私は日本テレビ系「ザ・サンデー」の発言をきっかけに、オウム真理教のホームペ
ージで個人攻撃され、それ以来「有田のウソが暴れた」などとの批判を受けている
。
その内容は全国で撒かれたビラでも顔写真入りで紹介された。オウム側とは何度
か手紙のやりとりもあり、3回の回答はオウムのホームページでも紹介された。
し かし、5月15日付けの回答については、いまにいたるも掲載していない。こうし
た詐術もふくめ、オウム真理教はいかに世間を欺いていることか。ことの経過を紹
介しよう。
99年に入ってからも、オウム真理教指導部によって、「手に入れた物件は死守せ
よ」との上祐史浩の指示があったと信者たちに伝えられた。したがって私は4月4日の日本テレビ系「ザ・サンデー」でこう語った。
「上祐受刑者が信者にまた通達を出しているんですけども、いま手に入れている物
件、つまり北御牧村とか清里の物件について『何としても死守せよ』と。教団最高
幹部の意図として動いているという理解をした方がいいと思うんですけどね」
私が語った意図は、上祐通達なるものが信者に伝えられたこと、しかも億を超える
金額の物件購入は「信者個人が行った」などという教団の弁明が通用しないことに
ある。なぜなら教団に全財産をお布施した出家信者がそんな大金を個人で持ってい
るわけが無いのだから。
こうした経緯を書いた『週刊文春』(99年5月13日号
)の記事に対し、オウムは九八年九月以降上祐受刑者とは接見が禁止されているか
ら「指令を出すことなど物理的に不可能なのである」と、まるで鬼の首を取ったか
のようにビラやインターネットのホームページで主張している。
それに対し私は『週刊文春』の松井清人編集長との連名で5月15日付け回答で次
のように答えた。ところがオウムは「現在返事待ち」などといまでもホームページ
に書いたままである。ところが返事は4か月前に送付済みなのだ。
こうした小手先 の詐術を使うのがオウムの本質だ。
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回 答 書 |
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五月十二日付『謝罪訂正記事掲載要求書』拝読しました。
御指摘の文章には後段があります。 『……文書の形をとっているわけではないので、一言一句、上祐受刑者が言った通
りなのかはわかりませんが、少なくとも幹部から伝えられた現役信者が、それを
最高幹部の”指示”として受け止めたことは、本人たちが言っていることですから
間違いない』 という件です。すなわち、当該センテンスの意味するところは、複数の現役信者が
、『物件を死守せよ』という上祐受刑者の”通達”があった、とオウム真理教幹部
から伝えられ、それを言葉通り”指示”と受け止めた、ということです。
有田氏及 び小誌は、以上の事実関係をそのまま記述し、掲載したにすぎません。
上祐受刑者が昨年九月以降、接見禁止となり、北御牧村や清里の物件について”通
達”できなかったとするならば、オウム真理教幹部は上祐受刑者の影響力を利用し
、現役信者たちに誤った情報を意図的に伝えてきたということになります。それこ
そ問題ではありませんか?
結論として、小誌及び有田氏は、謝罪・訂正記事を掲載する必要を認めません。
以上、回答します。
一九九九年五月十五日
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『週刊文春』編集長松井清人 ジャーナリスト 有田芳生
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荒木広報副部長は「これにはわたしも驚いた。そんな通達、初めて聞いた」などと
ホームページに書いていたが、それは自分の部署では教団指導部の動きが把握でき
ないということの自己表明に過ぎない。
問題は、これほど影響力のある上祐史浩が、かつて言われていたようにいまでも「
現実路線」だと評価することの危険性にある。凶悪事件への関与疑惑を抱えたまま
であり、宗教である以上「尊師のおつげ」があれば麻原の「指示」を出せるからだ。
しかも教団としては事件に対してこれまで一切の謝罪も反省もない。ないどころ
か「小理屈」をこねまわし、あくまでも自己保身しか眼中にない。インターネット
情報も批判的な眼で見なければならないが、ことオウム真理教が発信する情報につ
いては、さらにいっそう吟味が必要だ。
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