STOP!敗訴者負担
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最終更新05/1/29
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政府、与党は22日、民事訴訟で負けた側が相手側の弁護士報酬の一部を支払う敗訴者負担制度の導入を盛り込んだ「民事訴訟費用法改正案」を廃案にする方針を固めた。内閣提出の法案が衆院解散以外で廃案となるのは異例。 民主党や日弁連などが「弁護士費用を心配して提訴できなくなるマイナス効果がある」と強硬に反対しているのに加え、与党内の一部でも「法案のままでは問題がある」と修正を求める声が浮上。「各党間の溝が深く、今国会で継続審議にしても成立は難しい」(与党幹部)として、内容を再検討する仕切り直しが必要と判断した。 同法案は、提訴後に原告被告双方が敗訴者側に弁護士報酬の一部を負担させることに合意し、共同で裁判所に申し立てた場合に限り認めるもので、司法制度改革の一環として、今年の通常国会に提出した。 (共同通信) -2004年 11月22日20時18分更新 |
1 2000年11月20日に出された司法審議会の中間報告「4 制度的基盤の整備→(1)利用しやすい司法制度→裁判所へのアクセス拡充」の項(この項の全文を以下に引用)で、民事訴訟の「弁護士費用の敗訴者負担」の導入が打ち出されましたが、強く反対します。 企業優位のこの社会では、悪徳商法の被害救済や、薬害、医療過誤など、企業を主な相手とする消費者事件の多くは、過去の敗訴判決の延長線上に、勝訴判決を打ち立ててきました。 最初から楽に勝てる訴訟などありません。 一見、敗訴者負担は市民的のように見えるかもしれませんが、それは明白な嘘です。 訴訟は生もの。最初から勝訴することが明らかな事件は、限られています。この制度を導入すると、仮に敗訴しても、弁護士費用の負担が可能な「お金持ち」だけが訴訟を起こせる社会となります。 この点は、消費者被害事件だけではありません。解雇や賃金未払いなどの労働事件、公害訴訟、環境訴訟、国家賠償や、セクハラ訴訟、最近話題のDV、人権事件も、同様です。 離婚や相続事件などの家事事件、借地借家事件などの事件でも、事情は同じです。 個人が起こす訴訟の大部分は、最初から勝てるなんて、たやすいものはほとんどありません。 勝訴がまず大丈夫な事件、たとえば、交通事故の被害者ような事件でさえ、損害賠償の点で、これまでなら500万円の慰謝料を求める訴訟でも、敗訴者負担制度の下では、最終的に400万円の一部勝訴の判決を受けると、被告の弁護士費用の負担の問題が生ずることになりますから、最初から勝訴確実な損害賠償の額まで抑制した損害額で、訴訟をおこすことにならざるを得ません。 つまり、現在でも慰謝料基準が低いと叫ばれているのに、被害者は、自制するしかなくなります。 2 実際、敗訴者負担制度は、訴訟の多発する米国で、訴訟全般の抑制策としてとらえられてきたものです。この制度を既に導入している英仏独では、実際、民事訴訟が激減しています。 早速、経営者側の法務担当者の集まりである経営法友会は、1月18日、「敗訴者負担は、濫訴の歯止めとして有効であり支持したい」 「政策形成訴訟、労働訴訟、少額訴訟を例外扱いするのは理解に苦しむ」という意見を公表しています。 司法改革は重要な課題ですが、その論議のゆくえをしっかり見据えないと、いつのまにか、権力側だけに有利な司法に作りかえられてしまう危険があります。 「消費者被害の救済は、刑事事件で」 これは僕が実際体験した仏独の弁護士の言葉です。仏独も、敗訴者負担制度の下にありますが、そのために消費者被害事件は、民事事件として提起するのは無謀となります。そのため、警察や行政に頼むしかなくなります。ヨーロッパ各国で、オンブズマン制度が発展した理由も、敗訴者負担の問題を無視できません。 両国は、民事事件と刑事事件が並行する制度を取っており、だからこそ、敗訴者負担の下でも、警察さえ入れば、ほぼ勝訴が確実であるという前提のもとにあります。日本とは実情が違います つまり敗訴者負担は、警察頼み、行政頼みを生む温床となり、逆に言えば、敗訴者負担制度を取る以上、オンブズマン制度、警察の民主化、民事事件と刑事事件の並行化などの制度などが、不可欠となります。法制度は、有機的に結合しており、敗訴者負担制度だけを、制度化することは、泣き寝入りを助長するだけとなります。 3 そんなわけで、現在、消費者側の弁護士、消費者団体は、強くこの制度導入に反対しています。 [参考LINK] →弁護士費用敗訴者負担に反対する連絡会-現在もっとも情報が充実。 →インパク消費者サイトより-日弁連の意見「弁護士費用敗訴者負担の導入に異議あり!」-現在、リンク切れです。 →紀藤のコラム at key-man@nifty →阿部泰隆教授(行政法:神戸大学)の反対意見 →札幌弁護士会会長声明-2000年12月12日 [経営側の意見]―敗訴者負担制度の導入賛成の意見書 →経営法友会―平成13年1月18日付け「司法制度改革審議会中間報告に対する意見書」 [反対意見の提出先] →連絡会の署名運動 →司法審議会へ →審議会の委員へ 一般的意見は、 →司法問題総合掲示板まで [参考情報] →司法改革審議会 →司法審議会の中間報告 →敗訴者負担に触れた審議会の議事録01/04/29現在 |
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段 | 司法審議会の中間報告からの引用と指摘 | |
1 | 訴訟当事者がその依頼した弁護士に支払う弁護士報酬は、現行制度上、原則として訴訟費用に含まれず、訴訟の勝敗に関わりなく、各自負担とされている(ただし、
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2 | このような制度の下では、訴訟を必要以上に費用の掛かるものとさせ、また法によって認められた権利の内容が訴訟を通じて縮小されることとなるので、それが訴えの提起をためらわせる結果となるとともに、不当な訴え・上訴の提起、不当な応訴・抗争を誘発するおそれもあるということを理由として、かねて勝訴当事者の支払った弁護士報酬(少なくともその一部)を、敗訴者に負担させる方策を導入すべきであると指摘されてきた。
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3 | 他方、この弁護士報酬の敗訴者負担制度に対しては、敗訴した場合の費用の負担が重くなり、事件の種類によっては、かえって訴えの提起を萎縮させる結果となるおそれがあるとの指摘もある。特に、訴訟を通じて社会的に問題を提起し、立法府や行政府に政策の変更や制度の改革を迫る、いわゆる政策形成訴訟について、そのことが当てはまると言われている。
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4 | 以上の点を踏まえると、弁護士報酬の敗訴者負担制度は、弁護士報酬の高さから訴訟に踏み切れなかった当事者に訴訟を利用しやすくするものであることなどから、基本的に導入する方向で考えるべきである。ただし、同時に、敗訴者に負担させる金額は、勝訴者が実際に弁護士に支払った報酬額と同額ではなく、その一部に相当しかつ当事者に予測可能な合理的な金額とすべきである。
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5 | また、労働訴訟、少額訴訟など敗訴者負担制度が不当に訴えの提起を萎縮させるおそれのある一定種類の訴訟は、その例外とすべきである。
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6 | このような見地から、敗訴者に負担させるべき弁護士費用額の定め方、敗訴者負担の例外とすべき訴訟の範囲及び例外的取扱いの在り方等について検討すべきである。
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審議会は、国民からの意見を受け付けているようです。 送付先は以下のとおり。 住 所 電子メール |
司法制度改革市民集会「ここがヘンだよ日本の裁判」を開催します
多くの皆様の参加をお待ちしています
司法制度改革市民集会「ここがヘンだよ日本の裁判」
ここがヘンだよ。日本の裁判。
~司法制度改革市民集会に参加しましょう~
司法制度改革審議会が、11月20日に中間報告を発表しました。中間報告では、「国民の司法参加」「裁判官の制度の改革」「弁護士制度の改革」など多くの点が具体的にどうなるのか今後の検討にゆだねられています。また、「団体訴権」などは実現の展望がまだ開けません。「弁護士費用の敗訴者負担」のように逆に消費者・市民を裁判から遠ざけてしまうような問題もあります。本当に人権が守られ、消費者・市民にとって利用しやすい司法制度改革となるのかどうか、今後の審議会での検討が大変重要であり、私たちも審議会に対して積極的に意見を表明していく必要があります。
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2001年5月10日国会内集会ご案内-既に終了
「司法改革への私たちの要求ー弁護士費用敗訴者負担反対を中心に」
衆議院会館内で、「5月10日集会」を予定しています。
当日が、両院の本会議の日程と重なってしまったため、
集会時刻は、正午~1時半です。
衆議院会館の見学も兼ねて、ぜひ、ご出席を!
内容は、国会議員向けですが、市民は自由参加です。
司法制度改革審議会の活動もいよいよ大詰めの時期を迎えています。
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