第2回
派閥
原文up2000/06/18
加筆修正2012/03/14
2010/03/03更新=リンク先を整理しました。
派閥というと、自民党の派閥を思い浮かべる人が多いと思うが、弁護士の集まりである弁護士会にも派閥がある。
「弁護士会に派閥?。え!」という方も多いと思うが、僕自身、自由を信条とする「弁護士会に派閥がある」と知ったのは、司法修習時代のこと。自民党の派閥を批判しながら弁護士会にも派閥があると知って、正直言って驚いたことを覚えている。
当時、この点を弁護士会の偉い先生に確認したところ、その弁護士は、こう説明した。
――自民党の派閥は「利権派閥」だが、弁護士会の派閥は「政策派閥」である。当然弁護士の中でも様々な意見がある。同じ立場の弁護士が集うのが派閥であり、派閥は、弁護士会の意見形勢には必要である。
僕は「世の中がおかしい」と思ったら、黙っていたらダメで、行動で回りに人の考えを変えていくしかないというのが、信条である。実際、弁護士にも自民党系から共産党系まで様々ある。自分の意見を広げていこうと思ったら、弁護士会の中でも多数を取るしかないのだ。
自民党の派閥の場合には、選挙ごとに、選挙資金が所属議員にばら撒かれ、また大臣や内閣総理大臣になることで、利権が転がり込む。この点、弁護士会の会長になっても、利権があるわけではない。ただで、しんどいだけなのだ。
僕自身も、第二東京弁護士会の消費者委員会の副委員長を2年ほどし、その後昨年から日弁連の消費者問題対策委員会の副委員長をつとめている(来年6月まで)が、はっきり言って、しんどいし、早くやめたいというのが本音である。
月に最低2日は、消費者委員会の仕事で潰れるうえ、全くのボランティアである。交通費まで自弁。弁護士会の仕事は、肩書きに利用できるという程度の本当の名誉職なのである。
もっとも弁護士会の会長職ともなると、名誉職弁護士会の顔となり、世論に対する影響力もある。
したがって会長選挙は、事実上、派閥が推薦した弁護士同士が有力候補となり、繰り広げられることになる(※宇都宮健児会長が立候補した選挙のみ例外)。
ところで僕が司法修習時代、実務修習をしたのは、大阪だった。大阪弁護士会には、次表のとおり7つの派閥が存在する。
ちなみに中坊公平弁護士の所属派閥は春秋会である。派閥の必要性の話を弁護士に聞いたのも大阪時代の話である。
ところが東京で弁護士になった僕は、さらに驚くことになる。
東京弁護士会には、派閥の下に、さらに派閥内派閥まであるのだ。
東京弁護士会は、日本の弁護士(1万7000人)の5分1を占める最大の弁護士会(第一東京弁護士会と第二東京弁護士会の登録弁護士は、東京弁護士会の約半分。大阪弁護士会は東京弁護士会の5分の3ほど)。あまりの巨大さに、派閥だけではもはや意見形勢もできない状況なのだ(※2000年当時の数字)。
なお派閥があるのは。もちろん弁護士の所属が多い都会の大弁護士会だけの話である。
ちなみに僕は第二東京弁護士会の全友会に所属している。全友会は、二弁最大の派閥の一つであり、もちろん人権派閥。二弁の会長にも、全友会出身が輩出している。 |
参考
―派閥の名前がまるでやくざみたいと思うのは、僕だけではないでしょう―
弁護士会名 |
派閥名 |
派閥内派閥名 |
東京弁護士会 |
法友会 |
1部(易水会) |
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2部(二六会) |
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3部(法曹縦横会) |
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4部(緑新会) |
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5部(公正会) |
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6部(至誠会) |
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7部(革新法曹会) |
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8部(春秋会) |
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10部(法曹緑会) |
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11部(達成会) |
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12部(法曹同志会) |
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法友全期会 |
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法曹親和会 |
東京法曹会 |
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二一会 |
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大同会 |
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親和全期会 |
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期成会 |
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水曜会 |
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第一東京弁護士会 |
新緑会 |
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青風会 |
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第一倶楽部 |
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全期会 |
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第二東京弁護士会 |
五月会 |
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日比谷倶楽部 |
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日本法曹倶楽部 |
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全友会 |
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清友会 |
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新風会 |
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紫水会 |
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向陽会 |
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大阪弁護士会 |
一水会 |
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友新会 |
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法曹公正会 |
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春秋会 |
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五月会 |
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法曹同志会 |
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法友倶楽部 |
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愛知県弁護士会 |
清流会 |
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鳥合会 |
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法曹維新会 |
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公正倶楽部 |
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無名会 |
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