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弁護士紀藤正樹のLINC/資料集・判例
since00/10/05:公開00/12/02
最終更新02/04/18
 僕の「判例備忘録」を公開します。
 暇のあるときにコツコツ作っているものですから、まだまま不十分ですが、参考になると思います。更新後1週間は、がつけてあります。

キーワード
□消費者問題―マルチ商法||ネズミ講||貸し金||変額保険||先物取引||シックハウス||個人情報誌||芸能人の責任||ココ山岡事件||
□無体財産権―パブりシティ権||ドメイン問題||ビジネスモデル特許
□著名事件―犬の飼い主の責任||性同一性障害||いわゆる「東電OL事件」||オウム事件

他詳細判例
■宗教判例
■ネット判例-ダイヤルQ2、インターネット関係
出典の記載
判例時報/判例タイムズは、実務的に有用な判例を集めた法律家必読の雑誌。市販されており、図書館等で見ることも可能です。



消費者問題
マルチ商法
■東京地裁平成11年10月27日判決(判例時報1714号93頁)-アムウェイ事件

 「日本アムウェイによる商品の販売方法を、マルチ商法として批判する書籍を出版したことが、名誉、信用毀損にあたらないとされた事例」-控訴せず確定


ネズミ講
■東京高裁昭和58年7月28日判決(判例時報1105号154頁)-「E・S・プログラム」事件

 「商品の販売に名を借りあるいはその外形をとっているものの、実質的には金銭の支出・配当が無限連鎖講防止法二条の要件を具備する限り同条にいう「金銭配当組織」と解すべきであるから、人工宝石の販売に名を借りるE・Sプログラムは、無限連鎖講の防止に関する法律二条に定める「加入者が無限に増加するものであるとして」及び後続の加入者が「連鎖して段階的に二以上の倍率をもつて増加する」との要件を充たす「金銭配当組織」にあたるとされた事例」


■最高裁昭和60年12月12日判決(判例時報1182号156頁)-「E・S・プログラム」事件

 上記事件の最高裁判例

貸し金
■東京地裁平成12年1月27日判決(判例時報1725号148頁)-商工ファンド事件

 「商工ファンドから融資を受けた者のために、500万円を限度とする根保証をした者につき、信義則上、最初の融資100万円の範囲に限定して保証責任が認められた事例」


■大阪地裁平成11年3月30日判決(判例時報1700号84頁)―株式会社イッコー事件

 「貸金業者による利息を天引きした貸し付けについては、貸金業規制法43条1項の適用がないとされた事例」


変額保険
■東京地裁平成11年3月30日判決(判例時報1700号50頁)―富士銀行、朝日生命、ニコス生命、千代田生命、三井生命、明治生命、住友生命事件

 「銀行融資とセットとなった変額保険についての不法行為請求(説明義務違反)の請求が、銀行の責任は否定したものの、各生命保険会社のほか、説明にあたった公認会計士・税理士についても認められた事例」


■東京地裁平成8年7月30日判決(金融法務事情1465号90頁)―千葉銀行、日本生命、三井生命、日本団体生命事件

 「銀行融資とセットとなった変額保険について、変額保険契約お呼び銀行融資契約の錯誤無効が認められた事例」

*変額保険に関し、銀行借入契約が要素の錯誤により無効とされた初めての判決。
*変額保険について、もっと知りたい方は、変額保険被害者の会へ。
先物取引
■横浜地裁平成11年8月26日判決(判例時報1718号82頁)―オリエント貿易株式会社事件

 「商品取引において取引の初心者が勧められるままに了承する形で取引が行われた場合に取引勧誘がやり過ぎで違法とされた事例」

シックハウス(敗訴例)
■横浜地裁平成10年2月25日判決(判例時報1642号117頁)-個人対個人事件

 「建物賃借人が、賃貸人に対し、新建築物に新建材を使用したため、化学物質過敏症に罹患し退去せざるを得なくなったとして、貸主の債務不履行に基づく損害賠償請求が棄却された事例。」

マスコミ責任
■富山地裁平成11年9月9日判決「QUANTO事件判決」(判例時報1700号110頁)-「QUANTO事件判決」

 「個人情報売買誌に掲載されたコンサトートチケットの購入運申し込みをし、その代金を詐取された購読者から、右雑誌の編集者及び発行者に対する損害賠償請求が棄却された事例」

 「検討するに、個人売買は売主(記事申込書)と買主(本件雑誌購入者、読者)との間でなされるものであって、本件雑誌の編集者、発行人は第三者にすぎず、記事(個人売買情報)の申込者に単に紙面を提供しているにすぎないのであって、被告らに記事の申込者の住所地、資力、経済的信用力の一般的な調査義務を認めることはできない。
 しかし、前記認定のとおり、本件雑誌は、記事の内容、申込者の人物について一応の審理をなしているものであり、本件雑誌の購入者は記事に記載されている対象物の売買を目的として購入するものであること、個人売買が本件雑誌の媒介なくしては成り得ないこと、そして、情報に瑕疵のある場合本件雑誌はその情報を大量に発信し、被害を拡大させる結果となることに照らすと、被告らにおいて、故意又は重大な過失により、瑕疵のある情報によって読者らに損害を与えた場合には、その賠償を相当因果関係のある損害として賠償すべき義務があると解するのが相当である。けだし、個人売買の場合読者は、新聞と異なり、本件雑誌に信頼をおいて購入することはないものの、前記のような場合には、被告らにおいて情報の掲載者の違法行為に手を貸すものであり、共同不法行為者と目することができるからである。
 そこで、本件において被告らに故意又は重大な過失があるか否かを検討するに、本件雑誌によって一部の不心得者によって損害を生じたことがあったことは前記のとおりであるが、個人売買情報誌が便利で有益であることは論を持たないものであって、一部の不心得者がおり、犯罪に利用するからといってそれだけで、被告らに故意又は重大な過失があるとはいえない。また、前記のとおり浅岡が偽名で、公共学校の共済組合員証は偽造されたものであるが、組合員証の写しからこれを偽造であると見破ることは困難であり(「ひろみ」が男性の名であることもありうるのである。)、また教員が多数のコンサートチケットを所有している点にしても、右チケットは種類の異なるチケットであり、これが不自然とまでは認められない。したがって、本件において被告らに故意又は重大な過失があると認めることはできない。」

芸能人の責任
■大阪地裁昭和62年3月30日判決「原野商法・高田浩吉事件判決」(判例タイムズ638号85頁)00/01/26

「芸能人が広告に出演する場合には、その広告内容を調査する義務があり、パンフレットに推薦文を載せた高田浩吉氏への損害賠償が認められた事例」
ココ山岡特別背任・詐欺事件第1審判決
■横浜地裁平成12年3月9日判決(判例時報1716号149頁)

 「宝飾品販売店の経営者であった被告人他2名に対する商法の特別背任及び顧客らに対する詐欺について実刑判決(懲役5年6月、懲役2年、懲役3年)が言い渡された事例」
無体財産権
パブりシティ権
■東京高裁平成3年9月26日判決(判例時報1400号3頁)-「おニャン子クラブ事件」

 「①芸能人は、その氏名・肖像から生ずる顧客吸引力のもつ経済的な利益ないし価値に対し、排他性を有する財産的権利を有する、②芸能人の氏名・肖像の無断使用行為に対し、氏名・肖像に対する財産的権利に基づく差止請求を認容した事例、③芸能人の氏名・肖像の無断使用行為につき、人格的利益の侵害がないとした事例」


*おニャン子クラブを知らない人は、おニャン子クラブファンページでお勉強。
ドメイン問題


■富山地裁平成12年12月6日判決(判例時報1734号3頁)-「JACCSドメイン(jaccs.co.jp)差し止め判決」

 「不正競争防止法2条1項2号に基づくドメイン名の使用の差し止めを求める請求が認められた事例」


■東京地決平成13年4月24日判決(判例時報1755号43頁)―「ジェイフォーンドメイン(j-phone.co.jp)訴訟第1審判決」

 「不正競争防止法2条1項2号に基づくドメイン名の使用の差し止め及び損害賠償として金300万円(うち弁護士費用100万円)の損害賠償請求が認められた事例」


■2審でもジェイフォンが勝訴 ドメイン訴訟で東京高裁

*問題の所在を知らない人は、
◇e-Words「サイバースクワッティング
[JPNIC icann-d 63] 「反サイバースクワッティング消費者保護法案」参考訳. From: Makiko Matsumaru参照。



ビジネスモデル特許
■東京地決平成12年12月12日判決(判例時報1734号110頁)―ビットキャッシュ事件
■東京地決平成12年12月12日判決(判例時報1734号110頁)―ゼロ事件

 「いわゆるビジネスモデル特許に基づき、インターナショナルサイエンテフィック社が、インターネット上での少額決済システム等の使用差し止めを求めた仮処分命令申し立て事件において、債務者らのシステムは当該発明の構成要件を充足せず、特許権の侵害がないとされた事例」


その他(著名事件)
「犬の飼い主の責任」
■横浜地裁平成13年1月23日判決(判例時報1739号83頁)

 「犬に吠えられたため、転倒して傷害を負った被害者が、犬の飼い主に、民法718条に基づき、損害賠償を求めたケースに関し、約440万円の請求が認められた事例(2割過失相殺、うち弁護士費用40万円)」

 「犬は、本来、吠えるものであるが、そうだからといって、これを放置し、吠えることを容認することは、犬好きを除く一般人にとっては耐えがたいものであって、社会通念上許されるものではなく、犬の飼い主には、犬がみだりに吠えないように犬を調教すべき注意義務があるというべきである。特に、犬を散歩に連れ出す場合には、飼い主は、公道を歩行し、あるいは、佇立している人に対し、犬がみだりに吠えることがないように、飼い犬を調教する義務を負っているものと解するのが相当である」


参考:
民法第718条
 動物ノ占有者ハ其動物カ他人ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス但動物ノ種類及ヒ性質ニ従ヒ相当ノ注意ヲ以テ其保管ヲ為シタルトキハ此限ニ在ラス
 2 占有者ニ代ハリテ動物ヲ保管スル者モ亦前項ノ責ニ任ス



追加情報02/04/07
米国では?もっとすごい状況。飼い主の皆さん!気をつけましょう。


毎日新聞2002/03/22-11:15-(ロサンゼルス共同)

 犬:隣人かみ殺した事件で飼い主に殺人罪 米陪審が評決

 米サンフランシスコのマンションで大型犬が隣人をかみ殺したのは飼い主に責任があるとして、殺人罪などに問われた弁護士、マージョリー・ノーラー被告と、過失致死罪などに問われた夫の弁護士、ロバート・ノエル被告に対し、ロサンゼルスの陪審は21日、殺人罪と過失致死罪をそれぞれ認める評決を下した。

 犬のトラブルで飼い主が殺人罪と認定されたのは全米で3例目。両被告にはそれぞれ最高で終身刑、禁固4年の判決が5月10日に言い渡される予定。

 両被告は飼育していた大型犬2匹が昨年1月、マンションの廊下で隣人の女性をかみ殺したとして逮捕、起訴された。事件当時、夫のノエル被告は外出中だったため殺人罪での起訴は見送られた。

 被告弁護側は「予想できない悲劇的な事故だった」と情状酌量を求めていた。



性同一性障害
■東京高裁平成12年2月9日決定(判例時報1718号62頁)

 「性同一性障害の治療として性転換手術を受けた場合でも、性別に関する戸籍訂正はできないとされた事例」


いわゆる「東電OL事件」
■東京高裁平成12年12月22日判決(判例時報1737号3頁)

 「強盗殺人罪で起訴されたネパール人について、無罪とした一審判決を破棄して無期懲役刑を言い渡した事例」

■東京地裁平成12年4月14日判決(判例タイムズ1029号120頁)

 「強盗殺人罪で起訴されたネパール人について、無罪とした一審判決」





オウム事件
■東京地裁平成13年6月13日判決(判例時報1755号3頁)-アレフ観察処分取り消し請求事件

 1 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に定める観察処分の合憲性。
 2 上記法律に基づく観察処分の要件として具体的危険性を要するか(積極)。
 3 公安審査委員会が上記法律に基づいていした観察処分が適法とされた事例。


■東京地裁平成12年7月25日判決(判例時報1738号141頁)-端本悟被告事件

 「弁護士一家殺害事件、松本サリン事件の実行犯であり、サリンプラントに関与したオウム真理教の元出家信者に対し、死刑が言い渡された事例」