くろ坊のこと
UP99/04/11
更新02/01/04
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第1話「出会い」
くろ坊とちゃあ坊を、最初に見つけたのは、当時住んでいた下宿の1階にあった共同台所でした。その日の朝早く、僕は、「にゃーにゃー」という声で目がさめました。起こされたと言ってもいいでしょう。2階の自室を出て、階段を下り、1階の台所をのぞくと、生後2ヶ月くらいの黒とらと茶とらの子猫2匹が台所をあさっている最中でした。
2匹の子猫は、台所の入り口に僕の姿を見つけるとすぐに逃げ出そうとしました。でも、入り口には僕がいます。僕はすぐにドアを閉め、2匹の子猫を完全に台所に閉じ込めました。
2匹はまだ完全にノラ猫化してなく、また生後2ヶ月ではまだ敏捷性もなく、逃げ回る2匹の子猫を捕まえるのに少してこずりましたが、なんとか捕まえ、2匹を自室に連れていきました。
当時の下宿は、目の前が「刀根山公園」という公園で、おそらく子猫は、飼い主から、昨夜公園に捨てられたのだと思います。2匹は、へその緒が取れ、毛も生え変わっていましたので、乳のみ子の一番可愛いときは、誰かに育てられていたのでしょう。
ところがだんだん大きくなり、手に余るようになって捨てられたのだと思います。そんなわけで、かわいそうに、おなかがすいて、ふだん開けっ放しにしてある下宿1階の台所の残飯のにおいに連れられて迷いこんだのだと思います。
2匹を自室に残した僕は、まず近くのコンビニエンスに、キャットフードを買いに出かけました。
子猫だったので、そのままキャットフードを食べれるか、少し心配しましたが、皿に盛るとと、子猫たちは、文字通り、おなかが膨れるほどガツガツ食べました。
そしてその後、食器台の下のわずか10センチの隙間に入り込み、2匹は重なるように寝てしまったのです。
黒灰色と茶褐色の子猫が重なるように寝ている姿はとても愛らしく、その日早起きさせられることになった僕も、2匹を見ているうちに、睡魔に襲われ、もう一度寝ることになりました。
2匹の猫はいずれも、オス猫でした。僕は、黒いほうの猫を「くろ坊(くろぼう)」、茶色いほうの猫を「ちゃあ坊(ちゃあぼう)」と名づけました。
くろ坊は、黒トラ猫で、トラ部分は灰色の毛という高貴さがただよう猫。ちゃあ坊は茶トラ猫で、子猫物語に出てくる猫と同じ種類の猫です。
いずれも目がエメラルドグリーン。僕はいまだに、この2匹の猫より美しい猫を見たことがありません。そのうえ性格もすばらしい。なぜ捨てられたのかわからないほどの猫でした。
こうして2匹はその日から、僕の部屋の住人になりました。
そしてこの2匹の子猫が、ちょっと考えられない事件に僕を巻き込んでいくのです・・・・・・・・。
第1話「出会い」 UP99/04/11最終更新02/01/04
第2話「抱き癖」 UP00/04/15最終更新02/01/04
第3話「きずな」 UP00/07/27最終更新02/01/04
第4話「決 意」 UP02/01/03最終更新02/01/04
なおこの内容は、いつか書籍(絵本や童話)にすることを考えており、
どなたかご興味のある出版社の方は、ぜひご連絡ください。