初出「宗教トラブルQ&A」
(1999年4月2日)
前書き部分を改題
破壊的カルトという言葉は、帰納的な概念言語である。決して最初に定義ありきの演繹的な概念ではない。一般にこの点に誤解が多いので確認しておきたいと思う。過去破壊的カルトは幾多の社会的問題を引き起こしてきた。こうした事件を、類型的に分類してみると、おおむね次の四つに分類できる。
@対社会妨害攻撃型
A資金獲得型
B家族破壊型
C構成員収奪型
の4つがそれである(注1)。
典型例をあげると@のさいたるものが世界を震撼させたサリン事件、Aは霊感商法などの経済事件、Bは親子の断絶や離婚の事件、Cは信者の安全や健康を無視した無償労働やこれに伴う事故などがあげられよう。
わたしたちは、こうした事件を継続的に引き起こす集団を破壊的カルトと呼んでいる。
要するに、破壊的カルトがこうした社会問題を引き起こしてきたからこそ、弁護士は法的なレベルでも問題にしてきた。
ただ普通の人と違う考え方をしている、奇妙だから、なんて理由で問題としてきたわけではない。
ところが評論家の中には、こうした破壊的カルトの実態を直視せず、「カルト」の定義が曖昧だなどと言って、言葉の問題に矮小化するような意見を言う人がいる。
しかし既に述べたように破壊的カルトは演繹的言語ではなく、帰納的言語である。この点を理解すれば、破壊的カルトの実態こそが一番重要な問題なのだ。
上記四つの問題すべてを継続的かつ組織的に引き起こす集団がいたとしたら、私たちの取る態度は、おのずからNOだろう。
注1 宗教被害判例資料集の分類を参照。