改革選挙 橋本派が一人勝ち
政局運営に曲折も
青木氏は内閣改造求めず
小泉純一郎首相(自民党総裁)は三十日、参院選で与党三党が非改選議席とあわせて安定多数(百二十九議席)を超える百三十九議席を獲得したことを受け、選挙戦で訴えた「聖域なき構造改革」の具体化に着手する。
自民党内では、業界・団体の支援を受ける組織候補を多く抱え、「改革抵抗勢力」と見られてきた橋本派が「事実上の一人勝ち」となり、最大派閥として、強い影響力を維持することになった。改革が具体化するに従って同派内から異論が出るのは必至で「小泉改革」には曲折が予想される。
橋本派は当面、自民党圧勝を受け、首相を支持する立場。同派は当初、一部の閣僚交代による内閣改造を求めていたが、同派幹部の青木幹雄参院幹事長は三十日早朝、改造を見送る首相の意向に従う考えを示した。 首相の続投が固まり、九月の自民党総裁選で無投票再選となる見通しになったのも、橋本派が「せっかく立派な成績で勝った人に、あらためて信を問うようなことはあり得ない」(野中広務事務総長)と、首相支持を鮮明にしたためだ。
ただ、首相が郵政三事業民営化を打ち出しているのに対し、特定郵便局長のOBらで構成する「大樹」などの支援を受けた旧郵政省出身で、橋本派の高祖憲治氏が比例代表上位で当選した。 道路特定財源の見直しに関しても、使途拡大に積極的な首相に対し、橋本派内で公然と異論が出ており、改革をめぐる攻防が本格化する。
さらに与党内では、財政出動を伴う景気浮揚策を求める声が強まっており、「国債発行年三十兆円以下」の首相の公約が守られるかどうか微妙な情勢だ。
橋本派、20勝1敗
自民党の獲得議席を派閥別に見ると、橋本派が二十勝一敗と圧倒的な「勝率」で改選議席の二十議席を確保した上に、同派が積極的に支援し、同派の影響力を受けるとみられる「隠れ橋本派」議員が七人当選した。ほかの派閥はいずれも議席を減らすか現状維持で、最大派閥・橋本派の「一人勝ち」が際立っている。
小泉純一郎首相が派閥会長を務めていた森派は九勝四敗で最も「勝率」が低く、改選後の参院勢力も二十議席から十五議席へと後退、参院では第二派閥から第三派閥に転落した。
江藤・亀井派は九議席を獲得。改選前から一議席減らしたものの、参院では森派を上回る十八人の第二派閥の勢力を確保した。当選後の所属派閥を明確にしていない新人も十五人いる。
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