http://tx.excite.co.jp/tx/commentator/より
2001年7月参院選
投票日は7月29日(日曜日)
最終更新日01/07/30



追記
参議院選挙の結果を受けて


 選挙結果は自民党の圧勝だ。

 しかし、僕は今回の選挙について、「国民は、自民党内の反小泉勢力に対して信任を与える可能性がある」「自民党が単純に勝っても、小泉政権の基盤につながらない」と指摘していた。

 選挙結果の実態を見ると、今回の選挙で、小泉内閣の掲げる構造改革に対する最大の反対勢力だと思われる「橋本派」が圧勝している。

 要するに、国民は今回の選挙の複雑な図式が理解できなかったというほかなく、正直言って、今回の選挙が、日本にとっての「戦後初めての試練」とならなかったことに、大きく、失望した。

 日本の国民意識はこの程度のものなのだろうか?

 小泉政権の行く先は、党内調整の壁に阻まれ、険しいというほかない。






選挙結果
改選参院選議席
自民党 公明党 保守党 民主党 共産党 社民党 自由党 その他
64 13 1 26 5 3 6 3

選挙区
自民党 公明党 保守党 民主党 共産党 社民党 自由党 その他
44 5 0 18 1 0 2 3

比例区
自民党 公明党 保守党 民主党 共産党 社民党 自由党 その他
20 8 1 8 4 3 4 0






東京新聞01/07/30


改革選挙 橋本派が一人勝ち

政局運営に曲折も

青木氏は内閣改造求めず

 小泉純一郎首相(自民党総裁)は三十日、参院選で与党三党が非改選議席とあわせて安定多数(百二十九議席)を超える百三十九議席を獲得したことを受け、選挙戦で訴えた「聖域なき構造改革」の具体化に着手する。

 自民党内では、業界・団体の支援を受ける組織候補を多く抱え、「改革抵抗勢力」と見られてきた橋本派が「事実上の一人勝ち」となり、最大派閥として、強い影響力を維持することになった。改革が具体化するに従って同派内から異論が出るのは必至で「小泉改革」には曲折が予想される。

  橋本派は当面、自民党圧勝を受け、首相を支持する立場。同派は当初、一部の閣僚交代による内閣改造を求めていたが、同派幹部の青木幹雄参院幹事長は三十日早朝、改造を見送る首相の意向に従う考えを示した。 首相の続投が固まり、九月の自民党総裁選で無投票再選となる見通しになったのも、橋本派が「せっかく立派な成績で勝った人に、あらためて信を問うようなことはあり得ない」(野中広務事務総長)と、首相支持を鮮明にしたためだ。

  ただ、首相が郵政三事業民営化を打ち出しているのに対し、特定郵便局長のOBらで構成する「大樹」などの支援を受けた旧郵政省出身で、橋本派の高祖憲治氏が比例代表上位で当選した。 道路特定財源の見直しに関しても、使途拡大に積極的な首相に対し、橋本派内で公然と異論が出ており、改革をめぐる攻防が本格化する。

  さらに与党内では、財政出動を伴う景気浮揚策を求める声が強まっており、「国債発行年三十兆円以下」の首相の公約が守られるかどうか微妙な情勢だ。

橋本派、20勝1敗


 自民党の獲得議席を派閥別に見ると、橋本派が二十勝一敗と圧倒的な「勝率」で改選議席の二十議席を確保した上に、同派が積極的に支援し、同派の影響力を受けるとみられる「隠れ橋本派」議員が七人当選した。ほかの派閥はいずれも議席を減らすか現状維持で、最大派閥・橋本派の「一人勝ち」が際立っている。

 小泉純一郎首相が派閥会長を務めていた森派は九勝四敗で最も「勝率」が低く、改選後の参院勢力も二十議席から十五議席へと後退、参院では第二派閥から第三派閥に転落した。

 江藤・亀井派は九議席を獲得。改選前から一議席減らしたものの、参院では森派を上回る十八人の第二派閥の勢力を確保した。当選後の所属派閥を明確にしていない新人も十五人いる。







参議院選挙にあたって

弁護士 紀藤正樹 (ニュースアイ・木曜コメンテーター)

 今回の選挙は、政局なき選挙だ。 つまり小泉政権の主張していることと、野党側の主張してきたことの基本は同じ で、わが国の当面の課題に大きな違いはない。

 政策が同じなら、今後の日本の舵取りを、自民党という政党に委ねるのか、そうではないのかが、今回の選挙で直接問われることになる。

 小泉内閣を支持するとしても、自民党が与党でよいということには直結しない。
 憲法改正問題、防衛、靖国神社への参拝問題など、大局の問題では、与野党の溝は大きい。

 欧米では、大統領の選任と、立法府での与野党の勢力が逆転しているということがよくある。政治への信任と、立法府への信任が異なることで、政治の暴走を防ぐという民意がうかがえる。

 現在の小泉政権も、野党支持層の基盤もあり、人気が、直接自民党への支持にはつながらないという複雑な状況にある。加えて小泉政権の人気が、そのまま自民党の勝利につながるなら、国民は、自民党内の反小泉勢力に対して信任を与える可能性がある。自民党が単純に勝っても、小泉政権の基盤につながらないと言う点が、みそである。

 つまり今回の選挙は国民がこれまで経験したことのないような複雑な様相を呈する選挙である。あえて言えば、政局なき政党信任選挙が、今回の参院選挙の特徴だ。

 こうした図式を具体的に理解して選挙が行われるとしたら、日本人にとっては、戦後初めて、長期的な政策本位で、政党や政党内勢力を選ぶという具体的な選択を迫られる試練となるのではなかろうか









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