法の華の手口―「足裏診断商法」とその被害状況
最終更新99/11/28
法の華三法行は、足裏診断や個別面談などによる詐欺・脅迫を伴う勧誘方法により、病気などに悩む人から多額の金員を巻き上げるという違法かつ悪質な商法を行っている。
この商法(以下「足裏診断商法」とする)は、被害者から金員を巻き上げることのみを目的として巧妙に仕組まれたものであり、これまで多数の被害者を発生させて来た。
1 被害者が法の華を知る端緒
まず、被害者の多くは法の華三法行の教祖福永法源氏の著書に接することで法の華を知ることになる。
福永氏は、株式会社アースエイドから「病苦を超える最後の天行力」ほか多数の著書を出版しているが、これを書店の目立つ箇所に山積みさせて人気出版物との印象を与えたり、また、電車の中吊広告、街頭の看板なども利用して広く宣伝を行うほか、病院周辺や街頭、駅周辺では、著書の無料配布も行っている。
こうして多数の者が福永の著書を手にすることになる。さらに新聞や週刊誌にも多数広告を掲載し、時には福永氏がテレビにまで出演して、英国元首相サッチャー、クリントン大統領などの有名人とも対談する。
読者は、マスコミがこれ程までに取り上げるのだからとつい信頼しがちとなる(もっとも最近では、法の華の手口が広く知られるようになり、福永氏がマスコミの登場することはできなくなったが・・・・)。
また法の華三法行福永はその著書の中で、自らの宗教性や教祖性を否定しつつ、天行力の修業によって全ての悩みを解消できると記載している。
2 アンケート葉書
著書の中には著作ごとに異なる「アンケート葉書」が挟まれており、アンケートに回答すると小冊子が無料でもらえるなどと記載されている。しかし被害者らがいったんアンケートに回答すると、その者に対し、法の華に所属する者から勧誘の電話等が入る。
アンケートの内容は、回答者の現在の悩みなどの心理状態がわかるよう事前に仕組まれたものである。
勧誘はこのアンケートの回答を利用して、執拗かつ悩みを抱える人間の心理を巧みに掴み、説明会あるいは「足裏診断」等への参加を強く勧める。
被害者は自らの悩みを解決することができるかもしれないと感じ、その勧誘に乗って説明会等に赴くことになる。そして、説明会を受けた後に「足裏診断」が行われるのである。
3 「足裏診断」
「足裏診断」は被害者の足裏を見てその人の人生や先祖について判断をし、今後の運命を占うというものであり、福永氏自らが行うこともあるが、福永氏以外の足裏診断士が行うこともある。
診断に先立って、診断を受ける者は、自らの悩み等をスタッフに聞き出される。
足裏診断は、暗室にて、福永氏ら足裏診断士と対峠した形でなされる。
福永氏以外の足裏診断師は、あらかじめ法の華三法行らが作成した「足裏診断士養成マニュアル」に従って診断を行う。
診断を受ける被害者の悩みや不安は事前にスタッフが聞き出したにすぎないが、あたかも自らの能力によって知り得たがごとき振る舞いをする。その上で同マニュアルに従った(つまり実際には、虚偽の足裏診断)診断を行う。
同マニュアルには、足裏を見てまず、第一声を吐いてびっくりさせる、「あなたはこのままだとガンになるよ!」「汚い足裏ですね!」「相当血液を汚してきたね!」との記載がなされており、実際、診断を受けた者の悩みや不安を増幅させる内容の診断がなされる。
診断の結果により不安となった被害者に対し、その様な悩みや不安は「頭を取る」ことで解決可能である旨追い討ちをかける。
ここでいう「頭を取る」あるいは「頭の取れた状態」とは、「生命に対する純粋な畏敬の観いと喜びに満たされた状態であり、生活のうわべに漂っているに過ぎない『無くとも一向に構わない物事』に対する執着が消えた状態である」とのことであり、そのために、「一度自分を『死んで』頂きたい」というのである。
そしてありとあらゆる言葉で、被害者の抱えた悩みと頭を取ることを結びつけさせ、「頭を取る必要がある」「頭を取るための研修に参加しなければならない」などと、被害者を心理的に追い込んでいく。
被害者への追い込み方法も、足裏診断士マニュアルに記載があり、「今のままでは命を取られる」「後二ヶ月で倒産するよ」「ノイローゼになる」などと、欺罔ないし脅迫文言を被害者に伝える。
4 足裏診断の違法性
以上、法の華三法行らが行っている足裏診断商法は、対象者の個別事情を考慮するものではなく、マニュアルに沿って行われていることから考えて、端的に詐取ないし喝取に向けた欺罔行為ないし脅迫行為と評価されるべきものである。
5 研修費用の支払
福永氏や足裏診断士は、診断の後で、「頭を取らなければならない、そのためには研修に参加しなければならない」などと、既に畏怖誤信した被害者らに対し、研修費用の支払を要求する。
この際、福永氏らは、支払いは直ちになさねば効果がないと脅し、結局、被害者をして費用の支払を即断させる。
そして、この代金は通常郵便局から電信為替居宅払いで送金させる。
研修費用は、原則として225万円だが、場合によっては125万円や100万円に減額することなどもある。研修費用を支払えない人に対しても、勧誘は執拗かつ悪質で、サラ金で借りてでも研修に参加しないと救われないと脅かし、サラ金から借りさせたうえで研修費用を支払わせたという例も多い。
5 研修の内容
研修は四泊五日で、静岡県富士市の法の華の施設である天声村において行われる。研修は法の華では「超人間完成修業」と言われている。
研修中は殆ど睡眠時間を与えられず、食事も与えられないこともある。
修業内容は、
イ 七観行と称する七つのことば(「健康あふれた楽しい毎日です。」等)を大声で繰り返し発生する。
ロ バスで渋谷等に移動の上、街頭・盛り場で大声を出させられたり、写経を通行人に配布する。
といったもので、参加者が頭が取れたとの判定を受けるまでなされる。
研修は肉体を酷使しかつ精神的にも疲労させる内容である。そして研修最終日前日に行われる徹夜を余儀なくされる修業により参加者は精神的に追いつめられた心理状態にされていしまう。
また研修参加者は、頭がとれたと回答しないと、何時までも研修を続けさせられることとなる。そこでやむなく頭が取れたと意に反して回答することを余儀なくされた者も存在する。
6 研修終了時の天声
研修が終了すると、頭が取れて「天行力」が頭から足まで身体全体を通るということで、法の華三法行福永から「天声」が出たと伝えられる。
そして天声が下りたと称して、掛け軸等を高額で購入することを強要される。
例えば掛け軸であれば、名目は「家の中心代」ということで金額は通常333万円にも及ぶ。「解脱法納代」として、法の華三法行福永の手形の入った額縁を購入すれば金1000万円、「天行力仏舎利代」として、釈迦の骨と称する物体が入っている仏舎利塔を購入すれば金2000万円、人間救済師との認定を受け表彰状をもらうには金3000万円の支払が必要である。
しかし右金額も明確に定まったものではない。
被害者はこれらを支払わなければ自分の悩みが解決しないと畏怖誤信され、無理をしてでも支払わされてしまうのである。
7 研修終了後の法の華との関わり
研修の後も更に執拗な勧誘が行われたりして、法の華三法行らが主宰する「天行力大祭」などに参加させられたり、毎年購入しなければならなお天行力手帳を購入させられてりして、被告らに対して金員を支払わさせられる。
また、研修後にも執拗に右に記載した掛け軸等の高価な者の購入を強要され、やむなく購入させられてしまう者もいる。
8 結論
以上が、法の華が行う「足裏診断商法」であり、被害者をとりあえず法の華に呼び込み、一度呼びこんだ被害者に対し執拗に騙し、あるいは脅して不安に陥れ、そして最終的に高額のお金を巻き上げるという点で、事前に周到に仕組まれたプログラムとなっている。
一部に足裏診断をされずにお金を巻き上げられてしまっている被害者もいるが、金を収奪するシステムであるという本質は全く同じであり、別異に論じる必要はない。
なおまれに「超完成人間修業」の後に被害者が法の華に入信する者もいるが、多くの被害者は四泊五日の研修に参加しただけ、つまり研修参加費のみ拠出しただけで入信に至るものはほとんどいない。
ところが最近(平成9年以降顕著である)、一度研修に参加して「頭がとれた」はずの者でも、「人間完成」するためには、「百歳塾」(700万円)に入塾しなければならない、解脱天主、人間社長等の修行をしなければならないと新たな課題を突きつけ、その費用は金1000万円とか金500万円とか、4泊5日修行の数倍の高額とされている。
これらの勧誘においても、前記足裏診断同様、まず福永氏の面談が行われ、そこでいきなり怒号・罵声を浴びせ被害者を著しく動揺させた上で、その後別室に移し、密室で多人数のスタッフによる長時間の詐欺的、脅迫的言辞を用いての面談等により、被害者を心理的・精神的に追い込んだ上で、短時間での決断を迫ると言う手法が用いられており、被害は以前に高べ高額かつ悲惨なものになって来ている。