存続スル場合ニ於テハ合併契約書ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 存続スル会社ガ合併ニ因リ定款ノ変更ヲ為ストキハ其ノ規定
二 存続スル会社ガ合併ニ際シテ発行スル新株ノ総数、額面無額面ノ別、種類及数並ニ合併ニ因リテ消滅スル会社ノ株主ニ対スル新株ノ割当ニ関スル事項
三 存続スル会社ノ増加スベキ資本ノ額及準備金ニ関スル事項
四 合併ニ因リテ消滅スル会社ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ定メタルトキハ其ノ規定
五 各会社ニ於テ第四百八条第一項ノ決議ヲ為スベキ株主総会ノ期日
六 合併ヲ為スベキ時期
七 各会社ガ合併ノ日迄ニ利益ノ配当又ハ第二百九十三条ノ五第一項ノ金銭ノ分配ヲ為ストキハ其ノ限度額
八 存続スル会社ニ付合併ニ際シテ就職スベキ取締役又ハ監査役ヲ定メタルトキハ其ノ規定
第四百九条ノ二 合併後存続スル会社ハ合併ニ際シテ為ス新株ノ発行ニ代ヘテ其ノ有スル自己ノ株式ニシテ第二百十一条ノ規定ニ依リ相当ノ時期ニ処分ヲ為スコトヲ要スルモノヲ合併ニ因リテ消滅スル会社ノ株主ニ移転スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ移転スベキ株式ノ総数、額面無額面ノ別、種類及数ヲ合併契約書ニ記載スルコトヲ要ス
第四百十条 合併ニ因リテ会社ヲ設立スル場合ニ於テハ合併契約書ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 合併ニ因リテ設立スル会社ノ定款ノ規定
二 合併ニ因リテ設立スル会社ガ合併ニ際シテ発行スル株式ノ種類及数並ニ各会社ノ株主ニ対スル株式ノ割当ニ関スル事項
三 合併ニ因リテ設立スル会社ノ資本ノ額及準備金ニ関スル事項
四 各会社ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ定メタルトキハ其ノ規定
五 第四百九条第五号乃至第七号ニ掲グル事項
六 合併ニ因リテ設立スル会社ノ取締役及監査役ノ氏名
第四百十一条 合併後存続スル会社又ハ合併ニ因リテ設立スル会社ガ株式会社ナル場合ニ於テ合併ヲ為ス会社ノ一方又ハ双方ガ合名会社又ハ合資会社ナルトキハ総社員ノ同意ヲ得テ合併契約書ヲ作ルコトヲ要ス
○2 第四百九条、第四百九条ノ二後段及前条ノ規定ハ前項ノ合併契約書ニ之ヲ準用ス
第四百十二条 会社ハ第四百八条第一項ノ承認ノ決議ノ日ヨリ二週間内ニ其ノ債権者ニ対シ合併ニ異議アラバ一定ノ期間内ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ官報ヲ以テ公告シ且知レタル債権者ニハ各別ニ之ヲ催告スルコトヲ要ス但シ会社ガ其ノ公告ヲ官報ノ外公告ヲ為ス方法トシテ定款ニ定メタル時事ニ関スル事項ヲ掲載スル日刊新聞紙ニ掲ゲテ為ストキハ其ノ催告ハ之ヲ為スコトヲ要セズ
○2 第百条第一項後段、第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四百十三条 合併ニ因リテ消滅スル会社ノ合併ニ因ル株式ノ分割ハ第二百十八条第二項ノ規定ニ拘ラズ最終ノ貸借対照表ニ依リ会社ニ現存スル純資産額ヲ分割後ノ発行済株式ノ総数ヲ以テ除シタル額ガ五万円ヲ下ル場合ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得
第四百十三条ノ二 合併後存続スル会社ノ資本ハ合併ニ因リ消滅スル会社ヨリ承継スル財産ノ価額ヨリ左ノ金額ヲ控除シタル額ヲ限度トシテ之ヲ増加スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ合併ニ際シテ額面株式ヲ発行スルトキハ一株ノ金額ニ其ノ株式ノ総数ヲ乗ジタル額ハ之ヲ資本ニ組入ルルコトヲ要ス
一 消滅スル会社ヨリ承継スル債務ノ額
二 消滅スル会社ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額
三 第四百九条ノ二ノ規定ニ依リ消滅スル会社ノ株主ニ移転スル株式ニ付会計帳簿ニ記載シタル価額ノ合計額
○2 合併ニ因リ設立スル会社ノ資本ハ消滅スル会社ヨリ承継スル財産ノ価額ヨリ前項第一号及第二号ノ金額ヲ控除シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ此ノ場合ニ於テ合併ニ因リ設立スル会社ガ合併ニ際シテ額面株式ヲ発行スルトキハ一株ノ金額ニ其ノ株式ノ総数ヲ乗ジタル額、無額面株式ヲ発行スルトキハ五万円ニ其ノ株式ノ総数ヲ乗ジタル額ハ之ヲ資本ニ組入ルルコトヲ要ス
第四百十三条ノ三 合併後存続スル会社ガ合併ニ際シテ発行スル新株ノ総数ガ其ノ会社ノ発行済株式ノ総数ノ二十分ノ一ヲ超エザルトキハ其ノ会社ニ於テハ第四百八条第一項ノ承認ハ之ヲ得ルコトヲ要セズ但シ合併ニ因リテ消滅スル会社ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ定メタル場合ニ於テ其ノ金額ガ最終ノ貸借対照表ニ依リ存続スル会社ニ現存スル純資産額ノ五十分ノ一ヲ超ユルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 第四百九条ノ二ノ規定ニ依リ消滅スル会社ノ株主ニ移転スル株式ハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ合併ニ際シテ発行スル新株ト看做ス
○3 第一項本文ノ場合ニ於テハ合併契約書ニ存続スル会社ニ付テハ第四百八条第一項ノ承認ヲ得ズシテ合併ヲ為ス旨ヲ記載スルコトヲ要シ、第四百九条第一号及第八号ニ掲グル事項ハ之ヲ記載スルコトヲ得ズ
○4 存続スル会社ハ合併契約書ヲ作リタル日ヨリ二週間内ニ消滅スル会社ノ商号及本店、合併ヲ為スベキ時期並ニ第四百八条第一項ノ承認ヲ得ズシテ合併ヲ為ス旨ヲ公告シ又ハ株主ニ通知スルコトヲ要ス
○5 前項ノ規定ニ依ル公告又ハ通知ノ日ヨリ二週間内ニ会社ニ対シ書面ヲ以テ合併ニ反対ノ意思ヲ通知シタル株主ハ会社ニ対シ自己ノ有スル株式ヲ合併契約ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格ヲ以テ買取ルベキ旨ヲ請求スルコトヲ得
○6 前項ノ請求ハ同項ノ期間ノ満了ノ日ヨリ二十日内ニ株式ノ額面無額面ノ別、種類及数ヲ記載シタル書面ヲ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス
○7 第二百四十五条ノ三第二項乃至第五項及第二百四十五条ノ四ノ規定ハ第五項ノ場合ニ之ヲ準用ス
○8 存続スル会社ノ発行済株式ノ総数ノ六分ノ一以上ニ当ル株式ヲ有スル株主ガ第五項ノ規定ニ依ル反対ノ意思ノ通知ヲ為シタルトキハ此ノ条ニ定メタル手続ニ依ル合併ハ之ヲ為スコトヲ得ズ
○9 第一項本文ノ場合ニ於ケル存続スル会社ニ付テノ第四百八条ノ二第一項及第四百十二条第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ第四百八条ノ二第一項中「前条第一項ノ株主総会ノ会日ノ二週間前」トアリ及第四百八条ノ二第一項第三号中「前条第一項ノ株主総会ノ会日」トアルハ「第四百十二条第一項又ハ第四百十三条ノ三第四項ノ規定ニ依ル公告、催告又ハ通知ノ日中最初ノ日」ト、第四百十二条第一項中「第四百八条第一項ノ承認ノ決議ノ日」トアルハ「合併契約書ヲ作リタル日」トス
第四百十四条 会社ガ合併ヲ為シタルトキハ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ合併後存続スル会社ニ付テハ変更ノ登記、合併ニ因リテ消滅スル会社ニ付テハ解散ノ登記、合併ニ因リテ設立シタル会社ニ付テハ第百八十八条ニ定ムル登記ヲ為スコトヲ要ス
○2 合併後存続スル会社又ハ合併ニ因リテ設立シタル会社ガ合併ニ因リテ転換社債、新株引受権付社債又ハ第二百八十条ノ十九第一項ノ新株ノ引受権ニ係ル義務ヲ承継シタルトキハ前項ノ登記ト同時ニ転換社債ノ登記、新株引受権付社債ノ登記又ハ同条第一項ノ新株ノ引受権ノ行使ニ因リ発行スベキ株式ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第四百十四条ノ二 取締役ハ第四百十二条ニ規定スル手続ノ経過、合併ノ日、合併ニ因リテ消滅シタル会社ヨリ承継シタル財産ノ価額及債務ノ額其ノ他ノ合併ニ関スル事項ヲ記載シタル書面ヲ合併ノ日ヨリ六月間本店ニ備置クコトヲ要ス
○2 第四百八条ノ二第二項ノ規定ハ前項ノ書面ニ之ヲ準用ス
第四百十四条ノ三 合併後存続スル会社ノ取締役及監査役ニシテ合併前ニ就職シタルモノハ合併契約書ニ別段ノ定ノ記載アルトキヲ除クノ外合併後最初ニ到来スル決算期ニ関スル定時総会ノ終結ノ時ニ退任ス
第四百十五条 会社ノ合併ノ無効ハ訴ヲ以テノミ之ヲ主張スルコトヲ得
○2 前項ノ訴ハ各会社ノ株主、取締役、監査役、清算人、破産管財人又ハ合併ヲ承認セザル債権者ニ限リ之ヲ提起スルコトヲ得
○3 第八十八条、第百五条、第百六条、第百八条乃至第百十一条及第二百四十九条ノ規定ハ第一項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第四百十六条 第九十六条、第九十七条、第九十八条第二項、第百二条及第百三条ノ規定ハ株式会社ニ之ヲ準用ス
○2 第三百七十六条第三項ノ規定ハ合併ノ場合ニ之ヲ準用ス
○3 第二百十四条第二項及第二百十五条乃至第二百十七条ノ規定ハ会社ノ合併ニ因ル株式併合ノ場合ニ之ヲ準用ス
○4 第二百八条及第二百九条第三項ノ規定ハ株式ヲ併合セザル場合ニ於テ合併ニ因リテ消滅スル会社ノ株式ヲ目的トスル質権ニ之ヲ準用ス
○5 第三百五十条第一項及第三項ノ規定ハ第四百八条第四項及第五項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第九節 清算
第一款 総則
第四百十七条 会社ガ解散シタルトキハ合併及破産ノ場合ヲ除クノ外取締役其ノ清算人ト為ル但シ定款ニ別段ノ定アルトキ又ハ株主総会ニ於テ他人ヲ選任シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
○2 前項ノ規定ニ依リテ清算人タル者ナキトキハ裁判所ハ利害関係人ノ請求ニ依リ清算人ヲ選任ス
第四百十八条 清算人ハ其ノ就職ノ日ヨリ二週間内ニ左ノ事項ヲ裁判所ニ届出ヅルコトヲ要ス
一 解散ノ事由及其ノ年月日
二 清算人ノ氏名及住所
第四百十九条 清算人ハ就職ノ後遅滞ナク会社財産ノ現況ヲ調査シ財産目録及貸借対照表ヲ作リ之ヲ株主総会ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
○2 清算人ハ前項ノ承認ヲ得タル後遅滞ナク財産目録及貸借対照表ヲ裁判所ニ提出スルコトヲ要ス
第四百二十条 清算人ハ定時総会ノ会日ヨリ五週間前ニ貸借対照表及事務報告書ヲ、三週間前ニ其ノ附属明細書ヲ監査役ニ提出スルコトヲ要ス
○2 監査役ハ定時総会ノ会日ヨリ一週間前ニ前項ノ書類ニ関スル監査報告書ヲ清算人ニ提出スルコトヲ要ス
○3 清算人ハ定時総会ノ会日ノ一週間前ヨリ第一項ノ書類及前項ノ監査報告書ヲ本店ニ備置クコトヲ要ス
○4 第二百八十二条第二項ノ規定ハ前項ニ掲グル書類ニ、同条第三項ノ規定ハ子会社ノ前項ニ掲グル書類(子会社ガ有限会社ナルトキハ有限会社法第七十五条第一項 ニ於テ準用スル前項ニ掲グル書類)ニ之ヲ準用ス
○5 清算人ハ貸借対照表及事務報告書ヲ定時総会ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
第四百二十一条 清算人ハ其ノ就職ノ日ヨリ二月内ニ少クトモ三回債権者ニ対シ一定ノ期間内ニ其ノ債権ヲ申出ヅベキ旨ヲ官報ヲ以テ公告スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ其ノ期間ハ二月ヲ下ルコトヲ得ズ
○2 前項ノ公告ニハ債権者ガ期間内ニ申出ヲ為サザルトキハ清算ヨリ除斥セラルベキ旨ヲ附記スルコトヲ要ス
第四百二十二条 清算人ハ知レタル債権者ニハ各別ニ其ノ債権ノ申出ヲ催告スルコトヲ要ス
○2 知レタル債権者ハ之ヲ清算ヨリ除斥スルコトヲ得ズ
第四百二十三条 清算人ハ第四百二十一条第一項ノ債権申出ノ期間内ハ債権者ニ対シテ弁済ヲ為スコトヲ得ズ但シ会社ハ之ガ為ニ遅延ニ因ル損害賠償ノ責任ヲ免ルルコトナシ
○2 清算人ハ前項ノ規定ニ拘ラズ裁判所ノ許可ヲ得テ少額ノ債権及担保アル債権其ノ他之ヲ弁済スルモ他ノ債権者ヲ害スルノ虞ナキ債権ニ付弁済ヲ為スコトヲ得
第四百二十四条 清算ヨリ除斥セラレタル債権者ハ未ダ分配セザル残余財産ニ対シテノミ弁済ヲ請求スルコトヲ得
○2 一部ノ株主ニ対シ既ニ分配ヲ為シタル場合ニ於テハ他ノ株主ニ対シ之ト同一ノ割合ヲ以テ分配ヲ為スニ要スル財産ハ之ヲ前項ノ残余財産ヨリ控除ス
第四百二十五条 残余財産ハ各株主ノ有スル株式ノ数ニ応ジテ之ヲ株主ニ分配スルコトヲ要ス但シ第二百二十二条第一項ノ規定ノ適用ヲ妨ゲズ
第四百二十六条 清算人ハ裁判所ノ選任シタルモノヲ除クノ外何時ニテモ株主総会ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
○2 重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ六月前ヨリ引続キ発行済株式ノ総数ノ百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スル株主ノ請求ニ依リ清算人ヲ解任スルコトヲ得
第四百二十七条 清算事務ガ終リタルトキハ清算人ハ遅滞ナク決算報告書ヲ作リ之ヲ株主総会ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
○2 前項ノ承認アリタルトキハ会社ハ清算人ニ対シテ其ノ責任ヲ解除シタルモノト看做ス但シ清算人ニ不正ノ行為アリタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四百二十八条 会社ノ設立ノ無効ハ其ノ成立ノ日ヨリ二年内ニ訴ヲ以テノミ之ヲ主張スルコトヲ得
○2 前項ノ訴ハ株主、取締役又ハ監査役ニ限リ之ヲ提起スルコトヲ得
○3 第百三十六条第三項、第百三十七条及第百三十八条ノ規定ハ第一項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第四百二十九条 会社ノ帳簿並ニ其ノ営業及清算ニ関スル重要書類ハ本店ノ所在地ニ於テ清算結了ノ登記ヲ為シタル後十年間之ヲ保存スルコトヲ要ス其ノ保存者ハ清算人其ノ他ノ利害関係人ノ請求ニ依リ裁判所之ヲ選任ス
第四百三十条 第百十六条、第百二十二条乃至第百二十五条、第百二十九条第二項第三項、第百三十一条及第百三十四条ノ規定ハ株式会社ニ之ヲ準用ス
○2 第二百三十一条、第二百三十二条ノ二、第二百三十七条、第二百三十七条ノ三、第二百三十八条、第二百四十四条第二項乃至第四項、第二百四十七条、第二百四十九条、第二百五十四条第三項、第二百五十四条ノ二、第二百五十四条ノ三、第二百五十八条乃至第二百六十一条、第二百六十三条、第二百六十五条乃至第二百六十九条、第二百七十一条、第二百七十二条、第二百七十四条、第二百七十四条ノ二、第二百七十五条、第二百七十五条ノ二、第二百七十五条ノ四、第二百七十六条、第二百七十八条、第二百八十三条第三項、第二百九十三条ノ六及第二百九十三条ノ七ノ規定ハ清算人ニ之ヲ準用ス
第二款 特別清算
第四百三十一条 清算ノ遂行ニ著シキ支障ヲ来スベキ事情アリト認ムルトキハ裁判所ハ債権者、清算人、監査役若ハ株主ノ申立ニ依リ又ハ職権ヲ以テ会社ニ対シ特別清算ノ開始ヲ命ズルコトヲ得会社ニ債務超過ノ疑アリト認ムルトキ亦同ジ
○2 会社ニ債務超過ノ疑アルトキハ清算人ハ前項ノ申立ヲ為スコトヲ要ス
○3 第三百八十一条第二項ノ規定ハ第一項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四百三十二条 特別清算開始ノ申立又ハ通告アリタルトキハ裁判所ハ其ノ開始前ト雖モ前条第一項ニ掲グル者ノ申立ニ依リ又ハ職権ヲ以テ第四百五十四条第一項第一号、第二号又ハ第六号ノ処分ヲ為スコトヲ得
第四百三十三条 第三百八十二条乃至第三百八十五条ノ規定ハ特別清算ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四百三十四条 特別清算ノ場合ニ於テハ清算人ハ会社、株主及債権者ニ対シ公平且誠実ニ清算事務ヲ処理スル義務ヲ負フ
第四百三十五条 重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ清算人ヲ解任スルコトヲ得
○2 清算人ガ欠ケタルトキ又ハ其ノ増員ノ必要アルトキハ裁判所之ヲ選任ス
第四百三十六条 裁判所ハ何時ニテモ清算事務及財産ノ状況ノ報告ヲ命ジ其ノ他清算ノ監督上必要ナル調査ヲ為スコトヲ得
第四百三十七条 清算ノ監督上必要アリト認ムルトキハ裁判所ハ第四百五十四条第一項第一号、第二号又ハ第六号ノ処分ヲ為スコトヲ得
第四百三十八条 会社ノ債務ハ其ノ債権額ノ割合ニ応ジテ之ヲ弁済スルコトヲ要ス
○2 第四百二十三条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四百三十九条 清算ノ実行上必要アリト認ムルトキハ清算人ハ債権者集会ヲ招集スルコトヲ得
○2 申出ヲ為シタル債権者其ノ他会社ニ知レタル債権者ノ総債権ノ十分ノ一以上ニ当ル債権ヲ有スル者ハ会議ノ目的タル事項及招集ノ理由ヲ記載シタル書面ヲ清算人ニ提出シテ債権者集会ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
○3 第二百三十七条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
○4 破産ノ場合ニ於テ別除権ヲ行使スルコトヲ得ベキ債権者ガ其ノ行使ニ依リテ弁済ヲ受クルコトヲ得ベキ債権額ハ第二項ノ債権額ニ之ヲ算入セズ
第四百四十条 前条第四項ノ債権者ハ別除権ノ行使ニ依リテ弁済ヲ受クルコトヲ得ベキ債権額ニ付テハ債権者集会ニ於テ議決権ヲ行使スルコトヲ得ズ
○2 債権者集会ノ招集ハ前項ノ債権者ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス
○3 債権者集会又ハ其ノ招集者ハ第一項ノ債権者ノ出席ヲ求メテ其ノ意見ヲ徴スルコトヲ得
第四百四十一条 債権者集会ニ於テ議決権ヲ行使セシムベキヤ否ヤ及如何ナル金額ニ付之ヲ行使セシムベキヤハ各債権ニ付清算人之ヲ定ム
○2 前項ノ定ニ付異議アルトキハ裁判所之ヲ定ム
第四百四十二条 第二百三十二条第一項第二項、第二百三十九条第二項第三項、第二百四十三条、第二百四十四条第一項第二項、第三百二十一条第二項及破産法第百七十九条 ノ規定ハ債権者集会ニ之ヲ準用ス
○2 第二百三十二条第一項及第二項ノ規定ハ第四百四十条第二項ノ通知ニ之ヲ準用ス
第四百四十三条 清算人ハ会社ノ業務及財産ノ状況ノ調査書、財産目録並ニ貸借対照表ヲ債権者集会ニ提出シ且清算ノ実行ノ方針及見込ニ関シ意見ヲ述ブルコトヲ要ス
第四百四十四条 債権者集会ハ監査委員ヲ選任スルコトヲ得
○2 監査委員ハ何時ニテモ債権者集会ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
○3 前二項ノ決議ハ裁判所ノ認可ヲ得ルコトヲ要ス
○4 第二百五十五条、第三百九十条第一項及第四百三条第二項ノ規定ハ監査委員ニ之ヲ準用ス
第四百四十五条 清算人左ノ行為ヲ為スニハ監査委員ノ同意、若シ監査委員ナキトキハ債権者集会ノ決議アルコトヲ要ス但シ百万円以上ノ価額ヲ有スルモノニ関セザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 会社財産ノ処分
二 借財
三 訴ノ提起
四 和解及仲裁契約
五 権利ノ抛棄
○2 債権者集会ノ決議ヲ要スル場合ニ於テ急迫ナル事情アルトキハ清算人ハ裁判所ノ許可ヲ得テ前項ニ掲グル行為ヲ為スコトヲ得
○3 清算人前二項ノ規定ニ違反シタルトキト雖モ会社ハ善意ノ第三者ニ対シテ其ノ責ニ任ズ
○4 第二百四十五条ノ規定ハ特別清算ノ場合ニハ之ヲ適用セズ
第四百四十六条 清算人ハ競売ニ依リテ財産ヲ換価スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ前条第一項ノ規定ヲ適用セズ
第四百四十七条 清算人ハ監査委員ノ意見ヲ聴キ債権者集会ニ対シテ協定ノ申出ヲ為スコトヲ得
第四百四十八条 協定ノ条件ハ各債権者ノ間ニ平等ナルコトヲ要ス但シ少額ノ債権ニ付別段ノ定ヲ為シ其ノ他債権者間ニ差等ヲ設クルモ衡平ヲ害セザル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
○2 一般ノ先取特権其ノ他一般ノ優先権ハ前項ノ条件ヲ定ムルニ付之ヲ斟酌スルコトヲ要ス
第四百四十九条 協定案ノ作成ニ当リ必要アリト認ムルトキハ清算人ハ第四百三十九条第四項ノ債権者ノ参加ヲ求ムルコトヲ得
第四百五十条 協定ヲ可決スルニハ議決権ヲ行使スルコトヲ得ベキ出席債権者ノ過半数ニシテ議決権ヲ行使スルコトヲ得ベキ債権者ノ総債権ノ四分ノ三以上ニ当ル債権ヲ有スルモノノ同意アルコトヲ要ス
○2 前項ノ決議ハ裁判所ノ認可ヲ得ルコトヲ要ス
○3 破産法第三百二十一条 及第三百二十六条 ノ規定ハ協定ニ之ヲ準用ス
第四百五十一条 協定ノ実行上必要アルトキハ協定ノ条件ヲ変更スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ前四条ノ規定ヲ準用ス
第四百五十二条 会社財産ノ状況ニ依リ必要アリト認ムルトキハ裁判所ハ清算人、監査役、監査委員、六月前ヨリ引続キ発行済株式ノ総数ノ百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スル株主若ハ申出ヲ為シタル債権者其ノ他会社ニ知レタル債権者ノ総債権ノ十分ノ一以上ニ当ル債権ヲ有スル者ノ申立ニ依リ又ハ職権ヲ以テ会社ノ業務及財産ノ検査ヲ命ズルコトヲ得
○2 第三百八十八条、第三百九十条及第四百三十九条第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四百五十三条 検査役ハ調査ノ結果殊ニ左ノ事項ヲ裁判所ニ報告スルコトヲ要ス
一 発起人、取締役、監査役又ハ清算人ニ第百九十二条第一項第二項第四項、第百九十二条ノ二、第百九十三条第一項、第二百六十六条、第二百七十七条、第二百八十条ノ十三、第二百八十条ノ十三ノ二又ハ第四百三十条第二項ノ規定ニ依リテ責ニ任ズベキ事実アルヤ否ヤ
二 会社財産ノ保全処分ヲ為ス必要アルヤ否ヤ
三 会社ノ損害賠償請求権ニ付発起人、取締役、監査役又ハ清算人ノ財産ニ対シ保全処分ヲ為ス必要アルヤ否ヤ
第四百五十四条 前条ノ報告ヲ受ケタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ裁判所ハ左ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 会社財産ノ保全処分
二 株主ノ名義書換ノ禁止
三 発起人、取締役、監査役又ハ清算人ノ責任ノ免除ノ禁止
四 発起人、取締役、監査役又ハ清算人ノ責任ノ免除ノ取消但シ特別清算ノ開始ヨリ一年前ニ為シタル免除ニ付テハ不正ノ目的ニ出デタルモノニ限ル
五 発起人、取締役、監査役又ハ清算人ノ責任ニ基ク損害賠償請求権ノ査定
六 前号ノ損害賠償請求権ニ付発起人、取締役、監査役又ハ清算人ノ財産ニ対シテ為ス保全処分
○2 第三百八十七条第二項ノ規定ハ前項第一号又ハ第六号ノ処分アリタル場合ニ之ヲ準用ス
○3 第三百九十四条乃至第三百九十六条ノ規定ハ第一項第五号ノ査定アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第四百五十五条 特別清算開始ノ命令アリタル場合ニ於テ協定ノ見込ナキトキハ裁判所ハ職権ヲ以テ破産法 ニ従ヒ破産ノ宣告ヲ為スコトヲ要ス協定ノ実行ノ見込ナキトキ亦同ジ
第四百五十六条 第三百九十九条及第四百条並ニ破産法第百四条 、第二百三条 及第二百四条 ノ規定ハ特別清算ノ場合ニ之ヲ準用ス
○2 破産法第百六十五条 及第百六十六条 ノ規定ハ清算人ニ之ヲ準用ス
第五章 削除
第四百五十七条乃至第四百七十八条 削除
第六章 外国会社
第四百七十九条 外国会社ガ日本ニ於テ取引ヲ継続シテ為サントスルトキハ日本ニ於ケル代表者ヲ定メ其ノ住所又ハ其ノ他ノ場所ニ営業所ヲ設クルコトヲ要ス
○2 前項ノ場合ニ於テハ外国会社ハ其ノ営業所ニ付登記及公告ヲ為スコトヲ要ス此ノ登記及公告ハ日本ニ成立スル同種ノモノ又ハ最モ之ニ類似スルモノノ支店ノ登記及公告ノ規定ニ従フ
○3 前項ノ登記ニ在リテハ会社設立ノ準拠法並ニ日本ニ於ケル代表者ノ氏名及住所ヲモ登記スルコトヲ要ス
○4 第七十八条ノ規定ハ外国会社ノ代表者ニ之ヲ準用ス
第四百八十条 前条第二項及第三項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ガ外国ニ於テ生ジタルトキハ登記ノ期間ハ其ノ通知ノ到達シタル時ヨリ之ヲ起算ス
第四百八十一条 外国会社ハ第四百七十九条ニ定ムル登記ヲ為ス迄ハ日本ニ於テ取引ヲ継続シテ為スコトヲ得ズ
○2 前項ノ規定ニ違反シテ取引ヲ為シタル者ハ其ノ取引ニ付会社ト連帯シテ其ノ責ニ任ズ
第四百八十二条 日本ニ本店ヲ設ケ又ハ日本ニ於テ営業ヲ為スヲ以テ主タル目的トスル会社ハ外国ニ於テ設立スルモノト雖モ日本ニ於テ設立スル会社ト同一ノ規定ニ従フコトヲ要ス
第四百八十三条 第二百四条乃至第二百七条、第二百九条第一項、第二百二十六条、第三百六条第一項、第三百七条及第三百八条ノ規定ハ日本ニ於テスル外国会社ノ株券又ハ債券ノ発行及其ノ株式ノ移転若ハ質入又ハ社債ノ移転ニ之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ始メテ日本ニ設ケタル営業所ヲ以テ本店ト看做ス
第四百八十四条 裁判所ハ左ノ場合ニ於テハ法務大臣又ハ株主、債権者其ノ他ノ利害関係人ノ請求ニ依リ外国会社ノ営業所ノ閉鎖ヲ命ズルコトヲ得
一 営業所ノ設置ガ不法ノ目的ヲ以テ為サレタルトキ
二 正当ノ事由ナクシテ第四百七十九条ニ定ムル登記ヲ為シタル後一年内ニ営業ヲ開始セズ若ハ一年以上営業ヲ休止シタルトキ又ハ正当ノ事由ナクシテ支払ヲ停止シタルトキ
三 外国会社ノ代表者其ノ他営業所ニ於テ業務ヲ執行スル者ガ法務大臣ヨリ書面ニ依ル警告ヲ受ケタルニ拘ラズ法令ニ定ムル会社ノ権限ヲ踰越シ若ハ濫用スル行為又ハ刑罰法令ニ違反スル行為ヲ継続又ハ反覆シタルトキ
○2 第五十八条第二項及第五十九条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四百八十五条 前条第一項ノ場合ニ於テハ裁判所ハ利害関係人ノ申立ニ依リ又ハ職権ヲ以テ日本ニ在ル会社財産ノ全部ニ付清算ノ開始ヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ清算人ハ裁判所之ヲ選任ス
○2 第四百二十一条乃至第四百二十四条及第四百三十条乃至第四百五十六条ノ規定ハ其ノ性質ノ許サザルモノヲ除クノ外前項ノ清算ニ之ヲ準用ス
○3 前二項ノ規定ハ外国会社ガ其ノ営業所ヲ閉鎖シタル場合ニ之ヲ準用ス
第四百八十五条ノ二 外国会社ハ他ノ法律ノ適用ニ付テハ日本ニ成立スル同種ノ又ハ最モ之ニ類似スル会社ト看做ス但シ法律ニ別段ノ定アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七章 罰則
第四百八十六条 発起人、取締役、監査役又ハ株式会社ノ第百八十八条第三項、第二百五十八条第二項若ハ第二百八十条第一項ノ職務代行者若ハ支配人其ノ他営業ニ関スル或種類若ハ特定ノ事項ノ委任ヲ受ケタル使用人自己若ハ第三者ヲ利シ又ハ会社ヲ害センコトヲ図リテ其ノ任務ニ背キ会社ニ財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキハ十年以下ノ懲役又ハ千万円以下ノ罰金ニ処ス
○2 整理委員、監督員、第三百九十八条第一項ノ管理人又ハ株式会社ノ清算人若ハ第四百三十条ノ職務代行者前項ニ掲グル行為ヲ為シタルトキ亦前項ニ同ジ
第四百八十七条 社債権者集会ノ代表者又ハ其ノ決議ヲ執行スル者自己若ハ第三者ヲ利シ又ハ社債権者ヲ害センコトヲ図リテ其ノ任務ニ背キ社債権者ニ財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ五百万円以下ノ罰金ニ処ス
第四百八十八条 前二条ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第四百八十九条 第四百八十六条第一項ニ掲グル者又ハ検査役ハ左ノ場合ニ於テハ五年以下ノ懲役又ハ五百万円以下ノ罰金ニ処ス
一 会社ノ設立ニ際シテ発行スル株式ノ総数ノ引受、払込若ハ現物出資ノ給付ニ付又ハ第百六十八条第一項若ハ第二百八十条ノ二第一項第三号ニ掲グル事項ニ付裁判所又ハ総会ニ対シ不実ノ申述ヲ為シ又ハ事実ヲ隠蔽シタルトキ
二 何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハズ会社ノ計算ニ於テ不正ニ其ノ株式ヲ取得シ又ハ質権ノ目的トシテ之ヲ受ケタルトキ
三 法令又ハ定款ノ規定ニ違反シテ利益若ハ利息ノ配当又ハ第二百九十三条ノ五第一項ノ金銭ノ分配ヲ為シタルトキ
四 会社ノ営業ノ範囲外ニ於テ投機取引ノ為ニ会社財産ヲ処分シタルトキ
第四百九十条 第四百八十六条第一項ニ掲グル者、外国会社ノ代表者又ハ株式若ハ社債ノ募集ノ委託ヲ受ケタル者株式又ハ社債ノ募集ニ当リ重要ナル事項ニ付不実ノ記載アル株式申込証、社債申込証、目論見書、株式又ハ社債ノ募集ノ広告其ノ他株式又ハ社債ノ募集ニ関スル文書ヲ行使シタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ五百万円以下ノ罰金ニ処ス
○2 株式又ハ社債ノ売出ヲ為ス者其ノ売出ニ関スル文書ニシテ重要ナル事項ニ付不実ノ記載アルモノヲ行使シタルトキ亦前項ニ同ジ
第四百九十一条 第四百八十六条第一項ニ掲グル者払込ヲ仮装スル為預合ヲ為シタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ五百万円以下ノ罰金ニ処ス預合ニ応ジタル者亦同ジ
第四百九十二条 前六条ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情状ニ因リ懲役及罰金ヲ併科スルコトヲ得
第四百九十二条ノ二 発起人、取締役又ハ株式会社ノ第百八十八条第三項ノ取締役ノ職務代行者若ハ第二百五十八条第二項ノ職務代行者ガ会社ガ発行スル株式ノ総数ヲ超エテ株式ヲ発行シタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ五百万円以下ノ罰金ニ処ス
第四百九十三条 第四百八十六条若ハ第四百八十七条ニ掲グル者、検査役又ハ監査委員其ノ職務ニ関シ不正ノ請託ヲ受ケ財産上ノ利益ヲ収受シ、要求シ又ハ約束シタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ五百万円以下ノ罰金ニ処ス
○2 前項ノ利益ヲ供与シ又ハ其ノ申込若ハ約束ヲ為シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三百万円以下ノ罰金ニ処ス
第四百九十四条 左ニ掲グル事項ニ関シ不正ノ請託ヲ受ケ財産上ノ利益ヲ収受シ、要求シ又ハ約束シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ五百万円以下ノ罰金ニ処ス
一 創立総会、株主総会、社債権者集会又ハ債権者集会ニ於ケル発言又ハ議決権ノ行使
二 第四章ニ定ムル訴ノ提起、第二百六十八条第二項及第二百八十条ノ十一第二項ニ定ムル訴訟参加又ハ発行済株式ノ総数ノ百分ノ一、百分ノ三若ハ十分ノ一以上ニ当ル株主、三百株以上ノ株式ヲ有スル株主若ハ社債総額ノ十分ノ一以上ニ当ル社債権者ノ権利ノ行使
三 第二百七十二条、第二百八十条ノ十、第三百八十一条第一項、第四百三十一条第一項、第四百三十九条第二項第三項及第四百五十二条第一項ニ定ムル権利ノ行使
○2 前項ノ利益ヲ供与シ又ハ其ノ申込若ハ約束ヲ為シタル者亦前項ニ同ジ
第四百九十五条 第四百九十三条第一項又ハ前条第一項ノ場合ニ於テ犯人ノ収受シタル利益ハ之ヲ没収ス其ノ全部又ハ一部ヲ没収スルコト能ハザルトキハ其ノ価額ヲ追徴ス
第四百九十六条 払込ノ責任ヲ免ルル目的ヲ以テ他人又ハ仮設人ノ名義ヲ用ヒテ株式ヲ引受ケタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ百万円以下ノ罰金ニ処ス
第四百九十七条 取締役、監査役又ハ株式会社ノ第百八十八条第三項、第二百五十八条第二項若ハ第二百八十条第一項ノ職務代行者若ハ支配人其ノ他ノ使用人株主ノ権利ノ行使ニ関シ会社又ハ其ノ子会社ノ計算ニ於テ財産上ノ利益ヲ人ニ供与シタルトキハ三年以下ノ懲役又ハ三百万円以下ノ罰金ニ処ス
○2 情ヲ知リテ前項ノ利益ノ供与ヲ受ケ又ハ第三者ニ之ヲ供与セシメタル者亦前項ニ同ジ
○3 株主ノ権利ノ行使ニ関シ会社又ハ其ノ子会社ノ計算ニ於テ第一項ノ利益ヲ自己又ハ第三者ニ供与スルコトヲ同項ニ掲グル者ニ要求シタル者亦同項ニ同ジ
○4 前二項ノ罪ヲ犯シタル者其ノ実行ニ付第一項ニ掲グル者ニ対シ威迫ノ行為アリタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ五百万円以下ノ罰金ニ処ス
○5 前三項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情状ニ因リ懲役及罰金ヲ併科スルコトヲ得
第四百九十八条 発起人、会社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、外国会社ノ代表者、監査役、検査役、清算人、整理委員、監督員、第三百九十八条第一項ノ管理人、監査委員、名義書換代理人、社債管理会社、事務ヲ承継スベキ社債管理会社、社債権者集会ノ代表者、其ノ決議ヲ執行スル者、合名会社ノ第六十七条ノ二ノ業務代行者若ハ第百二十三条第三項ノ職務代行者、合資会社ノ第百四十七条ノ業務代行者若ハ職務代行者、株式会社ノ第百八十八条第三項、第二百五十八条第二項、第二百八十条第一項若ハ第四百三十条ノ職務代行者又ハ支配人ハ左ノ場合ニ於テハ百万円以下ノ過料ニ処ス但シ其ノ行為ニ付刑ヲ科スベキトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 本編ニ定ムル登記ヲ為スコトヲ怠リタルトキ
二 本編ニ定ムル公告若ハ通知ヲ為スコトヲ怠リ又ハ不正ノ公告若ハ通知ヲ為シタルトキ
三 本編ノ規定ニ違反シ正当ノ事由ナクシテ書類ノ閲覧若ハ謄写又ハ其ノ謄本若ハ抄本ノ交付ヲ拒ミタルトキ
四 本編ニ定ムル検査又ハ調査ヲ妨ゲタルトキ
五 官庁、総会、社債権者集会又ハ債権者集会ニ対シ不実ノ申述ヲ為シ又ハ事実ヲ隠蔽シタルトキ
六 第百条、第百十七条第三項、第三百七十四条ノ四、第三百七十四条ノ二十、第三百七十六条第二項又ハ第四百十二条ノ規定ニ違反シテ合併、会社財産ノ処分、会社ノ分割又ハ資本ノ減少ヲ為シタルトキ
七 第百二十四条第三項若ハ第四百三十条第一項ノ規定ニ違反シテ破産宣告ノ請求ヲ為スコトヲ怠リ又ハ第四百三十一条第二項ノ規定ニ違反シテ特別清算開始ノ申立ヲ為スコトヲ怠リタルトキ
八 第百三十一条又ハ第四百三十条第一項ノ規定ニ違反シテ会社財産ヲ分配シタルトキ
九 第百七十五条第二項、第二百二十二条ノ四、第二百八十条ノ六、第二百八十条ノ六ノ二、第三百一条第二項、第三百四十一条ノ三又ハ第三百四十一条ノ十二ノ規定ニ違反シテ株式申込証、新株引受権証書又ハ社債申込証ヲ作ラズ、之ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ又ハ不実ノ記載ヲ為シタルトキ
十 第百七十五条第四項又ハ第二百八十条ノ十四ノ規定ニ違反シテ書面ヲ交付セズ、之ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ又ハ不実ノ記載ヲ為シタルトキ
十一 正当ノ事由ナクシテ株券ノ名義書換ヲ為サザルトキ
十一ノ二 第二百十条ノ二第九項又ハ第二百十二条ノ二第四項ニ於テ準用スル第二百十条ノ二第九項ノ規定ニ依ル請求アリタル場合ニ於テ其ノ請求ニ係ル事項ヲ議案ト為サザルトキ
十二 第二百十一条又ハ第二百十一条ノ二第二項ノ規定ニ違反シテ株式失効ノ手続又ハ株式若ハ質権ノ処分ヲ為スコトヲ怠リタルトキ
十二ノ二 第二百十一条ノ二第一項ノ規定ニ違反シテ株式ヲ取得シタルトキ
十三 第二百十二条第一項又ハ第二百十二条ノ二第一項ノ規定ニ違反シテ株式ノ消却ヲ為シタルトキ
十四 株券、端株券、債券又ハ新株引受権証券ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ又ハ不実ノ記載ヲ為シタルトキ
十五 第二百二十六条第二項又ハ第四百八十三条ノ規定ニ違反シテ株券ヲ発行シタルトキ
十六 第二百二十六条ノ二第二項ノ規定ニ違反シテ株主名簿ニ記載ヲ為サズ且株券ヲ寄託セザルトキ
十六ノ二 第二百三十二条ノ二第一項又ハ第四百三十条第二項ノ規定ニ依ル請求アリタル場合ニ於テ其ノ請求ニ係ル事項ヲ会議ノ目的ト為サザルトキ
十七 第二百三十四条ノ規定又ハ第二百三十七条ノ二第三項若ハ第二百九十四条第二項ノ規定ニ依ル裁判所ノ命令ニ違反シテ株主総会ヲ招集セズ又ハ定款ニ定メタル地以外ノ地ニ於テ若ハ第二百三十三条ノ規定ニ違反シテ株主総会ヲ招集シタルトキ
十七ノ二 正当ノ事由ナクシテ株主総会又ハ創立総会ニ於テ株主又ハ株式引受人ノ求メタル事項ニ付説明ヲ為サザルトキ
十八 法律又ハ定款ニ定メタル取締役又ハ監査役ノ員数ヲ欠クニ至リタル場合ニ於テ其ノ選任手続ヲ為スコトヲ怠リタルトキ
十九 定款、株主名簿若ハ其ノ複本、端株原簿、社債原簿若ハ其ノ複本、議事録、財産目録、貸借対照表、営業報告書、事務報告書、損益計算書、利益ノ処分又ハ損失ノ処理ニ関スル議案、決算報告書、会計帳簿、第二百八十一条第一項若ハ第四百二十条第一項ノ附属明細書、監査報告書、第三百五十四条第一項第二号、第三百六十条第一項(第三百七十一条第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第三百六十六条第一項第二号、第三百七十四条ノ二第一項第二号若ハ第三号、第三百七十四条ノ十一第一項(第三百七十四条ノ三十一第五項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第三百七十四条ノ十八第一項第二号若ハ第三号、第四百八条ノ二第一項第二号若ハ第四百十四条ノ二第一項ノ書面又ハ第四百四十三条ノ調査書ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ又ハ不実ノ記載ヲ為シタルトキ
二十 第二百三十九条第五項、第二百四十四条第三項、第二百六十条ノ四第三項、第二百六十三条第一項、第二百八十二条第一項、第三百三十九条第三項、第三百五十四条第一項、第三百六十条第一項(第三百七十一条第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第三百六十六条第一項、第三百七十四条ノ二第一項、第三百七十四条ノ十一第一項(第三百七十四条ノ三十一第五項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第三百七十四条ノ十八第一項、第四百八条ノ二第一項、第四百十四条ノ二第一項、第四百二十条第三項又ハ第四百三十条第二項ノ規定ニ違反シテ帳簿又ハ書類ヲ備置カザルトキ
二十ノ二 第二百六十四条第二項、第二百六十五条第三項又ハ第四百三十条第二項ノ規定ニ違反シテ取締役会又ハ清算人会ニ報告セズ又ハ不実ノ報告ヲ為シタルトキ
二十一 第二百八十八条、第二百八十八条ノ二又ハ第二百八十九条ノ規定ニ違反シテ準備金ヲ積立テズ又ハ之ヲ使用シタルトキ
二十二 第二百九十七条ノ規定ニ違反シテ社債ヲ募集シ又ハ第三百十四条第一項ノ規定ニ違反シテ事務ヲ承継スベキ社債管理会社ヲ定メザリシトキ
二十三 第三百六条第一項又ハ第四百八十三条ノ規定ニ違反シテ債券ヲ発行シタルトキ
二十四 第三百八十六条、第四百三十二条、第四百三十七条又ハ第四百五十四条第一項ノ規定ニ依ル裁判所ノ財産保全ノ処分ニ違反シタルトキ
二十五 裁判所ノ選任シタル管理人又ハ清算人ニ事務ノ引渡ヲ為サザルトキ
二十六 清算ノ結了ヲ遅延セシムル目的ヲ以テ第百十七条第三項又ハ第四百二十一条第一項ノ期間ヲ不当ニ定メタルトキ
二十七 第四百二十三条又ハ第四百三十八条ノ規定ニ違反シテ債務ノ弁済ヲ為シタルトキ
二十八 第四百四十五条第一項又ハ第二項ノ規定ニ違反シタルトキ
二十九 第四百八十四条第一項ノ規定ニ依ル裁判所ノ命令ニ違反シタルトキ
○2 発起人若ハ取締役ガ株式ノ引受ニ因ル権利ヲ譲渡シタルトキ又ハ有限会社法第七十七条第一項 若ハ第二項 ニ掲グル者ガ本編ノ規定ニ違反シ正当ノ事由ナクシテ書類ノ閲覧若ハ謄写若ハ其ノ謄本若ハ抄本ノ交付ヲ拒ミタルトキ、本編ニ定ムル調査ヲ妨ゲタルトキ若ハ第二百十一条ノ二第一項若ハ第二項ノ規定ニ違反シテ株式ヲ取得シ若ハ株式ノ処分ヲ為スコトヲ怠リタルトキ亦前項ニ同ジ
第四百九十八条ノ二 会社ノ成立前会社名義ヲ以テ営業ヲ為シタル者ハ会社設立ノ登録免許税額ニ相当スル過料ニ処ス
第四百九十八条ノ三 前条ノ規定ハ第四百八十一条第一項ノ規定ニ違反シテ行為ヲ為シタル者ニ之ヲ準用ス
第四百九十九条 第四百八十六条、第四百八十七条、第四百八十九条乃至第四百九十一条又ハ第四百九十三条第一項ニ掲グル者ガ法人ナルトキハ本章ノ罰則ハ其ノ行為ヲ為シタル取締役其ノ他業務ヲ執行スル役員又ハ支配人ニ之ヲ適用ス
第五百条 削除
第三編 商行為
第一章 総則
第五百一条 左ニ掲ケタル行為ハ之ヲ商行為トス
一 利益ヲ得テ譲渡ス意思ヲ以テスル動産、不動産若クハ有価証券ノ有償取得又ハ其取得シタルモノノ譲渡ヲ目的トスル行為
二 他人ヨリ取得スヘキ動産又ハ有価証券ノ供給契約及ヒ其履行ノ為メニスル有償取得ヲ目的トスル行為
三 取引所ニ於テスル取引
四 手形其他ノ商業証券ニ関スル行為
第五百二条 左ニ掲ケタル行為ハ営業トシテ之ヲ為ストキハ之ヲ商行為トス但専ラ賃金ヲ得ル目的ヲ以テ物ヲ製造シ又ハ労務ニ服スル者ノ行為ハ此限ニ在ラス
一 賃貸スル意思ヲ以テスル動産若クハ不動産ノ有償取得若クハ賃借又ハ其取得若クハ賃借シタルモノノ賃貸ヲ目的トスル行為
二 他人ノ為メニスル製造又ハ加工ニ関スル行為
三 電気又ハ瓦斯ノ供給ニ関スル行為
四 運送ニ関スル行為
五 作業又ハ労務ノ請負
六 出版、印刷又ハ撮影ニ関スル行為
七 客ノ来集ヲ目的トスル場屋ノ取引
八 両替其他ノ銀行取引
九 保険
十 寄託ノ引受
十一 仲立又ハ取次ニ関スル行為
十二 商行為ノ代理ノ引受
第五百三条 商人カ其営業ノ為メニスル行為ハ之ヲ商行為トス
○2 商人ノ行為ハ其営業ノ為メニスルモノト推定ス
第五百四条 商行為ノ代理人カ本人ノ為メニスルコトヲ示ササルトキト雖モ其行為ハ本人ニ対シテ其効力ヲ生ス但相手方カ本人ノ為メニスルコトヲ知ラサリシトキハ代理人ニ対シテ履行ノ請求ヲ為スコトヲ妨ケス
第五百五条 商行為ノ受任者ハ委任ノ本旨ニ反セサル範囲内ニ於テ委任ヲ受ケサル行為ヲ為スコトヲ得
第五百六条 商行為ノ委任ニ因ル代理権ハ本人ノ死亡ニ因リテ消滅セス
第五百七条 対話者間ニ於テ契約ノ申込ヲ受ケタル者カ直チニ承諾ヲ為ササルトキハ申込ハ其効力ヲ失フ
第五百八条 隔地者間ニ於テ承諾期間ノ定ナクシテ契約ノ申込ヲ受ケタル者カ相当ノ期間内ニ承諾ノ通知ヲ発セサルトキハ申込ハ其効力ヲ失フ
○2 民法第五百二十三条 ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第五百九条 商人カ平常取引ヲ為ス者ヨリ其営業ノ部類ニ属スル契約ノ申込ヲ受ケタルトキハ遅滞ナク諾否ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス若シ之ヲ発スルコトヲ怠リタルトキハ申込ヲ承諾シタルモノト看做ス
第五百十条 商人カ其営業ノ部類ニ属スル契約ノ申込ヲ受ケタル場合ニ於テ申込ト共ニ受取リタル物品アルトキハ其申込ヲ拒絶シタルトキト雖モ申込者ノ費用ヲ以テ其物品ヲ保管スルコトヲ要ス但其物品ノ価額カ其費用ヲ償フニ足ラサルトキ又ハ商人カ其保管ニ因リテ損害ヲ受クヘキトキハ此限ニ在ラス
第五百十一条 数人カ其一人又ハ全員ノ為メニ商行為タル行為ニ因リテ債務ヲ負担シタルトキハ其債務ハ各自連帯シテ之ヲ負担ス
○2 保証人アル場合ニ於テ債務カ主タル債務者ノ商行為ニ因リテ生シタルトキ又ハ保証カ商行為ナルトキハ主タル債務者及ヒ保証人カ各別ノ行為ヲ以テ債務ヲ負担シタルトキト雖モ其債務ハ各自連帯シテ之ヲ負担ス
第五百十二条 商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ他人ノ為メニ或行為ヲ為シタルトキハ相当ノ報酬ヲ請求スルコトヲ得
第五百十三条 商人間ニ於テ金銭ノ消費貸借ヲ為シタルトキハ貸主ハ法定利息ヲ請求スルコトヲ得
○2 商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ他人ノ為メニ金銭ノ立替ヲ為シタルトキハ其立替ノ日以後ノ法定利息ヲ請求スルコトヲ得
第五百十四条 商行為ニ因リテ生シタル債務ニ関シテハ法定利率ハ年六分トス
第五百十五条 民法第三百四十九条 ノ規定ハ商行為ニ因リテ生シタル債権ヲ担保スル為メニ設定シタル質権ニハ之ヲ適用セス
第五百十六条 商行為ニ因リテ生シタル債務ノ履行ヲ為スヘキ場所カ其行為ノ性質又ハ当事者ノ意思表示ニ因リテ定マラサルトキハ特定物ノ引渡ハ行為ノ当時其物ノ存在セシ場所ニ於テ之ヲ為シ其他ノ履行ハ債権者ノ現時ノ営業所、若シ営業所ナキトキハ其住所ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
○2 指図債権及ヒ無記名債権ノ弁済ハ債務者ノ現時ノ営業所、若シ営業所ナキトキハ其住所ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
○3 支店ニ於テ為シタル取引ニ付テハ其支店ヲ以テ営業所ト看做ス
第五百十七条 指図債権又ハ無記名債権ノ債務者ハ其履行ニ付キ期限ノ定アルトキト雖モ其期限カ到来シタル後所持人カ其証券ヲ呈示シテ履行ノ請求ヲ為シタル時ヨリ遅滞ノ責ニ任ス
第五百十八条 金銭其他ノ物又ハ有価証券ノ給付ヲ目的トスル有価証券ノ所持人カ其証券ヲ喪失シタル場合ニ於テ公示催告ノ申立ヲ為シタルトキハ債務者ヲシテ其債務ノ目的物ヲ供託セシメ又ハ相当ノ担保ヲ供シテ其証券ノ趣旨ニ従ヒ履行ヲ為サシムルコトヲ得
第五百十九条 手形法第十二条 乃至第十四条第二項 並ニ小切手法第五条第二項 、第十九条 及ヒ第二十一条 ノ規定ハ金銭其他ノ物又ハ有価証券ノ給付ヲ目的トスル有価証券ニ之ヲ準用ス
第五百二十条 法令又ハ慣習ニ依リ取引時間ノ定アルトキハ其取引時間内ニ限リ債務ノ履行ヲ為シ又ハ其履行ノ請求ヲ為スコトヲ得
第五百二十一条 商人間ニ於テ其双方ノ為メニ商行為タル行為ニ因リテ生シタル債権カ弁済期ニ在ルトキハ債権者ハ弁済ヲ受クルマテ其債務者トノ間ニ於ケル商行為ニ因リテ自己ノ占有ニ帰シタル債務者所有ノ物又ハ有価証券ヲ留置スルコトヲ得但別段ノ意思表示アリタルトキハ此限ニ在ラス
第五百二十二条 商行為ニ因リテ生シタル債権ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外五年間之ヲ行ハサルトキハ時効ニ因リテ消滅ス但他ノ法令ニ之ヨリ短キ時効期間ノ定アルトキハ其規定ニ従フ
第五百二十三条 第五十二条第二項ニ定メタル会社ノ行為ニハ商行為ニ関スル規定ヲ準用ス
第二章 売買
第五百二十四条 商人間ノ売買ニ於テ買主カ其目的物ヲ受取ルコトヲ拒ミ又ハ之ヲ受取ルコト能ハサルトキハ売主ハ其物ヲ供託シ又ハ相当ノ期間ヲ定メテ催告ヲ為シタル後之ヲ競売スルコトヲ得此場合ニ於テハ遅滞ナク買主ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
○2 損敗シ易キ物ハ前項ノ催告ヲ為サスシテ之ヲ競売スルコトヲ得
○3 前二項ノ規定ニ依リ売主カ売買ノ目的物ヲ競売シタルトキハ其代価ヲ供託スルコトヲ要ス但其全部又ハ一部ヲ代金ニ充当スルコトヲ妨ケス
第五百二十五条 売買ノ性質又ハ当事者ノ意思表示ニ依リ一定ノ日時又ハ一定ノ期間内ニ履行ヲ為スニ非サレハ契約ヲ為シタル目的ヲ達スルコト能ハサル場合ニ於テ当事者ノ一方カ履行ヲ為サスシテ其時期ヲ経過シタルトキハ相手方ハ直チニ其履行ヲ請求スルニ非サレハ契約ノ解除ヲ為シタルモノト看做ス
第五百二十六条 商人間ノ売買ニ於テ買主カ其目的物ヲ受取リタルトキハ遅滞ナク之ヲ検査シ若シ之ニ瑕疵アルコト又ハ其数量ニ不足アルコトヲ発見シタルトキハ直チニ売主ニ対シテ其通知ヲ発スルニ非サレハ其瑕疵又ハ不足ニ因リテ契約ノ解除又ハ代金減額若クハ損害賠償ノ請求ヲ為スコトヲ得ス売買ノ目的物ニ直チニ発見スルコト能ハサル瑕疵アリタル場合ニ於テ買主カ六个月内ニ之ヲ発見シタルトキ亦同シ
○2 前項ノ規定ハ売主ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス
第五百二十七条 前条ノ場合ニ於テ買主ハ契約ノ解除ヲ為シタルトキト雖モ売主ノ費用ヲ以テ売買ノ目的物ヲ保管又ハ供託スルコトヲ要ス但其物ニ付キ滅失又ハ毀損ノ虞アルトキハ裁判所ノ許可ヲ得テ之ヲ競売シ其代価ヲ保管又ハ供託スルコトヲ要ス
○2 前項ノ規定ニ依リ買主カ競売ヲ為シタルトキハ遅滞ナク売主ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
○3 前二項ノ規定ハ売主及ヒ買主ノ営業所、若シ営業所ナキトキハ其住所カ同市町村内ニ在ル場合ニハ之ヲ適用セス
第五百二十八条 前条ノ規定ハ売主ヨリ買主ニ引渡シタル物品カ注文シタル物品ト異ナリタル場合ニ之ヲ準用ス其物品カ注文シタル数量ヲ超過シタル場合ニ於テ其超過額ニ付キ亦同シ
第三章 交互計算
第五百二十九条 交互計算ハ商人間又ハ商人ト商人ニ非サル者トノ間ニ平常取引ヲ為ス場合ニ於テ一定ノ期間内ノ取引ヨリ生スル債権債務ノ総額ニ付キ相殺ヲ為シ其残額ノ支払ヲ為スヘキコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス
第五百三十条 手形其他ノ商業証券ヨリ生シタル債権債務ヲ交互計算ニ組入レタル場合ニ於テ証券ノ債務者カ弁済ヲ為ササリシトキハ当事者ハ其債務ニ関スル項目ヲ交互計算ヨリ除去スルコトヲ得
第五百三十一条 当事者カ相殺ヲ為スヘキ期間ヲ定メサリシトキハ其期間ハ之ヲ六个月トス
第五百三十二条 当事者カ債権債務ノ各項目ヲ記載シタル計算書ノ承認ヲ為シタルトキハ其各項目ニ付キ異議ヲ述フルコトヲ得ス但錯誤又ハ脱漏アリタルトキハ此限ニ在ラス
第五百三十三条 相殺ニ因リテ生シタル残額ニ付テハ債権者ハ計算閉鎖ノ日以後ノ法定利息ヲ請求スルコトヲ得
○2 前項ノ規定ハ各項目ヲ交互計算ニ組入レタル日ヨリ之ニ利息ヲ附スルコトヲ妨ケス
第五百三十四条 各当事者ハ何時ニテモ交互計算ノ解除ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ直チニ計算ヲ閉鎖シテ残額ノ支払ヲ請求スルコトヲ得
第四章 匿名組合
第五百三十五条 匿名組合契約ハ当事者ノ一方カ相手方ノ営業ノ為メニ出資ヲ為シ其営業ヨリ生スル利益ヲ分配スヘキコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス
第五百三十六条 匿名組合員ノ出資ハ営業者ノ財産ニ帰ス
○2 匿名組合員ハ営業者ノ行為ニ付キ第三者ニ対シテ権利義務ヲ有セス
第五百三十七条 匿名組合員カ其氏若クハ氏名ヲ営業者ノ商号中ニ用ヰ又ハ其商号ヲ営業者ノ商号トシテ用ユルコトヲ許諾シタルトキハ其使用以後ニ生シタル債務ニ付テハ営業者ト連帯シテ其責ニ任ス
第五百三十八条 出資カ損失ニ因リテ減シタルトキハ其填補ノ後ニ非サレハ匿名組合員ハ利益ノ配当ヲ請求スルコトヲ得ス
第五百三十九条 組合契約ヲ以テ組合ノ存続期間ヲ定メサリシトキ又ハ或当事者ノ終身間組合ノ存続スヘキコトヲ定メタルトキハ各当事者ハ営業年度ノ終ニ於テ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得但六个月前ニ其予告ヲ為スコトヲ要ス
○2 組合ノ存続期間ヲ定メタルト否トヲ問ハス已ムコトヲ得サル事由アルトキハ各当事者ハ何時ニテモ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得
第五百四十条 前条ニ掲ケタル場合ノ外組合契約ハ左ノ事由ニ因リテ終了ス
一 組合ノ目的タル事業ノ成功又ハ其成功ノ不能
二 営業者ノ死亡又ハ営業者ガ後見開始ノ審判ヲ受ケタルコト
三 営業者又ハ匿名組合員ノ破産
第五百四十一条 組合契約カ終了シタルトキハ営業者ハ匿名組合員ニ其出資ノ価額ヲ返還スルコトヲ要ス但出資カ損失ニ因リテ減シタルトキハ其残額ヲ返還スルヲ以テ足ル
第五百四十二条 第百五十条、第百五十三条及ヒ第百五十六条ノ規定ハ匿名組合員ニ之ヲ準用ス
第五章 仲立営業
第五百四十三条 仲立人トハ他人間ノ商行為ノ媒介ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ
第五百四十四条 仲立人ハ其媒介シタル行為ニ付キ当事者ノ為メニ支払其他ノ給付ヲ受クルコトヲ得ス但別段ノ意思表示又ハ慣習アルトキハ此限ニ在ラス
第五百四十五条 仲立人カ其媒介スル行為ニ付キ見本ヲ受取リタルトキハ其行為カ完了スルマテ之ヲ保管スルコトヲ要ス
第五百四十六条 当事者間ニ於テ行為カ成立シタルトキハ仲立人ハ遅滞ナク各当事者ノ氏名又ハ商号、行為ノ年月日及ヒ其要領ヲ記載シタル書面ヲ作リ署名ノ後之ヲ各当事者ニ交付スルコトヲ要ス
○2 当事者カ直チニ履行ヲ為スヘキ場合ヲ除ク外仲立人ハ各当事者ヲシテ前項ノ書面ニ署名セシメタル後之ヲ其相手方ニ交付スルコトヲ要ス
○3 前二項ノ場合ニ於テ当事者ノ一方カ書面ヲ受領セス又ハ之ニ署名セサルトキハ仲立人ハ遅滞ナク相手方ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
第五百四十七条 仲立人ハ其帳簿ニ前条第一項ニ掲ケタル事項ヲ記載スルコトヲ要ス
○2 当事者ハ何時ニテモ仲立人カ自己ノ為メニ媒介シタル行為ニ付キ其帳簿ノ謄本ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
第五百四十八条 当事者カ其氏名又ハ商号ヲ相手方ニ示ササルヘキ旨ヲ仲立人ニ命シタルトキハ仲立人ハ第五百四十六条第一項ノ書面及ヒ前条第二項ノ謄本ニ其氏名又ハ商号ヲ記載スルコトヲ得ス
第五百四十九条 仲立人カ当事者ノ一方ノ氏名又ハ商号ヲ其相手方ニ示ササリシトキハ之ニ対シテ自ラ履行ヲ為ス責ニ任ス
第五百五十条 仲立人ハ第五百四十六条ノ手続ヲ終ハリタル後ニ非サレハ報酬ヲ請求スルコトヲ得ス
○2 仲立人ノ報酬ハ当事者双方平分シテ之ヲ負担ス
第六章 問屋営業
第五百五十一条 問屋トハ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為メニ物品ノ販売又ハ買入ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ
第五百五十二条 問屋ハ他人ノ為メニ為シタル販売又ハ買入ニ因リ相手方ニ対シテ自ラ権利ヲ得義務ヲ負フ
○2 問屋ト委託者トノ間ニ於テハ本章ノ規定ノ外委任及ヒ代理ニ関スル規定ヲ準用ス
第五百五十三条 問屋ハ委託者ノ為メニ為シタル販売又ハ買入ニ付キ相手方カ其債務ヲ履行セサル場合ニ於テ自ラ其履行ヲ為ス責ニ任ス但別段ノ意思表示又ハ慣習アルトキハ此限ニ在ラス
第五百五十四条 問屋カ委託者ノ指定シタル金額ヨリ廉価ニテ販売ヲ為シ又ハ高価ニテ買入ヲ為シタル場合ニ於テ自ラ其差額ヲ負担スルトキハ其販売又ハ買入ハ委託者ニ対シテ其効力ヲ生ス
第五百五十五条 問屋カ取引所ノ相場アル物品ノ販売又ハ買入ノ委託ヲ受ケタルトキハ自ラ買主又ハ売主ト為ルコトヲ得此場合ニ於テハ売買ノ代価ハ問屋カ買主又ハ売主ト為リタルコトノ通知ヲ発シタル時ニ於ケル取引所ノ相場ニ依リテ之ヲ定ム
○2 前項ノ場合ニ於テモ問屋ハ委託者ニ対シテ報酬ヲ請求スルコトヲ得
第五百五十六条 問屋カ買入ノ委託ヲ受ケタル場合ニ於テ委託者カ買入レタル物品ヲ受取ルコトヲ拒ミ又ハ之ヲ受取ルコト能ハサルトキハ第五百二十四条ノ規定ヲ準用ス
第五百五十七条 第四十七条及ヒ第五十一条ノ規定ハ問屋ニ之ヲ準用ス
第五百五十八条 本章ノ規定ハ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為メニ販売又ハ買入ニ非サル行為ヲ為スヲ業トスル者ニ之ヲ準用ス
第七章 運送取扱営業
第五百五十九条 運送取扱人トハ自己ノ名ヲ以テ物品運送ノ取次ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ
○2 運送取扱人ニハ本章ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外問屋ニ関スル規定ヲ準用ス
第五百六十条 運送取扱人ハ自己又ハ其使用人カ運送品ノ受取、引渡、保管、運送人又ハ他ノ運送取扱人ノ選択其他運送ニ関スル注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ付キ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス
第五百六十一条 運送取扱人カ運送品ヲ運送人ニ引渡シタルトキハ直チニ其報酬ヲ請求スルコトヲ得
○2 運送取扱契約ヲ以テ運送賃ノ額ヲ定メタルトキハ運送取扱人ハ特約アルニ非サレハ別ニ報酬ヲ請求スルコトヲ得ス
第五百六十二条 運送取扱人ハ運送品ニ関シ受取ルヘキ報酬、運送賃其他委託者ノ為メニ為シタル立替又ハ前貸ニ付テノミ其運送品ヲ留置スルコトヲ得
第五百六十三条 数人相次テ運送ノ取次ヲ為ス場合ニ於テハ後者ハ前者ニ代ハリテ其権利ヲ行使スル義務ヲ負フ
○2 前項ノ場合ニ於テ後者カ前者ニ弁済ヲ為シタルトキハ前者ノ権利ヲ取得ス
第五百六十四条 運送取扱人カ運送人ニ弁済ヲ為シタルトキハ運送人ノ権利ヲ取得ス
第五百六十五条 運送取扱人ハ特約ナキトキハ自ラ運送ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ運送取扱人ハ運送人ト同一ノ権利義務ヲ有ス
○2 運送取扱人カ委託者ノ請求ニ因リテ貨物引換証ヲ作リタルトキハ自ラ運送ヲ為スモノト看做ス
第五百六十六条 運送取扱人ノ責任ハ荷受人カ運送品ヲ受取リタル日ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
○2 前項ノ期間ハ運送品ノ全部滅失ノ場合ニ於テハ其引渡アルヘカリシ日ヨリ之ヲ起算ス
○3 前二項ノ規定ハ運送取扱人ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス
第五百六十七条 運送取扱人ノ委託者又ハ荷受人ニ対スル債権ハ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
第五百六十八条 第五百七十八条及ヒ第五百八十三条ノ規定ハ運送取扱営業ニ之ヲ準用ス
第八章 運送営業
第五百六十九条 運送人トハ陸上又ハ湖川、港湾ニ於テ物品又ハ旅客ノ運送ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ
第一節 物品運送
第五百七十条 荷送人ハ運送人ノ請求ニ因リ運送状ヲ交付スルコトヲ要ス
○2 運送状ニハ左ノ事項ヲ記載シ荷送人之ニ署名スルコトヲ要ス
一 運送品ノ種類、重量又ハ容積及ヒ其荷造ノ種類、個数並ニ記号
二 到達地
三 荷受人ノ氏名又ハ商号
四 運送状ノ作成地及ヒ其作成ノ年月日
第五百七十一条 運送人ハ荷送人ノ請求ニ因リ貨物引換証ヲ交付スルコトヲ要ス
○2 貨物引換証ニハ左ノ事項ヲ記載シ運送人之ニ署名スルコトヲ要ス
一 前条第二項第一号乃至第三号ニ掲ケタル事項
二 荷送人ノ氏名又ハ商号
三 運送賃
四 貨物引換証ノ作成地及ヒ其作成ノ年月日
第五百七十二条 貨物引換証ヲ作リタルトキハ運送ニ関スル事項ハ運送人ト所持人トノ間ニ於テハ貨物引換証ノ定ムル所ニ依ル
第五百七十三条 貨物引換証ヲ作リタルトキハ運送品ニ関スル処分ハ貨物引換証ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス
第五百七十四条 貨物引換証ハ其記名式ナルトキト雖モ裏書ニ依リテ之ヲ譲渡スコトヲ得但貨物引換証ニ裏書ヲ禁スル旨ヲ記載シタルトキハ此限ニ在ラス
第五百七十五条 貨物引換証ニ依リ運送品ヲ受取ルコトヲ得ヘキ者ニ貨物引換証ヲ引渡シタルトキハ其引渡ハ運送品ノ上ニ行使スル権利ノ取得ニ付キ運送品ノ引渡ト同一ノ効力ヲ有ス
第五百七十六条 運送品ノ全部又ハ一部カ不可抗力ニ因リテ滅失シタルトキハ運送人ハ其運送賃ヲ請求スルコトヲ得ス若シ運送人カ既ニ其運送賃ノ全部又ハ一部ヲ受取リタルトキハ之ヲ返還スルコトヲ要ス
○2 運送品ノ全部又ハ一部カ其性質若クハ瑕疵又ハ荷送人ノ過失ニ因リテ滅失シタルトキハ運送人ハ運送賃ノ全額ヲ請求スルコトヲ得
第五百七十七条 運送人ハ自己若クハ運送取扱人又ハ其使用人其他運送ノ為メ使用シタル者カ運送品ノ受取、引渡、保管及ヒ運送ニ関シ注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ付キ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス
第五百七十八条 貨幣、有価証券其他ノ高価品ニ付テハ荷送人カ運送ヲ委託スルニ当タリ其種類及ヒ価額ヲ明告シタルニ非サレハ運送人ハ損害賠償ノ責ニ任セス
第五百七十九条 数人相次テ運送ヲ為ス場合ニ於テハ各運送人ハ運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ付キ連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ス
第五百八十条 運送品ノ全部滅失ノ場合ニ於ケル損害賠償ノ額ハ其引渡アルヘカリシ日ニ於ケル到達地ノ価格ニ依リテ之ヲ定ム
○2 運送品ノ一部滅失又ハ毀損ノ場合ニ於ケル損害賠償ノ額ハ其引渡アリタル日ニ於ケル到達地ノ価格ニ依リテ之ヲ定ム但延著ノ場合ニ於テハ前項ノ規定ヲ準用ス
○3 運送品ノ滅失又ハ毀損ノ為メ支払フコトヲ要セサル運送賃其他ノ費用ハ前二項ノ賠償額ヨリ之ヲ控除ス
第五百八十一条 運送品カ運送人ノ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リテ滅失、毀損又ハ延著シタルトキハ運送人ハ一切ノ損害ヲ賠償スル責ニ任ス
第五百八十二条 荷送人又ハ貨物引換証ノ所持人ハ運送人ニ対シ運送ノ中止、運送品ノ返還其他ノ処分ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ運送人ハ既ニ為シタル運送ノ割合ニ応スル運送賃、立替金及ヒ其処分ニ因リテ生シタル費用ノ弁済ヲ請求スルコトヲ得
○2 前項ニ定メタル荷送人ノ権利ハ運送品カ到達地ニ達シタル後荷受人カ其引渡ヲ請求シタルトキハ消滅ス
第五百八十三条 運送品カ到達地ニ達シタル後ハ荷受人ハ運送契約ニ因リテ生シタル荷送人ノ権利ヲ取得ス
○2 荷送人カ運送品ヲ受取リタルトキハ運送人ニ対シ運送賃其他ノ費用ヲ支払フ義務ヲ負フ
第五百八十四条 貨物引換証ヲ作リタル場合ニ於テハ之ト引換ニ非サレハ運送品ノ引渡ヲ請求スルコトヲ得ス
第五百八十五条 荷受人ヲ確知スルコト能ハサルトキハ運送人ハ運送品ヲ供託スルコトヲ得
○2 前項ノ場合ニ於テ運送人カ荷送人ニ対シ相当ノ期間ヲ定メ運送品ノ処分ニ付キ指図ヲ為スヘキ旨ヲ催告スルモ荷送人カ其指図ヲ為ササルトキハ運送品ヲ競売スルコトヲ得
○3 運送人カ前二項ノ規定ニ従ヒテ運送品ノ供託又ハ競売ヲ為シタルトキハ遅滞ナク荷送人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
第五百八十六条 前条ノ規定ハ運送品ノ引渡ニ関シテ争アル場合ニ之ヲ準用ス
○2 運送人カ競売ヲ為スニハ予メ荷受人ニ対シ相当ノ期間ヲ定メテ運送品ノ受取ヲ催告シ其期間経過ノ後更ニ荷送人ニ対スル催告ヲ為スコトヲ要ス
○3 運送人ハ遅滞ナク荷受人ニ対シテモ運送品ノ供託又ハ競売ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス
第五百八十七条 第五百二十四条第二項及ヒ第三項ノ規定ハ前二条ノ場合ニ之ヲ準用ス
第五百八十八条 運送人ノ責任ハ荷受人カ留保ヲ為サスシテ運送品ヲ受取リ且運送賃其他ノ費用ヲ支払ヒタルトキハ消滅ス但運送品ニ直チニ発見スルコト能ハサル毀損又ハ一部滅失アリタル場合ニ於テ荷受人カ引渡ノ日ヨリ二週間内ニ運送人ニ対シテ其通知ヲ発シタルトキハ此限ニ在ラス
○2 前項ノ規定ハ運送人ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス
第五百八十九条 第五百六十二条、第五百六十三条、第五百六十六条及ヒ第五百六十七条ノ規定ハ運送人ニ之ヲ準用ス
第二節 旅客運送
第五百九十条 旅客ノ運送人ハ自己又ハ其使用人カ運送ニ関シ注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ旅客カ運送ノ為メニ受ケタル損害ヲ賠償スル責ヲ免ルルコトヲ得ス
○2 損害賠償ノ額ヲ定ムルニ付テハ裁判所ハ被害者及ヒ其家族ノ情況ヲ斟酌スルコトヲ要ス
第五百九十一条 旅客ノ運送人ハ旅客ヨリ引渡ヲ受ケタル手荷物ニ付テハ特ニ運送賃ヲ請求セサルトキト雖モ物品ノ運送人ト同一ノ責任ヲ負フ
○2 手荷物カ到達地ニ達シタル日ヨリ一週間内ニ旅客カ其引渡ヲ請求セサルトキハ第五百二十四条ノ規定ヲ準用ス但住所又ハ居所ノ知レサル旅客ニハ催告及ヒ通知ヲ為スコトヲ要セス
第五百九十二条 旅客ノ運送人ハ旅客ヨリ引渡ヲ受ケサル手荷物ノ滅失又ハ毀損ニ付テハ自己又ハ其使用人ニ過失アル場合ヲ除ク外損害賠償ノ責ニ任セス
第九章 寄託
第一節 総則
第五百九十三条 商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ寄託ヲ受ケタルトキハ報酬ヲ受ケサルトキト雖モ善良ナル管理者ノ注意ヲ為スコトヲ要ス
第五百九十四条 旅店、飲食店、浴場其他客ノ来集ヲ目的トスル場屋ノ主人ハ客ヨリ寄託ヲ受ケタル物品ノ滅失又ハ毀損ニ付キ其不可抗力ニ因リタルコトヲ証明スルニ非サレハ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス
○2 客カ特ニ寄託セサル物品ト雖モ場屋中ニ携帯シタル物品カ場屋ノ主人又ハ其使用人ノ不注意ニ因リテ滅失又ハ毀損シタルトキハ場屋ノ主人ハ損害賠償ノ責ニ任ス
○3 客ノ携帯品ニ付キ責任ヲ負ハサル旨ヲ告示シタルトキト雖モ場屋ノ主人ハ前二項ノ責任ヲ免ルルコトヲ得ス
第五百九十五条 貨幣、有価証券其他ノ高価品ニ付テハ客カ其種類及ヒ価額ヲ明告シテ之ヲ前条ノ場屋ノ主人ニ寄託シタルニ非サレハ其場屋ノ主人ハ其物品ノ滅失又ハ毀損ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任セス
第五百九十六条 前二条ノ責任ハ場屋ノ主人カ寄託物ヲ返還シ又ハ客カ携帯品ヲ持去リタル後一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
○2 前項ノ期間ハ物品ノ全部滅失ノ場合ニ於テハ客カ場屋ヲ去リタル時ヨリ之ヲ起算ス
○3 前二項ノ規定ハ場屋ノ主人ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス
第二節 倉庫営業
第五百九十七条 倉庫営業者トハ他人ノ為メニ物品ヲ倉庫ニ保管スルヲ業トスル者ヲ謂フ
第五百九十八条 倉庫営業者ハ寄託者ノ請求ニ因リ寄託物ノ預証券及ヒ質入証券ヲ交付スルコトヲ要ス
第五百九十九条 預証券及ヒ質入証券ニハ左ノ事項及ヒ番号ヲ記載シ倉庫営業者之ニ署名スルコトヲ要ス
一 受寄物ノ種類、品質、数量及ヒ其荷造ノ種類、個数並ニ記号
二 寄託者ノ氏名又ハ商号
三 保管ノ場所
四 保管料
五 保管ノ期間ヲ定メタルトキハ其期間
六 受寄物ヲ保険ニ付シタルトキハ保険金額、保険期間及ヒ保険者ノ氏名又ハ商号
七 証券ノ作成地及ヒ其作成ノ年月日
第六百条 倉庫営業者カ預証券及ヒ質入証券ヲ寄託者ニ交付シタルトキハ其帳簿ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 前条第一号、第二号及ヒ第四号乃至第六号ニ掲ケタル事項
二 証券ノ番号及ヒ其作成ノ年月日
第六百一条 預証券及ヒ質入証券ノ所持人ハ倉庫営業者ニ対シ寄託物ヲ分割シ且其各部分ニ対スル預証券及ヒ質入証券ノ交付ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ所持人ハ前ノ預証券及ヒ質入証券ヲ倉庫営業者ニ返還スルコトヲ要ス
○2 前項ニ定メタル寄託物ノ分割及ヒ証券ノ交付ニ関スル費用ハ所持人之ヲ負担ス
第六百二条 預証券及ヒ質入証券ヲ作リタルトキハ寄託ニ関スル事項ハ倉庫営業者ト所持人トノ間ニ於テハ其証券ノ定ムル所ニ依ル
第六百三条 預証券及ヒ質入証券ハ其記名式ナルトキト雖モ裏書ニ依リテ之ヲ譲渡シ又ハ之ヲ質入スルコトヲ得但証券ニ裏書ヲ禁スル旨ヲ記載シタルトキハ此限ニ在ラス
○2 預証券ノ所持人カ未タ質入ヲ為ササル間ハ預証券及ヒ質入証券ハ各別ニ之ヲ譲渡スコトヲ得ス
第六百四条 第五百七十三条及ヒ第五百七十五条ノ規定ハ預証券及ヒ質入証券ニ之ヲ準用ス
第六百五条 預証券又ハ質入証券カ滅失シタルトキハ其所持人ハ相当ノ担保ヲ供シテ更ニ其証券ノ交付ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ倉庫営業者ハ其旨ヲ帳簿ニ記載スルコトヲ要ス
第六百六条 質入証券ニ第一ノ質入裏書ヲ為スニハ債権額、其利息及ヒ弁済期ヲ記載スルコトヲ要ス
○2 第一ノ質権者カ前項ニ掲ケタル事項ヲ預証券ニ記載シテ之ニ署名スルニ非サレハ質権ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
第六百七条 預証券ノ所持人ハ寄託物ヲ以テ預証券ニ記載シタル債権額及ヒ利息ヲ弁済スル義務ヲ負フ
第六百八条 質入証券所持人ノ債権ノ弁済ハ倉庫営業者ノ営業所ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
第六百九条 質入証券ノ所持人カ弁済期ニ至リ支払ヲ受ケサルトキハ手形ニ関スル規定ニ従ヒテ拒絶証書ヲ作ラシムルコトヲ要ス
第六百十条 質入証券ノ所持人ハ拒絶証書作成ノ日ヨリ一週間ヲ経過シタル後ニ非サレハ寄託物ノ競売ヲ請求スルコトヲ得ス
第六百十一条 倉庫営業者ハ競売代金ノ中ヨリ競売ニ関スル費用、受寄物ニ課スヘキ租税、保管料其他保管ニ関スル費用及ヒ立替金ヲ控除シタル後其残額ヲ質入証券ト引換ニ其所持人ニ支払フコトヲ要ス
○2 競売代金ノ中ヨリ前項ニ掲ケタル費用、租税、保管料、立替金及ヒ質入証券所持人ノ債権額、利息、拒絶証書作成ノ費用ヲ控除シタル後余剰アルトキハ倉庫営業者ハ之ヲ預証券ト引換ニ其所持人ニ支払フコトヲ要ス
第六百十二条 競売代金ヲ以テ質入証券ニ記載シタル債権ノ全部ヲ弁済スルコト能ハサリシトキハ倉庫営業者ハ其支払ヒタル金額ヲ質入証券ニ記載シテ其証券ヲ返還シ且其旨ヲ帳簿ニ記載スルコトヲ要ス
第六百十三条 質入証券ノ所持人ハ先ツ寄託物ニ付キ弁済ヲ受ケ尚ホ不足アルトキハ其裏書人ニ対シテ不足額ヲ請求スルコトヲ得
○2 手形法第四十五条第一項第三項第五項第六項 、第四十八条第一項 、第四十九条 及ヒ第五十条第一項 ノ規定ハ前項ニ定メタル不足額ノ請求ニ之ヲ準用ス
○3 手形法第五十二条第三項 ノ規定ハ不足額ノ請求ヲ受クル者ノ営業所又ハ住所ノ所在地カ其請求ヲ為ス者ノ営業所又ハ住所ノ所在地ト異ナル場合ニ於ケル償還額ノ算定ニ付キ之ヲ準用ス
第六百十四条 質入証券ノ所持人カ弁済期ニ至リ支払ヲ受ケサリシ場合ニ於テ拒絶証書ヲ作ラシメサリシトキ又ハ拒絶証書作成ノ日ヨリ二週間内ニ寄託物ノ競売ヲ請求セサリシトキハ裏書人ニ対スル請求権ヲ失フ
第六百十五条 質入証券所持人ノ預証券所持人ニ対スル請求権ハ弁済期ヨリ一年質入証券裏書人ニ対スル請求権ハ寄託物ニ付キ弁済ヲ受ケタル日ヨリ六个月質入証券裏書人ノ其前者ニ対スル請求権ハ償還ヲ為シタル日ヨリ六个月ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
第六百十六条 寄託者又ハ預証券ノ所持人ハ営業時間内何時ニテモ倉庫営業者ニ対シテ寄託物ノ点検若クハ其見本ノ摘出ヲ求メ又ハ其保存ニ必要ナル処分ヲ為スコトヲ得
○2 質入証券ノ所持人ハ営業時間内何時ニテモ倉庫営業者ニ対シテ寄託物ノ点検ヲ求ムルコトヲ得
第六百十七条 倉庫営業者ハ自己又ハ其使用人カ受寄物ノ保管ニ関シ注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ其滅失又ハ毀損ニ付キ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス
第六百十八条 倉庫営業者ハ受寄物出庫ノ時ニ非サレハ保管料及ヒ立替金其他受寄物ニ関スル費用ノ支払ヲ請求スルコトヲ得ス但受寄物ノ一部出庫ノ場合ニ於テハ割合ニ応シテ其支払ヲ請求スルコトヲ得
第六百十九条 当事者カ保管ノ期間ヲ定メサリシトキハ倉庫営業者ハ受寄物入庫ノ日ヨリ六个月ヲ経過シタル後ニ非サレハ其返還ヲ為スコトヲ得ス但已ムコトヲ得サル事由アルトキハ此限ニ在ラス
第六百二十条 預証券及ヒ質入証券ヲ作リタル場合ニ於テハ之ト引換ニ非サレハ寄託物ノ返還ヲ請求スルコトヲ得ス
第六百二十一条 預証券ノ所持人ハ質入証券ニ記載シタル債権ノ弁済期前ト雖モ其債権ノ全額及ヒ弁済期マテノ利息ヲ倉庫営業者ニ供託シテ寄託物ノ返還ヲ請求スルコトヲ得
第六百二十二条 寄託物カ同種類ニシテ同一ノ品質ヲ有シ且分割スルコトヲ得ヘキ物ナルトキハ預証券ノ所持人ハ債権額ノ一部及ヒ其弁済期マテノ利息ヲ供託シ其割合ニ応シテ寄託物ノ一部ノ返還ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テ倉庫営業者ハ供託ヲ受ケタル金額及ヒ返還シタル寄託物ノ数量ヲ預証券ニ記載シ且其旨ヲ帳簿ニ記載スルコトヲ要ス
○2 前項ニ定メタル寄託物ノ一部出庫ニ関スル費用ハ預証券ノ所持人之ヲ負担ス
第六百二十三条 前二条ノ場合ニ於テ質入証券ノ所持人ノ権利ハ供託金ノ上ニ存在ス
○2 第六百十二条ノ規定ハ前条第一項ノ供託金ヲ以テ質入証券ニ記載シタル債権ノ一部ヲ弁済シタル場合ニ之ヲ準用ス
第六百二十四条 第五百二十四条第一項及ヒ第二項ノ規定ハ寄託者又ハ預証券ノ所持人カ寄託物ヲ受取ルコトヲ拒ミ又ハ之ヲ受取ルコト能ハサル場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テ質入証券ノ所持人ノ権利ハ競売代金ノ上ニ存在ス
○2 第六百十一条及ヒ第六百十二条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六百二十五条 第五百八十八条ノ規定ハ倉庫営業者ニ之ヲ準用ス
第六百二十六条 寄託物ノ滅失又ハ毀損ニ因リテ生シタル倉庫営業者ノ責任ハ出庫ノ日ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
○2 前項ノ期間ハ寄託物ノ全部滅失ノ場合ニ於テハ倉庫営業者カ預証券ノ所持人、若シ其所持人カ知レサルトキハ寄託者ニ対シテ其滅失ノ通知ヲ発シタル日ヨリ之ヲ起算ス
○3 前二項ノ規定ハ倉庫営業者ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス
第六百二十七条 倉庫営業者ハ寄託者ノ請求アルトキハ預証券及ヒ質入証券ニ代ヘテ倉荷証券ヲ交付スルコトヲ要ス
○2 倉荷証券ニハ預証券ニ関スル規定ヲ準用ス
第六百二十八条 倉荷証券ヲ以テ質権ノ目的ト為シタル場合ニ於テ質権者ノ承諾アルトキハ寄託者ハ債権ノ弁済期前ト雖モ寄託物ノ一部ノ返還ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テ倉庫営業者ハ返還シタル寄託物ノ種類、品質及ヒ数量ヲ倉荷証券ニ記載シ且其旨ヲ帳簿ニ記載スルコトヲ要ス
第十章 保険
第一節 損害保険
第一款 総則
第六百二十九条 損害保険契約ハ当事者ノ一方カ偶然ナル一定ノ事故ニ因リテ生スルコトアルヘキ損害ヲ填補スルコトヲ約シ相手方カ之ニ其報酬ヲ与フルコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス
第六百三十条 保険契約ハ金銭ニ見積ルコトヲ得ヘキ利益ニ限リ之ヲ以テ其目的ト為スコトヲ得
第六百三十一条 保険金額カ保険契約ノ目的ノ価額ニ超過シタルトキハ其超過シタル部分ニ付テハ保険契約ハ無効トス
第六百三十二条 同一ノ目的ニ付キ同時ニ数箇ノ保険契約ヲ為シタル場合ニ於テ其保険金額カ保険価額ニ超過シタルトキハ各保険者ノ負担額ハ其各自ノ保険金額ノ割合ニ依リテ之ヲ定ム
○2 数個ノ保険契約ノ日附カ同一ナルトキハ其契約ハ同時ニ為シタルモノト推定ス
第六百三十三条 相次テ数箇ノ保険契約ヲ為シタルトキハ前ノ保険者先ツ損害ヲ負担シ若シ其負担額カ損害ノ全部ヲ填補スルニ足ラサルトキハ後ノ保険者之ヲ負担ス
第六百三十四条 保険価額ノ全部ヲ保険ニ付シタル後ト雖モ左ノ場合ニ限リ更ニ保険契約ヲ為スコトヲ得
一 前ノ保険者ニ対スル権利ヲ後ノ保険者ニ譲渡スコトヲ約シタルトキ
二 前ノ保険者ニ対スル権利ノ全部又ハ一部ヲ抛棄スヘキコトヲ後ノ保険者ニ約シタルトキ
三 前ノ保険者カ損害ノ填補ヲ為ササルコトヲ条件トシタルトキ
第六百三十五条 同時ニ又ハ相次テ数箇ノ保険契約ヲ為シタル場合ニ於テ保険者ノ一人ニ対スル権利ノ抛棄ハ他ノ保険者ノ権利義務ニ影響ヲ及ホサス
第六百三十六条 保険価額ノ一部ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ保険者ノ負担ハ保険金額ノ保険価額ニ対スル割合ニ依リテ之ヲ定ム
第六百三十七条 保険価額カ保険期間中著シク減少シタルトキハ保険契約者ハ保険者ニ対シテ保険金額及ヒ保険料ノ減額ヲ請求スルコトヲ得但保険料ノ減額ハ将来ニ向テノミ其効力ヲ生ス
第六百三十八条 保険者カ填補スヘキ損害ノ額ハ其損害カ生シタル地ニ於ケル其時ノ価額ニ依リテ之ヲ定ム
○2 前項ノ損害額ヲ計算スルニ必要ナル費用ハ保険者之ヲ負担ス
第六百三十九条 当事者カ保険価額ヲ定メタルトキハ保険者ハ其価額ノ著シク過当ナルコトヲ証明スルニ非サレハ其填補額ノ減少ヲ請求スルコトヲ得ス
第六百四十条 戦争其他ノ変乱ニ因リテ生シタル損害ハ特約アルニ非サレハ保険者之ヲ填補スル責ニ任セス
第六百四十一条 保険ノ目的ノ性質若クハ瑕疵、其自然ノ消耗又ハ保険契約者若クハ被保険者ノ悪意若クハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル損害ハ保険者之ヲ填補スル責ニ任セス
第六百四十二条 保険契約ノ当時当事者ノ一方又ハ被保険者カ事故ノ生セサルヘキコト又ハ既ニ生シタルコトヲ知レルトキハ其契約ハ無効トス
第六百四十三条 保険契約ノ全部又ハ一部カ無効ナル場合ニ於テ保険契約者及ヒ被保険者カ善意ニシテ且重大ナル過失ナキトキハ保険者ニ対シテ保険料ノ全部又ハ一部ノ返還ヲ請求スルコトヲ得
第六百四十四条 保険契約ノ当時保険契約者カ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ重要ナル事実ヲ告ケス又ハ重要ナル事項ニ付キ不実ノ事ヲ告ケタルトキハ保険者ハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得但保険者カ其事実ヲ知リ又ハ過失ニ因リテ之ヲ知ラサリシトキハ此限ニ在ラス
○2 前項ノ解除権ハ保険者カ解除ノ原因ヲ知リタル時ヨリ一个月間之ヲ行ハサルトキハ消滅ス契約ノ時ヨリ五年ヲ経過シタルトキ亦同シ
第六百四十五条 前条ノ規定ニ依リ保険者カ契約ノ解除ヲ為シタルトキハ其解除ハ将来ニ向テノミ其効力ヲ生ス
○2 保険者ハ危険発生ノ後解除ヲ為シタル場合ニ於テモ損害ヲ填補スル責ニ任セス若シ既ニ保険金額ノ支払ヲ為シタルトキハ其返還ヲ請求スルコトヲ得但保険契約者ニ於テ危険ノ発生カ其告ケ又ハ告ケサリシ事実ニ基カサルコトヲ証明シタルトキハ此限ニ在ラス
第六百四十六条 保険契約ノ当事者カ特別ノ危険ヲ斟酌シテ保険料ノ額ヲ定メタル場合ニ於テ保険期間中其危険カ消滅シタルトキハ保険契約者ハ将来ニ向テ保険料ノ減額ヲ請求スルコトヲ得
第六百四十七条 保険契約ハ他人ノ為メニモ之ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ保険契約者ハ保険者ニ対シ保険料ヲ支払フ義務ヲ負フ
第六百四十八条 保険契約者カ委任ヲ受ケスシテ他人ノ為メニ契約ヲ為シタル場合ニ於テ其旨ヲ保険者ニ告ケサルトキハ其契約ハ無効トス若シ之ヲ告ケタルトキハ被保険者ハ当然其契約ノ利益ヲ享受ス
第六百四十九条 保険者ハ保険契約者ノ請求ニ因リ保険証券ヲ交付スルコトヲ要ス
○2 保険証券ニハ左ノ事項ヲ記載シ保険者之ニ署名スルコトヲ要ス
一 保険ノ目的
二 保険者ノ負担シタル危険
三 保険価額ヲ定メタルトキハ其価額
四 保険金額
五 保険料及ヒ其支払ノ方法
六 保険期間ヲ定メタルトキハ其始期及ヒ終期
七 保険契約者ノ氏名又ハ商号
八 保険契約ノ年月日
九 保険証券ノ作成地及ヒ其作成ノ年月日
第六百五十条 被保険者カ保険ノ目的ヲ譲渡シタルトキハ同時ニ保険契約ニ因リテ生シタル権利ヲ譲渡シタルモノト推定ス
○2 前項ノ場合ニ於テ保険ノ目的ノ譲渡カ著シク危険ヲ変更又ハ増加シタルトキハ保険契約ハ其効力ヲ失フ
第六百五十一条 保険者カ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキハ保険契約者ハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得但其解除ハ将来ニ向テノミ其効力ヲ生ス
○2 前項ノ規定ニ依リテ解除ヲ為ササル保険契約ハ破産宣告ノ後三个月ヲ経過シタルトキハ其効力ヲ失フ
第六百五十二条 他人ノ為メニ保険契約ヲ為シタル場合ニ於テ保険契約者カ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキハ保険者ハ被保険者ニ対シテ保険料ヲ請求スルコトヲ得但被保険者カ其権利ヲ抛棄シタルトキハ此限ニ在ラス
第六百五十三条 保険者ノ責任カ始マル前ニ於テハ保険契約者ハ契約ノ全部又ハ一部ノ解除ヲ為スコトヲ得
第六百五十四条 保険者ノ責任カ始マル前ニ於テ保険契約者又ハ被保険者ノ行為ニ因ラスシテ保険ノ目的ノ全部又ハ一部ニ付キ保険者ノ負担ニ帰スヘキ危険カ生セサルニ至リタルトキハ保険者ハ保険料ノ全部又ハ一部ヲ返還スルコトヲ要ス
第六百五十五条 前二条ノ場合ニ於テハ保険者ハ其返還スヘキ保険料ノ半額ニ相当スル金額ヲ請求スルコトヲ得
第六百五十六条 保険期間中危険カ保険契約者又ハ被保険者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リテ著シク変更又ハ増加シタルトキハ保険契約ハ其効力ヲ失フ
第六百五十七条 保険期間中危険カ保険契約者又ハ被保険者ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因リテ著シク変更又ハ増加シタルトキハ保険者ハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得但其解除ハ将来ニ向テノミ其効力ヲ生ス
○2 前項ノ場合ニ於テ保険契約者又ハ被保険者カ危険ノ著シク変更又ハ増加シタルコトヲ知リタルトキハ遅滞ナク之ヲ保険者ニ通知スルコトヲ要ス若シ其通知ヲ怠リタルトキハ保険者ハ危険ノ変更又ハ増加ノ時ヨリ保険契約カ其効力ヲ失ヒタルモノト看做スコトヲ得
○3 保険者カ前項ノ通知ヲ受ケ又ハ危険ノ変更若クハ増加ヲ知リタル後遅滞ナク契約ノ解除ヲ為ササルトキハ其契約ヲ承認シタルモノト看做ス
第六百五十八条 保険者ノ負担シタル危険ノ発生ニ因リテ損害カ生シタル場合ニ於テ保険契約者又ハ被保険者カ其損害ノ生シタルコトヲ知リタルトキハ遅滞ナク保険者ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
第六百五十九条 保険ノ目的ニ付キ保険者ノ負担スヘキ損害カ生シタルトキハ其後ニ至リ其目的カ保険者ノ負担セサル危険ノ発生ニ因リテ滅失シタルトキト雖モ保険者ハ其損害ヲ填補スル責ヲ免ルルコトヲ得ス
第六百六十条 被保険者ハ損害ノ防止ヲ力ムルコトヲ要ス但之カ為メニ必要又ハ有益ナリシ費用及ヒ填補額カ保険金額ニ超過スルトキト雖モ保険者之ヲ負担ス
○2 第六百三十六条ノ規定ハ前項但書ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六百六十一条 保険ノ目的ノ全部カ滅失シタル場合ニ於テ保険者カ保険金額ノ全部ヲ支払ヒタルトキハ被保険者カ其目的ニ付キ有セル権利ヲ取得ス但保険価額ノ一部ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ保険者ノ権利ハ保険金額ノ保険価額ニ対スル割合ニ依リテ之ヲ定ム
第六百六十二条 損害カ第三者ノ行為ニ因リテ生シタル場合ニ於テ保険者カ被保険者ニ対シ其負担額ヲ支払ヒタルトキハ其支払ヒタル金額ノ限度ニ於テ保険契約者又ハ被保険者カ第三者ニ対シテ有セル権利ヲ取得ス
○2 保険者カ被保険者ニ対シ其負担額ノ一部ヲ支払ヒタルトキハ保険契約者又ハ被保険者ノ権利ヲ害セサル範囲内ニ於テノミ前項ニ定メタル権利ヲ行フコトヲ得
第六百六十三条 保険金額支払ノ義務及ヒ保険料返還ノ義務ハ二年保険料支払ノ義務ハ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
第六百六十四条 本節ノ規定ハ相互保険ニ之ヲ準用ス但其性質カ之ヲ許ササルトキハ此限ニ在ラス
第二款 火災保険
第六百六十五条 火災ニ因リテ生シタル損害ハ其火災ノ原因如何ヲ問ハス保険者之ヲ填補スル責ニ任ス但第六百四十条及ヒ第六百四十一条ノ場合ハ此限ニ在ラス
第六百六十六条 消防又ハ避難ニ必要ナル処分ニ因リ保険ノ目的ニ付キ生シタル損害ハ保険者之ヲ填補スル責ニ任ス
第六百六十七条 賃借人其他他人ノ物ヲ保管スル者カ其支払フコトアルヘキ損害賠償ノ為メ其物ヲ保険ニ付シタルトキハ所有者ハ保険者ニ対シテ直接ニ其損害ノ填補ヲ請求スルコトヲ得
第六百六十八条 火災保険証券ニハ第六百四十九条第二項ニ掲ケタル事項ノ外左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 保険ニ付シタル建物ノ所在、構造及ヒ用方
二 動産ヲ保険ニ付シタルトキハ之ヲ納ルル建物ノ所在、構造及ヒ用方
第三款 運送保険
第六百六十九条 保険者ハ特約ナキトキハ運送人カ運送品ヲ受取リタル時ヨリ之ヲ荷受人ニ引渡ス時マテニ生スルコトアルヘキ損害ヲ填補スル責ニ任ス
第六百七十条 運送品ノ保険ニ付テハ発送ノ地及ヒ時ニ於ケル其価額及ヒ到達地マテノ運送賃其他ノ費用ヲ以テ保険価額トス
○2 運送品ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益ハ特約アルトキニ限リ之ヲ保険価額中ニ算入ス
第六百七十一条 運送保険証券ニハ第六百四十九条第二項ニ掲ケタル事項ノ外左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 運送ノ道筋及ヒ方法
二 運送人ノ氏名又ハ商号
三 運送品ノ受取及ヒ引渡ノ場所
四 運送期間ノ定アルトキハ其期間
第六百七十二条 保険契約ハ特約アルニ非サレハ運送上ノ必要ニ因リ一時運送ヲ中止シ又ハ運送ノ道筋若クハ方法ヲ変更シタルトキト雖モ其効力ヲ失ハス
第二節 生命保険
第六百七十三条 生命保険契約ハ当事者ノ一方カ相手方又ハ第三者ノ生死ニ関シ一定ノ金額ヲ支払フヘキコトヲ約シ相手方カ之ニ其報酬ヲ与フルコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス
第六百七十四条 他人ノ死亡ニ因リテ保険金額ノ支払ヲ為スヘキコトヲ定ムル保険契約ニハ其者ノ同意アルコトヲ要ス但被保険者カ保険金額ヲ受取ルヘキ者ナルトキハ此限ニ在ラス
○2 前項ノ保険契約ニ因リテ生シタル権利ノ譲渡ニハ被保険者ノ同意アルコトヲ要ス
○3 保険契約者カ被保険者ナル場合ニ於テ保険金額ヲ受取ルヘキ者カ其権利ヲ譲渡ストキ又ハ第一項但書ノ場合ニ於テ権利ヲ譲受ケタル者カ更ニ之ヲ譲渡ストキ亦同シ
第六百七十五条 保険金額ヲ受取ルヘキ者カ第三者ナルトキハ其第三者ハ当然保険契約ノ利益ヲ享受ス但保険契約者カ別段ノ意思ヲ表示シタルトキハ其意思ニ従フ
○2 前項但書ノ規定ニ依リ保険契約者カ保険金額ヲ受取ルヘキ者ヲ指定又ハ変更スル権利ヲ有スル場合ニ於テ其権利ヲ行ハスシテ死亡シタルトキハ保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ権利ハ之ニ因リテ確定ス
第六百七十六条 保険金額ヲ受取ルヘキ者カ被保険者ニ非サル第三者ナル場合ニ於テ其者カ死亡シタルトキハ保険契約者ハ更ニ保険金額ヲ受取ルヘキ者ヲ指定スルコトヲ得
○2 保険契約者カ前項ニ定メタル権利ヲ行ハスシテ死亡シタルトキハ保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人ヲ以テ保険金額ヲ受取ルヘキ者トス
第六百七十七条 保険契約者カ契約後保険金額ヲ受取ルヘキ者ヲ指定又ハ変更シタルトキハ保険者ニ其指定又ハ変更ヲ通知スルニ非サレハ之ヲ以テ保険者ニ対抗スルコトヲ得ス
○2 第六百七十四条第一項ノ規定ハ前項ノ指定及ヒ変更ニ之ヲ準用ス
第六百七十八条 保険契約ノ当時保険契約者又ハ被保険者カ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ重要ナル事実ヲ告ケス又ハ重要ナル事項ニ付キ不実ノ事ヲ告ケタルトキハ保険者ハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得但保険者カ其事実ヲ知リ又ハ過失ニ因リテ之ヲ知ラサリシトキハ此限ニ在ラス
○2 第六百四十四条第二項及ヒ第六百四十五条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六百七十九条 生命保険証券ニハ第六百四十九条第二項ニ掲ケタル事項ノ外左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 保険契約ノ種類
二 被保険者ノ氏名
三 保険金額ヲ受取ルヘキ者ヲ定メタルトキハ其者ノ氏名
第六百八十条 左ノ場合ニ於テハ保険者ハ保険金額ヲ支払フ責ニ任セス
一 被保険者カ自殺、決闘其他ノ犯罪又ハ死刑ノ執行ニ因リテ死亡シタルトキ
二 保険金額ヲ受取ルヘキ者カ故意ニテ被保険者ヲ死ニ致シタルトキ但其者カ保険金額ノ一部ヲ受取ルヘキ場合ニ於テハ保険者ハ其残額ヲ支払フ責ヲ免ルルコトヲ得ス
三 保険契約者カ故意ニテ被保険者ヲ死ニ致シタルトキ
○2 前項第一号及ヒ第二号ノ場合ニ於テハ保険者ハ被保険者ノ為メニ積立テタル金額ヲ保険契約者ニ払戻スコトヲ要ス
第六百八十一条 保険契約者又ハ保険金額ヲ受取ルヘキ者カ被保険者ノ死亡シタルコトヲ知リタルトキハ遅滞ナク保険者ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
第六百八十二条 被保険者ノ為メニ積立テタル金額ヲ払戻ス義務ハ二年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
第六百八十三条 第六百四十条、第六百四十二条、第六百四十三条、第六百四十六条、第六百四十七条、第六百四十九条第一項、第六百五十一条乃至第六百五十三条、第六百五十六条、第六百五十七条、第六百六十三条及ヒ第六百六十四条ノ規定ハ生命保険ニ之ヲ準用ス
○2 第六百四十条、第六百五十一条、第六百五十三条、第六百五十六条及ヒ第六百五十七条ノ場合ニ於テ保険者カ保険金額ヲ支払フコトヲ要セサルトキハ被保険者ノ為メニ積立テタル金額ヲ保険契約者ニ払戻スコトヲ要ス
第四編 海商
第一章 船舶及ヒ船舶所有者
第六百八十四条 本法ニ於テ船舶トハ商行為ヲ為ス目的ヲ以テ航海ノ用ニ供スルモノヲ謂フ
○2 本編ノ規定ハ端舟其他櫓櫂ノミヲ以テ運転シ又ハ主トシテ櫓櫂ヲ以テ運転スル舟ニハ之ヲ適用セス
第六百八十五条 船舶ノ属具目録ニ記載シタル物ハ其従物ト推定ス
第六百八十六条 船舶所有者ハ特別法ノ定ムル所ニ従ヒ登記ヲ為シ且船舶国籍証書ヲ請受クルコトヲ要ス
○2 前項ノ規定ハ総噸数二十噸未満ノ船舶ニハ之ヲ適用セス
第六百八十七条 船舶所有権ノ移転ハ其登記ヲ為シ且船舶国籍証書ニ之ヲ記載スルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
第六百八十八条 航海中ニ在ル船舶ノ所有権ヲ譲渡シタル場合ニ於テ特約ナキトキハ其航海ニ因リテ生スル損益ハ譲受人ニ帰スヘキモノトス
第六百八十九条 差押及ヒ仮差押ノ執行(仮差押ノ登記ヲ為ス方法ニ依ルモノヲ除ク)ハ発航ノ準備ヲ終ハリタル船舶ニ対シテハ之ヲ為スコトヲ得ス但其船舶カ発航ヲ為ス為メニ生シタル債務ニ付テハ此限ニ在ラス
第六百九十条 船舶所有者ハ船長其他ノ船員ガ其職務ヲ行フニ当タリ故意又ハ過失ニ因リテ他人ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ズ
第六百九十一条 削除
第六百九十二条 削除
第六百九十三条 船舶共有者ノ間ニ在リテハ船舶ノ利用ニ関スル事項ハ各共有者ノ持分ノ価格ニ従ヒ其過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第六百九十四条 船舶共有者ハ其持分ノ価格ニ応シ船舶ノ利用ニ関スル費用ヲ負担スルコトヲ要ス
第六百九十五条 船舶共有者カ新ニ航海ヲ為シ又ハ船舶ノ大修繕ヲ為スヘキコトヲ決議シタルトキハ其決議ニ対シテ異議アル者ハ他ノ共有者ニ対シ相当代価ヲ以テ自己ノ持分ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得
○2 前項ノ請求ヲ為サント欲スル者ハ決議ノ日ヨリ三日内ニ他ノ共有者又ハ船舶管理人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス但此期間ハ決議ニ加ハラサリシ者ニ付テハ其決議ノ通知ヲ受ケタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第六百九十六条 船舶共有者ハ其持分ノ価格ニ応シ船舶ノ利用ニ付テ生シタル債務ヲ弁済スル責ニ任ス
第六百九十七条 損益ノ分配ハ毎航海ノ終ニ於テ船舶共有者ノ持分ノ価格ニ応シテ之ヲ為ス
第六百九十八条 船舶共有者間ニ組合関係アルトキト雖モ各共有者ハ他ノ共有者ノ承諾ヲ得スシテ其持分ノ全部又ハ一部ヲ他人ニ譲渡スコトヲ得但船舶管理人ハ此限ニ在ラス
第六百九十九条 船舶共有者ハ船舶管理人ヲ選任スルコトヲ要ス
○2 船舶共有者ニ非サル者ヲ船舶管理人ト為スニハ共有者全員ノ同意アルコトヲ要ス
○3 船舶管理人ノ選任及ヒ其代理権ノ消滅ハ之ヲ登記スルコトヲ要ス
第七百条 船舶管理人ハ左ニ掲ケタル行為ヲ除ク外船舶共有者ニ代ハリテ船舶ノ利用ニ関スル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
一 船舶ノ譲渡若クハ賃貸ヲ為シ又ハ之ヲ抵当ト為スコト
二 船舶ヲ保険ニ付スルコト
三 新ニ航海ヲ為スコト
四 船舶ノ大修繕ヲ為スコト
五 借財ヲ為スコト
○2 船舶管理人ノ代理権ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
第七百一条 船舶管理人ハ特ニ帳簿ヲ備ヘ之ニ船舶ノ利用ニ関スル一切ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
○2 船舶管理人ハ毎航海ノ終ニ於テ遅滞ナク其航海ニ関スル計算ヲ為シテ各船舶共有者ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
第七百二条 船舶共有者ノ持分ノ移転又ハ其国籍喪失ニ因リテ船舶カ日本ノ国籍ヲ喪失スヘキトキハ他ノ共有者ハ相当代価ヲ以テ其持分ヲ買取リ又ハ其競売ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
○2 社員ノ持分ノ移転ニ因リ会社ノ所有ニ属スル船舶カ日本ノ国籍ヲ喪失スヘキトキハ合名会社ニ在テハ他ノ社員、合資会社ニ在テハ他ノ無限責任社員ハ相当代価ヲ以テ其持分ヲ買取ルコトヲ得
第七百三条 船舶ノ賃貸借ハ之ヲ登記シタルトキハ爾後其船舶ニ付キ物権ヲ取得シタル者ニ対シテモ其効力ヲ生ス
第七百四条 船舶ノ賃借人カ商行為ヲ為ス目的ヲ以テ其船舶ヲ航海ノ用ニ供シタルトキハ其利用ニ関スル事項ニ付テハ第三者ニ対シテ船舶所有者ト同一ノ権利義務ヲ有ス
○2 前項ノ場合ニ於テ船舶ノ利用ニ付キ生シタル先取特権ハ船舶所有者ニ対シテモ其効力ヲ生ス但先取特権者カ其利用ノ契約ニ反スルコトヲ知レルトキハ此限ニ在ラス
第二章 船員
第一節 船長
第七百五条 船長ハ其職務ヲ行フニ付キ注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ船舶所有者、傭船者、荷送人其他ノ利害関係人ニ対シテ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス
○2 船長ハ船舶所有者ノ指図ニ従ヒタルトキト雖モ船舶所有者以外ノ者ニ対シテハ前項ニ定メタル責任ヲ免ルルコトヲ得ス
第七百六条 海員カ其職務ヲ行フニ当タリ他人ニ損害ヲ加ヘタル場合ニ於テ船長ハ監督ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス
第七百七条 船長カ已ムコトヲ得サル事由ニ因リテ自ラ船舶ヲ指揮スルコト能ハサルトキハ法令ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外他人ヲ選任シテ自己ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得此場合ニ於テハ船長ハ其選任ニ付キ船舶所有者ニ対シテ其責ニ任ス
第七百八条 削除
第七百九条 船長ハ属具目録及ヒ運送契約ニ関スル書類ヲ船中ニ備ヘ置クコトヲ要ス
○2 前項ノ属具目録ハ外国ニ航行セサル船舶ニ限リ国土交通省令ヲ以テ之ヲ備フルコトヲ要セサルモノト定ムルコトヲ得
第七百十条 削除
第七百十一条 削除
第七百十二条 船長ハ航海中最モ利害関係人ノ利益ニ適スヘキ方法ニ依リテ積荷ノ処分ヲ為スコトヲ要ス
○2 利害関係人ハ船長ノ行為ニ因リ其積荷ニ付テ生シタル債権ノ為メ之ヲ債権者ニ委付シテ其責ヲ免ルルコトヲ得但利害関係人ニ過失アリタルトキハ此限ニ在ラス
第七百十三条 船籍港外ニ於テハ船長ハ航海ノ為メニ必要ナル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
○2 船籍港ニ於テハ船長ハ特ニ委任ヲ受ケタル場合ヲ除ク外海員ノ雇入及ヒ雇止ヲ為ス権限ノミヲ有ス
第七百十四条 船長ノ代理権ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
第七百十五条 船長ハ船舶ノ修繕費、救助料其他航海ヲ継続スルニ必要ナル費用ヲ支弁スル為メニ非サレハ左ニ掲ケタル行為ヲ為スコトヲ得ス
一 船舶ヲ抵当ト為スコト
二 借財ヲ為スコト
三 積荷ノ全部又ハ一部ヲ売却又ハ質入スルコト但第七百十二条第一項ノ場合ハ此限ニ在ラス
○2 船長カ積荷ヲ売却又ハ質入シタル場合ニ於ケル損害賠償ノ額ハ其積荷ノ到達スヘカリシ時ニ於ケル陸揚港ノ価格ニ依リテ之ヲ定ム但其価格中ヨリ支払フコトヲ要セサリシ費用ヲ控除スルコトヲ要ス
第七百十六条 削除
第七百十七条 船籍港外ニ於テ船舶カ修繕スルコト能ハサルニ至リタルトキハ船長ハ管海官庁ノ認可ヲ得テ之ヲ競売スルコトヲ得
第七百十八条 左ノ場合ニ於テハ船舶ハ修繕スルコト能ハサルニ至リタルモノト看做ス
一 船舶カ其現在地ニ於テ修繕ヲ受クルコト能ハス且其修繕ヲ為スヘキ地ニ到ルコト能ハサルトキ
二 修繕費カ船舶ノ価額ノ四分ノ三ニ超ユルトキ
○2 前項第二号ノ価額ハ船舶カ航海中毀損シタル場合ニ於テハ其発航ノ時ニ於ケル価額トシ其他ノ場合ニ於テハ其毀損前ニ有セシ価額トス
第七百十九条 船長ハ航海ヲ継続スル為メ必要ナルトキハ積荷ヲ航海ノ用ニ供スルコトヲ得此場合ニ於テハ第七百十五条第二項ノ規定ヲ準用ス
第七百二十条 船長ハ遅滞ナク航海ニ関スル重要ナル事項ヲ船舶所有者ニ報告スルコトヲ要ス
○2 船長ハ毎航海ノ終ニ於テ遅滞ナク其航海ニ関スル計算ヲ為シテ船舶所有者ノ承認ヲ求メ又船舶所有者ノ請求アルトキハ何時ニテモ計算ノ報告ヲ為スコトヲ要ス
第七百二十一条 船舶所有者ハ何時ニテモ船長ヲ解任スルコトヲ得但正当ノ理由ナクシテ之ヲ解任シタルトキハ船長ハ船舶所有者ニ対シ解任ニ因リテ生シタル損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得
○2 船長カ船舶共有者ナル場合ニ於テ其意ニ反シテ解任セラレタルトキハ他ノ共有者ニ対シ相当代価ヲ以テ自己ノ持分ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得
○3 船長カ前項ノ請求ヲ為サント欲スルトキハ遅滞ナク他ノ共有者又ハ船舶管理人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
第七百二十二条 削除
第二節 削除
第七百二十三条 削除
第七百二十四条 削除
第七百二十五条 削除
第七百二十六条 削除
第七百二十七条 削除
第七百二十八条 削除
第七百二十九条 削除
第七百三十条 削除
第七百三十一条 削除
第七百三十二条 削除
第七百三十三条 削除
第七百三十四条 削除
第七百三十五条 削除
第七百三十六条 削除
第三章 運送
第一節 物品運送
第一款 総則
第七百三十七条 船舶ノ全部又ハ一部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタルトキハ各当事者ハ相手方ノ請求ニ因リ運送契約書ヲ交付スルコトヲ要ス
第七百三十八条 船舶所有者ハ傭船者又ハ荷送人ニ対シ発航ノ当時船舶カ安全ニ航海ヲ為スニ堪フルコトヲ担保ス
第七百三十九条 船舶所有者ハ特約ヲ為シタルトキト雖モ自己ノ過失、船員其他ノ使用人ノ悪意若クハ重大ナル過失又ハ船舶カ航海ニ堪ヘサルニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ヲ免ルルコトヲ得ス
第七百四十条 法令ニ違反シ又ハ契約ニ依ラスシテ船積シタル運送品ハ船長ニ於テ何時ニテモ之ヲ陸揚シ、若シ船舶又ハ積荷ニ危害ヲ及ホス虞アルトキハ之ヲ放棄スルコトヲ得但船長カ之ヲ運送スルトキハ其船積ノ地及ヒ時ニ於ケル同種ノ運送品ノ最高ノ運送賃ヲ請求スルコトヲ得
○2 前項ノ規定ハ船舶所有者其他ノ利害関係人カ損害賠償ノ請求ヲ為スコトヲ妨ケス
第七百四十一条 船舶ノ全部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ於テ運送品ヲ船積スルニ必要ナル準備カ整頓シタルトキハ船舶所有者ハ遅滞ナク傭船者ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
○2 傭船者カ運送品ヲ船積スヘキ期間ノ定アル場合ニ於テハ其期間ハ前項ノ通知アリタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス其期間経過ノ後運送品ヲ船積シタルトキハ船舶所有者ハ特約ナキトキト雖モ相当ノ報酬ヲ請求スルコトヲ得
○3 前項ノ期間中ニハ不可抗力ニ因リテ船積ヲ為スコト能ハサル日ヲ算入セス
第七百四十二条 船長カ第三者ヨリ運送品ヲ受取ルヘキ場合ニ於テ其者ヲ確知スルコト能ハサルトキ又ハ其者カ運送品ヲ船積セサルトキハ船長ハ直チニ傭船者ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス此場合ニ於テハ船積期間内ニ限リ傭船者ニ於テ運送品ヲ船積スルコトヲ得
第七百四十三条 傭船者ハ運送品ノ全部ヲ船積セサルトキト雖モ船長ニ対シテ発航ノ請求ヲ為スコトヲ得
○2 傭船者カ前項ノ請求ヲ為シタルトキハ運送賃ノ全額ノ外運送品ノ全部ヲ船積セサルニ因リテ生シタル費用ヲ支払ヒ尚ホ船舶所有者ノ請求アルトキハ相当ノ担保ヲ供スルコトヲ要ス
第七百四十四条 船積期間経過ノ後ハ傭船者カ運送品ノ全部ヲ船積セサルトキト雖モ船長ハ直チニ発航ヲ為スコトヲ得
○2 前条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第七百四十五条 発航前ニ於テハ傭船者ハ運送賃ノ半額ヲ支払ヒテ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得
○2 往復航海ヲ為スヘキ場合ニ於テ傭船者カ其帰航ノ発航前ニ契約ノ解除ヲ為シタルトキハ運送賃ノ三分ノ二ヲ支払フコトヲ要ス他港ヨリ船積港ニ航行スヘキ場合ニ於テ傭船者カ其船積港ヲ発スル前ニ契約ノ解除ヲ為シタルトキ亦同シ
○3 運送品ノ全部又ハ一部ヲ船積シタル後前二項ノ規定ニ従ヒテ契約ノ解除ヲ為シタルトキハ其船積及ヒ陸揚ノ費用ハ傭船者之ヲ負担ス
○4 傭船者カ船積期間内ニ運送品ノ船積ヲ為ササリシトキハ契約ノ解除ヲ為シタルモノト看做ス
第七百四十六条 傭船者カ前条ノ規定ニ従ヒテ契約ノ解除ヲ為シタルトキト雖モ附随ノ費用及ヒ立替金ヲ支払フ責ヲ免ルルコトヲ得ス
○2 前条第二項ノ場合ニ於テハ傭船者ハ前項ニ掲ケタルモノノ外運送品ノ価格ニ応シ共同海損又ハ救助ノ為メ負担スヘキ金額ヲ支払フコトヲ要ス
第七百四十七条 発航後ニ於テハ傭船者ハ運送賃ノ全額ヲ支払フ外第七百五十三条第一項ニ定メタル債務ヲ弁済シ且陸揚ノ為メニ生スヘキ損害ヲ賠償シ又ハ相当ノ担保ヲ供スルニ非サレハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得ス
第七百四十八条 船舶ノ一部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ於テ傭船者カ他ノ傭船者及ヒ荷送人ト共同セスシテ発航前ニ契約ノ解除ヲ為シタルトキハ運送賃ノ全額ヲ支払フコトヲ要ス但船舶所有者カ他ノ運送品ヨリ得タル運送賃ハ之ヲ控除ス
○2 発航前ト雖モ傭船者カ既ニ運送品ノ全部又ハ一部ヲ船積シタルトキハ他ノ傭船者及ヒ荷送人ノ同意ヲ得ルニ非サレハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得ス
○3 前七条ノ規定ハ船舶ノ一部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第七百四十九条 箇箇ノ運送品ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタルトキハ荷送人ハ船長ノ指図ニ従ヒ遅滞ナク運送品ヲ船積スルコトヲ要ス
○2 荷送人カ運送品ノ船積ヲ怠リタルトキハ船長ハ直チニ発航ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ荷送人ハ運送賃ノ全額ヲ支払フコトヲ要ス但船舶所有者カ他ノ運送品ヨリ得タル運送賃ハ之ヲ控除ス
第七百五十条 第七百四十八条ノ規定ハ荷送人カ契約ノ解除ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス
第七百五十一条 傭船者又ハ荷送人ハ船積期間内ニ運送ニ必要ナル書類ヲ船長ニ交付スルコトヲ要ス
第七百五十二条 船舶ノ全部又ハ一部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ於テ運送品ヲ陸揚スルニ必要ナル準備カ整頓シタルトキハ船長ハ遅滞ナク荷受人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
○2 運送品ヲ陸揚スヘキ期間ノ定アル場合ニ於テハ其期間ハ前項ノ通知アリタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス其期間経過ノ後運送品ヲ陸揚シタルトキハ船舶所有者ハ特約ナキトキト雖モ相当ノ報酬ヲ請求スルコトヲ得
○3 前項ノ期間中ニハ不可抗力ニ因リテ陸揚ヲ為スコト能ハサル日ヲ算入セス
○4 箇箇ノ運送品ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタルトキハ荷受人ハ船長ノ指図ニ従ヒ遅滞ナク運送品ヲ陸揚スルコトヲ要ス
第七百五十三条 荷受人カ運送品ヲ受取リタルトキハ運送契約又ハ船荷証券ノ趣旨ニ従ヒ運送賃、附随ノ費用、立替金、碇泊料及ヒ運送品ノ価格ニ応シ共同海損又ハ救助ノ為メ負担スヘキ金額ヲ支払フ義務ヲ負フ
○2 船長ハ前項ニ定メタル金額ノ支払ト引換ニ非サレハ運送品ヲ引渡スコトヲ要セス
第七百五十四条 荷受人カ運送品ヲ受取ルコトヲ怠リタルトキハ船長ハ之ヲ供託スルコトヲ得此場合ニ於テハ遅滞ナク荷受人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
○2 荷受人ヲ確知スルコト能ハサルトキ又ハ荷受人カ運送品ヲ受取ルコトヲ拒ミタルトキハ船長ハ運送品ヲ供託スルコトヲ要ス此場合ニ於テハ遅滞ナク傭船者又ハ荷送人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
第七百五十五条 運送品ノ重量又ハ容積ヲ以テ運送賃ヲ定メタルトキハ其額ハ運送品引渡ノ当時ニ於ケル重量又ハ容積ニ依リテ之ヲ定ム
第七百五十六条 期間ヲ以テ運送賃ヲ定メタルトキハ其額ハ運送品ノ船積著手ノ日ヨリ其陸揚終了ノ日マテノ期間ニ依リテ之ヲ定ム但船舶カ不可抗力ニ因リ発航港若クハ航海ノ途中ニ於テ碇泊ヲ為スヘキトキ又ハ航海ノ途中ニ於テ船舶ヲ修繕スヘキトキハ其期間ハ之ヲ算入セス第七百四十一条第二項又ハ第七百五十二条第二項ノ場合ニ於テ船積期間又ハ陸揚期間経過ノ後運送品ノ船積又ハ陸揚ヲ為シタル日数亦同シ
第七百五十七条 船舶所有者ハ第七百五十三条第一項ニ定メタル金額ノ支払ヲ受クル為メ裁判所ノ許可ヲ得テ運送品ヲ競売スルコトヲ得
○2 船長カ荷受人ニ運送品ヲ引渡シタル後ト雖モ船舶所有者ハ其運送品ノ上ニ権利ヲ行使スルコトヲ得但引渡ノ日ヨリ二週間ヲ経過シタルトキ又ハ第三者カ其占有ヲ取得シタルトキハ此限ニ在ラス
第七百五十八条 船舶所有者カ前条ニ定メタル権利ヲ行ハサルトキハ傭船者又ハ荷送人ニ対スル請求権ヲ失フ但傭船者又ハ荷送人ハ其受ケタル利益ノ限度ニ於テ償還ヲ為スコトヲ要ス
第七百五十九条 船舶ノ全部又ハ一部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ於テ傭船者カ更ニ第三者ト運送契約ヲ為シタルトキハ其契約ノ履行カ船長ノ職務ニ属スル範囲内ニ於テハ船舶所有者ノミ其第三者ニ対シテ履行ノ責ニ任ス
第七百六十条 船舶ノ全部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ於テハ其契約ハ左ノ事由ニ因リテ終了ス
一 船舶ガ沈没シタルコト
二 船舶ガ修繕スルコト能ハザルニ至リタルコト
三 船舶ガ捕獲セラレタルコト
四 運送品カ不可抗力ニ因リテ滅失シタルコト
○2 前項第一号乃至第三号ニ掲ケタル事由カ航海中ニ生シタルトキハ傭船者ハ運送ノ割合ニ応シ運送品ノ価格ヲ超エサル限度ニ於テ運送賃ヲ支払フコトヲ要ス
第七百六十一条 航海又ハ運送カ法令ニ反スルニ至リタルトキ其他不可抗力ニ因リテ契約ヲ為シタル目的ヲ達スルコト能ハサルニ至リタルトキハ各当事者ハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得
○2 前項ニ掲ケタル事由カ発航後ニ生シタル場合ニ於テ契約ノ解除ヲ為シタルトキハ傭船者ハ運送ノ割合ニ応シテ運送賃ヲ支払フコトヲ要ス
第七百六十二条 第七百六十条第一項第四号及ヒ前条第一項ニ掲ケタル事由カ運送品ノ一部ニ付テ生シタルトキハ傭船者ハ船舶所有者ノ負担ヲ重カラシメサル範囲内ニ於テ他ノ運送品ヲ船積スルコトヲ得
○2 傭船者カ前項ニ定メタル権利ヲ行ハント欲スルトキハ遅滞ナク運送品ノ陸揚又ハ船積ヲ為スコトヲ要ス若シ其陸揚又ハ船積ヲ怠リタルトキハ運送賃ノ全額ヲ支払フコトヲ要ス
第七百六十三条 第七百六十条及ヒ第七百六十一条ノ規定ハ船舶ノ一部又ハ箇箇ノ運送品ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ之ヲ準用ス
○2 第七百六十条第一項第四号及ヒ第七百六十一条第一項ニ掲ケタル事由カ運送品ノ一部ニ付テ生シタルトキト雖モ傭船者又ハ荷送人ハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得但運送賃ノ全額ヲ支払フコトヲ要ス
第七百六十四条 船舶所有者ハ左ノ場合ニ於テハ運送賃ノ全額ヲ請求スルコトヲ得
一 船長カ第七百十五条第一項ノ規定ニ従ヒテ積荷ヲ売却又ハ質入シタルトキ
二 船長カ第七百十九条ノ規定ニ従ヒテ積荷ヲ航海ノ用ニ供シタルトキ
三 船長カ第七百八十八条ノ規定ニ従ヒテ積荷ヲ処分シタルトキ
第七百六十五条 船舶所有者ノ傭船者、荷送人又ハ荷受人ニ対スル債権ハ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
第七百六十六条 第五百六十六条、第五百七十六条乃至第五百八十一条及ヒ第五百八十八条ノ規定ハ船舶所有者ニ之ヲ準用ス
第二款 船荷証券
第七百六十七条 船長ハ傭船者又ハ荷送人ノ請求ニ因リ運送品ノ船積後遅滞ナク一通又ハ数通ノ船荷証券ヲ交付スルコトヲ要ス
第七百六十八条 船舶所有者ハ船長以外ノ者ニ船長ニ代ハリテ船荷証券ヲ交付スルコトヲ委任スルコトヲ得
第七百六十九条 船荷証券ニハ左ノ事項ヲ記載シ船長又ハ之ニ代ハル者署名スルコトヲ要ス
一 船舶ノ名称及ヒ国籍
二 船長カ船荷証券ヲ作ラサルトキハ船長ノ氏名
三 運送品ノ種類、重量若クハ容積及ヒ其荷造ノ種類、箇数並ニ記号
四 傭船者又ハ荷送人ノ氏名又ハ商号
五 荷受人ノ氏名若クハ商号
六 船積港
七 陸揚港但発航後傭船者又ハ荷送人カ陸揚港ヲ指定スヘキトキハ其之ヲ指定スヘキ港
八 運送賃
九 数通ノ船荷証券ヲ作リタルトキハ其員数
十 船荷証券ノ作成地及ヒ其作成ノ年月日
第七百七十条 傭船者又ハ荷送人ハ船長又ハ之ニ代ハル者ノ請求ニ因リ船荷証券ノ謄本ニ署名シテ之ヲ交付スルコトヲ要ス
第七百七十一条 陸揚港ニ於テハ船長ハ数通ノ船荷証券中ノ一通ノ所持人カ運送品ノ引渡ヲ請求シタルトキト雖モ其引渡ヲ拒ムコトヲ得ス
第七百七十二条 陸揚港外ニ於テハ船長ハ船荷証券ノ各通ノ返還ヲ受クルニ非サレハ運送品ヲ引渡スコトヲ得ス
第七百七十三条 二人以上ノ船荷証券所持人カ運送品ノ引渡ヲ請求シタルトキハ船長ハ遅滞ナク運送品ヲ供託シ且請求ヲ為シタル各所持人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス船長カ第七百七十一条ノ規定ニ依リテ運送品ノ一部ヲ引渡シタル後他ノ所持人カ運送品ノ引渡ヲ請求シタル場合ニ於テ其残部ニ付キ亦同シ
第七百七十四条 二人以上ノ船荷証券所持人アル場合ニ於テ其一人カ他ノ所持人ニ先チテ船長ヨリ運送品ノ引渡ヲ受ケタルトキハ他ノ所持人ノ船荷証券ハ其効力ヲ失フ
第七百七十五条 二人以上ノ船荷証券所持人アル場合ニ於テ船長カ未タ運送品ノ引渡ヲ為ササルトキハ原所持人カ最モ先ニ発送シ又ハ引渡シタル証券ヲ所持スル者他ノ所持人ニ先チテ其権利ヲ行フ
第七百七十六条 第五百七十二条乃至第五百七十五条及ヒ第五百八十四条ノ規定ハ船荷証券ニ之ヲ準用ス
第二節 旅客運送
第七百七十七条 記名ノ乗船切符ハ之ヲ他人ニ譲渡スコトヲ得ス
第七百七十八条 旅客ノ航海中ノ食料ハ船舶所有者ノ負担トス
第七百七十九条 旅客カ契約ニ依リ船中ニ携帯スルコトヲ得ル手荷物ニ付テハ船舶所有者ハ特約アルニ非サレハ別ニ運送賃ヲ請求スルコトヲ得ス
第七百八十条 旅客カ乗船時期マテニ船舶ニ乗込マサルトキハ船長ハ発航ヲ為シ又ハ航海ヲ継続スルコトヲ得此場合ニ於テハ旅客ハ運送賃ノ全額ヲ支払フコトヲ要ス
第七百八十一条 発航前ニ於テハ旅客ハ運送賃ノ半額ヲ支払ヒテ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得
○2 発航後ニ於テハ旅客ハ運送賃ノ全額ヲ支払フニ非サレハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得ス
第七百八十二条 旅客カ発航前ニ死亡、疾病其他一身ニ関スル不可抗力ニ因リテ航海ヲ為スコト能ハサルニ至リタルトキハ船舶所有者ハ運送賃ノ四分ノ一ヲ請求スルコトヲ得
○2 前項ニ掲ケタル事由カ発航後ニ生シタルトキハ船舶所有者ハ其選択ニ従ヒ運送賃ノ四分ノ一ヲ請求シ又ハ運送ノ割合ニ応シテ運送賃ヲ請求スルコトヲ得
第七百八十三条 航海ノ途中ニ於テ船舶ヲ修繕スヘキトキハ船舶所有者ハ其修繕中旅客ニ相当ノ住居及ヒ食料ヲ供スルコトヲ要ス但旅客ノ権利ヲ害セサル範囲内ニ於テ他ノ船舶ヲ以テ上陸港マテ旅客ヲ運送スルコトヲ提供シタルトキハ此限ニ在ラス
第七百八十四条 旅客運送契約ハ第七百六十条第一項第一号乃至第三号ニ掲ケタル事由ニ因リテ終了ス若シ其事由カ航海中ニ生シタルトキハ旅客ハ運送ノ割合ニ応シテ運送賃ヲ支払フコトヲ要ス
第七百八十五条 旅客カ死亡シタルトキハ船長ハ最モ其相続人ノ利益ニ適スヘキ方法ニ依リテ其船中ニ在ル手荷物ノ処分ヲ為スコトヲ要ス
第七百八十六条 第五百九十条、第五百九十一条第一項、第五百九十二条、第七百三十八条、第七百三十九条、第七百六十一条及ヒ第七百六十五条ノ規定ハ海上ノ旅客運送ニ之ヲ準用ス
○2 第七百四十条及ヒ第七百六十四条ノ規定ハ旅客ノ手荷物ニ之ヲ準用ス
第七百八十七条 旅客運送ヲ為ス為メ船舶ノ全部又ハ一部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ於テハ船舶所有者ト傭船者トノ関係ニ付テハ前節第一款ノ規定ヲ準用ス
第四章 海損
第七百八十八条 船長カ船舶及ヒ積荷ヲシテ共同ノ危険ヲ免レシムル為メ船舶又ハ積荷ニ付キ為シタル処分ニ因リテ生シタル損害及ヒ費用ハ之ヲ共同海損トス
○2 前項ノ規定ハ危険カ過失ニ因リテ生シタル場合ニ於テ利害関係人ノ過失者ニ対スル求償ヲ妨ケス
第七百八十九条 共同海損ハ之ニ因リテ保存スルコトヲ得タル船舶又ハ積荷ノ価格ト運送賃ノ半額ト共同海損タル損害ノ額トノ割合ニ応シテ各利害関係人之ヲ分担ス
第七百九十条 共同海損ノ分担額ニ付テハ船舶ノ価格ハ到達ノ地及ヒ時ニ於ケル価格トシ積荷ノ価格ハ陸揚ノ地及ヒ時ニ於ケル価格トス但積荷ニ付テハ其価格中ヨリ滅失ノ場合ニ於テ支払フコトヲ要セサル運送賃其他ノ費用ヲ控除スルコトヲ要ス
第七百九十一条 前二条ノ規定ニ依リ共同海損ヲ分担スヘキ者ハ船舶ノ到達又ハ積荷ノ引渡ノ時ニ於テ現存スル価額ノ限度ニ於テノミ其責ニ任ス
第七百九十二条 船舶ニ備附ケタル武器、船員ノ給料、船員及ヒ旅客ノ食料並ニ衣類ハ共同海損ノ分担ニ付キ其価額ヲ算入セス但此等ノ物ニ加ヘタル損害ハ他ノ利害関係人之ヲ分担ス
第七百九十三条 船荷証券其他積荷ノ価格ヲ評定スルニ足ルヘキ書類ナクシテ船積シタル荷物又ハ属具目録ニ記載セサル属具ニ加ヘタル損害ハ利害関係人ニ於テ之ヲ分担スルコトヲ要セス
○2 甲板ニ積込ミタル荷物ニ加ヘタル損害亦同シ但沿岸ノ小航海ニ在リテハ此限ニ在ラス
○3 前二項ニ掲ケタル積荷ノ利害関係人ト雖モ共同海損ヲ分担スル責ヲ免ルルコトヲ得ス
第七百九十四条 共同海損タル損害ノ額ハ到達ノ地及ヒ時ニ於ケル船舶ノ価格又ハ陸揚ノ地及ヒ時ニ於ケル積荷ノ価格ニ依リテ之ヲ定ム但積荷ニ付テハ其滅失又ハ毀損ノ為メ支払フコトヲ要セサリシ一切ノ費用ヲ控除スルコトヲ要ス
○2 第五百七十八条ノ規定ハ共同海損ノ場合ニ之ヲ準用ス
第七百九十五条 船荷証券其他積荷ノ価格ヲ評定スルニ足ルヘキ書類ニ積荷ノ実価ヨリ低キ価額ヲ記載シタルトキハ其積荷ニ加ヘタル損害ノ額ハ其記載シタル価額ニ依リテ之ヲ定ム
○2 積荷ノ実価ヨリ高キ価額ヲ記載シタルトキハ其積荷ノ利害関係人ハ其記載シタル価額ニ応シテ共同海損ヲ分担ス
○3 前二項ノ規定ハ積荷ノ価格ニ影響ヲ及ホスヘキ事項ニ付キ虚偽ノ記載ヲ為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第七百九十六条 第七百八十九条ノ規定ニ依リテ利害関係人カ共同海損ヲ分担シタル後船舶、其属具若クハ積荷ノ全部又ハ一部カ其所有者ニ復シタルトキハ其所有者ハ償金中ヨリ救助料及ヒ一部滅失又ハ毀損ニ因リテ生シタル損害ノ額ヲ控除シタルモノヲ返還スルコトヲ要ス
第七百九十七条 船舶カ双方ノ船員ノ過失ニ因リテ衝突シタル場合ニ於テ双方ノ過失ノ軽重ヲ判定スルコト能ハサルトキハ其衝突ニ因リテ生シタル損害ハ各船舶ノ所有者平分シテ之ヲ負担ス
第七百九十八条 共同海損又ハ船舶ノ衝突ニ因リテ生シタル債権ハ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
○2 前項ノ期間ハ共同海損ニ付テハ其計算終了ノ時ヨリ之ヲ起算ス
第七百九十九条 本章ノ規定ハ船舶カ不可抗力ニ因リ発航港又ハ航海ノ途中ニ於テ碇泊ヲ為ス為メニ要スル費用ニ之ヲ準用ス
第五章 海難救助
第八百条 船舶又ハ積荷ノ全部又ハ一部カ海難ニ遭遇セル場合ニ於テ義務ナクシテ之ヲ救助シタル者ハ其結果ニ対シテ相当ノ救助料ヲ請求スルコトヲ得
第八百一条 救助料ニ付キ特約ナキ場合ニ於テ其額ニ付キ争アルトキハ危険ノ程度、救助ノ結果、救助ノ為メニ要シタル労力及ヒ費用其他一切ノ事情ヲ斟酌シテ裁判所之ヲ定ム
第八百二条 海難ニ際シ契約ヲ以テ救助料ヲ定メタル場合ニ於テ其額カ著シク不相当ナルトキハ当事者ハ其増加又ハ減少ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ前条ノ規定ヲ準用ス
第八百三条 救助料ノ額ハ特約ナキトキハ救助セラレタル物ノ価額ニ超ユルコトヲ得ス
○2 先順位ノ先取特権アルトキハ救助料ノ額ハ先取特権者ノ債権額ヲ控除シタル残額ニ超ユルコトヲ得ス
第八百四条 数人カ共同シテ救助ヲ為シタル場合ニ於テ救助料分配ノ割合ニ付テハ第八百一条ノ規定ヲ準用ス
○2 人命ノ救助ニ従事シタル者モ亦前項ノ規定ニ従ヒテ救助料ノ分配ヲ受クルコトヲ得
第八百五条 救助ニ従事シタル船舶カ汽船ナルトキハ救助料ノ三分ノ二、帆船ナルトキハ其二分ノ一ヲ船舶所有者ニ支払ヒ其残額ハ折半シテ之ヲ船長及ヒ海員ニ支払フコトヲ要ス
○2 前項ノ規定ニ依リテ海員ニ支払フヘキ金額ノ分配ハ船長之ヲ行フ此場合ニ於テハ前条ノ規定ヲ準用ス
○3 前二項ノ規定ニ反スル契約ハ無効トス
第八百六条 船長カ前条第二項ノ規定ニ依リ救助料ノ分配ヲ為スニハ航海ヲ終ハルマテニ分配案ヲ作リ之ヲ海員ニ告示スルコトヲ要ス
第八百七条 海員カ前条ノ分配案ニ対シテ異議ノ申立ヲ為サントスルトキハ其告示アリタル後異議ノ申立ヲ為スコトヲ得ル最初ノ港ノ管海官庁ニ之ヲ為スコトヲ要ス
○2 管海官庁ハ異議ヲ理由アリトスルトキハ分配案ヲ更正スルコトヲ得
○3 船長ハ異議ノ落著前ニハ救助料ノ支払ヲ為スコトヲ得ス
第八百八条 船長カ分配案ノ作成ヲ怠リタルトキハ管海官庁ハ海員ノ請求ニ因リ船長ニ対シテ分配案ノ作成ヲ命スルコトヲ得
○2 船長カ前項ノ命令ニ従ハサルトキハ管海官庁ハ分配案ヲ作ルコトヲ得
第八百九条 左ノ場合ニ於テハ救助者ハ救助料ヲ請求スルコトヲ得ス
一 故意又ハ過失ニ因リテ海難ヲ惹起シタルトキ
二 正当ノ事由ニ因リテ救助ヲ拒マレタルニ拘ハラス強ヒテ之ニ従事シタルトキ
三 救助シタル物品ヲ隠匿シ又ハ濫ニ之ヲ処分シタルトキ
第八百十条 救助者ハ其債権ニ付キ救助シタル積荷ノ上ニ先取特権ヲ有ス
○2 前項ノ先取特権ニハ船舶債権者ノ先取特権ニ関スル規定ヲ準用ス
第八百十一条 船長ハ救助料ノ債務者ニ代ハリテ其支払ニ関スル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
○2 救助料ニ関スル訴ニ於テハ船長ハ自ラ原告又ハ被告ト為ルコトヲ得但其訴ニ付キ言渡シタル判決ハ救助料ノ債務者ニ対シテモ其効力ヲ有ス
第八百十二条 積荷ノ所有者ハ救助セラレタル物ヲ以テ救助料ヲ支払フ義務ヲ負フ
第八百十三条 積荷ノ上ニ存スル先取特権ハ債務者カ其積荷ヲ第三取得者ニ引渡シタル後ハ其積荷ニ付キ之ヲ行フコトヲ得ス
第八百十四条 救助料ノ請求権ハ救助ヲ為シタル時ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
第六章 保険
第八百十五条 海上保険契約ハ航海ニ関スル事故ニ因リテ生スルコトアルヘキ損害ノ填補ヲ以テ其目的トス
○2 海上保険契約ニハ本章ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外第三編第十章第一節第一款ノ規定ヲ適用ス
第八百十六条 保険者ハ本章又ハ保険契約ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外保険期間中保険ノ目的ニ付キ航海ニ関スル事故ニ因リテ生シタル一切ノ損害ヲ填補スル責ニ任ス
第八百十七条 保険者ハ被保険者カ支払フヘキ共同海損ノ分担額ヲ填補スル責ニ任ス但保険価額ノ一部ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ保険者ノ負担ハ保険金額ノ保険価額ニ対スル割合ニ依リテ之ヲ定ム
第八百十八条 船舶ノ保険ニ付テハ保険者ノ責任カ始マル時ニ於ケル其価額ヲ以テ保険価額トス
第八百十九条 積荷ノ保険ニ付テハ其船積ノ地及ヒ時ニ於ケル其価額及ヒ船積並ニ保険ニ関スル費用ヲ以テ保険価額トス
第八百二十条 積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益又ハ報酬ノ保険ニ付テハ契約ヲ以テ保険価額ヲ定メサリシトキハ保険金額ヲ以テ保険価額トシタルモノト推定ス
第八百二十一条 一航海ニ付キ船舶ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ保険者ノ責任ハ荷物又ハ底荷ノ船積ニ著手シタル時ヲ以テ始マル
○2 荷物又ハ底荷ノ船積ヲ為シタル後船舶ヲ保険ニ付シタルトキハ保険者ノ責任ハ契約成立ノ時ヲ以テ始マル
○3 前二項ノ場合ニ於テ保険者ノ責任ハ到達港ニ於テ荷物又ハ底荷ノ陸揚カ終了シタル時ヲ以テ終ハル但其陸揚カ不可抗力ニ因ラスシテ遅延シタルトキハ其終了スヘカリシ時ヲ以テ終ハル
第八百二十二条 積荷ヲ保険ニ付シ又ハ積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益若クハ報酬ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ保険者ノ責任ハ其積荷カ陸地ヲ離レタル時ヲ以テ始マリ陸揚港ニ於テ其陸揚カ終了シタル時ヲ以テ終ハル
○2 前条第三項但書ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八百二十三条 海上保険証券ニハ第六百四十九条第二項ニ掲ケタル事項ノ外左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 船舶ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ其船舶ノ名称、国籍並ニ種類、船長ノ氏名及ヒ発航港、到達港又ハ寄航港ノ定アルトキハ其港名
二 積荷ヲ保険ニ付シ又ハ積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益若クハ報酬ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ船舶ノ名称、国籍並ニ種類、船積港及ヒ陸揚港
第八百二十四条 保険者ノ責任カ始マル前ニ於テ航海ヲ変更シタルトキハ保険契約ハ其効力ヲ失フ
○2 保険者ノ責任カ始マリタル後航海ヲ変更シタルトキハ保険者ハ其変更後ノ事故ニ付キ責任ヲ負フコトナシ但其変更カ保険契約者又ハ被保険者ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因リタルトキハ此限ニ在ラス
○3 到達港ヲ変更シ其実行ニ著手シタルトキハ保険シタル航路ヲ離レサルトキト雖モ航海ヲ変更シタルモノト看做ス
第八百二十五条 被保険者カ発航ヲ為シ若クハ航海ヲ継続スルコトヲ怠リ又ハ航路ヲ変更シ其他著シク危険ヲ変更若クハ増加シタルトキハ保険者ハ其変更又ハ増加以後ノ事故ニ付キ責任ヲ負フコトナシ但其変更又ハ増加カ事故ノ発生ニ影響ヲ及ホササリシトキ又ハ保険者ノ負担ニ帰スヘキ不可抗力若クハ正当ノ理由ニ因リテ生シタルトキハ此限ニ在ラス
第八百二十六条 保険契約中ニ船長ヲ指定シタルトキト雖モ船長ノ変更ハ契約ノ効力ニ影響ヲ及ホサス
第八百二十七条 積荷ヲ保険ニ付シ又ハ積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益若クハ報酬ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テ船舶ヲ変更シタルトキハ保険者ハ其変更以後ノ事故ニ付キ責任ヲ負フコトナシ但其変更カ保険契約者又ハ被保険者ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因リタルトキハ此限ニ在ラス
第八百二十八条 保険契約ヲ為スニ当タリ荷物ヲ積込ムヘキ船舶ヲ定メサリシ場合ニ於テ保険契約者又ハ被保険者カ其荷物ヲ船積シタルコトヲ知リタルトキハ遅滞ナク保険者ニ対シテ船舶ノ名称及ヒ国籍ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス
○2 保険契約者又ハ被保険者カ前項ノ通知ヲ怠リタルトキハ保険契約ハ其効力ヲ失フ
第八百二十九条 保険者ハ左ニ掲ケタル損害又ハ費用ヲ填補スル責ニ任セス
一 保険ノ目的ノ性質若クハ瑕疵、其自然ノ消耗又ハ保険契約者若クハ被保険者ノ悪意若クハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル損害
二 船舶又ハ運送賃ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テ発航ノ当時安全ニ航海ヲ為スニ必要ナル準備ヲ為サス又ハ必要ナル書類ヲ備ヘサルニ因リテ生シタル損害
三 積荷ヲ保険ニ付シ又ハ積荷ノ到達ニ因リテ得ヘキ利益若クハ報酬ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テ傭船者、荷送人又ハ荷受人ノ悪意若クハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル損害
四 水先案内料、入港料、燈台料、検疫料其他船舶又ハ積荷ニ付キ航海ノ為メニ出タシタル通常ノ費用
第八百三十条 共同海損ニ非サル損害又ハ費用カ其計算ニ関スル費用ヲ算入セスシテ保険価額ノ百分ノ二ヲ超エサルトキハ保険者ハ之ヲ填補スル責ニ任セス
○2 右ノ損害又ハ費用カ保険価額ノ百分ノ二ヲ超エタルトキハ保険者ハ其全額ヲ支払フコトヲ要ス
○3 前二項ノ規定ハ当事者カ契約ヲ以テ保険者ノ負担セサル損害又ハ費用ノ割合ヲ定メタル場合ニ之ヲ準用ス
○4 前三項ニ定メタル割合ハ各航海ニ付キ之ヲ計算ス
第八百三十一条 保険ノ目的タル積荷カ毀損シテ陸揚港ニ到達シタルトキハ保険者ハ其積荷カ毀損シタル状況ニ於ケル価額ノ毀損セサル状況ニ於テ有スヘカリシ価額ニ対スル割合ヲ以テ保険価額ノ一部ヲ填補スル責ニ任ス
第八百三十二条 航海ノ途中ニ於テ不可抗力ニ因リ保険ノ目的タル積荷ヲ売却シタルトキハ其売却ニ依リテ得タル代価ノ中ヨリ運送賃其他ノ費用ヲ控除シタルモノト保険価額トノ差ヲ以テ保険者ノ負担トス但保険価額ノ一部ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テ第六百三十六条ノ適用ヲ妨ケス
○2 前項ノ場合ニ於テ買主カ代価ヲ支払ハサルトキハ保険者ハ其支払ヲ為スコトヲ要ス但其支払ヲ為シタルトキハ被保険者ノ買主ニ対シテ有セル権利ヲ取得ス
第八百三十三条 左ノ場合ニ於テハ被保険者ハ保険ノ目的ヲ保険者ニ委付シテ保険金額ノ全部ヲ請求スルコトヲ得
一 船舶カ沈没シタルトキ
二 船舶ノ行方カ知レサルトキ
三 船舶カ修繕スルコト能ハサルニ至リタルトキ
四 船舶又ハ積荷カ捕獲セラレタルトキ
五 船舶又ハ積荷カ官ノ処分ニ依リテ押収セラレ六个月間解放セラレサルトキ
第八百三十四条 船舶ノ存否カ六个月間分明ナラサルトキハ其船舶ハ行方ノ知レサルモノトス
○2 保険期間ノ定アル場合ニ於テ其期間カ前項ノ期間内ニ経過シタルトキト雖モ被保険者ハ委付ヲ為スコトヲ得但船舶カ保険期間内ニ滅失セサリシコトノ証明アリタルトキハ其委付ハ無効トス
第八百三十五条 第八百三十三条第三号ノ場合ニ於テ船長カ遅滞ナク他ノ船舶ヲ以テ積荷ノ運送ヲ継続シタルトキハ被保険者ハ其積荷ヲ委付スルコトヲ得ス
第八百三十六条 被保険者カ委付ヲ為サント欲スルトキハ三个月内ニ保険者ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
○2 前項ノ期間ハ第八百三十三条第一号、第三号及ヒ第四号ノ場合ニ於テハ被保険者カ其事由ヲ知リタル時ヨリ之ヲ起算ス
○3 再保険ノ場合ニ於テハ第一項ノ期間ハ其被保険者カ自己ノ被保険者ヨリ委付ノ通知ヲ受ケタル時ヨリ之ヲ起算ス
第八百三十七条 委付ハ単純ナルコトヲ要ス
○2 委付ハ保険ノ目的ノ全部ニ付テ之ヲ為スコトヲ要ス但委付ノ原因カ其一部ニ付テ生シタルトキハ其部分ニ付テノミ之ヲ為スコトヲ得
○3 保険価額ノ一部ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ委付ハ保険金額ノ保険価額ニ対スル割合ニ応シテ之ヲ為スコトヲ得
第八百三十八条 保険者カ委付ヲ承認シタルトキハ後日其委付ニ対シテ異議ヲ述フルコトヲ得ス
第八百三十九条 保険者ハ委付ニ因リ被保険者カ保険ノ目的ニ付キ有セル一切ノ権利ヲ取得ス
○2 被保険者カ委付ヲ為シタルトキハ保険ノ目的ニ関スル証書ヲ保険者ニ交付スルコトヲ要ス
第八百四十条 被保険者ハ委付ヲ為スニ当タリ保険者ニ対シ保険ノ目的ニ関スル他ノ保険契約並ニ其負担ニ属スル債務ノ有無及ヒ其種類ヲ通知スルコトヲ要ス
○2 保険者ハ前項ノ通知ヲ受クルマテハ保険金額ノ支払ヲ為スコトヲ要セス
○3 保険金額ノ支払ニ付キ期間ノ定アルトキハ其期間ハ保険者カ第一項ノ通知ヲ受ケタル時ヨリ之ヲ起算ス
第八百四十一条 保険者カ委付ヲ承認セサルトキハ被保険者ハ委付ノ原因ヲ証明シタル後ニ非サレハ保険金額ノ支払ヲ請求スルコトヲ得ス
第七章 船舶債権者
第八百四十二条 左ニ掲ケタル債権ヲ有スル者ハ船舶、其属具及ヒ未タ受取ラサル運送賃ノ上ニ先取特権ヲ有ス
一 船舶並ニ其属具ノ競売ニ関スル費用及ヒ競売手続開始後ノ保存費
二 最後ノ港ニ於ケル船舶及ヒ其属具ノ保存費
三 航海ニ関シ船舶ニ課シタル諸税
四 水先案内料及ヒ挽船料
五 救助料及ヒ船舶ノ負担ニ属スル共同海損
六 航海継続ノ必要ニ因リテ生シタル債権
七 雇傭契約ニ因リテ生シタル船長其他ノ船員ノ債権
八 船舶カ其売買又ハ製造ノ後未タ航海ヲ為ササル場合ニ於テ其売買又ハ製造並ニ艤装ニ因リテ生シタル債権及ヒ最後ノ航海ノ為メニスル船舶ノ艤装、食料並ニ燃料ニ関スル債権
第八百四十三条 船舶債権者ノ先取特権ハ運送賃ニ付テハ其先取特権ノ生シタル航海ニ於ケル運送賃ノ上ニノミ存在ス
第八百四十四条 船舶債権者ノ先取特権カ互ニ競合スル場合ニ於テハ其優先権ノ順位ハ第八百四十二条ニ掲ケタル順序ニ従フ但同条第四号乃至第六号ノ債権間ニ在リテハ後ニ生シタルモノ前ニ生シタルモノニ先ツ
○2 同一順位ノ先取特権者数人アルトキハ各其債権額ノ割合ニ応シテ弁済ヲ受ク但第八百四十二条第四号乃至第六号ノ債権カ同時ニ生セサリシ場合ニ於テハ後ニ生シタルモノ前ニ生シタルモノニ先ツ
○3 先取特権カ数回ノ航海ニ付テ生シタル場合ニ於テハ前二項ノ規定ニ拘ハラス後ノ航海ニ付テ生シタルモノ前ノ航海ニ付テ生シタルモノニ先ツ
第八百四十五条 船舶債権者ノ先取特権ト他ノ先取特権ト競合スル場合ニ於テハ船舶債権者ノ先取特権ハ他ノ先取特権ニ先ツ
第八百四十六条 船舶所有者カ其船舶ヲ譲渡シタル場合ニ於テハ譲受人ハ其譲渡ヲ登記シタル後先取特権者ニ対シ一定ノ期間内ニ其債権ノ申出ヲ為スヘキ旨ヲ公告スルコトヲ要ス但其期間ハ一个月ヲ下ルコトヲ得ス
○2 先取特権者カ前項ノ期間内ニ其債権ノ申出ヲ為ササリシトキハ其先取特権ハ消滅ス
第八百四十七条 船舶債権者ノ先取特権ハ其発生後一年ヲ経過シタルトキハ消滅ス
○2 第八百四十二条第八号ノ先取特権ハ船舶ノ発航ニ因リテ消滅ス
第八百四十八条 登記シタル船舶ハ之ヲ以テ抵当権ノ目的ト為スコトヲ得
○2 船舶ノ抵当権ハ其属具ニ及フ
○3 船舶ノ抵当権ニハ不動産ノ抵当権ニ関スル規定ヲ準用ス
第八百四十九条 船舶ノ先取特権ハ抵当権ニ先チテ之ヲ行フコトヲ得
第八百五十条 登記シタル船舶ハ之ヲ以テ質権ノ目的ト為スコトヲ得ス
第八百五十一条 本章ノ規定ハ製造中ノ船舶ニ之ヲ準用ス
附則 (明治四四年五月三日法律第七三号) 抄
第一条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二条 本法ノ規定ハ本法施行ノ日ヨリ其施行前ニ生シタル事項ニモ亦之ヲ適用ス但従前ノ規定ニ依リテ生シタル効力ヲ妨ケス
附則 (昭和一二年八月一四日法律第七九号) 抄
第六十七条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十八条 (第一項及び第二項 略)
○3商法第五百七十五条及第五編第二章第二節ハ之ヲ削除ス但シ商法其ノ他ノ法令ノ規定ノ適用上之ニ依ルベキ場合ニ於テハ仍其ノ効力ヲ有ス
附則 (昭和一三年四月五日法律第七二号)
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則 (昭和二二年四月一六日法律第六一号) 抄
第三十三条 この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。
附則 (昭和二二年九月一日法律第一〇〇号) 抄
第百三十六条 この法律は、第十章の規定を除いて、公布の日から、これを施行する。
第百三十八条 従前の船員法第六十八条第三項但書の規定は、この法律施行後でも、なおその効力を有する。
第百四十六条 他の法令の規定の適用上商法第七百八条乃至第七百十一条の規定によらなければならないときは、従前のこれらの規定によるものとする。
附則 (昭和二二年一二月二二日法律第二二三号) 抄
第二十九条 この法律は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。
附則 (昭和二三年七月一二日法律第一四八号)
第一条 この法律は、公布の日から、これを施行する。
第二条 この附則で、新法とは、この法律による改正後の規定をいい、旧法とは、従前の規定をいう。
第三条 新法施行の際、株金全額の払込の完了していない株式に関しては、新法施行後もなお旧法を適用する。新法施行前に行なわれた設立又は資本の増加の際引受のあつた株式で、一時に全額を払込ませないものに関しても、また同様である。
2 前項に定めるものの外、新法施行前に生じた事項については、旧法を適用する。
第四条 前条第一項に規定する株式については、会社は新法施行の日から二年内に株金全額払込済のものとするため、株金の払込をなさしめ、又は資本を減少する等必要な措置を講じなければならない。
2 前項に規定する期間内に、同項に定める措置を講じなかった場合における措置に関しては、別に法律を以てこれを定める。
第五条 旧法第二百九十七条第一項第二項及び第三百一条第一項第十号の規定は、株金全額の払込の完了していない株式のある会社の社債の発行に関しては、新法施行後も、なおその効力を有する。
第六条 新法施行の際、他の法令中に商法の規定を準用する旨定めた規定がある場合においては、その規定は、既に引受のあつた株式又は出資についてのみ新法施行後もなお旧法を準用するものとし、その限りにおいては旧法はなおその効力を有する。
附則 (昭和二四年五月三一日法律第一三七号) 抄
1 この法律は、昭和二四年六月一日から施行する。
9 登記所がすべき公告は、当分の間官報でするものとする。但し、登記事項の公告は、当分の間しない。
10 商法第十二条の規定の適用については、登記の時に登記及び公告があつたものとみなす。
附則 (昭和二五年五月一〇日法律第一六七号) 抄
1 この法律は、昭和二十六年七月一日から施行する。
4 この法律施行前に成立した株式会社が既に発行した株式及びこの施行後発行する額面株式については、第二百二条第二項の改正規定にかかわらず、改正前の同条同項の規定を適用する。
附則 (昭和二五年一二月二〇日法律第二九〇号)
この法律は、新法の施行の日から施行する。
附則 (昭和二六年六月八日法律第二〇九号)
この法律は、昭和二六年七月一日から施行する。
附則 (昭和二六年六月八日法律第二一三号) 抄
1 この法律は、昭和二十六年七月一日から施行する。
附則 (昭和二七年七月三一日法律第二六八号) 抄
1 この法律は、昭和二十七年八月一日から施行する。
附則 (昭和三〇年六月三〇日法律第二八号) 抄
1 この法律は、昭和三十年七月一日から施行する。
2 この法律による改正後の商法は、特別の定がある場合を除いては、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、従前の商法によつて生じた効力を妨げない。
3 この法律の施行前に定めた新株の引受権に関する定款の規定の不備は、会社の設立、新株の発行、合併、組織変更又は定款の他の規定の効力を妨げない。
4 この法律の施行前に定めた株主の新株の引受権に関する定款の規定は、この法律の施行の際における会社が発行する株式の総数のうち未発行の部分について、その効力を有する。ただし、その定款の規定を廃止し、又は変更することを妨げない。
5 この法律の施行前に定めた株主以外の者の新株の引受権に関する定款の規定は、この法律の施行後はその効力を有しない。ただし、この法律の施行前に申込があつた新株の引受権については、従前の例による。
附則 (昭和三三年四月一五日法律第六二号) 抄
1 この法律は、昭和三十四年一月一日から施行する。
附則 (昭和三三年四月三〇日法律第一〇六号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、昭和三十三年七月一日から施行する。
附則 (昭和三七年四月二〇日法律第八二号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和三十八年四月一日から施行する。
(定義)
第二条 この附則で、「新法」とは、この法律による改正後の商法をいい、「旧法」とは、従前の商法をいう。
(原則)
第三条 新法は、特別の定めがある場合を除いては、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし旧法によつて生じた効力を妨げない。
(清算結了の登記)
第四条 新法第百十九条ノ二(新法第百四十七条で準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行前に財産の処分を完了した場合には適用しない。
(帳簿等の保存)
第五条 この法律の施行前に解散の登記をした合名会社又は合資会社については、この法律の施行後も、なお旧法第百四十三条(旧法第百四十七条で準用する場合を含む。)の規定を適用する。
(所在不明株主等)
第六条 この法律の施行の際、株主名簿に記載した株主若しくは質権者の住所又は株主若しくは質権者が会社に通知した住所にあてて発した通知及び催告が継続して三年をこえる期間到達していないときは、その期間のうち三年をこえる部分は、新法第二百二十四条ノ二第一項(同条第三項で準用する場合を含む。)の期間に算入しない。
(新株の効力発生日)
第七条 この法律の施行前に新株の発行の決議があつたときは、この法律の施行後も、なお旧法第二百八十条ノ九の規定を適用する。
(株式会社の計算)
第八条 この法律の施行の際現に存する株式会社のこの法律の施行後最初に到来する決算期以前の決算期に関する計算については、この法律の施行後も、なお従前の例による。ただし、新法第二百八十八条ノ二第二項の規定の適用を妨げない。
第九条 新法第二百八十五条ノ二、第二百八十五条ノ三及び第二百八十五条ノ五から第二百八十五条ノ七までの規定の適用については、この法律の施行の際現に存する株式会社がこの法律の施行後最初に到来する決算期以前に取得し、又は製作した資産は、その決算期において附することができる最高額(その額の範囲内で別に附した価額があるときは、その価額)をもつて、その決算期の翌日に取得し、又は製作したものとみなす。
第十条 新法第二百八十六条ノ二、第二百八十六条ノ三又は第二百八十六条ノ五に規定する貸借対照表の資産の部に計上することができる金額で、この法律の施行の際現に存する株式会社がこの法律の施行後最初に到来する決算期以前に支出したものについては、その金額からその決算期以前にこれらの規定が適用されたならば償却すべきであつた額の最少額を控除した金額を、その決算期の次の決算期において、貸借対照表の資産の部に計上することができる。この場合においては、これらの規定による償却期間からすでに経過した期間を控除した期間内に、毎決算期に均等額以上の償却をしなければならない。
2 前項の場合においては、同項の規定により貸借対照表の資産の部に計上した金額(社債発行のために必要な費用の額を除く。)は、新法第二百九十条第一項の規定の適用については、新法第二百八十六条ノ二又は第二百八十六条ノ三の規定により貸借対照表の資産の部に計上した金額とみなす。
(合併の場合の貸借対照表の備置き)
第十一条 新法第四百八条ノ二の規定は、同条第一項に規定する株主総会の会日がこの法律の施行後二週間以内である場合には、適用しない。
(罰則)
第十二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (昭和三八年七月九日法律第一二六号)
この法律は、商業登記法の施行の日(昭和三十九年四月一日)から施行する。ただし、第七条中商法第二百十条第四号、第二百八十条ノ四第二項及び第四百九十八条第一項第九号の改正規定は、公布の日から施行する。
附則 (昭和四一年六月一四日法律第八三号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、昭和四十一年七月一日から施行する。ただし、商法第百八十八条第二項第五号、第二百五条、第二百十三条から第二百二十一条まで、第二百二十三条第一項、第二百二十九条、第二百八十四条ノ二及び第四百九十八条第一項第十六号の改正規定、同法第二百二十六条の次に一条を加える改正規定並びに附則第三項及び第四項の規定は、昭和四十二年四月一日から、同法第三百四十一条ノ六の改正規定、同条を同法第三百四十一条ノ七とし、同法第三百四十一条ノ五の次に一条を加える改正規定並びに次項及び附則第七項の規定は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この法律による改正後の商法(以下「新法」という。)の規定は、特別の定めがある場合を除いては、当該改正規定の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、従前の商法(以下「旧法」という。)の規定によつて生じた効力を妨げない。
3 昭和四十二年四月一日前における株式の移転又は株券の取得については、同日以後も、なお旧法第二百五条及び第二百二十九条の規定を適用する。ただし、同日以後の株券の占有につき新法第二百五条第二項の規定を適用することを妨げない。
4 昭和四十二年四月一日前に発行された株券を同日以後に取得した者が、裏書の連続又は株式の譲渡を証する書面の整否につき調査をしなかつた場合においても、新法第二百二十九条の規定の適用については、その調査をしなかつたことをもつて、悪意又は重大な過失があつたものとすることはできない。
5 新法第二百三十九条第六項及び第二百三十九条ノ二の規定(新法第百八十条第三項及び第四百十三条第三項において準用する場合を含む。)は、この法律の施行の日から起算して二週間内の日を会日とする株主総会又は創立総会における議決権の行使については、適用しない。
6 この法律の施行前に新株の発行の決議があつたときは、その新株の発行に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。この法律の施行前にされた旧法第二百八十条ノ二第二項の決議において定めた株式の発行に関しても、同様とする。
7 新法第三百四十一条ノ六第二項の規定は、同項の一定の日がこの法律の公布の日前であるときは、適用しない。
附則 (昭和四一年七月一日法律第一一一号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (昭和四九年四月二日法律第二一号)
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、商法第二百九条第一項、第二百四十条第二項、第二百五十六条ノ三、第二百八十条ノ二第一項、第二百八十条ノ六第三号、第二百八十条ノ七、第二百八十八条ノ二、第二百九十三条ノ二、第二百九十三条ノ三第三項、第二百九十三条ノ四第二項、第三百四十一条ノ二、第三百四十一条ノ七、第三百七十九条第一項及び第四百九十八条ノ二の各改正規定、同法第二百五十六条ノ四を削る改正規定、同法第二百八十条ノ九の次に一条を加える改正規定、同法第三百四十一条ノ二の次に四条を加える改正規定、同法第四百六条ノ二の次に一条を加える改正規定並びに次条、附則第五条及び第十条から第十三条までの規定は、公布の日から施行する。
(経過措置の原則)
第二条 この法律による改正後の商法の規定は、特別の定めがある場合を除いては、当該改正規定の施行前に生じた事項にも適用する。ただし。改正前の商法の規定によつて生じた効力を妨げない。
(商業帳簿等に関する経過措置)
第三条 この法律の施行の際現に商人である者がこの法律の施行後最初に到来する改正後の商法第三十三条の一定の時期(会社にあつては、決算期をいう。以下この条及び次条において同じ。)以前において作成すべき商業帳簿及びその附属明細書並びに当該一定の時期以前においてする計算及び当該一定の時期に関する計算に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(流動資産及び固定資産の評価に関する経過措置)
第四条 改正後の商法第三十四条第一号及び第二号の規定の適用については、この法律の施行の際現に株式会社以外の商人である者がこの法律の施行後最初に到来する改正後の商法第三十三条の一定の時期以前に取得し、又は製作した資産は、当該一定の時期において附することができる最高価額(その額の範囲内で別に附した価額があるときは、その価額)をもつて、当該一定の時期の翌日に取得し、又は製作したものとみなす。
(累積投票に関する経過措置)
第五条 商法第二百五十六条ノ三の改正規定及び同法第二百五十六条ノ四を削る改正規定の施行の際現に取締役の選任について累積投票によらないことを定めた定款には、発行済株式の総数の四分の一以上に当たる株式を有する株主が累積投票によるべきことを求めることができる旨の定めがあるものとみなす。ただし、発行済株式の総数の四分の一以下の割合に当たる株式を有する株主がその請求をすることができる旨の定めがある場合は、この限りでない。
(会社と取締役又は清算人との間の訴えについての会社代表に関する経過措置)
第六条 この法律の施行の際現に存する株式会社が取締役若しくは清算人に対し、又は取締役若しくは清算人がその会社に対して提起する訴えについて会社を代表すべき者に関しては、この法律の施行後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結前は、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(監査役に関する経過措置)
第七条 この法律の施行の際現に存する株式会社の監査役で、この法律の施行後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結前に在任するものに関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
2 前項の定時総会の終結の際現に在任する監査役は、同項の定時総会の終結と同時に退任する。
(定時総会の招集の通知に添附すべき書類に関する経過措置)
第八条 改正後の商法第二百八十三条第二項の規定は、この法律の施行後最初に到来する決算期以前の決算期に関する定時総会については、適用しない。
(子会社の株式の評価に関する経過措置)
第九条 この法律の施行の際現に存する株式会社がこの法律の施行後最初に到来する決算期において附則第三条の規定によりなおその例によるものとされる改正前の商法第二百八十五条ノ六第二項において準用する同法第二百八十五条ノ二第二項の規定により子会社の株式に時価を附した場合においては、改正後の商法第二百八十五条ノ六第一項及び同条第二項において準用する同法第二百八十五条ノ二第一項ただし書の規定の適用については、その附した時価を取得価額とみなす。
(株式による配当に関する経過措置)
第十条 商法第二百九十三条ノ二の改正規定の施行前に株主総会の招集に関する取締役会の決議があつた場合において、その株主総会の決議をもつて利益の配当の全部又は一部を新たに発行する株式をもつてするときは、その改正規定の施行後も、なお従前の例による。
(転換社債の発行に関する経過措置)
第十一条 転換社債に関する改正規定の施行前に転換社債の発行の決議があつたときは、その転換社債の発行に関しては、その改正規定の施行後も、なお従前の例による。
(資本の減少に関する経過措置)
第十二条 商法第三百七十九条第一項の改正規定の施行前に資本の減少の決議があつたときは、その資本の減少に関しては、その改正規定の施行後も、なお従前の例による。
(休眠会社に関する特例)
第十三条 昭和四十九年十月一日において、最後の登記をした後十年を経過している株式会社は、その日に解散したものとみなす。
2 改正後の商法第四百六条ノ三第三項の規定は、前項の場合について準用する。
3 商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第九十一条の二の規定は、第一項の規定による解散の登記について準用する。
(罰則の適用に関する経過措置)
第十四条 この法律の施行前にした行為及びこの法律附則の規定により従前の例によることとされる事項に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (昭和五〇年一二月二七日法律第九四号) 抄
(施行期日等)
1 この法律は、海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。
2 この法律は、この法律の施行前に発生した事故により生じた損害に基づく債権については適用せず、この法律の施行前に生じた債権及びこの法律の施行前に発生した事故によりこの法律の施行後に生じた損害に基づく債権については、なお従前の例による。
附則 (昭和五四年三月三〇日法律第五号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)の施行の日(昭和五十五年十月一日)から施行する。
(経過措置)
2 この法律の施行前に申し立てられた民事執行、企業担保権の実行及び破産の事件については、なお従前の例による。
3 前項の事件に関し執行官が受ける手数料及び支払又は償還を受ける費用の額については、同項の規定にかかわらず、最高裁判所規則の定めるところによる。
附則 (昭和五六年六月九日法律第七四号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和五十七年十月一日から施行する。ただし、第一条中商法目次の改正規定及び同法第二編第四章第五節に一款を加える改正規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置の原則)
第二条 この法律による改正後の商法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(以下「商法特例法」という。)及び有限会社法の規定(罰則を除く。)は、特別の定めがある場合を除いては、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、改正前のこれらの法律によつて生じた効力を妨げない。
(設立の際の資本等に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前に発起人が株式の総数を引き受け、又は株主の募集に着手し、この法律の施行後に成立する株式会社の設立の際の資本又は額面株式の一株の金額若しくは無額面株式の発行価額に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(子会社が有する親会社の株式又は持分に関する経過措置)
第四条 この法律の施行の際改正後の商法第二百十一条ノ二(改正後の有限会社法第二十四条第一項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)に規定する子会社が改正後の商法第二百十一条ノ二に規定する親会社の株式又は持分を有しているときは、その子会社は、相当の時期に、その株式又は持分の処分をしなければならない。
2 改正後の商法第四百九十八条第一項第十二号及び第二項並びに改正後の有限会社法第八十五条第一項第七号及び第二項の規定は、前項の規定に違反して株式又は持分の処分をしなかつた場合について適用する。
(株券の記載事項に関する経過措置)
第五条 この法律の施行前に発行された株券の記載事項に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(一株に満たない端数に関する経過措置)
第六条 改正後の商法第二百三十条ノ二第一項の規定は、この法律の施行の際現に存する株式会社及び附則第三条の株式会社については、適用しない。
2 前項の株式会社の新株の引受権を有する株主の新株の割当てを受ける権利に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
3 第一項の株式会社で次の各号の一に該当するもの(この法律の施行後株式の併合その他の事由により次の各号の一に該当することとなつたものを含む。)については、前二項の規定は、適用しない。
一 額面株式一株の金額が五万円以上である株式会社
二 最終の貸借対照表により会社に現存する純資産額を発行済株式の総数で除して得た額が五万円以上である株式会社
(株主総会の決議の取消しの訴え等に関する経過措置)
第七条 この法律の施行前に株主総会若しくは創立総会又は社員総会の決議があつた場合においては、その決議の取消し、変更又は不存在若しくは無効の確認を請求する訴えに関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(取締役等の資格に関する経過措置)
第八条 この法律の施行の際現に在任する取締役、監査役及び清算人については、改正後の商法第二百五十四条ノ二第一号及び第二号(同法第二百八十条第一項及び第四百三十条第二項並びに有限会社法第三十二条、第三十四条及び第七十五条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定は、この法律の施行後最初に招集される株主総会の終結の時までは、適用しない。ただし、この法律の施行後に改正後の商法第二百五十四条ノ二第一号又は第二号に該当することとなつたものについては、この限りでない。
2 この法律の施行前にした行為について刑に処せられた者に係る取締役、監査役及び清算人の資格に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(取締役がする会社の営業の部類に属する取引に関する経過措置)
第九条 この法律の施行前に改正前の商法第二百六十四条第一項の規定による株主総会の認許があつた場合においては、その認許に係る取引に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(取締役会社間の取引に関する経過措置)
第十条 改正後の商法第二百六十五条第三項の規定は、この法律の施行前にした同条第一項の取引については、適用しない。
(新株の発行等に関する経過措置)
第十一条 この法律の施行前に新株の発行の決議があつた場合においては、その新株の発行に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。この法律の施行前に株式の分割の決議があつた場合その株式の分割に関しても、同様とする。
(決算期に取締役が作成すべき書類等に関する経過措置)
第十二条 この法律の施行前に到来した最終の決算期以前の決算期に取締役が作成すべき書類及びその決算期に係る計算に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(株主権の行使に関する利益の供与の禁止に関する経過措置)
第十三条 改正後の商法第二百九十四条ノ二の規定は、この法律の施行前にした行為については、適用しない。
(転換社債の転換の場合の資本に関する経過措置)
第十四条 この法律の施行前に転換社債の発行の決議があつた場合においては、その転換社債の転換により増加すべき資本に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(一単位の株式のみなし併合)
第十五条 附則第六条第一項の株式会社(同条第三項の株式会社を除く。)で次の各号の一に該当するもの(附則第十八条、第十九条及び第二十一条において「会社」という。)については、別に法律で定める日に、次条第一項に規定する一単位の株式を一株に併合する旨の改正後の商法第二百十四条第一項の決議があつたものとみなす。
一 証券取引所に上場されている株式を発行する株式会社(この法律の施行後に株式の上場が廃止されたものを含む。)
二 前号の株式会社以外の株式会社で定款により株式の一単位を定めるもの
2 前項第二号に掲げる株式会社は、株式の一単位の定めを廃止することができない。
3 第一項の会社にあつては、改正後の商法第二百三十条ノ五の規定による定款の定めをすることを同項の日の後に最初に招集される株主総会の会議の目的としなければならない。
4 前項の株主総会の終結の時までは、第一項の規定による株式の併合により端株主となつた者は、附則第十八条第一項第一号及び第三号に掲げる権利を行使することができる。
5 改正後の商法第四百九十八条第一項第十六号ノ二の規定は、第三項の規定に違反して同項の定款の定めをすることを会議の目的としなかつた場合について準用する。
(一単位の株式の数)
第十六条 前条第一項第一号の株式会社にあつては五万円を額面株式一株の金額で除して得た数又は定款で別に定める数を、同項第二号の株式会社にあつては定款で定める数を株式の一単位とする。
2 前項の規定により定款で定める一単位の株式の数は、五万円を、額面株式一株の金額又は最終の貸借対照表により会社に現存する純資産額を発行済株式の総数で除して得た額で除して得た数以上の数でなければならない。
(一単位の株式の数の登記)
第十七条 附則第十五条第一項第一号の株式会社にあつてはこの法律の施行の日又はその株式が証券取引所に上場された日から、同項第二号の株式会社にあつてはその定款の定めが効力を生じた日から、本店の所在地においては二週間以内に、支店の所在地においては三週間以内に、一単位の株式の数を登記しなければならない。
2 商法第六十七条の規定は、一単位の株式の数の変更があつた場合について準用する。
3 改正後の商法第四百九十八条第一項第一号の規定は、前二項の規定に違反して登記をすることを怠つた場合について準用する。
(単位未満株式を有する株主の権利等)
第十八条 株主は、附則第十六条第一項に規定する一単位に満たない数の株式(以下「単位未満株式」という。)については、特別の定めがある場合を除き、次に掲げる権利以外の権利を行使することができない。
一 利益若しくは利息の配当又は商法第二百九十三条ノ五第一項の金銭の分配を受ける権利
二 株式の消却、併合、分割若しくは転換又は会社の株式交換、株式移転、分割若しくは合併により金銭又は株式を受ける権利
三 新株、転換社債又は新株引受権付社債の引受権
四 残余財産の分配を受ける権利
五 株券の再発行を請求する権利
2 会社は、前項第五号に規定する請求を受けた場合を除き、単位未満株式について株券を発行することができない。
3 会社は、単位未満株式の譲渡については、取得者の氏名及び住所を株主名簿に記載してはならない。ただし、その取得者が株主名簿に記載がある株主であるときは、この限りでない。
4 商法第二百二十六条第三項及び改正後の商法第四百九十八条第一項第十五号の規定は、第二項の規定に違反して株券を発行した場合について準用する。
(単位未満株式の買取請求)
第十九条 株主は、会社に対し、自己の有する単位未満株式を買い取るべきことを請求することができる。
2 証券取引所に上場されている株式について前項の規定による請求があつたときは、証券取引所(二以上の証券取引所に上場されている場合には、本店の最寄りの証券取引所をいう。次項において同じ。)の開設する市場における請求の日の最終価格(その日に売買取引がないときは、その後最初にされた売買取引の成立価格)に相当する額に請求に係る株式の数を乗じて得た額をもつて売買価格とする。
3 前項に規定する場合においては、会社は、株主に対し、同項の株式の売買の委託に係る手数料に相当する金額の支払を請求することができる。
4 商法第二百四条ノ四第一項及び第二項の規定は、証券取引所に上場されていない株式について第一項の規定による請求があつた場合について準用する。
5 前項に規定する場合において、同項において準用する商法第二百四条ノ四第一項の期間内に同項の規定による決定の請求がないときは、最終の貸借対照表により会社に現存する純資産額を発行済株式の総数で除した額に請求に係る株式の数を乗じて得た額をもつて売買価格とする。
6 改正後の商法第二百十条第四号及び商法第二百十一条の規定は第一項の規定による株式の買取りについて、同法第二百四十五条ノ三第五項の規定は第一項の規定による請求に基づく株式の代金の支払(前条第二項の規定により株券が発行されない株式の代金の支払を除く。)及び株式の移転について準用する。
7 改正後の商法第四百九十八条第一項第十二号の規定は、前項において準用する商法第二百十一条の規定に違反して株式の処分をしなかつた場合について準用する。
(単位未満株式の発行済株式の総数への不算入等)
第二十条 発行済株式の総数の百分の一、百分の三又は十分の一以上に当たる株式を有する株主の権利の行使についての規定の適用及び総会の決議については、単位未満株式の合計数は、発行済株式の総数に算入しない。商法第二百四十五条ノ五第六項、第三百五十八条第八項、第三百七十四条ノ二十三第八項及び第四百十三条ノ三第八項の規定の適用についても、同様とする。
2 商法第三百四十八条第一項の規定の適用については、単位未満株式のみを有する株主の数は、総株主の数に算入しない。
(提案権の行使に必要な株式の数等)
第二十一条 会社についての改正後の商法第二百三十二条ノ二(同法第四百三十条第二項において準用する場合を含む。)及び第四百九十四条第一項第二号の規定の適用については、これらの規定中「三百株以上」とあるのは、「三百単位ニ当ル数以上ノ数」とし、同法第二百八十条ノ九ノ二第一項後段及び同法第二百十八条第二項の規定の適用については、これらの規定中「五万円」とあるのは、「五万円ヲ株式ノ一単位ノ数ヲ以テ除シタル額」とする。
(罰則の適用に関する経過措置)
第二十七条 この法律の施行前にした行為及びこの法律附則の規定により従前の例によることとされる事項に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (平成元年一二月二二日法律第九一号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (平成二年六月二九日法律第六四号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置の原則)
第二条 この法律による改正後の商法及び有限会社法の規定(罰則を除く。)は、特別の定めがある場合を除いては、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、改正前のこれらの法律によって生じた効力を妨げない。
(業務執行停止等の仮処分に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前に社員の業務若しくは取締役、監査役若しくは精算人の職務の執行を停止し、又は社員の業務代行者若しくは取締役、監査役若しくは精算人の職務代行者を選任する仮処分の申請があった場合においては、その仮処分の事件及び仮処分に関する登記並びにその業務代行者又は職務代行者の権限に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(設立に関する経過措置)
第四条 この法律の施行前に定款の認証を受けた場合においては、その定款に係る株式会社又は有限会社の設立に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(株式会社の資本の額の制限に関する経過措置)
第五条 この法律の施行の際現に存する株式会社又はこの法律の施行前に定款の認証を受け、この法律の施行後に成立する株式会社で、その資本の額が千万円に満たないものについては、改正後の商法第百六十八条ノ四の規定は、この法律の施行後五年間は、適用しない。
2 前項に規定する株式会社は、同項の期間内に限り、株主総会の決議によりその組織を変更して合名会社又は合資会社とすることができる。
3 法務大臣は、第一項の期間が満了したときは、登記された資本の額が千万円に満たない株式会社は次条第一項に規定する登記の申請をしないときは同項の規定により解散したものとみなされることとなる旨を官報で公告しなければならない。この場合において、登記所は、その株式会社に対し、その公告があったことの通知を発しなければならない。
4 商法第百条、有限会社法第六十一条第一項及び第六十六条並びに改正後の有限会社法第六十四条第一項ただし書、第二項、第三項及び第五項、第六十四条ノ二並びに第六十四条ノ三の規定は、第二項の規定による組織変更について準用する。この場合において、有限会社法第六十六条中「有限会社ニ付テハ第十三条第二項ニ定ムル登記」とあるのは、「合名会社ニ付テハ商法第六十四条第一項ニ定ムル登記、合資会社ニ付テハ同法第百四十九条第一項ニ定ムル登記」と読み替えるものとする。
5 改正後の商法第二百十条第四号及び商法第二百十一条の規定は、前項において準用する改正後の有限会社法第六十四条ノ二の規定による株式の買取りについて準用する。
(株式会社が最低資本金に達しない場合の措置)
第六条 前条第三項に規定する株式会社が同項の公告の日から期算して二月を経過する日までに資本の額を千万円以上とする変更の登記又は有限会社、合名会社若しくは合資会社に組織を変更した場合にすべき登記の申請をしないときは、その株式会社は、その日に解散したものとみなす。
2 前項の規定により取散したものとみなされた会社は、そのみなされた日から起算して三年内に限り、商法第三百四十三条に定める決議により会社を継続することができる。この場合において、その会社は、資本の額を千万円以上とし、又は組織を変更して有限会社、合名会社若しくは合資会社とするまでの間は、当該資本の額又は組織の変更の目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。
3 前項の規定による会社の継続は、同項の期間内に、その資本の額を千万円以上とせず、かつ、その組織を変更して有限会社、合名会社又は合資会社としなかったときは、その効力を失う。
4 前条第二項、第四項及び第五項の規定は、第二項の規定により継続した会社が同項の期間内にその組織を変更して合名会社又は合資会社とする場合について準用する。
5 第二項の規定による継続の登記の申請と資本の額の変更の登記又は組織を変更した場合にすべき登記の申請とは、同時にしなければならない。
6 商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第九十一条の二の規定は、第一項の規定による解散の登記について準用する。
(組織変更の登記の申請書の添付書類等)
第七条 附則第五条第二項(前条第四項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定により合名会社に組織を変更した場合の合名会社についてする登記の申請書には、次の書類を添付しなければならない。
一 定款
二 商業登記法第六十七条第二号及び第九十三条第一項第五号に掲げる書面
2 附則第五条第二項の規定により合資会社に組織を変更した場合の合資会社についてする登記の申請書には、前項各号に掲げる書類のほか、商業登記法第七十四条の書面を添付しなければならない。
3 商業登記法第七十一条及び第七十三条の規定は、前二項に規定する場合について準用する。
(組織変更に係る罰則)
第八条 会社の業務を執行する社員若しくはその業務代行者又は株式会社の取締役若しくは商法第二百五十八条第二項、改正前の商法第二百七十条第一項若しくは改正後の商法第百八十八条第三項において準用する商法第六十七条ノ二の取締役の職務代行者が次の各号の一に該当するときは、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 附則第五条第四項(附則第六条第四項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)において準用する有限会社法第六十六条の規定に違反して登記をすることを怠ったとき。
二 附則第五条第四項において準用する改正後の有限会社法第六十四条第二項又は第六十四条ノ三の規定に違反して公告若しくは通知をすることを怠り、又は不正の公告若しくは通知をしたとき。
三 附則第五条第四項において準用する商法第百条の規定に違反して組織変更をしたとき。
四 附則第五条第五項(附則第六条第四項において準用する場合を含む。)において準用する商法第二百十一条の規定に違反して株式の処分をすることを怠ったとき。
(株式等の譲渡承認請求等に関する経過措置)
第九条 この法律の施行前にその譲渡につき取締役会の承認を要する株式又は有限会社の持分の譲渡の承認又は取得に係る買受人指定の請求があった場合においては、その請求に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(質権に関する経過措置)
第十条 この法律の施行前に到来した最終の決算期以前の計算期に関する定時総会において改正前の商法第二百九十三条ノ二第一項の規定による株式をもってする配当の決議があった場合又はこの法律の施行前に同法第二百九十三条ノ三第二項若しくは第二百九十三条ノ三ノ二第一項の規定による株式の発行の決議があった場合においては、その決議の前に株式について設定された質権に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(株式分割等に関する経過措置)
第十一条 この法律の施行前に決議があった株式の分割又は準備金の全部若しくは一部を資本に組み入れた場合若しくは額面株式の発行価額中券面額を超えて資本に組み入れた部分がある場合の株式の発行に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(無記名式の株券に関する経過措置)
第十二条 この法律の施行前に発行されている無記名式の株券に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(議決権のない株式に関する経過措置)
第十三条 定款をもって議決権がないものとされる株式については、この法律の施行前に到来した最終の決算期以前の決算期に関する定時総会に係る議決権に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(株主の新株引受権等に関する経過措置)
第十四条 この法律の施行前に株式の譲渡につき取締役会の承認を要する会社において新株、転換社債又は新株引受権付社債の発行の決議があった場合においては、その会社の株主に係る引受権に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(新株発行の場合の現物出資に関する経過措置)
第十五条 この法律の施行前に新株の発行の決議があった場合においては、その新株に係る現物出資に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(利益準備金の積立てに関する経過措置)
第十六条 この法律の施行前に到来した最終の決算期以前の決算期に株式会社又は有限会社が利益準備金として積み立てるべき金額に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(利益の処分に関する経過措置)
第十七条 この法律の施行前に到来した最終の決算期以前の決算期に係る株式会社の利益の処分に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(組織変更に関する経過措置)
第二十三条 この法律の施行前に決議があった株式会社又は有限会社の組織変更に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(罰則の適用に関する経過措置)
第二十五条 この法律の施行前にした行為及びこの法律附則の規定により従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (平成五年六月一四日法律第六二号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置の原則)
第二条 改正後の商法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律及び担保附社債信託法の規定(罰則を除く。)は、特別の定めがある場合を除いては、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、改正前のこれらの法律によって生じた効力を妨げない。
(代表訴訟に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前に商法第二百六十七条第二項又は第三項(これらの規定を同法又は他の法律において準用する場合を含む。)の訴えが提起された場合においては、その訴訟の目的の価額の算定に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(監査役の任期に関する経過措置)
第四条 この法律の施行の際現に存する株式会社の監査役でこの法律の施行後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結前に在任するものの任期に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(旧社債に関する経過措置)
第五条 この法律の施行前に社債(担保付社債を除く。以下この条、次条及び附則第十四条において同じ。)の募集の決議があった場合においては、その社債に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(旧社債の社債権者集会に関する経過措置)
第六条 前条に規定する場合においても、この法律の施行後に招集手続が開始される社債の社債権者集会に関しては、同条の規定にかかわらず、改正後の商法第三百二十一条ノ二、第三百二十四条、第三百二十九条及び第三百三十九条の規定を適用する。この場合において、同条第二項及び第四項中「社債管理会社」とあるのは、「社債募集ノ委託ヲ受ケタル会社」とする。
(大会社の監査等に関する経過措置)
第七条 この法律の施行の際現に存する株式会社で株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第二条各号の一に該当するものについては、改正後の株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の規定は、この法律の施行後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結の時までは、適用しない。
(旧担保付社債に関する経過措置)
第八条 この法律の施行前に担保付社債について信託契約が締結された場合においては、その担保付社債に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。ただし、信託証書の備置き、その閲覧又は謄写及びその謄本又は抄本の交付、受託会社に対する担保付社債の募集の委任並びにそれにより生じる受託会社の権能及び義務並びに受託会社及びそれ以外の者による担保付社債の総額の引受け並びにそれにより生じるこれらの者の権能及び義務については、この限りでない。
(旧担保付社債の分割発行に関する経過措置)
第九条 前条本文に規定する場合においても、この法律の施行前にその信託契約により社債の総額を数回に分けて発行することとされた担保付社債でこの法律の施行後に発行されるものに関しては、同条本文の規定にかかわらず、改正後の商法及び担保附社債信託法を適用する。
(旧担保付社債の社債権者集会に関する経過措置)
第十条 附則第八条本文に規定する場合においても、この法律の施行後に招集手続が開始される担保付社債の社債権者集会に関しては、同条本文の規定にかかわらず、改正後の商法及び担保附社債信託法を適用する。
(旧担保付社債の期限の利益の喪失に関する経過措置)
第十一条 附則第八条本文に規定する場合においても、この法律の施行後に委託会社が定期にするべき担保付社債の一部の償還又は利息の支払を怠ったときにおける期限の利益の喪失に関しては、同条本文の規定にかかわらず、商法第三百三十四条及び第三百三十五条の規定を適用する。
(罰則の適用に関する経過措置)
第十二条 この法律の施行前にした行為及びこの法律附則の規定により従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (平成六年六月二九日法律第六六号)
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
2 改正後の商法及び有限会社法の規定(罰則を除く。)は、次項に定めるものを除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、改正前のこれらの法律によって生じた効力を妨げない。
3 改正後の商法第二百十条第五号、第二百十条ノ三第一項及び第二項並びに第二百十二条ノ二第一項及び第三項(これらの規定を改正後の有限会社法第二十四条第一項において準用する場合を含む。)並びに改正後の商法第二百十条ノ二第一項の規定は、この法律の施行前に株主総会又は社員総会の招集の手続が開始された場合における自己の株式又は持分の取得については、適用しない。
(罰則の適用に関する経過措置)
4 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (平成九年五月二一日法律第五六号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、平成九年六月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 目次の改正規定、第百七十五条の改正規定、第二編第四章第三節ノ二の次に一節を加える改正規定及び第四百十四条の改正規定並びに附則第六条及び第七条の規定 平成九年十月一日
二 附則第八条から第十一条までの規定 平成十年四月一日
(経過措置)
第二条 この法律の施行前に定時総会の招集の手続が開始された場合におけるその定時総会の決議に係る自己の株式の取得については、なお従前の例による。
(罰則の適用に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前にした行為及び前条の規定により従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (平成九年六月六日法律第七一号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
2 この法律の施行前に締結された合併契約に係る合併に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(罰則の適用に関する経過措置)
3 この法律の施行前にした行為及び前項の規定により従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (平成九年一二月三日法律第一〇七号)
この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
附則 (平成一〇年六月一五日法律第一〇七号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十年十二月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第一条中証券取引法第四章の次に一章を加える改正規定(第七十九条の二十九第一項に係る部分に限る。)並びに同法第百八十九条第二項及び第四項の改正規定、第二十一条の規定、第二十二条中保険業法第二編第十章第二節第一款の改正規定(第二百六十五条の六に係る部分に限る。)、第二十三条の規定並びに第二十五条の規定並びに附則第四十条、第四十二条、第五十八条、第百三十六条、第百四十条、第百四十三条、第百四十七条、第百四十九条、第百五十八条、第百六十四条、第百八十七条(大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)第四条第七十九号の改正規定を除く。)及び第百八十八条から第百九十条までの規定 平成十年七月一日
(処分等の効力)
第百八十八条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定)の施行前に改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。
(罰則の適用に関する経過措置)
第百八十九条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定)の施行前にした行為並びにこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合及びこの附則の規定によりなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第百九十条 附則第二条から第百四十六条まで、第百五十三条、第百六十九条及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(検討)
第百九十一条 政府は、この法律の施行後においても、新保険業法の規定による保険契約者等の保護のための特別の措置等に係る制度の実施状況、保険会社の経営の健全性の状況等にかんがみ必要があると認めるときは、保険業に対する信頼性の維持を図るために必要な措置を講ずるものとする。
2 政府は、前項に定めるものを除くほか、この法律の施行後五年以内に、この法律による改正後の規定の実施状況、金融システムを取り巻く社会経済状況の変化等を勘案し、この法律による改正後の金融諸制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附則 (平成一一年八月一三日法律第一二五号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条中商法第二百八十五条ノ四、第二百八十五条ノ五第二項、第二百八十五条ノ六第二項及び第三項、第二百九十条第一項並びに第二百九十三条ノ五第三項の改正規定並びに附則第六条中農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第二十三条第三項及び第二十四条第一項の改正規定、附則第七条中商工組合中央金庫法(昭和十一年法律第十四号)第三十九条ノ三第三項及び第四十条ノ二第一項の改正規定、附則第九条中農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第五十二条第一項の改正規定、附則第十条中証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第五十三条第三項の改正規定及び同条第四項を削る改正規定、附則第十一条中水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第五十六条第一項の改正規定、附則第十二条中協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号)第五条の五の次に一条を加える改正規定及び同法第十二条第一項の改正規定、附則第十三条中船主相互保険組合法(昭和二十五年法律第百七十七号)第四十二条第一項の改正規定、附則第十六条中信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第五十五条の三第三項及び第五十七条第一項の改正規定、附則第十八条中労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)第六十一条第一項の改正規定、附則第二十三条中銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第十七条の二第三 項の改正規定及び同条第四項を削る改正規定、附則第二十六条の規定、附則第二十七条中保険業法(平成七年法律第百五号)第十五条に一項を加える改正規定、同法第五十五条第一項及び第二項、第百十二条第一項並びに第百十二条の二第三項の改正規定、同条第四項を削る改正規定、同法第百十五条第二項、第百十八条第一項、第百十九条及び第百九十九条の改正規定並びに同法附則第五十九条第二項及び附則第九十条第二項を削る改正規定、附則第二十九条中株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律(平成九年法律第五十五号)第七条第二項の改正規定並びに附則第三十一条中特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第百一条第一項及び第百二条第三項の改正規定は、平成十二年四月一日から施行する。
(監査報告書に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前に終了した営業年度について作成すべき監査報告書の記載事項に関しては、なお従前の例による。農林中央金庫、農業協同組合及び農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会、信用協同組合及び信用協同組合連合会(中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第一号の事業を行う協同組合連合会をいう。次条において同じ。)、信用金庫及び信用金庫連合会、労働金庫及び労働金庫連合会並びに相互会社(保険業法第二条第五項に規定する相互会社をいう。次条において同じ。)についての、この法律の施行前に終了した事業年度について作成すべき監査報告書の記載事項に関しても、同様とする。
(金銭債権等の評価に関する経過措置)
第三条 附則第一条ただし書に掲げる改正規定の施行前に開始した営業年度の決算期における金銭債権、社債その他の債券及び株式その他の出資による持分の評価(以下この条において「金銭債権等の評価」という。)に関しては、なお従前の例による。次の各号に掲げる金銭債権等の評価に関しても、同様とする。
一 農林中央金庫、商工組合中央金庫、農業協同組合及び農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会、信用協同組合及び信用協同組合連合会、船主相互保険組合、信用金庫及び信用金庫連合会並びに労働金庫及び労働金庫連合会についての、附則第一条ただし書に掲げる改正規定の施行前に開始した事業年度終了の日における金銭債権等の評価
二 証券投資法人(証券投資信託及び証券投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十一項に規定する証券投資法人をいう。)についての、附則第一条ただし書に掲げる改正規定の施行前に開始した営業期間(同法第百三十三条第二項に規定する営業期間をいう。)の決算期における金銭債権等の評価
三 相互会社についての、附則第一条ただし書に掲げる改正規定の施行前に開始した事業年度の決算期における金銭債権等の評価
附則 (平成一一年一二月八日法律第一五一号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。
第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。
附則 (平成一一年一二月二二日法律第二二五号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(民法等の一部改正に伴う経過措置)
第二十五条 この法律の施行前に和議開始の申立てがあった場合又は当該申立てに基づきこの法律の施行前若しくは施行後に和議開始の決定があった場合においては、当該申立て又は決定に係る次の各号に掲げる法律の規定に定める事項に関する取扱いについては、この法律の附則の規定による改正後のこれらの規定にかかわらず、なお従前の例による。
一 民法第三百九十八条ノ三第二項
二 船員保険法第三十三条ノ十二ノ三第一項第一号ハ
三 農水産業協同組合貯金保険法第五十九条第三項及び第六十八条の三第二項
四 雇用保険法第二十二条の二第一項第一号ハ
五 非訟事件手続法第百三十五条ノ三十六
六 商法第三百九条ノ二第一項第二号並びに第三百八十三条第一項及び第二項
七 証券取引法第五十四条第一項第七号、第六十四条の十第一項及び第七十九条の五十三第一項第二号
八 中小企業信用保険法第二条第三項第一号
九 会社更生法第二十条第二項、第二十四条、第三十七条第一項、第三十八条第四号、第六十七条第一項、第七十八条第一項第二号から第四号まで、第七十九条第二項、第八十条第一項並びに第百六十三条第二号及び第四号
十 国の債権の管理等に関する法律第三十条
十一 割賦販売法第二十七条第一項第五号
十二 外国証券業者に関する法律第二十二条第一項第八号及び第三十三条第一項
十三 民事訴訟費用等に関する法律別表第一の十二の項及び十七の項ニ
十四 積立式宅地建物販売業法第三十六条第一項第五号
十五 中小企業倒産防止共済法第二条第二項第一号
十六 銀行法第四十六条第一項
十七 特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律第百十一条第四項第二号
十八 保険業法第六十六条、第百五十一条及び第二百七十一条第一項
十九 金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第二十四条第一項、第二十六条、第二十七条、第三十一条、第四十五条、第四十八条第一項第二号から第四号まで及び第四十九条第一項
二十 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第四十条第一項及び第三項
(罰則の適用に関する経過措置)
第二十六条 この法律の施行前にした行為及びこの法律の附則において従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (平成一二年五月三一日法律第九〇号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(罰則の適用に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(労働契約の取扱いに関する措置)
第五条 この法律による改正後の商法及び有限会社法の規定に基づく会社の分割に伴う労働契約の承継に関しては、分割をする会社は、分割計画書又は分割契約書を本店に備え置くべき日までに、労働者と協議をするものとする。
2 前項に規定するもののほか、同項の労働契約の承継に関連して必要となる労働者の保護に関しては、別に法律で定める。
附則 (平成一三年六月八日法律第四一号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十四年四月一日から施行する。
附則 (平成一三年六月一五日法律第四九号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (平成一三年六月二九日法律第七九号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(この法律の施行前に買い受けた自己の株式等に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にこの法律による改正前の商法(以下「旧商法」という。)第二百十二条第一項(この法律による改正前の有限会社法(以下「旧有限会社法」という。)第二十四条第一項において準用する場合を含む。)若しくは第二百十二条ノ二第一項(旧有限会社法第二十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定により買い受けた株式若しくは持分又はこの法律による廃止前の株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律(以下「旧消却特例法」という。)第三条第一項の規定により買い受けた株式(資本準備金をもって買い受けたものを除く。)であって失効の手続を終了していないものに関しては、なお従前の例による。
(次期決算期に関する定時総会の終結の時までの自己の株式の買受けに関する経過措置)
第三条 この法律の施行前に到来した最終の決算期(以下「直前決算期」という。)に関する定時総会において、旧商法第二百十条ノ二第二項(次項の規定によりなおその効力を有するものとされる場合を含む。以下この項並びに附則第五条第二項及び第十三条において同じ。)及び第二百十二条ノ二第一項(次項の規定によりなおその効力を有するものとされる場合を含む。以下この項において同じ。)の決議をした株式会社は、この法律による改正後の商法(以下「新商法」という。)第二百十条第一項の規定にかかわらず、その決議において定めた買い受けるべき株式の種類、総数及び取得価額の総額の範囲内で、この法律の施行後最初に到来する決算期(以下「次期決算期」という。)に関する定時総会の終結の時までの間、自己の株式を買い受けることができる。
2 この法律の施行前に招集の手続が開始された直前決算期に関する定時総会においてこの法律の施行後にする自己の株式の買受けに関する決議については、旧商法第二百十条ノ二(第十項を除く。)並びに第二百十二条ノ二第一項から第三項まで及び第四項(旧商法第二百十条ノ二第十項を準用する部分を除く。)の規定は、なおその効力を有する。この場合においては、その定時総会の終結の時までは、新商法第二百十条第一項から第七項までの規定は、適用しない。
3 株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨の定款の定めがある会社が、この法律の施行前に開始した相続に係る株主の相続人からその相続によって得た株式を買い受ける場合については、旧商法第二百十条ノ三(第一項ただし書を除く。)の規定は、次期決算期に関する定時総会の終結の時までは、なおその効力を有する。
4 この法律の施行の際現に旧消却特例法第三条第一項の定款の定めがある株式会社は、新商法第二百十条第一項の規定にかかわらず、次期決算期に関する定時総会の終結の時までの間、旧消却特例法第三条第二項の規定によりその定款で定められていた株式の総数から旧消却特例法第三条の二第二項の規定によりその定款で定められていた株式の総数を控除した数の範囲内で、取締役会において買い受けるべき株式の種類、数及び取得価額の総額について決議することにより、株主に配当すべき利益をもって自己の株式を買い受けることができる。この場合において、次期決算期に関する定時総会の終結の時までに買い受けることができる株式の取得価額の総額及び取締役の責任については、旧消却特例法第三条第五項及び第六条の規定の例による。
5 この法律の施行後に第一項又は前項の規定により株式を買い受ける場合については、新商法第二百十条第八項中「第二項第二号ニ掲グル事項ニ付」とあるのは、「市場価格ナキ株式ノ売主ニ付」として、同項の規定を適用する。
6 この法律の施行後に第一項若しくは第四項の規定、第三項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧商法第二百十条ノ三第一項本文の規定又は附則第二十四条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる旧消却特例法第三条第一項の規定(以下この条及び次条第二項において「施行後買受規定」という。)により株式を買い受ける場合における新商法第二百十条ノ二第一項の規定の適用については、同項中「又ハ第二百十一条ノ三第一項」とあるのは、「、第二百十一条ノ三第一項又ハ商法等の一部を改正する等の法律(平成十三年法律第七十九号)附則第三条第六項ニ規定スル施行後買受規定」とする。
(この法律の施行日を含む営業年度以前に自己の株式を買い受けた取締役の責任に関する経過措置)
第四条 この法律の施行前に終了した営業年度における自己の株式の買受けに係る取締役の責任に関しては、なお従前の例による。
2 この法律の施行の日を含む営業年度内に商法第二百四条ノ三第一項(第二百四条ノ五において準用する場合を含む。)の規定、旧商法第二百十条ノ二第一項、第二百十条ノ三第一項本文若しくは第二百十二条ノ二第一項の規定、新商法第二百十条第一項若しくは第二百十一条ノ三第一項の規定、旧消却特例法第三条第一項の規定又は施行後買受規定により株式を買い受けた場合における取締役の責任についての新商法第二百十条ノ二第二項の規定の適用については、同項中「ニ於テ前項」とあるのは「ニ於テ商法等の一部を改正する等の法律(平成十三年法律第七十九号)附則第三条第六項ノ規定ニ依リ読替テ適用スル前項」と、「純資産額」とあるのは「純資産額ニ其ノ有スル自己ノ株式ニ付会計帳簿ニ記載シタル額ノ総額ヲ加ヘタル額」と、「同項ノ合計額」とあるのは「同項ノ合計額ニ同項ニ規定スル規定又ハ同法第一条ノ規定ニ依ル改正前ノ第二百十条ノ二第一項、第二百十条ノ三第一項本文若ハ第二百十二条ノ二第一項ノ規定若ハ同法第四条ノ規定ニ依ル廃止前ノ株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律(平成九年法律第五十五号)第三条第一項ノ規定(以下本項ニ於テ任意買受規定ト称ス)ニ依リ取得シテ有スル株式ニ付会計帳簿ニ記載シタル額ヲ加ヘタル額ヨリ其ノ株式ノ時価ノ合計額ヲ控除シタル額」と、「同項ニ規定スル規定」とあるのは「任意買受規定」と、「株式ノ価額ノ総額」とあるのは「株式ノ価額ノ総額及其ノ取得シテ有スル株式ノ時価ノ合計額」と、「前項ノ虞」とあるのは「本項本文ニ規定スル場合ニ当ル虞」とする。
(自己の株式の処分の制限等)
第五条 株式会社は、平成十四年三月三十一日までの間、新商法第三百五十六条、第三百七十四条ノ十九及び第四百九条ノ二並びに次項に規定する場合を除き、その有する自己の株式を処分してはならない。
2 旧商法第二百十条ノ二第二項の決議に基づいて株式を買い受けた会社は、その株式をその決議の範囲内で譲渡することができる。この場合においては、新商法第二百十一条の規定は、適用しない。
(株式分割に関する経過措置)
第六条 この法律の施行前に決議をした株式の分割に関しては、なお従前の例による。
(端株主の権利に関する経過措置)
第七条 この法律の施行の際旧商法第二百三十条ノ五前段の規定による定款の定めがない株式会社(この法律の施行前に定款の認証を受け、この法律の施行後に成立するものを含む。)については、この法律の施行の日において、新商法第二百二十条ノ三第二項の規定により端株主に対して同条第一項第一号又は第四号の権利を与えない旨の定款の変更の決議があったものとみなす。
2 この法律の施行の際現に存する株式会社(この法律の施行前に定款の認証を受け、この法律の施行後に成立するものを含む。)については、この法律の施行の日において、新商法第二百二十条ノ三第二項の規定により端株主に対して同条第一項第三号の権利を与えない旨の定款の変更の決議があったものとみなす。
3 この法律の施行の際旧商法第二百三十条ノ五後段の規定による定款の定めがある株式会社の端株主であって株主でないものの配当若しくは金銭の分配又は引受権を受ける権利に関しては、なお従前の例による。
(端株券に関する経過措置)
第八条 この法律の施行前に旧商法第二百三十条ノ八ノ二第一項の規定により、定款を変更して、端株券を発行しない旨の定めをした株式会社の端株券に関しては、平成十五年三月三十一日までは、なお従前の例による。
2 前項の規定によりなお従前の例によることとされる場合については、旧商法第三百五十一条第一項中「一定ノ期間内」とあるのは、「平成十五年三月三十一日以前ノ日ヲ終期トスル一定ノ期間内」とし、この法律の施行前に同項の規定により平成十五年四月一日以後の日を同項の一定の期間の終期としてされた公告については、平成十五年三月三十一日をその一定の期間の終期としてされたものとみなす。
3 端株券(第一項の株式会社が発行しているものを除く。以下この項から第七項までにおいて同じ。)であって、平成十五年三月三十一日までに次項ただし書の規定による提出がなかったものについては、同日限り無効とする。ただし、株式会社は、取締役会の決議により、その発行している端株券を、同日以前の一定の日において無効とすることができる。
4 この法律の施行前に発行されている端株券に関しては、平成十五年三月三十一日(前項ただし書の決議をした場合にあっては、その決議により定められた一定の日)までは、なお従前の例による。ただし、端株券を有する者がその端株券を会社に提出して新商法第二百二十条ノ二第一項第一号、第二号及び第四号に掲げる事項を端株原簿に記載すべき旨の請求をすること又は新商法第二百二十条ノ六第一項の規定による請求をすることを妨げない。
5 第三項ただし書の決議をしたときは、株式会社は、同項ただし書の一定の日までに端株券を当該株式会社に提出すべき旨及びその日までに提出されなかった端株券はその日において無効となる旨をその日の一月前に公告しなければならない。
6 第四項ただし書及び前項の場合において、株式会社は、端株券が提出されたときは、新商法第二百二十条ノ二第一項第一号、第二号及び第四号に掲げる事項を端株原簿に記載しなければならない。
7 第四項ただし書及び第五項の場合において端株券を提出することができない者がいるときは、株式会社は、その者の請求により、利害関係人に対し異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、その期間経過後において前項の記載をすることができる。
8 この法律の施行前に端株券を発行している株式会社は、第一項から第三項までの規定により提出されなかった端株券が無効とされる日後でなければ、新商法第二百二十条ノ二第二項及び第二百二十一条第一項の規定による定款の定めをしてはならない。
9 新商法第四百九十八条第一項第二号の規定は第五項の規定に違反して公告を怠り又は不正の公告をした場合について、新商法第二百十六条第一項ただし書及び第二項の規定は第七項の公告をする場合について、それぞれ準用する。
(単元株式等に関する経過措置)
第九条 数種の株式を発行する会社が、平成十三年十二月三十一日までの間に、一単元の株式の数を定める場合については、株式の種類ごとに定める一単元の株式の数は、同一の数としなければならない。
2 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の商法等の一部を改正する法律(以下「旧商法等改正法」という。)附則第十六条第一項の規定により五万円を額面株式一株の金額で除して得た数を一単位の株式の数としている株式会社又は定款で一単位の株式の数を定めている株式会社は、この法律の施行の日において、その一単位の株式の数を株式の種類ごとに新商法第二百二十一条第一項の一単元の株式の数として定める旨の定款の変更の決議をしたものとみなす。この場合において、この法律の施行の際に千を超える数を一単位の株式の数としている株式会社についての同項ただし書の規定の適用については、同項ただし書中「千」とあるのは、「商法等の一部を改正する等の法律(平成十三年法律第七十九号)附則第九条第二項前段ノ規定ニ依リ定メタルモノト看做サレタ数」とする。
3 この法律の施行前に旧商法等改正法附則第十六条第一項の一単位の株式の数を定め又は変更する旨の定款の変更の決議をした場合であって、この法律による改正がなかったとしたならばその効力を発生したであろう日がこの法律の施行の日後の日であるときは、その効力を発生したであろう日において、当該決議に係る一単位の株式の数を株式の種類ごとの一単元の株式の数として定める旨の定款の変更がされたものとみなす。ただし、当該決議に係る一単位の株式の数が千又は発行済株式の総数の二百分の一に当たる数を超えるときは、この限りでない。
4 第二項の株式会社は、この法律の施行の日において、新商法第二百二十一条第五項本文の規定により一単元の株式の数に満たない株式に係る株券を発行しない旨の定款の変更の決議をしたものとみなす。
5 この法律の施行の際現に存する株式会社(第二項の株式会社を除き、この法律の施行前に定款の認証を受け、この法律の施行後に成立するものを含む。)であって一単元の株式の数を定めたことがないものが株式の分割を行うことをその効力の発生の条件とする新商法第二百二十一条第一項の一単元の株式の数を定める旨の定款の変更の決議をした場合において、その条件を満たすため株式の分割を行うときは、取締役会は、新商法第二百十八条第一項の決議において、現に発行している株券の提出を要する旨を定めることができる。この場合においては、同条第二項及び新商法第二百十九条の規定は、適用しない。
6 この法律の施行前に旧商法等改正法附則第十九条第一項の規定によりなされた単位未満株式に係る買取りの請求に関しては、なお従前の例による。
7 この法律の施行の際現に旧商法等改正法附則第六条第一項の規定により旧商法第二百三十条ノ二第一項の規定を適用しないこととされている株式会社(第二項の株式会社を除く。)については、この法律の施行の日において、新商法第二百二十条ノ二第二項の規定により一株に満たない端数を端株として端株原簿に記載しない旨の定款の変更の決議をしたものとみなす。
8 新商法第二百十六条並びに第三百五十条第一項及び第二項の規定は第五項の株券の提出を要する旨の定めをした場合について、新商法第四百九十八条第一項第二号の規定はこの項において準用する新商法第三百五十条第一項の規定に違反して公告若しくは通知を怠り又は不正の公告若しくは通知をした場合について、それぞれ準用する。
(議決権の数等に関する経過措置)
第十条 この法律の施行前に招集の手続が開始された創立総会における議決権の数又はこの法律の施行前に招集の手続が開始された株主総会若しくは旧商法第三百四十五条第一項(第三百四十六条において準用する場合を含む。)の規定によるある種類の株主の総会における議決権の数及び定足数に関しては、なお従前の例による。
(簡易合併等に対する反対の意思の通知に関する経過措置)
第十一条 この法律の施行前二週間以内に旧商法第二百四十五条ノ五第二項、第三百五十八条第四項、第三百七十四条ノ二十三第四項又は第四百十三条ノ三第四項に規定する公告又は通知がされた営業全部の譲受け、株式交換又は会社の分割若しくは合併については、旧商法第二百四十五条ノ五第六項、第三百五十八条第八項、第三百七十四条ノ二十三第八項又は第四百十三条ノ三第八項の規定は、なおその効力を有する。
(抱合せ増資に関する経過措置)
第十二条 この法律の施行前に旧商法第二百八十条ノ二第一項第九号に掲げる事項について決議のあった新株の発行に関しては、なお従前の例による。
(新株の引受権の付与に関する経過措置)
第十三条 旧商法第二百十条ノ二第二項の決議(同項第三号に掲げる事項に関するものに限る。)をした株式会社についての新商法第二百八十条ノ十九第三項の適用については、同項中「ノ数ト併セテ」とあるのは、「及商法等の一部を改正する等の法律(平成十三年法律第七十九号)第一条ノ規定ニ依ル改正前ノ第二百十条ノ二(同法附則第三条第二項ノ規定ニ依リ仍其ノ効力ヲ有スルモノトサレタル場合ヲ含ム)第二項第三号ニ定ムル場合ニ於ケル同項ノ決議ニ係ル譲渡スベキ株式ニシテ未ダ取締役又ハ使用人ニ譲渡サザルモノノ数ト併セテ」とする。
(利益準備金の積立てに関する経過措置)
第十四条 直前決算期以前の決算期に株式会社又は有限会社が利益準備金として積み立てるべき金額に関しては、なお従前の例による。
(利益の配当の限度に関する経過措置)
第十五条 直前決算期以前の決算期に係る株式会社又は有限会社の利益の配当の限度に関しては、なお従前の例による。
(中間配当に関する経過措置)
第十六条 この法律の施行前に旧商法第二百九十三条ノ五第一項の決議があった場合におけるその決議による金銭の分配に関しては、なお従前の例による。
2 この法律の施行後(この法律の施行の日の属する営業年度内に限る。)に新商法第二百九十三条ノ五第一項の決議があった場合における同条第三項の適用については、同項各号列記以外の部分中「純資産額」とあるのは、「純資産額ヨリ其ノ有スル自己ノ株式ニ付会計帳簿ニ記載シタル額ノ総額ヲ控除シタル額」とする。
(会社分割に伴う株式又は持分の消却及び株式の併合に関する経過措置)
第十七条 この法律の施行前に分割計画書又は分割契約書が作成された会社の分割(分割計画書に旧商法第三百七十四条第二項第七号(旧有限会社法第六十三条ノ六第一項において準用する場合を含む。)に掲げる事項の記載がある新設分割又は分割契約書に旧商法第三百七十四条ノ十七第二項第七号(旧有限会社法第六十三条ノ九第一項において準用する場合を含む。)に掲げる事項の記載がある吸収分割に限る。)については、旧商法第二百十二条第一項本文(旧有限会社法第二十四条第一項において準用する場合を含む。)及び第二項、第三百七十四条ノ七第一項(第三百七十四条ノ三十一第五項において準用する場合を含む。)、第三百七十四条ノ十五第二項並びに第三百七十四条ノ三十一第二項の規定並びにこれらの規定によって準用される旧商法第二百十四条第二項及び第二百十五条から第二百十七条までの規定は、なおその効力を有する。
(資本の減少に関する経過措置)
第十八条 この法律の施行前に旧商法第三百七十五条第一項又は旧有限会社法第四十七条の決議があった資本の減少に関しては、なお従前の例による。
(合併による株式併合に関する経過措置)
第十九条 この法律の施行前に合併契約書が作成された合併(旧商法第四百十六条第三項に規定する合併による株式併合をするものに限る。)については、旧商法第四百十六条第三項及び第四項の規定並びにこれらの規定において準用する旧商法第二百八条、第二百九条第三項、第二百十四条第二項及び第二百十五条から第二百十七条までの規定は、なおその効力を有する。
(額面株式の株券の無効手続及び新株券の交付)
第二十条 株式会社は、取締役会の決議により、この法律の施行前に発行されている一株の金額の記載のある株券を無効として新たな株券を発行することができる。
2 新商法第二百十六条及び第三百五十条第一項の規定は前項の場合について、新商法第四百九十八条第一項第二号の規定はこの項において準用する新商法第三百五十条第一項の規定に違反して公告若しくは通知を怠り又は不正の公告若しくは通知をした場合について、それぞれ準用する。
(株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律の廃止に伴う経過措置)
第二十四条 この法律の施行の際現に旧消却特例法第三条の二第一項の定款の定めがある株式会社についての資本準備金をもってする株式の消却に関しては、この附則に別段の定めがある場合を除き、次期決算期に関する定時総会の終結の時までは、なお従前の例による。
2 土地の再評価に関する法律(平成十年法律第三十四号)第八条の二第三項の規定の適用については、旧消却特例法第三条の二第二項から第六項まで、第四条から第六条まで、第八条及び第九条の規定は、なおその効力を有する。
(罰則の適用に関する経過措置)
第二十五条 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
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